なにそれ食えるの?
食えねーよorz
かなり追い詰められてますorz
食えるものなら食ってしまいたいくらいだorz
web拍手レスです。
>ユーノの活躍を!。
一応、裏方がメインになるとは思いますが。それなりに活躍はできるかと。
俺の中でユーノのポジションはバイプレーヤーとかそんな感じなんで。
noahだと井上。新日だとサムライさんとかそんなとこ(分かる人にしかわからんなこの例え
んで、she&me、第二十話です。第四十一話と四十二話を
ひとつにまとめています。次回で最終回ですね。
それでは、どうぞ。
魔法少女リリカルなのは〜She & Me〜
第二十話 夢のおわり
────ああ、本当に強くなった。この子も、フェイトも。
光の刃のその軌跡を見ながら、気を失い自分の膝の上にその身を預けているアルフの額を撫で。
リニスは心穏やかに教え子達の成長を喜んでいた。
もうあまり時間はない。
主が消えようとしている今、従者たる彼女の身もまたほどなくして消えることだろう。
(三回目、か。この世からいなくなるのはこれで。それはそれでちょっと珍しいかもしれませんね)
三回も生きることができたと考えるべきか、むしろ三回も死ぬ羽目になったと考えるべきか。
やがてやってくるであろう、終わりの時にリニスは想いを馳せる。
けれど消えたくないとか、残っていたいという思いはあまりない。
この三度目の生は短かったけれど、最後には満たされることができたから。
もちろん、心残りが全くないわけではない。
だが主の魂を救い、教え子達のその姿を目に焼き付け。
彼女たちの幸せを願いそれがきっと叶うことを確信して消えていくのだから。
リニス自身にとって、十分に満足できる終わり方だった。
一度目のときのような唐突さや二度目の時のような悔いを残した形とは違う、
自分にはもったいないくらいの結末にさえ思える。
(いきなさい、フェイト、アルフ。それに、アリシア。プレシアとは……私が共にいきます)
上空では紅い閃光が光っている。
自分の身体が消えていくことを実感しつつ。
リニスはその膝から、眠るアルフを静かに下ろし横たえたのだった。
* * *
金髪の少女達を行かせるため。彼女達の想いのつまった攻撃を、通すために。
一筋の光の柱が魔力の壁と激突し、砕いていく。
アルフの一撃によって僅かに傷ついていたそれは、光の噴流にわずかに耐えつつもその勢いを止めるには至らない。
全力全開、スターライトブレイカー。
なのは達に残された最後の切り札は、正に使うべき時に使われ、その切り札としての効果を遺憾なく発揮していた。
「行って!!フェイトちゃん、アリシアちゃん!!」
魔力が残っている必要はない。全て、この一撃で使ってしまってかまわない。
二人の攻撃を通すのが、今自分達に課された使命。
なのはは自分のすべき仕事を十分にわかっていた。
だから、ありったけの力を込めてスターライトブレイカーを撃つ。
(───なのは!!)
自分達のため、傷ついた身体で現れた少女。その力を、無駄にするわけにはいかない。
彼女の名を叫び、フェイトは空を翔る。
そして彼女に力を貸すのは無論、なのはだけではなく。
「「ストラグルバインドッ!!」」
「クロノ!!ユーノ!!」
二人の少年もまた、バリアー崩壊と同時に魔力の鎖によってプレシアの四肢を拘束する。
翠と、蒼。二色の鎖の輝きにアリシアは快哉をあげた。
「いけ!!フェイト!!アリシア!!」
「ここは……僕達が、絶対に!!動かさないから!!」
バリアーに損傷を与え、時間を稼ぐためプレシアへ向かっていったアルフ。
フェイト達の攻撃を届かせるためブレイカーを放つなのは。
標的を逃さぬよう、渾身の力でバインド維持するユーノとクロノ。
みんなが二人に、力を貸してくれていた。
砕けたバリアーが、飛び散っていく。
なのはは倒れ込みながらも、親友に向けカートリッジを満載したマガジンを投げる。
魔力を込めた右手が、なのはから受け取ったマガジンを砕き。
内部からカートリッジを取り出して、装填していく。
(アリシア、フェイト)
「!!」
そして、アルフをその膝に抱えたリニスが、見守っていた。全てを思い出した、フェイトの先生。
二人にとって大切な、もう一人の母親。
(プレシアを、解放してあげてください)
(───リニス……ごめん。私達、あなたを)
(お願いします。娘である、あなた達……二人の手で!!)
