ドラゴン組陥落のピンチですよ(滝汗

現在中級中盤のランクでドラゴン組という非常に場違い感たっぷりな
状態なんですが。
平均が今十位ジャスト。次でヘタな順位とったら落ちる・・・。
 
連想クイズで声優の篠原恵美さんを当てる問題で、
他の人々は全員四番目のセーラージュピターの名前を見て押したのに
自分だけマリみての蓉子様で押したあたりもう俺はダメだと思いましたorz
 
 
さあ、そんなダメ人間の書くss、行ってみましょうか。
なのユー話「nocturne」、第四話でございます。
 
でわ、どうぞ。
 
↓↓↓↓
 
 
 
 
 
 
 
魔法少女リリカルなのはStrikers −nocturne−
 
第四話 foolish
 
『──そう、受けてくれるのね。話を持ち込んだ側としても、助かるわ』
「いえ、よろしくお願いします」
 
海鳴にある実家の、真夜中のなのはの自室。
伸びてしまった家族との話し合いのため、なのはは故郷の地へと一時戻っていた。

けれど長引きはしなかったとはいえ家族との話し合いの末の連絡だから、随分と遅い時間となってしまった。
電話の向こうとは時差がある分、あちらにかかる迷惑が少なかったのが幸いだが。
夜遅くの電話(向こう側としては通信)というものは、よほど親しくない相手でない限り気が引ける。
 
それでも、なるべくはやく伝えてしまいたかったのだ。
自分の出した結論を、恩師へと。
その結論から、自分自身が逃げられないようにするために。
 
『じゃあ、早いうちに打ち合わせをしたいのだけれど……あなたの親御さんと、上司の方も交えて』
「はい。じゃあ明日にでも有休の申請を……」
 
なのはは、急いていた。焦っていたといってもいい。
 
夕方、あんな光景を見てしまった──親友と幼馴染みの繋がりを知ってしまったと思い込んだことが、その原因にあった。
 
だが、なぜそれが原因となり得るのだろう?
 
焦る少女はそこまで考えが至らない。
ただ、焦燥と。やり場のない苛立ちとが、彼女をひたすらに衝き動かしていた。
 
『大丈夫?そんなに急がなくてもいいのよ?先方の打診では二〜三週間以内でどうか、とのことだし』
「いいんです、別にはやくて困るなんてこともありませんから」
 
ユーノとフェイトの抱き合う姿が、頭に鮮明に残り消えてくれない。
 
こうして電話していても、目を閉じても。
家族たちと話し合っている間も、そうだった。
 
それを見せられる度、心が穏やかでなくなっていく。
胸が不思議なほど乱れ、熱くなっていくのがわかる。
 
なんだか、嫌な感じだと思った。何が嫌なのかは自分にもわからない。
 
『……わかったわ。それじゃあ有休の申請をしたらまた連絡をちょうだい』
「はい」
 
──これでいいのだ。これでもう、後戻りはできない。
 
電話を切ったなのはは、姿見の鏡に映る自分に向かって頷いた。
後悔なんて、するものか。
 
絶対に、絶対。
 
*   *   *
 
本来なのはが座るべきデスクに、その主の姿はなかった。
 
『は!?お見合いってちょっとそれ、ほんとなの!?ユーノはどうしたのよ!?』
 
きれいに整頓された机を眺めながらフェイトがやっていることは、ひとつ。
海鳴に住む、親友達への電話。
 
「……うん。今朝、急に受けるって言い出して……」
『何考えてんのよ、あの子……。で、それでユーノはなんて?』
 
アリサの甲高い高音が、耳に突き刺さる。
落ち着いてとアリサをなだめるすずかの声もまた、電話機によって拾われる。
 
「ユーノのほうはまだ。はやてが今、行ってるけど」
 
すずかと共に大学に進学した彼女に、真っ先にフェイトは相談していた。
人を引っ張っていくバイタリティのある彼女の意見を求めて。
 
『あの子、どうするつもりなのよ……ユーノのこと……』
 
ただし、彼女のほうからも信じられないといった様子が電話越しに伝わってくる。
無理もない。直接聞いたフェイト自身、未だに夢でも見ているような感覚なのだから。
 
それくらい、なのはとユーノのことは友人たちの間では公然のこととなっていたのだ。
今は進展がなくとも、いつか収まるべき形として落ち着くものだと、皆信じていた。
 
なのに。
彼女の決意は、あまりに皆にとって、寝耳に水の選択肢であったのだ。
 
(──どうして……?なのは……)
 
