ダイガード。

 
個人的にスパロボ参戦希望作品ナンバーワンです。
ほぼ同時期のビッグオーは参戦してるのにorz
一応地上波なんだよ?ダイガード。
久々にビデオ借りてきたらやっぱおもしろいのなんの。
 
城田さんかこいいよ城田さん。
ノットパニッシャーはかなり燃える兵器でございます。
数話目くらいまで期待して見てた(っていうかけっこう楽しんでみてた)
ダンクーガノヴァがあまりにアレな惨状なんでいやされますわー。
や、ダンクーガもここまできたら最後までつきあいますが。
 
 
さてさて、連休中に連載物どっちも更新という公言通り、なのユー話更新します。
 
風呂敷たたみ作業がようやくエンジンかかってきたかな?ってとこです。
 
↓↓↓↓
 
 
 
魔法少女リリカルなのはStrikers −nocturne−
 
第十一話 やりきれない想いが雨を降らせても
 
 
嘘だ。
 
無限書庫での真実を聞いた友の顔は、他の可能性を疑うまでもなくそう告げていた。
ああ、やっぱり。
フェイトは彼女の見せたその色から、自分の危惧していた事が現実のものであったことを悟る。
 
それは狼狽と一般に呼ばれる性質の感情。
またそして、フェイトには彼女の心にその感情が生まれた意味と理由が、痛いほどにわかる。
 
誰よりも側で、なのはを。
なのはと彼のことを見、聞き。接してきた親友なのだから、当然だ。
 
「嘘なんて、吐くわけないじゃない」
 
だから、自分が言ってやらないと。
彼女にその想いを、気付かせてやらないと。
 
「あのね、なのは」
 
フェイトは、なのはの手をとった。
 
──あたたかい。昔からこの子は何も変わっていない、本当に。
 
掌のこのぬくもりも、爛漫なその心も。
身体は成長しても、その純粋さは今もなお、変わっていない。
 
それは、なのはの美点だ。
彼女が彼女であるが故の長所であるといっていい。
けれど、今このときだけは余計な代物だ。
 
今は、変化を必要としている。
なのはも、ユーノも。
 
「ユーノ以上になのはのことを、心配したり。大切に想ってくれてた人を、私は知らない。……それに」
 
ほんの少しでも、自分にその手伝いができればいい。
二人が自分達のあるべき場所に、気付くことができるように。
 
抱き寄せた耳元に、囁くように言った。
 
「なのは以上に彼を。ユーノのことを想ってる人も、私は知らないよ」
「え?」
 
大好きな、友達だから。
こんなぎこちない笑顔ではなく、心から笑っていてほしい。
彼女の、一番大切な人と一緒に。
 
「フェイト……ちゃん?え?」
「慌てなくていい。けど、しっかりそのことを考えて、頭に入れておいて」
 
*   *   *
 
「……ふあぁ」
 
可愛らしい欠伸が、デスクの並ぶオフィスへと響いた。
 
詰めているのは、夜勤の四人。
ヴィータにスバルのスターズ二名に、エリオとキャロのライトニング二名である。
 
欠伸の主以外の三人が、ほぼ同時に顔を上げて聞こえてきた方向を向く。
 
「大丈夫?」
「……ん、あ、ふぁい……」
 
スバルに気遣いの声をかけられ、とろんとした目を擦り頷いたのは他でもない、キャロだった。
なんとか起きてはいるものの、その瞼は今にもくっつきそうで、とても本人の言うように平気である風には見えない。
シフトだから仕方ないことだとはいえ、今朝長旅からフェイトと共に戻ってきたばかりの彼女である。
十歳の長旅で疲れた身体に、さすがに夜勤は少々辛いものがあるだろう。
その上日中もハードな訓練をこなしているのだ。
 
「アレだったらもうあがってもいーぞ?エリオ、仮眠室までついてってやれ」
「え?でも」
「どーせそんなじゃなんかあっても対処できねーだろうが。いざってときは他の連中たたき起こせば済むことだしな」
 
ひらひらと追い払うような手つきで促すヴィータ
この時間ともなればデスクワークもすることがなく、その机の上には雑誌が開かれている。
一瞬スバルと顔を見合わせ、エリオがキャロの肩をゆする。
 
「キャロ?歩けそう?仮眠室まで送っていくから」
「ふぇ……?」
 
これは、駄目だ。
目の焦点が合っていない辺り、一人では無理だろう。
 
「え、っと」
「おぶってきゃいいだろ、さっさとしろ」
 
上司からそう言われ、一瞬躊躇した彼は彼女を背負い上げた。
それじゃ、すぐ戻ります。ほんのり頬を上気させて、気持ち早口、早足でいそいそと部屋を出て行く。
 
「ったく。おい、スバル」
「はい?」
「お茶」
「あ、はい」
 
──勝手なもんだ。自分達から追い出しておいて、見栄や形式とかのために呼び戻すなんて。
 
机上の雑誌は、木漏れ日の差す森林を歩く芸能人の能天気な記事が踊るページだった。
 
キャロが生まれたその村のことを、ヴィータはよくは知らない。
だが辺境の、自然に囲まれた場所だということはキャロの素性をフェイトから聞かされた際、簡単にではあるが知らされている。
だからフェイトが紹介したという以前のキャロの配属先も、自然保護隊という彼女の慣れ親しんだ世界に近いところにあるものだったのだろう。
 
強すぎる力への、忌避。
言わんとしていることはわかる。
ヴィータ自身、部隊の魔導師保有制限にひっかかって魔力へのリミッターをかけられている身。
大きすぎる力の危険というのはよく理解しているつもりだ。
しかしわずか六歳だった少女への仕打ちとしてはあまりではないだろうか。
まして、追放しておきながらそちらの都合で再び呼び戻すなど、勝手が過ぎる。
 
