ニコニコ動画のおかげで。

 
昔見てたアニメ熱があがりっぱなし。
烈豪とかデジモンとか、勇者シリーズとかエルドランシリーズとか。
 
あ、the lost encyclopediaの一巻のほう、とらの穴さんへ郵送完了しました。
多分GW明けくらいから買えるようになるんではないかと。
 
以下、web拍手レスです。
 
>ユーノとなのははもっとほんわかした感じがいいですなぁ〜というか個人的にはこういったすれ違いは苦手ですっとはいっても読ませていただいてはいますが、もどかしいですorz
ユーノとなのはは、互いが互いを思いやり、陽だまりの中でほんわかするような雰囲気がいいですなぁ〜

はい、それに関してはもう少し待っていただきたいですorzもう風呂敷たたむ段階には入っていますのでorz後日談でこれでもかと、はい
 
 
で、風邪のほうは無事完治してたんですが、今度は別の私的な問題が発生して
更新が滞っておりました。
ていっても問題が起きたのは自分ではなく友人になんですが。
他人のことなんであんまり書けないことなんですが、自分ひとりでどうしようもなくなったり愚痴ったりしたくなったりしたら反転とかで書くかも。
 
ひとまず、喪失辞書のほうを更新。
 
どうぞ↓↓↓↓
 
 
 
“してやられた。まさか彼に先を越されようとは”
 
無限書庫からでは、任務行動中のアースラに通信は繋がらなかった。
通信の乱れる乱気流の中に入ったか、あるいは電波障害か。
 
「ユーノっ!?」
 
砂嵐だけで反応しない通信機に、彼は早々に見切りをつけた。
故にユーノはフェイトを書庫へと残し、一人走る。
 
一冊の風化しそうにひどく古びた、砂茶色の書を片手にして。
目に通したその内容を、反芻しながら。
 
“嫉妬というものは恐ろしい。私はやってはならぬことをやってしまった”
 
「わっ!?」
 
そして曲がり角を曲がった直後、目の前に現れた白いスーツの胸へとぶつかる。
 
「っと。どうしたんだい、そんなに慌てて、スクライア司書長」
「あ、アコース監査官!!丁度よかった!!」
 
“だが不思議と、後悔はない。食うか食われるか、やるかやられるか。それこそが世界のルール、秩序なのだから”
 
「?」
 
年下の少年に詰め寄られ、ヴェロッサは眉を顰めた。
本来のユーノがもっと理知的で、落ち着いた性格の持ち主だということは彼も既に数度の交流で知っている。
しかしそのようなことなどお構いなしに、少年は慌てふためいていた。
 
「アースラに!!なのは達に連絡を!!止めないと!!」
「止める?高町三尉たちを?」
 
“ただ単純に、私もその世界の掟に逆らうことができなかったというだけのこと。ごく当たり前のことなのだ”
 
「落ち着いてくれ、スクライア司書長。詳しく説明を……」
ヴォルケンリッターを……夜天の守護騎士たちを奴と戦わせちゃ、まずいんです!!」
 
説明している暇などない。とにかく、連絡を。
焦る彼の手から、古い書がこぼれ落ちていく。
 
“せいぜい、『わが子ら』の行く末を見るとしよう。彼女とともに、永遠に”
 
床を打った書が開いたのは、偶然にも結びとなったページ。
ごく短い言葉で、その文は締めくくられていた。
 
──“夜天はその名に相応しく、闇に染まる”──と。
 
 
魔法少女リリカルなのは 〜the lost encyclopedia〜
 
第十話 pain
 
 
−時空管理局本局・武装課メンテナンスルーム−
 
バイスのコアとなるカートリッジシステムには、幸い最新型のストックがあった。
そしてアームドタイプにとってもうひとつの核に相当する簡単な自律思考制御を行うための人工知能、AIに関してもこれまた幸運なことに、重度の損傷を受けながらも修復可能ないわば「生きている」状態であった。
 
「ごめんねー、手伝わせちゃって」
 
炎の魔剣・レヴァンティンの修復作業が進む。
少しずつではあっても、再び主が手の内に戻るべく、確実に。
 
刃の硬度設定を慎重に行い、ベストと思われる厚みやシグナムのクセに合わせた数値をマリーはキーボードに打ち込み、設定させていく。
 
「いえ、母から言われたことですし。それにこういうことが好きなのが知人に一人いるんですよ、慣れてます」
「ありがとー。助かるよ、グリフィス君」
 
エンターキーを押し、確定。
話しかけた少年の持ってきたマグカップに手を伸ばす。
更にはもう一方の手にある、何枚ものデータディスクにも。
 
「よっしゃ」
 
カップを呷り、手にしたディスクの束をぐっと握り締める。
また、もうひと頑張りせねば。
マリーが気合を入れた様子に、グリフィスも盆を置いて自身にあてがわれたパネルの前へと腰を下ろす。
 
