なのユーステーション完全版について

 
もう少し待っていただきたい。明日には到着分更新しちまうつもりなんで。
  
以下、Web拍手レス。
 
>ちょ、ちょっとぉぉぉぉっ?!八神家が「水曜どうでしょう?」になってるw
はやて「(シグナムには)一生どうでしょうしてもらいます」
 
>シグナムのお話読みました。個人的にはパーティー会場でユーノとばったり、デレギレシグナムがみたいです。
ユーノだけでなくクロノもいそうな感じですなぁ。彼の場合は婦人同伴で。
夫婦揃ってげらっげら笑うの。
 
>軽(ryの出所と言うと9×19でお馴染みのあそこかなぁ。と言ってみたり。
はて、どこだっけ?としばし考えたあとで気付く馬鹿一名。(ぉぃお気に入りに入ってるのにどうしてとっさに出てこないかな俺のシナプスゼロ脳みそ。確かにそれが頭のどこかにあったかもしれんとです。
 
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そして喪失辞書最新話更新。
今週はこれとなのユーステーションくらいしか更新できなさそう・・・。
今回はちょっと過去作のシュチュエーションを取り入れてみたり。
ら、楽しようとしてやったんじゃないんだからねっ!!
 
↓↓↓↓
 
 
「ありがと!!ユーノくん、マリーさん!!」
 
駆け出す少女の服装は、私服のまま。
彼女が本局内で恒常的にそれを身にまとう白のジャケットの制服は、着替える時間も惜しかったのだろう、今は取って代わられている。
 
それほど、彼女が急いでいたということ。
愛機を受け取った彼女に、なによりも優先して行かねばならぬ場所があるということ。
 
──“ごめんね。心配かけて”
 
けれど、念話越しに忘れることはない。
その後ろ姿を見送る、少年のことを。
思い出した、大切な人への感謝はけっして。
 
「行ったのか、なのはは」
「シグナムさん」
 
そして、背中で開いた扉から、声がかけられる。
 
覇気の満ちた声、問いではなく当然のことを確認するような声。
発した主の右腕に、既に傷跡を覆い隠すべき白い包帯は巻かれてはいない。
一度、二度。握力の感触を実感するごとく、受け止めた傷の残る掌が開閉される。
 
「こちらも、あとは最終調整を残すだけだ」
 
再生した、立ち向かう心を胸に。烈火の将もまた帰還した天空の砲撃魔導師の背中を見守る。
蘇った炎の魔剣とともに再び戦場を目指し彼女のあとを追う、もう間もなくのそのときを待ちながら。
 
 
魔法少女リリカルなのは 〜the lost encyclopedia〜
 
第二十話 白の復活
 
 
元来、はやては一対一戦闘向きのスタイルをしていない。
どちらかといえば後衛タイプ、優秀な前衛の能力という防壁に守られた上でのロングレンジからの固定砲台と自認しているし、戦場で自分に求められるその役割に納得してもいる。
大体、夜天の王が自らそうそう前に出て戦うようなことがあっては守護騎士システムの存在の意味がなくなってしまう。
騎士たちは前衛で自分を守り、自分は後方からの大威力砲撃で騎士たちを守る。
それは両者の性質上、当然のこと。
 
「フリジット!!」
ダガー!!』
 
だが、今は単独で戦わねばならない。
己が身へとユニゾンしたリインとともに、目の前の敵とマンツーマンで。
 
半透明の氷結刃を操り、一定の距離を維持しながらはやては倒すべき敵へと挑んでいく。
流石にクロスレンジは挑みはしない。はやて自身己の間合いをよくわかっているし、ヴィータがコントロールを奪われたときのこともある。
むやみに近接を仕掛けるべきではない。
 