今朝の彼女は、ここ数日の悩み、迷っている様子からは一変していた。
 
良く言えば、迷いがなくなった。
悪く言えば────よそよそしく、意固地になっている気がした。
 
(『別にやるだけなら、やっていけないこともないから』……、か)
 
彼女の説明は、一生を左右するかもしれないことを決めた理由としては些か弱いように思う。
なにより、詰め寄ったフェイトに対して向けた目と態度が解せない。
 
(本当は、なにか別の)
 
遠慮するような、一歩引いたところから見る目。
一瞬だけ向けられたそれはすぐ逸らされたものの、フェイトの心に強く印象として残っている。
 
憶えている限り、自分になのはからあんな目を向けられたことはない。
あのような彼女の冷えきった目は、記憶にない。
 
そして何より、信じられないことに彼女は、自分の手を振りほどいた。
触ってくれるな、と言わんばかりに。
その時の感触はまだ、払われた右手に残っている。
 
(別の理由があるんだ、きっと)
 
でも、だとしたら一体なぜ。どんな理由があって、彼女はお見合いを受ける気になったのだろう。
あれだけ悩んでいたことを、いとも簡単に、曖昧極まりない理由まででっち上げて。
 
『フェイト?』
「あ、ごめん。それで──……」
 
その準備やら打ち合わせやらで早々に早退した彼女のいない今は、なんにせよわからないことだ。
 
自分が彼女の決意の一端を担ってしまったということに、フェイトは気付かない。
なのはの態度が変わった、お見合いを受けるという意志を示したことにばかり意識が行ってしまって、昨日の出来事を見られていたなどということは露ほども思いつかなかった。
 
*   *   *
 
彼にだって、それは思いもよらない出来事であったはずなのに。
 
「ふうん。そう」
 
返ってきた反応はあまりにそっけなく、無味乾燥としていた。
 
「なのはがお見合い。いいじゃない、別に」
 
あるいは既に、聞き及んでいたか。
何の感慨もない声を投げつける彼は、一切の作業の手を止めようとはしなかった。
指先が机上のパネル、キーボードを走り、文章の羅列を紡ぎ出していく。
 
机の周りには資料と思しきプリンタ用紙や図表の印刷された紙が散乱し、
司書長室は実に混沌とした様相を晒け出している。
学会の準備かなにかだろうか。壁の柱に体重を預け、はやてはそんな風に考える。
 