「シグナムさんの復帰までに……なんとしても間に合わせないとね!!」
 
より強く、より使いやすく。
烈火の将がもう一度、思う存分戦うことができるように。
 
待機状態で浮かぶ剣型デバイスを見据え、マリーは作業を再開した。
 
*   *   *
 
「いくよ!!ヴィータちゃん!!」
「おお!!」
 
共に、カートリッジの魔力を各々のデバイスへと満たす。
なのはは周囲へと漲る破壊の力を迸らせる誘導弾を無数に形成し、
ヴィータも己が腕の中の鉄槌、その先端のハンマーヘッドに力を集中させていく。
より高い破壊力を生み出し、魔力のこもった打撃を生かすべく、鋼鉄の伯爵がラケーテンフォルムをとった。
 
花火のように飛び散るがごとく錯覚を与えるアクセルシューターこそが、戦闘の第二ラウンドの合図。
緋色の女騎士の周囲を飛び交う光の弾丸の群れに続けとばかりに、ラケーテンハンマーの猛烈な噴射力、加速力で紅の影も戦域に飛び込んでいく。
 
「っでえええええいっ!!」
 
ハンマーと刃とが、鋼と鋼がぶつかりあい、火花を散らして甲高い金属音を響かせる。
最上段、横薙ぎ、急角度からの一閃。振り下ろされ、あるいはかち上げられる何発もの打撃を、騎士は寸分違わず捌いていた。
 
そればかりかヴィータの振り切りの隙に乗じ、反撃の手すら加えてくる様子を見せるほど。
 
 
「させない!!アクセル!!」
 
だが、そのような動きを許すわけにはいかない。
 
騎士──レクサスの周囲を飛び回り、四方から絶えず攻撃を加え動き続けるヴィータと対照的に、なのははじっと魔法陣を展開し空中に待機する。
 
前に出るヴィータの援護に、集中するため。
自身は足を止め、支援に放つ誘導弾の制御に全精力を傾ける。
 
「おらおらおらあっ!!」
 
相手の意識がヴィータに向けば、なのはの誘導弾が。
逆ならばラケーテンハンマーの一撃が、敵を襲う。
互いが得意な距離にのみ専念し、射撃のみに攻撃が限定されない分、ただ二人分の誘導弾で狙い撃つより避けにくく、また捌きにくい戦術になっているはず。
 
それでも騎士は両腕の二本の剣を手に、二人の攻撃を防ぎ続ける。
じわり、じわりと、少しずつ追い詰められていきながらも。
 
「っち……」
「余裕なくなってきたな!!ざまーみろっ!!」
 
しかし、今度こそ本当に追い詰めている。
その実感を肌で二人は感じ取る。
 
顔面すれすれをアクセルシューターの弾丸が掠めていっても、ヴィータは臆さない。
自分達に向いてきた流れに乗り、コントロールするなのはを信じ、なおも愛機を振るう速度を上げていく。
 
「さっさとお縄につけってんだ!!こいつ!!」
「くっ」
「もちろんその前に一発ぶちこんでやるけどなっ!!」
 
あと一歩。
紙一重で直撃を逃したシューターが一発、騎士の頬をわずかばかり焼け焦がしていった。
 
「シグナムたちの分まで!!」
 
*   *   *
 
「っぐ……!!」
 
だめだ、堪えろ。
今だってもう少し集中しきれていれば、クリーンヒットを与えられていたかもしれないというのに。
 
違和感が、なんだ。
痛みや不快感がなんだ。
 
ヴィータちゃんが前で、頑張ってくれてる!!わたしだって、このくらいっ!!)
 
左腕は、ひどく痺れていた。
相手となる女騎士の放つ魔力、あるいはその殺気。
それらが、骨の芯から響いてくるような、そんな重い感覚。
 
原因なんてない、レントゲンによる検査ではなにもなかったんだから。
どれだけ自分の頭ではなく身体をを落ち着かせるために語句を並べようと、それらは誤魔化しにすらならない。
 
頬を、額を。汗が伝っていく。
その表情は敵を追い詰めつつある前衛のヴィータとは、対照的に苦悶に歪む。
誘導弾のコントロールレイジングハートを握る掌も、指ぬきグローブが湿るほどじっとりと汗ばんでいる。
 
(邪魔、しないでよっ!!)
 