彼女だって、わかっているはずなのだ。
使い魔という存在である以上、その身は主と共にあり。
今のプレシアが消えれば、その魔力で生命を維持している彼女も共に、この世から消えてしまうということを。
それを分かった上で主のため、愛おしい者たちのために。
フェイト達にプレシアを討てと促している。その後に残るのが少女達との今生の別れであったとしても。
「……行くよ、フェイト」
その想いを。
(───うん。……バルディッシュ)
仲間達から受け取った力を。
『zamber form』
全てを、この一撃に込めて。
(───さよなら、母さん……)
「安らかに……眠って……!!」
これで、二度目になるのだ。アリシアも、フェイトも。
母との別れは辛くて、わずかでも躊躇えば、鎌の刃は止まってしまいそうだったけれど。
二人だから、大丈夫。二人だから、耐えられる。二人だから、躊躇わない。
みんなの後押しを受けた、フェイトとアリシアの二人だから。
フェイトが立ち止まりそうになればアリシアがその手を動かし。
アリシアが躊躇すればフェイトがその身を疾駆させる。
母との別れの痛みを、苦しさを分け合おう。
だって二人は世界でたった二人だけの「同じ存在」なんだから。
「うああああああぁぁっっっ!!!!」
想いを断ち切るがごとく発せられた気合の叫びとともに、光刃が振り下ろされる。
刃は正確に、プレシアの身体を捕らえていた。
本当の母、人間ではなくても、人を斬るという行為に対する生理的な嫌悪感が、全身を巡っていく。
「!!」
だが、切り裂かれ倒れ行く母の表情は他でもない「これでいい」、さもそう言いたげに微笑んでいて。
(───母さん!?)
震える唇が、ほんの少しだけ動いた。
「元気、で」
唇が紡ぐ微かな声は確かにそう発音していた。
そして声の出なくなったその口の動きは、「アリシア」と。そして。
…………そして、「フェイト」と。
あまりに短い時間。二人に対して笑っていた。
慈愛に満ちた、心からの笑顔で。
「お母さん!!」
母の声、表情にとっさに手を伸ばした二人の視界は、しかしながら見えなくなっていく。
力を使い果たし彼女たちの状況を見守るなのは達もまた同様に二人を見失う。
鮮血にかわり噴出する紅の魔力の光によって。時の庭園、そのものが包まれていき────……。
そして、その広がっていく光の中心で。
母に向かい手を伸ばしていたはずの二人は、不思議な夢をみていた。
夢か現実かはわからないが、夢見心地であったことに変りはない。
つまりは、現実感に乏しいということ。
なぜならフェイトは、なんだか身体が軽くなっていくような、何かが抜け出ていくような感覚を覚え。
一方でアリシアは、何かに吸い込まれていくような奇妙な思いを抱いていたのだから。
(フェイ、ト……?)
