ずっと積んでた1/144ターンXを作ってみた。

 
思ってたよりでかい。
 
同スケールのデスティニーよりでかいのね。
モールドが多いからスミ入れが大変でした。
え?プラモつくってる暇あったらss書け?
 
スレへのss投下は明日、明後日くらいには……はいorz
 
代わり(?)というかなんというか。
she&me加筆版を。第五話です。スレ投下版の11〜12話を
再構成した形になります……が。正直この話、ゼロの状態から
書き直したいorz
 
ひとまず、どうぞ。
 

 
魔法少女リリカルなのは〜She & Me〜 
 
第5話 再会
 
 
───どうして、あんたがここにいるんだ。
 
見上げた先に映るのは、忘れようのない顔。
かつて自分と主に慈愛を注いでくれた、いるはずのない人物がそこにはいた。
 
疑問の前に、アルフは動けなかった。……いや。動けても、多分同じだったろう。
アルフも傍らで倒れているユーノも、自分達の力が彼女に遠く及ばない、
勝ち目がないということを肌で感じ取っていた。
 
「どう、して……」
「っ……アルフ……?」
 
アルフの表情はユーノの単なる苦悶と不安に満ちたそれとは違う。
疑念、困惑、それらすべてが混じりあった、複雑すぎる感情がそこには表れている。
夢だと思いたかった。なぜ彼女が生きているのか。なぜ、自分達へと牙を剥くのか。
アルフとフェイトにとってまるで母親のようですらあった彼女が、何故。
 
(フェイト……きちゃ……だめ……だ……)
 
もしフェイトと彼女が出会ってしまったら。
それは悪夢以外の何物でもない。
 
「リニ……ス……」
 
こちらを見下ろす栗毛の髪の女性の、氷のような微笑を最後に────アルフの意識は途切れた。
 
 
*   *   *
 
 
一方。
 
結界内へと到着したなのは達は、ユーノとアルフの姿を求め街の中を彷徨っていた。
 
「……フェイトちゃん、なんか、変じゃない?」
「うん……。この結界、ユーノのものじゃない」
「アルフさんのでも、ないよね?」
 
なのはの言葉に無言で頷くフェイト。
 
「でも、だとしたら一体、だれが?」
「わからない……っく……?」
 
ぐらり、と視界が一瞬ねじれた。
空いているほうの手で軽く側頭部を叩いて、なんとか意識をしっかりさせる。
 
「大丈夫?」
 
心配げに聞いてくるなのはもまた、先ほどまでの疲労から完全に抜け出してはおらず。
フェイトと同様にまだ足元がふらついている。
 
「……平気。なのはは?」
「……なんとか。はやく二人を見つけなくちゃ」
 
アリサ達と別れてから、まだあまり時間は経っていない。
急いで街へと駆けつけた二人は、すぐにユーノが張ったと思しき結界へと飛び込んだのだが。
それなのに結界内には、ユーノも、アルフも。倒すべき異形の怪物達の姿すらなかったのである。
 
「ユーノ君も、アルフさんも、無事だといいんだけど……」
 
更にこの結界内に入った直後から、二人の魔力が感じられなくなった。
入る前まではあれほどはっきりと感じられていたにも関わらず。
 
だからこうして、自分達の足を使って探すより他にない。
幸いにして結界はそれほど広いものではなかったから、飛行魔法を使う必要はなかった。
今の残った魔力の量では、それに使う分すら惜しい。
 
「大丈夫。少なくとも、生きてる。アルフも、ユーノも」
 
唯一の安心材料は、そこだった。
 
主と使い魔という関係のフェイトとアルフは、それぞれの魔力の深い部分で「繋がって」いる。
本人達にのみわかるその感覚が途切れてない以上、少なくともアルフは生きている。
アルフが生きているならば、きっとユーノだって同じく生きてはいるはずだ。
 
「けど……」
 
フェイトは思う。
何だろう、この違和感は。
 
この結界から感じる魔力は、どこかなつかしい気がする。けれども、間違いなくはじめて感じる魔力。
 
(この魔力は……)
 
二つの背反する魔力の印象に、フェイトは戸惑っていた。
フェイトは過去一度だけ、この魔力のなつかしさとよく似た力を持っていた者を知っている。
 
(リニス……いや。そんな)
 
────まさか、そんなはずはない。
 
自分の考えに首を振るフェイト。
彼女は消えたのだ。生きているわけがない。
頭に浮かんだ人物の顔を、すぐに彼女は打ち消した。
 
リニス。母であるプレシア・テスタロッサの使い魔。
フェイトを育ててくれた彼女はとうの昔に、この世からいなくなったのだから。
 
「フェイトちゃん、あれ!!」
「!!」
 
なのはの指差す先には、地面に力なく転がる身体が二つ。
赤毛の女性と栗毛の少年のそれは、まぎれもなくアルフとユーノのものであった。
 
力尽き倒れている二つの影は、微動だにしていなかった。
 
「アルフ!!ユーノ!!」
「しっかりして!!」
 
あの怪物たちにやられたのだろうか。それとも、別の誰かが。
倒れ伏すユーノとアルフになのはが駆け寄り、抱え起こし呼びかける。
 
 
 