「──それで?」
 
彼女の質問に対しユーノの要する時間は、長かった。
沈黙の続く間、部屋には彼の演奏する、キーボード操作という名のBGMだけが木霊する。
 
「……それでって、なにがさ」
 
案の定というべきか。
はやての曖昧な質問に、彼は逆に訊き返してくる。
おそらくは、彼女の言わんとしていることをわかった上で。
意図的に、とぼけているのだ。
 
「このままでええんかってこと。なのはちゃんがお見合いしてもうて」
 
だから今度は逃れられないよう、はっきりと口にする。
彼の意志を、この場で問い質すために。
 
今度は返事が返ってくるまで、きっかり先程の倍の秒数を要した。
 
「……また、それか」
「え?」
 
溜息交じりの声は、どこかうんざりした響きを含み。
 
「昨日のフェイトといい、はやても同じこと訊くんだね。ヒマなの?レリック事件からこっち、機動六課って」
 
その内容は、皮肉。
 
「……わたしが聞きたいんは皮肉やなくて、質問の答えなんやけど?」
 
少し、こちらも声に力が入ってしまう。
彼らのためにおせっかいを焼いている自覚がある以上、そう邪険に扱われてはむっとするものだ。
 
もっとも、その程度で動じたりする相手ではないことも重々承知である。
 
「質問が同じなら、答えも一緒。さっきも言ったでしょ?いいじゃない、って。
 僕がどうこう口出しようなことじゃないよ。それにその権利もない」
 
さばさばした口調で、無感動に彼は言った。
 
「……本当に?そう思っとるんか?」
「もちろん。大体、なのはのことに僕があれこれ言ったって意味ないだろ」
 
確かに言っていることは正論で、間違ってはいないと思う。
けれどその言い方は、どこか拗ねているようで。
 
はやてには、突き放した言い方に感じられてしまう。
 
「なあ、ユーノくん」
 
だから、直球を投げてみた。
オブラートにも包まず、回りくどい言い方もせず。
単刀直入に、思ったことを彼にぶつけた。
 
「……怒っとるんか?なのはちゃんに」
 
そしてどうやらそれが、ど真ん中に入ってしまったらしい。
 
青年の肩が、ぴくりと反応し。
キーボードを打つ手が止まった。
 
応じる声の質も、搾り出すような険しさを増していた。
 
「……わけ、わかんないよ。どうして僕が、なのはに怒らなきゃならないのさ」
 
平静を取り繕おうとしているのが伝わってくる。
彼の口調は本人の自覚はどうあれ、若干たどたどしくなっていた。
 
「決めるのはなのはじゃないか。どうして僕が怒る必要がある」
 
それで、彼の答えがなんとなく、わかってしまった。
彼がなのはを、どう思っているのか。今回の件にどのような思いを抱いているのかを。
 
きっと彼自身気付いていないであろうその思いを、はやては理解してしまった。
 
「……さよか」
 
吐息交じりの声を返すと、ユーノはそれを同意と捉えたのか、作業を再開しはじめた。
 
そのスピードは先程までに比べ、格段に遅くなっている。
 
「二週間後」
「?」
「今のところ、その方向で調整を進めとる」
 
彼の意志がわかったというだけでも、御の字というところか。
柱から体重を両足に戻し、扉に手をかけて呟く。
 
彼が聞き取れるかどうかというほどの、わずかな声量で。
 
「私も近々、なのはちゃんも明日から二〜三日、打ち合わせのために有休取るけど。あと二週間、そう思ってくれてええ」
 
それが、彼と彼女の間のタイムリミット。
 
直属の上司として同席を求められた彼女の持ち得る、ユーノに対して現時点で明かせる最大のカードだった。
 
「……そう。でも残念、ちょうどその日あたりはミッド中心部で学会だ」
 
大して残念でもなさそうに、彼は言った。
別にそれならそれでもいい。
今はまだ、そう思っていても。
 
「決まったら、場所くらい教えるわ」
「そりゃ、どうも」
 
でも二週間後という時間は、否応なしに過ぎ去っていく。
彼にとっても、彼女にとっても平等な時間として、等しく流れていくのだ。
 
そうなったとき。
二週間という日にちが過ぎたとき、二人がどうなっているか。
 
「……二週間て、けっこう短いもんやで」
 
言い置いて、はやては司書長室を出た。
後ろ手に閉じたドアの隙間からは、キーボードのタイピング音は聞えなくなっていた。
 
「ったく。世話焼けるわ、ほんま」
 
関係ない、だなんて。
 
気にしている、動揺しているのが見え見えだというのに。
本人が自覚していない──いや、自覚するのを拒絶しているというのが、一番性質が悪い。
 
鈍感と、気付かないふりは違う。
 
「別に、ずっと鈍感なままでおらないけんってことはないんやで」
 
呟きつつ、昼寝中のリインが入っているペンダントを指で軽く弾き、揺らす。
 
「リイン、起きり」
「んぁー?リインはリインですよー……?ないんっていうのはえいごで9って意味でー……」
 
眠い目を擦るリインは、寝惚けていた。
まだ閉じたままの目で、はやての肩にちょこんと座る。
 
「さ、午後のお仕事や。行くで、リイン」
「ふあいー……任せるのですー……」
 
こてん、とはやての頬に頭を預けたリインは、言いながら半分寝ていた。
彼女を起こさぬよう注意して、ゆっくりとした歩調で、はやてはその場をあとにした。
 
そして、必然か偶然か。
彼女が数日後ユーノに知らせたその会場は、当日彼が出席する学会の会場と、眼と鼻の先。
 
作為すら疑われるほど、間近い距離に位置していた。
 
(つづく)
 
 
− − − −
 
押してやってくれると嬉しいです。つweb拍手