「なんで……なんで!!夜天の書に細工なんてしたん!?そんなに先越されたんが悔しかったんか!?」
「……」
 
冷静であるというわけもなかった。
指揮官志望で常にその職に冷静さが求められるとは知っていても、言葉は止められない。
 
「なんとか言ったらどうなん!?言いたいこと、少しくらいはあるんやろ!?」
 
ディバインバスター。
魔導書の意志によって記憶を奪われた──結果的にそうなったに等しい、なのはの魔法。
 
乱射といっていいほどにめくら撃ちを繰り返す。
 
「……」
「!?」
 
と、バスターの魔力光に照らし出された魔導書の意志の口元が、なにか呟いているように見えた。
ぼそぼそと動く唇に、足元へと三角形の魔法陣が展開し。
 
警戒し身構えるはやて。そして。
 
「……ハッキング、完了」
 
直後、ユニゾンが解除される感覚をはやては味わった。
急激過ぎる強制的な融合からの分離は、あまりに人の肉体には重く。
黒く、意識が染まっていく。
 
*   *   *
 
はやてをたったひとりで立ち向かわせるのは危険だ。
位置の特定もままならぬままであっても、急ぎ合流する必要がある。
 
その思いが、フェイトを焦らす。苛立たせる。
治りかけの傷の痛み同様に、表情を歪ませる。
 
「そこを……通してください……っ!!」
「残念、お断り。通りたければ実力行使でお願い」
 
光の鎌……ハーケンの柄を足裏で受け止められ、後一歩のところで切っ先が届かない。
動きを止められた直後に待っているのは当然、足を出したことで自由なままの両腕の、二本の剣による攻勢だ。
 
「まだまだ病み上がりとはいえ……手加減はしてあげないけれど」
 
一旦下がって──ということもできなかった。
鎌を受け止めていた足首を返され、右足でぐいと柄に絡め引き寄せられ。
迫る刃二条に後退ではなく全身が必要であるとフェイトは悟った。
 
タイミング的には詠唱が間に合うのは三発が限度。だがこの密着状態ならば──……。
瞬時に黄金の魔力弾を騎士の胸元めがけ、生成する。
  
『Plasma Lancer』
「!!」
 
熟練者故に、身体が防御へと反応する。
その僅かな隙に、ハーケンを引き剥がし。
 
『Sonic Move&Blitz Action』
 
二刀をすり抜け、不十分とはいえ爆風に備えた距離をとり。
肩で大きく息をつく。
 
ヴィータ!!アルフ!!ザフィーラ!!そっちは!?」
「ダメだ!!この結界……アタシやザフィーラの攻撃、弾いちまう!!」
「古代ベルカの術式が、通用せんとは……っ」
「あたし一人じゃ、とてもじゃないが壊せる強度してないよこいつは!!」
 
一同の周囲には、逃れ出る者一切を許さぬ壁が空間を覆い尽くしていた。
封鎖領域──そう呼ばれる、頑健そのものの結界。
古代ベルカ式のそれが、フェイトたちの行く手を阻む。
 
「無駄よ、そうそう壊れないしヴォルケンリッターの攻撃は通用しない。なんたって、夜天の創造主たる我が主の作り出した結界なのだから」
「く……っ!!」
 
爆発は、碌な時間稼ぎにもならなかったらしい。
騎士の胸元に残ったのは、僅かばかりの汚れと焦げ目。
 
そして、更に騎士は先ほどまではいなかったはずの共を連れて、爆風を薙ぎ払った。
 
「!?」
 
無数に。いや、大量に。
 
それらは群を成して、レクサスの周囲を舞い飛ぶ。
 
「これも……主が遠隔で放ってくれた子たちね」
 
──『UnendlichPhoenix』。無限の不死鳥。女騎士の唇は、そう動いた。
 
同時に優雅そのものであった鳳凰たちの天かける舞は一転して、相対するフェイトたちに向けられた凶暴そのものの敵意へと、変化したのだった。
 
*   *   *
 
「なんてこった……これは……」
「……ああ。きみの猟犬たちにそっくりだ。発生の仕方も、術式も」
 
その光景には、ノイズ交じりのモニターで状況を見守る者たちも呻くように声を吐き出すより、他になく。
 
『このやろおっ!!結界破壊に集中もできやしねー!!』
 
前線の騎士たちの叫びが、耳を切り裂いていく。
 
『アコース査察官!!対策は……何かないんですかっ!?』
 
フェイトの問いにも、ただ。
 
「……仮に僕の能力と同類だとしたら……一体一体直接魔力をぶつけて対処療法的に消滅させるより他にない」
 
だが操っている根本を叩かない限りは、無限に現れる。
一網打尽にしようと、根絶やそうとも。次から、次へと途切れることなく。
 
「もちろん術者が力を使い果たしたとしても止まる。だけど相手の魔力を考えるにそれを待つのは上策じゃない」
 
はやての正確な位置が掴めない今は、なおのこと悠長に構えている余裕はない。
 
「ただ、僕の猟犬たちはあくまで潜入、偵察用だ。戦闘能力ももってはいるがそこまでじゃあない。けどこいつらは──……」
 
自身持つレアスキル故に、ヴェロッサは感じとっていた。
己が能力と、映像の中を舞い躍る巨鳥たちの間にある埋めがたい差異を。
 
「完全な戦闘用だ、と?」
 
それはクロノの問いに対する首肯という形で、明確に示されたのだった。
 
彼の言葉を受け、クロノは艦長席のシートから腰を上げる。
 
「クロノくん?前線に出る気かい?」
「いや。そうじゃない。そうじゃないが、ヴェロッサ。ここは君に任せる」
「?」
 
彼の目は、戦闘魔導師として前線に赴くそれではなく、フォワード陣の身を案じる指揮官としての変わらぬものだった。
……なにより彼が違うというのならば、違うのだろう。ヴェロッサはクロノの態度に対しそう結論付けた。
 
