電波受信電波受信。
一個魔法思いついたんで次回作で使おう。
ぐぐっても上位に同じ名前の攻撃とかでてこなかったので無問題。
・・・いかんな、四六時中ssのこと考えてるよorz
そういや今週末はウルトラマンメビウスにタロウ客演ですな。
今からwktkですよ。
↓んでわshe&me加筆改稿版、第四話です。
スレ投下版八〜十話分収録。
魔法少女リリカルなのは〜She & Me〜
第4話 ともだち
二人の背中が森の中に消えて、どれくらい経ったろう。
「すずか」
「うん」
わかってるよ、と小さく答えたすずかに、アリサも頷く。
なのはにはここにいてと言われたけれど。
(じっとしてなんかいられない)
二人ともきっと、大変なことをしているのだろうから。
何が起こっているのかわからなくても、なんだか行かなくちゃいけないような気がする。
怖くても、不安でも。
これはきっと、待っているだけでは駄目なこと。
踏み出さなきゃ、いけないこと。
* * *
「サンダーレイジ!!」
四条の稲妻が、躍動する異形達の身体を捕らえる。
うち三体は断末魔と共に閃光の中に消え、残った一体もまた黒煙を上げながら大地へと落下していく。
すずか達を巻き込まないよう、月村邸から少しはなれたところまで怪物達を誘導し戦闘をはじめておよそ15分。
確実に敵は、数を減らしている。平行して、彼女達の魔力も同様に。
───あと三体。
「アクセルシューター!!一斉射!!」
フェイトへと迫ろうとしていた異形が、光弾の集中砲火を受け一瞬にして焼き尽くされる。
───あと、二体。
「なのは!!」
「うん!」
二人が手をかざした先に出現する小さな魔方陣に、危険を感じた異形達は距離を置こうとする。
「おそい!!」
(これで決めないと!!この怪物、最初の頃戦った個体より明らかに強い……!!)
ライトニングバインド。
そして、レストリクトロック。
現れた光の拘束具が、異形達の身体の自由を奪う。
「プラズマ!!」
「ディバイン!!」
二人は、互いに絶対の信頼で、その背中を預け合い。
倒すべき敵へと向けてそれぞれの得意技を発射する。
「スマッシャー!!」
「バスター!!」
それは、時計の針が丁度六時を指すようにまっすぐ。二つの方向へと伸びていく。
異形達の身体を構成する魔力は、その力の前に崩壊し、洗い流されるかのように消滅していった。
「これで……全、部……?」
「……うん、多分……」
大きく肩を上下させながら、二人は辺りを探ってみる。
魔力反応はゼロ、問題はない。
ゆっくりと地面に降り立つと、各々のデバイスも周囲の危険が全て消えたことを
各自、所有者へと告げてくる。
「……街のほうに、行こう。ア……ルフ達が、がんばってくれ……ぁ」
だが、まだ街の異変は終わっていない。
はやく向かわなければ──そう頷きあった矢先、
言葉を切ったフェイトの身体がゆらり、とよろめく。
「う……」
「フェイトちゃ……あ、れ?」
駆け寄ろうとしたなのはもまた、己の身体の異変にその身をふらつかせる。
視界が、ぐにゃりと曲がって見えていた。
──無理もないことだ。ただでさえここのところの連戦で慢性的に消耗していたのに加え、
今日も既に十体もの数の異形との戦闘をこなしている。
(だめ、いかない、と)
それでも眩暈は止まらず、意識がぼうっとなっていく。
吐き気が、悪寒が。全身を包み込んでいく。
「あ……ぅ」
「なのは!!フェイト!!」
危うく倒れて頭を打ちそうになったところを、
いつの間にか追いかけてきていたアリサとすずかが抱きとめていた。
疲労困憊した二人を、それぞれの細い両腕で。
彼女達に受け止められたことも、心配げに覗き込まれていることも、
二人は気付くまで数瞬の時を必要とした。
* * *
「このっ!!」
二つの刃の閃きが、異形を真っ二つに切断する。
左右に分かたれた身体は、砂のようにあっという間に風化していった。
くるくると右の小太刀を掌で回転させ、持ち直す。
「こいつら一体、何者だ?」
しかし、手強い。忍とノエルを行かせて、正解だったと思う。
ノエルや忍を守りながらではこの化け物達の相手は正直きつい。
(なのはやフェイトのいつもの外出になにか関係があるのか?)
