なのユーステーション、募集開始です。

 
御応募お待ちしております。
概要を御確認のうえ、がんがんきちゃってください。
 
・・・ぶっちゃけ集まらなかったらどうしようとかなりびくびくですがorz
 
まずはWeb拍手レス。

アリシアとフェイトの笑顔、いい表情だったんだろうなぁと想像してにやけてしまいましたよ!
二期が始まる前にプロット立てて書き始めた作品だからできたようなもんです。
アリシア復活はさすがにstrikersまでくると厳しいですしね。まあ、パラレルワールドとしてみていただければ幸いです。
 
>どうも、拍手SSの保管を希望した者です。まさかこんなに早く反応いただけるとは思いもよりませんでした。二重の意味で『有り難い』事態にビックリしております。本当にありがとうございましたッ!現実の世界で幸せそうなアリシアを見ると、やはり嬉しいです。
あー、元々「そろそろどれか加筆して移そうかなー」と思ってたんで。こちらとしても丁度いい機会だったのですよ。感謝。
 
>正直「糞」とか使うのは読む気が引ける。もっと読者の身になって考えて下さい。
えーと。・・・ごめん、どこ?(滝汗)カタカナやひらがな表記で使いそうなキャラ中心に言わせたことはあったと思うのですが@640はジャンプっ子。場所がわからないと修正のしようがない&修正の必要があるかどうかも判断できないので・・・。
 
 
と、以上のWeb拍手以外に個人的に某氏に追伸。
おめでとうございます&640はマリみてが大好きです。
 
− − − −
 
で、喪失辞書最新話を更新します。
今回くらいまで三巻に入れられればいいなぁと思いつつ。
 
↓↓↓↓
 
 
 
俄かに屋敷のほうが騒がしくなって、三人はなんだなんだと腰をあげた。
 
どたばたと乱暴な音が暫く続き、屋敷に続く渡り廊下から現れたのは、濡れた身体で猛ダッシュで駆け抜ける、一匹の子猫。
……その後を追うようにして、給仕服姿のメイド少女が目を回しながら千鳥足で出てくる。
 
「ファリン!?」
「ふにゃあ〜……まだ、シャンプー終わってないのにぃ〜……逃げちゃらめれすぅ〜……」
 
ふらふらの足元をもつれさせたメイドに慌ててかけより、アリサが抱きとめる。
彼女たちがファリンのもとに集まった隙に濡れ鼠……いやさ濡れ猫は森の中へと走ってきた勢いのままに消える。
 
「あ……」
「あ!!わ、わたし追いかけるよ!!ファリンさんのことお願いね!!」
 
泡の立ったスポンジを手に唸っているメイド少女と、その救護をする友人二人を残し。
なのはは一人、逃げていった猫のあとを追った。
 
森は吹いた風に、その葉をざわめかせて彼女の到来を待ち受ける。
かつて同じように自分が、やはり一匹の小動物を追ってそこへ足を踏み入れたことも知らぬままに。
 
 
魔法少女リリカルなのは 〜the lost encyclopedia〜
 
第十八話 剣
 
 
その日のことは、けっして忘れない。
 
彼女自身が手塩にかけた二つの存在が、自らの元を巣立っていったその瞬間のことだけは何があろうとも。
どれほど悠久の月日が流れようとひとつの色も抜けることなく、彼女の記憶に焼きついている。
 
人ならぬプログラムのこの身が、唯一血を分けた妹と呼べる存在。
堅物で冷めたところのある人付き合いの下手糞な愛弟子を、あの日彼女は一人の騎士として認めた。
剣の騎士──夜天の守護騎士の長たるに相応しい力へ、“烈火の将”の二つ名を贈ると共に。
 
「──“ファフニール”、済まないわね。一体どのくらい裸のままにしちゃってるのかしら」
 
そして、その証として一振りの剣を与えた。
古来、ベルカの騎士が師から弟子に対し免許皆伝の儀礼としてそうされてきたように。
剣と、鞘。一人の騎士が頼るべき、全てを切り開くためのデバイスを。
 
その日以来、彼女の持つ二刀はどちらも、鞘を失った。
生まれ変わった鞘たちは、炎の魔剣が刃に。そして生まれたての剣を包み込む堅牢なる新たな姿へとその身を変えていた。
 
故にそれから。
 
劫火の将が二本の牙は、絶えず抜き身をこの世界に晒している。
 
「──……」
「どうしました、主」
 
後悔はない。けれど時折、自分の我侭故抜き身のまま裸のままの愛機に申し訳なく思うときがある。
 
答えは、どちらからも返ってこなかった。目の前からも、腕の中からも。
けれど問題はない。代わりに、意識へとイメージが。感覚が急速に流れ込み、彼女に事態を把握させる。
 