「────フェイト・テスタロッサ
「……え?」
 
そして、なのはに遅れじと動きかけたフェイトの耳に飛び込んでくる、聞き覚えのある声。
その声は念話ではなく、直接耳に聞こえてくる。
たった一言、呼ばれた名前。ただそれだけが、フェイトの歩みを踏み出させずにいる。
 
聞き覚えのあるその声には、呪縛となり彼女を踏みとどまらせるだけの力があった。
 
 
 
────この、声は。
 
 
 
「リニ……ス……?」
 
頭の中が、真っ白になる。
真っ白になった思考回路のまま、おそるおそる首を声のした方向に動かしていく。
その動きは、油の切れたブリキのおもちゃのようにぎこちなかった。
 
「っ……!?」
 
振り向いたフェイトの目の先に映るのは一人の女性。
数匹の異形を連れ、強力無比な魔力を全身に纏った女性のその顔は、
フェイトにとってけっして忘れられるはずのない顔。
 
厳しい表情を湛えたそれは、幼き日々を共に過ごした、魔導の師と同じもの。
いや、顔だけではない。
放つ雰囲気も、背格好も。
在りし日となんら変わらない。
 
「リニ、ス?」
 
───リニス。フェイトの母である、プレシア・テスタロッサの使い魔たる女性が、
いるはずのないかつての姿そのままに、彼女の目の前に存在している。
 
「リニス……なの……?」
「…………」
 
しばしの沈黙のあと、女性が口を開く。
 
「……そうですね。私の名は『リニス』、確かにその通りです、フェイト・テスタロッサ
「じゃあ……!!」
「ですが、私は貴女を知らない」
 
一瞬、フェイトの顔がぱっと明るくなり、即座に凍りつく。
 
『生きていたの』『おかえりなさい』『会いたかった』。
 
発そうとしていた次の一言が、彼女の言葉によって出て行かない。
その声には何の感情もこもらずに、ただ淡々と。氷のような冷たさを持ってフェイトの心を困惑させる。
嫌な感じの戸惑いに、フェイトは彼女をみつめかえす。
 
「私が知っているのは、主の与えた情報としてのフェイト・テスタロッサのみ」
「え……?」
「あくまで私にとって貴女は、主から命じられた捕獲対象でしかない」
 
───何を、言っているの。私が、わからないの。
 
フェイトの全身を、寒気にも似た不快な緊張が駆け抜けていく。
目の前に貧血の時と同じ光が瞬き、足元が泥沼になっているようで、フェイトは身震いをした。
 
リニスが、私のことを知らない?そんな、馬鹿な。
 
「そんな!!リニス、私だよ、フェイトだよ!?それに主って……!?どうして!?」
「残念ながら、貴女の知る『リニス』と私とは別の個体のようです」
「違う!!リニスだよ!!私にはわかるよ!!リニスは、リニスだって!!」
 
その容姿、その魔力。
全身から殺気を発散していようとも、それらはフェイトのよく知る『リニス』そのものだ。
なのにどうして、私を知らないなどというのだ。
 
しかしフェイトの呼びかけも空しく、目の前の『リニス』は冷たい表情のまま右手を挙げ、周囲の異形へと命じる。
 
「!!……まさかリニス、あなたがアルフ達を!?」
「だとしたら、どうしますか?フェイト・テスタロッサ
 
フルネームで呼ばれる他人行儀が、辛い。
この『リニス』にとってはどこまでもフェイトは、その程度の存在でしかないということを
示しているようで、呼ばれるたびに心に鈍い痛みが走る。
 
「リニスっ……!!」
「貴女の戦闘力は高い。今までこの子達を使って様子を見てきましたが、捕獲にはまだその力、削る必要があるようです」
「!?やめて、リニス!!」
「いきなさい、お前達」
 
言葉は、届かない。リニスが腕を振り下ろすのを合図に、異形達がその巨躯を揺らし襲い掛かってくる。
フェイトはおろおろと対応もできず、首を振って彼女のとった行動を理解することを、拒絶することしかできない。
 
「リニス!!」
「フェイトちゃん、危ない!!」
「っ……!!」
 
間一髪、黒く光る爪をかわす。左の腕に赤いラインが一筋走り、苦痛に顔が歪む。
だが、なのはが言ってくれなければ、無防備な状態で叫び続けるだけだったフェイトは間違いなくやられていただろう。
こんな掠り傷だけでは、済まなかった。なおも迫る爪をかわしつつ、彼女はリニスへと呼びかけ続ける。
 
「リニス、やめて!!」
 
どうしてだ、どうしてリニスがこんなことを。
何故、自分へと彼女がその矛を向けるのだ。
 
なぜ。どうして。
そのような疑問ばかりが浮かんでは消えていく。
 
「おねがい、やめてリニス……!!」
 
(どうして……?)
 
リニスは本気だ。本気で自分を倒し、捕獲しようとしている。今までの事件も、すべてそのために。
受け入れ難くても、それはもう、動かしようのない事実だ。
 
だがそれでもフェイトは、そのことを理解しても呼び続けられずにはいられなかった。
戦いたくない。いや、戦えない。
 
爪と牙の弾幕をぎりぎりのところで避けながら、フェイトは必死に語りかける。
 
「私……リニスとは戦えない……!!」
 
返答代わりと言わんばかりに、背後にまわった異形の狼の一匹が飛び上がり、
フェイトめがけその鋭い爪を振り下ろした。