アクセルシューターに加速をかけるたび、左腕を基点とした痺れが全身を貫き通す。
制御する弾体の数はおよそ30個。なのはにとって最大限、目一杯の数だ。
 
じっと制御に集中するため閉じた瞼の裏が、嫌な色に濁って見える。
目を開けばきっと、世界が歪んで見えることだろう。
思い通りにならぬ身体に、心の中でなのはは苛立ちの言葉をぶつける。
もっと、しっかりしろ。お願いだから、こちらの思ったように従って。動いて。
 
「この……っ」
 
制御のしきれなかったシューターとシューターとがぶつかりあい、弾けた。
即座に新たな弾体を形成し、撃ち出し補充する。
 
(一体、どうしたっていうの!?)
 
もう少し、あとほんの少しなのだ。
それまでは、この全力での誘導弾制御を維持しないと。
 
余計な魔法を使っている場合ではない。
自身に起こっている異変から目を逸らせるがためなのはは、強く唇を噛んだ。
 
嘔吐感と不快感とで血の気が引き、蒼白となったその柔らかな唇を。
 
*   *   *
 
頬の痛みこそ、まさに戦場の痛み。
懐かしき、何百年ぶりかになる負わされた傷による痛みだった。
 
出来得ることならば、それを負わせるのがシグナムであればよかったと思うのは、自分のちっぽけな感傷なのだろうか。
 
(──ページ数、残り154……管制人格機動まで、あと14……)
 
集めたリンカーコア、保有数8。
魔導書が未完であり、ページ数がそれなりであったことが逆に幸いしたか。
夜天の書……闇の書のように膨大であれば、この短期間では管制人格起動まではこぎつけることができなかったろう。
 
(……夜天の書。我が主が友の生み出した魔導書)
 
余計な感傷など捨てろ。
今はただ、主がために。
 
レクサスは己を叱咤し、掌中の二刀を連接刃形態へと変形させる。
二本の竜の牙は迫る光弾を巻き込み、打ち消し。紅の鉄騎を一時的に下がらせる。
 
「何!?」
 
──何を驚いているんだか。あの子……シグナムに使えて、自分に使えないわけがないのに。
 
名もなき魔導書──破棄された開発コード上では『天光』──と、星々の輝く『夜天』。
二人の創造主の手によって等しく生み出された、彼女と自分なのだから。
 
「……お目覚めください、我が主」
 
右手の剣を一旦空間へと霧散させ、代わりに手に取るは、名前すら失った魔導書。
 
彼女は確保し、戦闘に入ったがため魔導書へと与えることのできていなかったリンカーコアをすべて、その身の周囲へと呼び出す。
 
「蒐集」
 
*   *   *
 
「こいつっ!?」
ヴィータちゃん!!」
 
戦闘の真っ最中だというのに、魔力の蒐集か。
自身もまたかつて蒐集を行っていた身であり、また同じく守護騎士たるヴィータは一瞬にして、レクサスが何をしようとしているのかを理解した。
 
蒐集を行っている間、術者と魔導書は無防備。故に守護騎士が守るべく存在している。
 
なのに今、相手は戦闘中にも関わらず手に入れたリンカーコアを魔導書に与えるという行動に出た。
それは、そうすることで相手にとって優位に立つことのできるなにかを起こすことができるということ。
 
「させっかよおぉっ!!」
 
あれを与えたら、起動する。
そうなれば現れるのは、かつてのリインフォースと同程度の力を持つであろう、管制人格。
 
同じく敵の行動の意図に気付いたなのはの声を受け、そうはさせじとヴィータは駆ける。
 
「ぐっ!?」
 
──だが、なにかに引っ張られるようにして、がくんとその小さな身体が急停止させられる。
 
「バインド!?」
 
たった、一個。
緋色の光輪がヴィータの右足首をがっちりと受け止め、その前進の邪魔をしていた。
 
「このっ!!」
「待ってて、すぐ!!」
 
アクセルシューターが一発、即座に拘束輪へと叩き込まれ解放されるも、その僅かとも思えるタイムロスは大きかった。
 
「アイゼン!!全開だ!!後のことは考えんな!!」
『Ja!!』
 
機体内に残っていたカートリッジを全て炸裂させ、最高速のラケーテンハンマーを振り下ろす。
最後のリンカーコアが、魔導書の内へと消えていく。
 
「やったか!?」
 
ヴィータが狙ったのはちょうど、本の背表紙に当たる位置だった。
リンカーコアの魔力を吸収しながら光り輝く魔導書の、中心に位置する場所。
そこならば多少ずれようとも、直撃を与えて蒐集を邪魔することができる。
 
そして、彼女の目論見通り、グラーフアイゼンの先端は魔導書の中心部へと吸い込まれるように叩きつけられていた。
 
「……残念」
 
ただし、正反対。
真裏に位置する、びっしりと記されたページ、その中心から発動されたシールドの中心部に。
 
自らその身を翻らせた魔導書、それそのものの生み出した防御魔法が、ヴィータの攻撃を真っ向から受け止め、防いでいた。
 
(つづく)
 
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