夜天が、動いた。
その事態を確認してなお自分に望まれていること、次にすべきことが何かわからぬようでは騎士などつとまりはしない。
言葉は不要、即座に転移魔法陣のみが緋色に彼女の足元へと輝く。
 
己が主の意とするところなど、聞かずともわかる。それが真の騎士たる者の条件。
 
彼女はそのことを、十分すぎるほどによくわかっていた。
その通り実行するだけの実力も兼ね備えていた。
 
主が露払いは、騎士の役目。夜天へと向かうべきは、己のするところではない。
 
*   *   *
 
──よかったら、ご一緒しませんか。気晴らしくらいにはなると思いますよ。
 
シグナムにはその誘いを断るほどの明確な理由も、意志もなかった。
 
車が、どこに向かっているかは知らない。
彼女が一体どんな理由で運転をしているのかも知らない。
無論、相変わらず気が晴れたわけでもない。
 
ただ、石田の笑顔に誘われるがままシグナムは助手席に収まっていた。
 
「最近会ってませんけど、はやてちゃん元気にされてます?」
「……ええ」
 
車は街中を離れ、海沿いの道を走る。
 
「──っ」
 
曲がりくねった道の向こう、山の横から太陽が顔を出す。
 
目が眩むような、オレンジがかった黄色い光。
 
思わず手を翳し顔を背けたシグナムに、運転席の石田はくすりと笑った。
彼女のほうはといえば、サングラスのおかげで正面からの照り返しにもなんのその。
 
快調にハンドルを切り、車をとばす。
 
「……免許はお持ちに?」
「ああ、いえ。持っていません。近々取ろうとは思っているのですが」
 
これは実際、本当のことだった。
とはいっても、この世界でというわけにはいかないが。
 
航空隊の部下や後輩たちからも取得するよう勧められているし、事務折衝の移動の度に誰かの車に同乗させてもらってばかりいるのは忍びない。
持っていて損をするということはないだろうし。そのうち教習を受けて取得するつもりはしている。
今のところは本来の所属部隊が隊長の異動のごたごたで立て込んでいるから、もう少し先のことになるだろうが。
どのみち今の事件が解決しないことには免許などと呑気なことも言っていられない。
イカー……は、仕事上だけならば必要ないだろう。車両自体はいくらでも地上本部には余っているし、いつでも借りられる。
 
けっしてどこぞの監査官が運転している姿に主であるはやてや好敵手のフェイトが感心の目を向けていたのが羨ましかったわけではない。
 
断じて。断じて、違う。
 
「シグナムさん?」
「と……失礼」
 
つい握り締めていた拳を下げて、正面に向き直る。
水平線の少し上に見えていた太陽は、再び山の影に隠れてしまった。
 
「これくらいなら、丁度いい時間につきそうですね」
「え?」
 
サングラスの色は、そこまで濃くはなかった。表情が微かに窺える程度には透き通っている。
若干暖色の色味を増してきた空の明るさを受けたその色ガラスの奥の目が、微笑んでいた。
 
楽しみにしていて下さい、と言わんばかりに。
 
日暮れは、そう遠くない。
そして日暮れ前には必ず黄昏がやってくる。
 
その日残された全ての光を使い切ってしまうがごとく、眩しいほどに光り輝く宵闇の前の緋色の黄昏が。
 
*   *   *
 
天高く掲げたシュベルトクロイツの穂先から、はやては魔力を放出し続けていた。
かれこれ作戦開始からは、二十分ほどになる。
 
放出している魔力そのものは微量だし、それを増幅して拡散しているのもアースラのジェネレーターの一基をを急増で加速器に転用したものだから、はやて本人に大した負担にはなっていないが。
漫画などでよくあるような人力発電装置を想像すればいいだろうか。
やっていること自体は結果として、超低速でエアバイクを扱いで絶えず微弱な電力を自家発電しているあの作業と似たようなものである。
 
『なーんか、背中からコードが延びて電化製品になった気分やなぁ』
「愚痴るな。こうするしかなかったんだから」
『あー、むしろ私が供給源やから人間バッテリー言うたほうがええか』
「はやて」
 