(アリ……シア……)
彼女達は、互いの視線の先に。
もう一人の自分が、己と同じように。
紅き閃光───それは先ほどまで母が行使していたものと違い、柔らかな赤であったが───、
に包まれ、佇んでいるような錯覚を感じていた。
おかしい。
自分達は、「二人で一人」のはず。
だとすれば目の前に居るのは、一体誰なのだろう。
そこにいるのが、誰かはわからなかったけれど。
薄れゆく意識と視界の中で、彼女達は確かに、
自分を抱きしめるだれかと、自分の腕の中に包まれる誰かのぬくもりを感じていた。
そしてなんだかそれは自分にとって、かけがえのない存在であるような気がした。
* * *
「『以上が本事件の、即ち「第二次PT事件」の概要である』、っと。ま、こんなとこかな」
きりのいいところまで書き終えるとエイミィは、キーボード上を走らせていた両手を休め、息をついた。
「……まぁ、フェイトちゃんには、また辛い事件だったんだけどね……」
未だ艦内の医務室で眠り続けている金髪の少女。その顔が、嫌でも頭に浮かんでくる。
プレシア・テスタロッサに、リニス。
彼女にとっても妹のような存在の少女は再び、大切な人を失った。
「……、空だったか、残念」
飲み干してしまおうと手を伸ばした机上のマグカップは、既に空っぽだった。
それがなんだか、改めてフェイトの大切なものを失った心を暗に示しているようで。
「大丈夫、だよね」
あの子は大切なものをまだ、持っている。
リンディ艦長にしろ、クロノにしろ。失った二人の代わりというわけではないけれど、彼女は空っぽではない。
それに。
「エイミィさん、お茶のおかわり、持ってきました」
丁度今部屋に入ってきた、「この子」だっているんだから。
湯気の昇る新しいカップを受け取りながらエイミィは、少女へと微笑みかけた。
彼女がいつも、フェイトに対してそうしているように、いつも通りの笑顔を向ける。
「さん付けなんてしなくていいよー、エイミィで結構結構」
「は、はい」
「そう緊張しなさんなー……お?」
手元の内線が、コールを告げていた。発信先は─────彼女の眠る、医務室だった。
* * *
「ん……」
うっすらと目を開けた先に映るのは、安堵したような表情の義母と、心配げに覗き込む己が使い魔。
そして部屋の中を照らす、天井の明かりの白さ。
「リンディ……提督?アル、フ……?」
「フェイト」
「よかった……目を覚ましてくれて」
───自分は一体、何をしていたのだろう。どうして二人はこんな表情でいるのだろう。
薄ぼんやりとした頭でまず考えたのは、そんな他愛もない疑問。
だがその答えがすぐに出せるほど、彼女の意識はまだはっきりしてはいない。
「ここ、アース、ラ?私、確か……」
「まだ、寝てなさい。起きてはダメよ」
あまり焦点が合っているとは言い難い目で周囲を見回し、起き上がろうとするフェイトを、リンディが押しとどめる。
「事件は無事解決したわ。あなたのおかげよ、フェイト。だから、ゆっくり休んで」
「……はい、母さん……。でも、お兄ちゃんや、なのは達は?プレシア母さんは、リニスは?」
いくらかしっかりしだした意識は、それでもまだ時折掠れそうになるけれど。
ベッドに全体重を預けている間はなんとか話せそうだった。
矢継ぎ早の質問が、口をついて出る。
「ここにいるよ、僕は」
義妹の問いに答えるように、リンディの横からクロノが顔を見せる。
その頭には包帯が巻かれていて、感じる魔力もいつもより遥かに少なかったけれど。
そこにいるのはクロノに間違いなかった。
「お兄ちゃん」
「なのはもユーノも無事だ。だから心配するな」
「本当、に……?」
「ああ。だが、リニスとプレシアは、その」
言葉を濁すクロノの顔には、まだ回復しきっていない妹に現実をつきつけることへの躊躇が浮かび。
そのことを察したフェイトもまた、安心しかけていた表情を若干曇らせる。
「そう……」
無言で首を振って、クロノは俯いた。
わかってはいた。母を斬ったのは、この手なのだから。その感触は今でも残っている。
それでもあれは夢だったと、二人が無事であると願いたいのは、彼女の「娘」としての性なのだろうか。
「フェイト、だけど」
「……え?」
それまでだまっていたアルフが主の思いを察し、口を開く。
「リニス、笑ってた。ほとんど見えなかったけど、そこだけははっきり見たんだ。消える前に笑ってた、リニス」