そういえば最近、いつも夜になると彼女達は出かけていた。
そして朝近くなるとひどく疲れて帰ってくる。
ばれていないつもりなのだろうが、自分と少なくとも父・士郎は気付いているはずだ。
「っと」
怪物の爪が頬を掠める。
とりあえず、今は目の前の敵を倒すことに集中しなければ。
「少々本気でいかないと、まずいな」
アレをやるか、と恭也は精神を集中する。
目つきが青年のそれから、戦闘者のものに一変し敵を睨みつける。
(実戦で使うのは久しぶりだな)
───神速。
「行くぞ!!」
恭也の身体は、一陣の風となった。
* * *
「……ありがとう、二人、とも……」
そういいながら立つフェイトの足つきは弱弱しい。隣のなのはもそれは同様だ。
とても、立ち歩ける状態には見えない、千鳥足そのもの。
「行かなきゃ……」
「ちょ!?あんたたちふらふらじゃない!!どこ行く気なの!?」
「なのは、行ける……?」
「うん、なんとか……」
アリサの気遣いが、聞こえていないわけじゃない。無視したくて無視しているわけでもない。
むしろ、そうやって心配してくれているのがうれしいくらいなのに。
(ごめん)
二人は振り返ろうとはしない。待っている人達が、いるから。今は振り返れない。
「なのは!!フェイト!!」
「……待って」
「すずか?」
叫ぶアリサ。しかし彼女だけでは、二人は止まらない。
彼女一人の声では、足をひきとめられない。
「待って……待ってよ!!なのはちゃん!!フェイトちゃん!!」
「ッ!!」
だから、二人を止めたくて。
すずかも、叫んだ。
二人の歩みを止めたのは、フェイトにとっては初めての。
なのはが聞くのは二度目の、すずかの心の底からの願い。
あらんかぎりの声を振り絞った、彼女の叫びだった。
「すずか、ちゃん」
「すずか……」
「待って、お願いだから!!このまま、なんだか二人とも遠くに行っちゃいそうで……不安で……」
うつむくすずかの目には、涙が浮かんでいた。
アリサに肩を抱かれながら、それでも精一杯自分の気持ちを二人にぶつける。
きっと、思っていることはアリサも同じ。
「だから、お願い……こっちを向いて、絶対、絶対戻ってきて、全部話してくれるって約束して……!!」
「……すずかちゃん、その、っ」
「それ、は……」
振り向いたなのはとフェイトは、俯いた。
二人を安心させるためにも、約束してあげたい。
けれど、フェイトとなのははどちらも、予想していた以上に消耗してしまっている。
こんな状態では何が起こるかわからない。
ここで今もし約束して守れなかったら一層深くすずか達を傷つけることになる。
───常に最悪の事態を想定した上で行動を決めろ。それだけの責任が僕らにはあるのだから。
それは管理局の一員として現場に出るようになって、兄から受けた教え。
「ごめん」
その教えは、いつもフェイトを導いてきた。
だから、自分には約束はできない。
フェイトは己の想いを押さえつけ、なのはを見る。
(──だけど)
だけど、なのはは、なのはだけは。
どんなことがあっても守るから。それだけは必ず。
それだけは約束できるから。
……フェイトがそう言おうとしたその時、パン、と乾いた音がして頬に痛みが走った。
「なの、は……?」
「フェイトちゃんのバカ!!」
なのはの平手が、頬をとらえていた。
厳しい目をしたなのはの左手が、右の頬を張っていたのである。
何故。どうして。友となってはじめてなのはから受けた痛みに、
フェイトは呆然と頬を押さえる。
アリサもすずかも、今起きた出来事に驚き、言葉を失っていた。
「……今、フェイトちゃんが何て言おうとしたか当ててあげようか!?
『私がどうなっても、なのはだけは無事に帰すから』、そんな風に考えてたでしょ!?」
「!!……どう、して……」
「昔と同じ……自分のことなんて考えてない目だった。フェイトちゃん、わかってないよ」
「え……?」
打たれた頬と、そこを押さえた手が熱い。なのはの目もまた、少し潤んでいた。
「わ、私はただ、なのはに何かあったら……」
───きっと二人が悲しむから。だから。
「そうじゃない!!」
なのはの強い口調がフェイトの言葉を遮る。
「そうじゃないよ。二人が帰ってきて欲しいのは片方じゃない。私だけでもなければ、
フェイトちゃんだけでもない。たとえ片方でも何かあったら二人が悲しむのは一緒なんだよ」
「……あ……」
なのはに何かあったら、きっと二人は悲しむ。それは、友達だから。
フェイトはそう考えていた。二人にとってなのはは大切な人。
だから二人の為にも、この身に代えても守らなければいけないと思っていた。
けれどフェイトはごくごく単純なことを、なのはやすずか、アリサのことを思うあまり忘れていた。
二人にとっても既に自分は友達だということ。出会ってからの時間の差なんて関係ない。
すずかもアリサも、フェイトのことを失いたくない大切な存在と思っているということを。
そして確約の言葉をフェイト自身から欲しているということを。
全ては、友達だから。たったそれだけの、それでいて一番大切なこと。
「……ごめん」
フェイトの謝罪の言葉に、なのはは首を横に振り、念話を介し言う。謝る相手は私じゃない。
(ありがとう、なのは)
(ううん。二人でならきっと大丈夫。帰ってこれるよ。だから、すずかちゃん達に)
(兄さんだったら、約束してないかもしれない。けど───)
例え間違った行動であったとしても、二人の気持ちに応えたい。
自分を、こんなにも大切に思ってくれている二人に対して。
大丈夫、できる。二人の元に無事に帰ってくればいいだけ。
なのはもフェイトも、どちらも欠けることなく。
「……待ってて」
「え?」
「フェイト……」
アリサとすずかの手を握り、迷いなく約束の言葉を告げるフェイト。
その目はしっかりと二人の目を見据えて、揺らぐことなく。
なのはも三人の手に自分の手を重ね、頷く。
「約束する。二人で絶対、帰ってくる。だから、待ってて」