今まで、これといった変化ははやての周囲どころかこの一帯には見られない。
はやての魔力が検知されている以外、全ての数値は正常。
 
沈黙に耐えられなくなった彼女を、クロノが窘めるが。
 
『わかっとるよ、真面目にやっとる。でもなんやろな、妙に落ち着かんゆーか。嵐の前の静けさってやつなんかな、これが』
 
口元に笑みを浮かべながらも、はやての頬には緊張の汗が一筋伝っていく。
相手が気付かぬわけはない。いつ、どこからくる。
いくら軽口を叩こうとも緩めることの出来ない警戒と、そのプレッシャーが彼女と傍らのリインフォースを絶えず襲い続けているのだ。
 
「なあ、ずっと気になってたんだけどさ」
 
重圧がかかっているのは、ひたすらに待機を求められる側も同じだった。
単純に現れた相手とぶつかり合うだけというほうがわかりやすいというのも事実。
耐えかねたアルフが、己が主をはじめとする面々に向き直って言った。
 
その姿は海鳴での子犬や幼子のスタイルではなく戦闘に備えた、相応の戦闘能力を秘めた成人女性のそれ。
近頃はよほどの事件でもない場合海鳴に残ったり、本局での雑務を行う側に回るようになっていた彼女だから、自身覚えているかぎりでもこの姿は三ヶ月ぶりくらいになる。
 
「シグナムと、例の騎士……名前、なんつったっけ?」
「レクサスって人?」
「そう、それ。ヴォルケンリッターのみんなとそいつとの関係がいまいちよくわかんないんだけど」
 
関係、とは。
ヴィータが、ザフィーラが、シャマルが、フェイトが。
待機所に集まった一同が、彼女の言葉に耳を傾ける。
彼女の主であるフェイトは、自分の使い魔が仲間たちの心を乱すことを言い出すのではないかと若干不安げな様子で。
 
「そいつとシグナムが姉妹だってんなら、他のメンバーとはどうなってんだい?ただ先に生まれたから、ってんならみんな同じ……その、守護騎士なんだし」
 
プログラム、という言葉を彼女は使うのを避けた。
自分たちが人間でない、数値の具現化した存在に過ぎないという事実を彼らが忌まわしく思っていることは周知の事実であったからこそ。
 
「単純に、シグナムにとって先生だからそう呼んでるだけなのか。それとも」
「……んなこと訊かれても、わかんねーよ。覚えてねーんだし……シャマルは?」
 
私も、とシャマルが首を横に振る。彼女たち自身曖昧な記憶が気持ち悪いのだろう。
複雑な表情で、最後に残されたザフィーラのほうを向いた。
 
けれど。
 
「……それならば、多少は覚えている」
「ザフィーラ!?」
 
蒼き狼の反応は二人の見せたものとはいささか趣を異にしていた。
首を横に振ったヴィータシャマルに対し、床に身を横たえていた蒼狼・ザフィーラは考え込むようにしながらも肯定的な返事をアルフへと返す。
 
「ほんとかよ!?おい!!」
「ザフィーラ……」
「ああ。断片的なもの……しかもそこからの推測でしかないが。俺の記憶している限り……シグナムと奴とは『同じ』だったはずだ。殆どな」
 
その肉体。能力の基礎を構成するプログラムの大半が、二人の騎士は殆ど同じものであったはず。
 
なにも不思議な話ではない。
あの失われた魔導書が夜天の魔導書の元となった存在ならば、その守護騎士たるプログラムを元にもう一人騎士を生み出すことなど。
むしろ基礎となる部分が転用できる分、生み出すこと自体は一から新たな存在を創り出すよりより容易だったに違いない。
ある意味では、ベルカの『騎士』本来の姿に最も忠実な騎士。
そこに求められていたのは、敵の裏をかくような独特の能力でも、不安定な新技術でもない。
確実に書や主を守り敵を打ち破る、騎士たちを束ねる将としての力。
 
将としての確かな信頼性が、必要とされた。
 
だからこそ烈火の将という名のプログラムは、劫火の将。レクサスという名のプログラムを元に生み出された。
彼女のデータをフィードバックし。基礎を同じく構築されたその存在によって鍛え上げられた。
  
いわば先に完成したプロトタイプをもとにした、完成品。
夜天の書と魔導書とが姉妹機である以上、そのようなことが行われていてもけして不思議なことではない。
 
「殆どのプログラムを同じくする先達……その意味でシグナムは奴のことを、姉と呼び慕っていたのだろう」
 
故に姉。故に妹。故に、師弟。
プログラムを同じくするが故、二人の騎士の繋がりは他の三人に比べ一層に深いのだろう。
  
「同じ、か」
「フェイト?」
「ううん、なんでもない。……だから姉妹、か」
 
殆ど、同じ存在。元となった存在がいたからこそ、そこにある肉体。
フェイトは青狼の口から聞かされたことについて、沈みがちな心の中で素直に似ていると思った。
 
自分が、アリシアなくしてはこの世に生まれてこなかったように。
幾度も戦場や訓練の中で腕を競い、背中を預けあい。
そんな中でこれまで自分がシグナムに感じていたシンパシーは、戦友や好敵手というものばかりではなかったのだ、と。
 