「リニスが……?」
「ああ、そうさ。だからフェイトは……あたし達はリニス達を救ったんだ。気に病む必要なんてないよ」
「アルフ……」
あの時、魔力光の中倒れゆく母も、確かに笑っていた。
それは本当に、自分達が正しかったからなのだろうか。母があの結末に満足していたからなのだろうか。
「そう、なのかな……」
自分のことを思い必死に励まそうとするアルフの心は嬉しかったし、アルフの言うように思いたかったけれど。
生来の考えすぎてしまう性格がそれを邪魔していた。疑念がどうしても残る。
「きっと、そうだよ」
リンディ達の背後から聞こえてきたのは、聞き間違いでなければ友の声。
なんでそんなところから?と顔を向けてみると、そこにはベッドがあり(医務室なのだからあって当然なのだが)。
その上に横になったなのはが、いつもの笑顔を向けてきていた。
そしてその側らには、フェレット姿のユーノもいる。
「なのは」
「自信を持って」
「でも」
「プレシアさんとリニスさんを、信じてみようよ」
たった一つの目的と、主の願い。細かい点は違えど、一点の強い信念に向かって殉じていった二人のことを。
「ね?」
「……うん、ありがとう、なのは」
「ううん、フェイトちゃんにはやっぱり、笑ってて欲しいもん。ね、アルフさん」
「ああ」
そしてなのはの身体を気遣うフェイトに、彼女は魔力が完全に底をついたこと、
操られていた後遺症か体がまだあまり自由に動かせないことを苦笑しながら告げる。
しばらくは二人並んでおやすみなさいだね。そう言って笑うなのはに、フェイトも安堵と共に微笑みを返す。
なのはから言われると、この動けない状態もけっして悪くはないような気がしてくるから不思議だ。
きっと沈みそうになっていたフェイトを元気付けようとしてくれているのだろう。
その友としての心遣いが、嬉しかった。
笑顔を見せだしたフェイトに安心したのか、
みんなの分の飲み物を取ってくるというリンディとクロノは部屋を出てゆき、
アルフは緊張の糸が切れたようにイスへと座り込む。
部屋を、穏やかな空気が包んでいた。
(……君はどう?アリシア。どこか変なところとかない?大丈夫?)
だから。
だからこそ、何の気なしに彼女は聞いてみた。なのはとのとりとめもない話の中、ふと。
己がうちにいるはずの、もう一人の自分へと。
自分が無事である以上彼女も無事であることはわかっていたけれど、ただ何の気はなしに。
すぐに答えが返ってくるだろう、そう信じた上で。
自分となのはが話し込んでいると、参加しづらいのかもしれないとも思っていた。
ところが。
(……アリシア?)
返ってくるべき返事が、なかった。
聞えてくるはずの少女の声が、聞えなかった。
(アリシアってば)
「フェイトちゃん?」
(アリシア!!)
何度呼びかけても、居るべきはずのもう一人の自分から、応答はない。
(どう……して……?)
一緒だって言ったのに。二人でひとつだって、言ったのに。どうして。
母さん達と共に行ってしまったというのか。
フェイトの身体の中に、既にアリシアという存在はいなかった。
どこかにいってしまったかのように、消え失せていた。
今フェイトの身体の中にある意識は、フェイトただ一人だけ。そう結論付けざるを得なかった。
「そん、な?」
「フェイトちゃん?どうしたの?」
「フェイト?」
一気に、血の気が引いていくのが分かった。
フェイトのその様子に、部屋に残った一同も心配そうに声をかけてくる。
(なんで?どうして?アリシア……なんで……)
半ばパニックを起こしつつあったフェイトに、医務室へと近づいてくる駆け足の足音に気付く余裕はない。
「フェイトちゃん?」
「あ……アリシアが……アリシアが、私の中から」
消えてしまった。そう思ったのだけれど。
「フェイトッ!!!」
彼女のショックを打ち消すかのように、さほど広くはない部屋に、女の子の声が響き渡る。
「!?」
自動ドアが開くと同時に慌しく駆け込んできた影は。
入ってくるなり、フェイトの名を叫んだその蒼い瞳の少女は。
そして今自分を抱え起こし抱きしめている少女は。
その金色の髪こそ結ってはいなかったけれど、フェイトと全く同じ顔をしていた。
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