「フェイトたちが結界に対処できる余裕がないというなら、こちらでなんとかしてやるしかない。少々時間はかかるかもしれないが」
「……わかった。指揮権は一旦預かる」
「エイミィ!!第三管制室にあの結界の情報を回してくれ!!なるべくありったけ、逐次にだ!!」
「了解!!フェイトちゃんたち、今艦長が結界をなんとかするからもう少しだけ頑張って!!」
 
そして、サブモニターにはメッセージの受信を告げる電子音が軽く響き。
味方の識別信号を表す光点が急速に、いくつもの敵を伝えるそれらがフェイトたちと乱れ飛び交う戦場へと接近していた。
 
*   *   *
 
『Master,How about the state of new Barrier Jacket?』
 
待たせてしまった愛機はそのことについて一切何も言わず、ただ自分の行った作業に関する結果、ただそれだけを尋ねてきた。
だから彼女も、蒸し返さない。既に戦闘形態をとっている左手の内の桜色の機体に、迷うことなく頷いてみせる。
 
「……わたしの本分はやっぱり、あの人の言ったとおり射撃と砲撃だと思う」
 
間違っても接近戦ではない。それはあくまでも補助的なもので、それをメインとしてやっていくにはたりえない。
 
「でも、だからこそ」
 
だからこそ、ただ防御を固めて撃っているだけでは駄目なのだ。
近接が足りないからといって、付け焼刃的に対抗策などとして考え出したものではない。
 
自分には、仲間がいるのだ。
前で戦い、自分の支援を必要としてくれる仲間たちが。
そんな人たちのためにも、防御に頼りきっていてはもういけない。
常に、いつでも動くことが出来るよう。またその動きが間に合うよう。
そして、けっして自分のすべき仕事を絶やすことがないよう、自分は撃ち続けなくてはならないのだ。
仲間たちが戦い続けている間ずっと、安心して背中を任せていられるように。
 
だから。
 
「見えた。行くよ、レイジングハート
 
目標十二体、全てロック。
貫通力を強化した魔力弾を一斉に準備していく。
軌道制御も問題ない。
 
白いゆるやかな燕尾をはためかせ、彼女はそれら全てを同時に放っていった。
 
*   *   *
 
──接近戦主体のメンバーしかいないこの状況では、殲滅系の詠唱時間も碌にとれない。やはり各個撃破で一体ずつ潰していくしかないか。
 
巨鳥たちの嘴を避け、爪をかわし。
女騎士の刃を受け止めながら、フェイトがそう思っていた矢先だった。
 
各個に倒し続けて果たして突破にどれほど時間がかかるだろうかという数の鳳凰たちが、一斉に羽ばたき自分たちとの間に距離を開けた。
 
「!?」
 
そしてほぼ同時に、同じ方角へと向けて放たれる火球の群。
しかしそれらは放たれた方角よりやってきた何かによって容易く貫かれ、消え去り対応策の意味をなさない。
 
飛来したそれらは炎を貫いた勢いのままその残滓ごと、巨怪な火炎鳥に次々と命中し撃墜する。
 
炎のせいでよくは見えなかったが、恐らくは多重弾核射撃──だが、誰の?
単純な驚きよりも疑問が勝っていたおかげで、フェイトのほうが我に返るのに要した時間は短く済んだようだった。
 
僅かに、騎士の剣に籠もった力が弱まっているのに気付き振り払う。
状況を確認せねば。思い後ろに下がったフェイトの背中に、何か柔らかい感触が当たった。
 
「ごめん。お待たせ、フェイトちゃん」
 
それは、待ち望んだ友の声。
自分の名をそうやって優しく呼んでくれる、かけがえのない友の背中。
 
「なの、は?記憶が……」
 
背中を付き合わせた状態でも、彼女がこくりと頷いたのが判る。
はっきりと自分が何者であるのかを理解し思い出した彼女の声が、聞こえてくる。
 
高町なのは三等空尉、これよりアースラ・ハラオウン提督指揮下に入り、現場に復帰します!!」
 
(つづく)
 
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