(……待ってます、きっとあなたが戻ってくることを)
 
強い彼女の顔を思い浮かべながら、フェイトは状況が随時表示される待機所のモニターを見やった。
 
きっと、辛いことだと思う。
押しつぶされるかもしれない、逃げ出したくなるかもしれない。
けれど彼女なら必ず打ち勝って、その手に再び剣をとるはずだから。
 
(だから、それまでは)
 
それまでは自分が代わりに、はやてを守る剣となろう。彼女の役には、まったくもって不足しているこの身だが。
烈火の将蘇るその時まで、彼女の乗り越えるべき相手は自分が食い止める。
同じく彼女の帰りを待つ、騎士たちと共に。
 
モニターの光点に、変化はない。
はやてと、リインと。配置についた結界保持部隊の魔導師たち。
彼女たち二人を中心に放射状に広がる夜天の王、蒼天の主の魔力のみを映し出していた。
 
*   *   *
 
「……おかしい。いくらなんでも動きがなさすぎる」
  
もちろん、直接目の前にいきなり転移してくるなどとは思っていないけれど。
 
最後に相手が確認されたポイント、管理局による封鎖。
様々な要素から考えて、この場所に自分がいることを気付けぬような場所にいるということはないはず。
まして、相手の侵入を妨害する結界を張っているというわけでもないのだ。
転移を駆使すれば、最短で十分。長くてもせいぜいがその倍からさほど変わらない程度でなんらかの動きをこちらでも確認できると踏んでいたのに。
 
三十分は経とうかという現在においても、変化なし。
リインの広域スキャンにも、次元空間内に身を隠しているアースラのレーダーにもそれらしき反応は何一つない。
 
「こちらを警戒して……?」
「かも、しれへん。あるいはわかっていて魔導書の蒐集を優先させとるんか。どっちにしろ……」
 
魔導書のページ数は、280ページ。これまで経過した時間、日数からいって完成しているかどうかは微妙なところだ。
ストライカー級の魔導師も何人か犠牲になっていたはず。かなりの力を相手は蓄えていることだろう。
 
まさか自分が蒐集行使を警戒せねばならない日がこようとは。自身同じレアスキル保持者であるはやてとしては、忸怩たる思いだった。
 
「……結界待機チーム、第三班。そっちはなんも見えへんか?」
 
こちらで感知できないようなジャミング、という可能性も万に一つ、否定できない。
レーダーが駄目というならば肉眼で、と、はやては自分を囲むように配置された部隊の一チームへと呼びかける。
 
「……第三班?聞こえるか?第三班」
 
しかし、返ってきたのは無言の静寂のみ。
何度呼びかけようと、呼びかけた先にいるはずの部隊員たちの声は応答せず、聞こえてくることはない。
 
「っ……第一斑!!」
 
他の部隊にしても、それは同じ。
まさか、と思い次々通信のチャンネルを切り替えていけば案の定、全く同じ反応が返ってくる。
 
無反応という、反応が。
 
「はやてちゃん……これって……」
「第六班!!第六班!!」
 
呼びかけるはやての声が、空しく天空に響き渡るだけ。
そして変化は通信機の向こうではなく、はやて自身に訪れる。
 
『はやて!!足元!!』
「えっ?」
 
割り込んできたフェイトの声に気がつくも、既にそれは解除不能
またしてもしてやられた、とはやては思った。
自分で魔導書の──ロストロギアの封印を解いてしまったとき続いて、再び。
 
はやて自身やリインのものとは明らかに異質のベルカ式三角魔法陣が、足元に浮かぶ。
その術式は──強制転移。
 
「リイン!!ユニゾ……」
 
三角形の罠は、二人を捕らえて放しはしなかった。
光に二人の身体が溶けるようにして、消えていく。
  
次の瞬間、二人の代わりにそこに立っていたのは、緋色の衣を纏いし長髪の騎士。
その手にあった双剣から滴る紅い雫が、音信を絶った待機部隊のその理由を、見る者たちへと暗に告げていた。
 
(つづく)
 
− − − −
 
御意見・感想などありましたら一緒にどうぞ。つWeb拍手