なのは公式、更新されましたね。

 
 
・・・あれ
 
 
ユーノは!?(滝汗
 
高橋ボイスはキャロに継承ですか。
クロノと会話してくんねーかなぁ。
むしろ二人で竜虎合体したロボt(ry
 
なのは世界で中原ボイスがくるとはなぁ。
 
 
 
さてさて。
 
she&me加筆版、いよいよ最終回です。
これからも時折she&meのアフター話は書いてくつもりですが。
 
スレのほうでも以前そのつもりで投下しようと思ってた話がいくつかあったんですが、
一話完結のものを前作読んでること前提で書くと、初見の人にやさしくないと思いまして。
過去作品の流れてっちゃう掲示板だと、どうしてもね。
てことで一話投下しただけで見送ってたことがあったり。
まあここ見にきてくれてる人たちなら、大丈夫だろうということで。
そのうちあげていきます。
 
それでは最終回、どうぞ。あとがきと拍手レスは明日にでも。
 
↓↓↓↓
 
 
 
魔法少女リリカルなのは〜She & Me〜
 
最終話 innocent starter
 
 
診察室から出てきたのは、二つの人影。
大と小、丁度二人は相似拡大、相似縮小したように、瓜二つの姿をしている。
 
「あーあ……明日もまた検査か。いい加減うんざり」
 
フェイトの手から上着を受け取りながら、少女は億劫そうに愚痴をこぼした。
 
「仕方ないよ、こればっかりは。ちゃんと診てもらわないと」
「そりゃわかってるけど。でも別にどこも身体におかしいところないんだし、やんなくたっていいじゃない」
 
なだめようと思い言った言葉だったが、彼女にとっては藪蛇であったようである。
口を尖らせながらぶつぶつと文句をいう姿は外見どおりの幼い少女でしかない。
困ったように、フェイトは肩を竦めた。
 
小さな少女と、その後ろを荷物を持ってついていくフェイトのやりとりは、
だれがどう見てもただの仲のいい姉妹の光景にしか見えない。
そっくりな外見も手伝って、我侭な妹をなだめすかす姉という表現がぴったりだった。
 
本当は、全くの逆なのだけれど。
 
「でもまぁ、今日はフェイトの友達と会えるんだし。それはすごく楽しみかな」
 
小さな身体の姉……アリシアはそう言うと、自分よりずっと背の高い妹、フェイトに向かって笑った。
 
*   *   *
 
フェイトが目覚めてから、数日。
アリシアの「帰ってきた」あの日からは、もう一週間にもなろうとしている。
 
あの日、紅き閃光の晴れた、その中心部で。
機能を停止したロストロギアを握り倒れるフェイトの腕の中に、彼女は眠っていた。
 
生前の彼女の姿、そのまま───……5〜6歳の、幼い子供の姿のままに。
 
何故なのかはわからない。
フェイトより先に意識を取り戻した彼女も、当初のうちはどうして自分が肉体を取り戻しているのか、理解できずにいた。
 
 
「奇跡、っていうやつなのかな」
 
なのは達との待ち合わせまではまだしばらく時間がある。
本局内の食堂で一緒にお茶を飲みながら、アリシアは自分の意見を口にする。
 
今のところ現地を調べている調査員の報告からも、アリシアの受けている精密検査からも、
彼女の「戻ってくる」ことのできた理由を示す手がかりは発見されていない。
 
機能停止の瞬間に、何らかのきっかけでロストロギアがプレシアの願いを正しく叶えた。
ひとまず言えることはそれだけ。そのきっかけがなにかは、まだよくわからない。
とにかくなんらかの要因が、ロストロギアを正常に起動させたのではないか。
 
医師たちの言う仮説は、そんなひどく曖昧なものであり。
 
要は何らかの偶然が重なり合った結果生まれた、
奇跡のようなものだと言われているようなものであった。
 
「きっかけ、か」
 
そう言われて二人が思い浮かべるのは、最期にプレシアが見せた、彼女達を愛おしむ満足の微笑み。
 
あの時、母は───プレシアは自分の意識を、ロストロギアに託した自らの思いを思い出したのではないだろうか。
そして、自分と同じ姿を持った虚像のその表情に、残された精一杯の力で発露させたのではないか。
 
だとしたら、その「きっかけ」を作ってくれたのは紛れもなく母自身であった。
 
「私は、奇跡だなんて思わないよ」
アリシア
「そんな言葉じゃ、まるでこの身体がたまたまできた偶然の産物みたいじゃない。そんなの嫌だ」
 
聞こえだけのいい、他力本願な努力を辞めた人間のすがるような短い言葉で表すのなんて、絶対に。
そんな短い空虚な言葉で、纏めてしまってほしくない。
 
「お母さんが。私達がこうやって面と向かって話せるように一生懸命がんばって、
 命まで懸けて叶えてくれたことを、そんな風に安っぽく言われたくないよ」
「……うん」
「だから私は信じてる。この身体は勝ち取ったものなんだって。お母さんと、フェイトと、私の三人で」
 
クロノ達管理局の面々やなのは達といった友人。
それに消えていったリニスに、彼女の最期を看取ったアルフ。
 
みんなに支えられて三人でようやく取り戻した身体なのだ、と。
アリシアも、フェイトも、そう信じたかった。
 
「でも、楽しみだな。アリサやすずかの顔は、何度も見てるけど話すのは初めてだし」
 
だからこそこうやって彼女は今、今までできなかったこともできるのだから。
この身体を、勝ち取ることができたから。
 
フェイトと向かい合ってしゃべったり、笑ったり。
ドリンクサーバーから淹れた、薄くて水っぽい、大して風味もない紅茶を食堂に座って一緒に飲んだり。
会ったことのない友への期待に胸を膨らますことだってできるのだ。
 
「はやても会えればいいんだけど……まだやっぱり色々忙しいみたい」
「そっか。そっちはまあ今度のお楽しみかな」
「……ねえ、アリシア
「ん?」
 
楽しそうに笑うアリシアへと、フェイトは真剣な眼差しを向ける。
幼い身体に自分と同じ年齢の情緒を持つもう一人の彼女は、不思議そうに首を傾げてみせる。
 
アリシアはこれから、どうする?どうしたい?今から、じゃなくて。これから先、って意味で」
 
聞きたかったことだった。彼女が───いや、姉が。これから、どうしていくのか。
 
幸い、フェイトの時とは違い、アリシアは事件の被害者として保護されただけの、ただの民間人だ。
民間人故に施設への立ち入り制限などはあるが、基本的に行動に対して拘束される点はない。
しかもアリシアの場合、嘱託の家族ということでかなりその制限も緩和されている。
 
アリシアに望みがあるというのなら、フェイトは少しでも力になってやりたいと、そう思う。
今まで、なにもしてあげられなかった分、できる限り。
 
「そうだね……。どうしよっかな」
「その、よかったらアリシアも私といっしょに」
「フェイト」
 
まだそんなことを考えるのは無理かもしれないけど、一緒にリンディ提督の。
アリシアはフェイトの言葉をある程度予測していたのか、微笑みながら皆まで言わせることはない。
 
そんなこと、言われるまでもない。
 
「私はずっと、フェイトと一緒だよ。身体が別々になっても、ずっと」
アリシア
「だって、私はフェイトの、お姉ちゃんだから」
「……うん……」
 
小さな「姉」の言葉に、小さく頷くフェイト。
 
「フェイトと同じものをみて。同じ世界で生きて。一緒に歩いていきたい。これからは、私自身の足で」
 
今までできなかったことだから、やってみたいんだ。
アリシアは笑顔で、その小さな右手を差し出す。
 
「だからフェイトも、一緒にいこう?」
「え?」
「約束」
 
約束の、指きり。フェイトが眠っている間になのはが教えてくれた、地球にあるという約束の儀式。
なのはは、月並みな言葉だけどと前置きした上で、がんばれと励ましてくれた。
彼女は妹の手をとり、お互いの小指同士を絡めあわせる。
 
「知ってるよね?」
「なのはから前、教わったから」
「私も。じゃあ大丈夫だね。……私達はずっと一緒だよ、って。約束しよう?」
「……うん」
 
二人の少女の指はどちらも白くて細く、儚いけれど。
その指が紡いだ絆は、約束は、どんなものよりも強固で、何者によっても壊すことはできない。壊させはしない。
フェイトと、アリシア。彼女達二人の歩いていく方向は、きっと、いつまでも一緒。
 
この指が離れても、二人はきっと、離れない。
 
「それでどうなの?なのはとユーノって」
「……うん、ユーノは気になってるみたいなんだけど、なのはが……」
「天性の鈍さ、と。前途多難?」
「……だと思う」
 
友達の、色恋沙汰とか。
 
「え?アリシアも学校に?」
「そうよ、リンディ提と……おっと、リンディ「お母さん」が手続きしてくれて。同じクラスに」
「……その身長で?」
「あ、ひどーい。すぐ追い越してやるんだから」
 
学校のこととか。
 
「そういうフェイトはどうなのよ?クロノのこと、ほんとに兄としか思ってないの?」
「う……そ、そうだよ。お兄ちゃんは、お兄ちゃんだもん」
「ほんとー?んじゃ私がもらっちゃおっかなー、クロノお兄ちゃん」
「え!?そ、それはダメ、絶対!!それにエイミィだって!!」
「はぁ。わかったわかった。ほんと、わかりやすいんだから」
 
大切な人のこととか、色々。ほとんどが他愛もない会話であっても。
 
笑いあう二人には、本当にたくさん、話すことがあった。
そしてそれができる時間も、これからたくさんある。
とりあう手も、笑いあう口も、共に歩いていく足も、彼女達は手に入れたのだ。
 
───彼女と、私。私と、彼女。
 
二人に今までできなかったこと、これからできること。それはきっと、数え切れない。
 
同じ顔を持つ、二人の少女。
彼女達のこれからは、ようやくはじまったばかりなのだから。
 
 
─完─
 
 
 
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