ヴィータ副隊長ー、お砂糖とミルク、どうしますー?」
「どっちも。苦くすんなよ」
 
……などと大人びたことを考えていても、味覚はやっぱりお子様。もちろんその自覚はないが。
 
紅茶には砂糖二個、ミルクふたつ。コーヒーならばそれぞれ更にプラス1。
わかりきったことを聞くな、知っているだろうに、こいつは。
 
「お待たせしましたー……って、フリード?お前キャロについていかなかったの?」
「あ?」
 
カップを運んできたスバルにつられ、足元に目を落とす。
そこには常にキャロに付き従っているはずの、小さな白竜の姿があり。
 
スバルの言葉も聞こえぬ様子で、じっと窓の外を見つめていた。
 
「どした、チビ竜」
「……」
 
やはり、周囲のことなど眼中に入らず、耳に入らない様子で床からふわりと飛び立つ。
そのまま窓のほうまでいくと、外に出たそうな仕草で、しきりにこちらのほうを振り返ってくる。
 
「キュ」
「「?」」
 
こんな時間に、一体どうしたことだろう。
フリードがキャロから離れて一匹でいることだけでも珍しいというのに、この落ち着きのない有様は。
 
こつこつ鼻先で窓のガラスを叩いては、しきりに開けてくれとアピールしている。
 
「しゃーねーなぁ」
 
引き出しを開けて、ヴィータは散らかった中身を漁る。
ほどなくして、小さなカプセル状のビーコン発信機が出てきた。
作動を確認し、数時間ほどで発信が開始されるよう設定する。
 
「そら、飲んでけ。あとでシャマルに言ってとってもらうんだぞ」
「キュ」
 
山なりに投げてやると、口で上手に受け止めて飲み込んだ。
これで帰ってこなくても行方不明になることはないだろう。
万一起きたとき使役する竜の姿がなくては、キャロが心配する。
スバルに目で合図し窓を開かせてやると、わき目も振らず、白い子供の竜は真夜中の空へと飛び出していった。
目立つ白い後姿が、あっという間に雲間に消えていく。
 
そして、入れ替わるように部屋のドアを叩く、背の高い影がひとつ。
 
「どうぞ?」
「失礼します」
「あれ、フェイト隊長」
 
ヴィータは自分のデスクに腰掛ける彼女へと、若干非難の色が加わった、訝しむ目線を向ける。
 
「なんか用か?今日シフトじゃねーだろ?」
「いや、うん。そうだけど」
「なのはは?いいのか?」
 
実働部隊にとっては休むのも仕事のうちだというのに。
まして、彼女やなのはは隊長。
不十分な休息で調子を崩されては、分隊全体にその影響が及ぶ。
なおのことしっかりと休んでもらわなくてはならないのだ。
 
「ちょっと。少し、そっとしておこうと思ったんだ」
 
最近気持ちの沈んでいることの多い、同室のなのはのことを持ち出すことでヴィータとしては暗にそれを警告したつもりだったのだが、
その意図に相違なく、フェイトも言葉に含まれた意味に気付いたらしい。
すまなそうに、椅子を180°回転させてこちらを向いてから、言い訳をした。
 
「あとは、多分本人たちの問題だと思うから。なのはが……気付くかどうか」
 
*   *   *
 
きっと親友は、自分に考える時間を、頭の中を整理する時間をくれたんだと思う。
キャロがきっと昨日の今日で疲れてるだろうから、交代だなんて言ってたけれど、それは多分口実に過ぎない。
そのくらいには彼女にとっての自分を、なのはも過信できる。
少なくない時間を、側にいても離れていても共有してきたのだから。
 
思っていたことは、単なる自分の勘違いに過ぎなかった。
その誤解の張本人から、まっすぐに否定されて「しまった」。
 
『Master』
 
いつ降りだしたのか、窓の外からは雨音がガラス越しに漏れ聞こえてくる。
 
「……何?」
 
愛機の声に、ぼんやりと色々なことが巡る頭でなのはは応えた。
 
『Perhaps, she is not telling the lie.(彼女はおそらく、嘘は言っていません)』
「……うん。知ってる」
 
それくらい、言われるまでもなくわかる。
あの子はこんなことについて嘘を吐くような子じゃない。
 
『And, I think it is true.』
「ほんとう、って?」
『Please do not pretend not to know.(とぼけないで下さい)』
 
レイジングハートの口調に、厳しさはなかった。
主に対して叱咤するようでありながらも、相変わらずそのトーンは普段の淡々とした調子のままだ。
 
言う言葉の中身だけが彼女にしては珍しく感じられ、なのはは曖昧な位置にあった意識が、
紅の宝石との会話に向かい収束していく不思議な感覚にとらわれる。
 
『Or, do not it notice seriously?(それとも、本当にまだ気付かないのですか?)』
「……」
 
気付く。何を。
そう思いながらも、なのはは彼女の次の言葉がなんとなく予測できた。
 
『His existence must be not light at all for you as she said.』
「……それは、まあ」
『Will it not be a child by no understanding of the meaning of her word.(彼女の言う意味がわからぬほど、子供ではないでしょう?)』
「っ……言うね。デバイスのくせして、そんな偉そうに」
 
想像に近い言葉が返ってきて、余計にそれが神経を逆撫でする。
感情的になった口が、止める間もなく動いていた。
 
「……ごめん。わたし今、ひどいこと言ったね」
『don't worry』
 
気まずさと苦さを心に感じ、目を伏せる。
レイジングハートも心配してくれているというのに。
彼女に当たるなんて、最低だ。
 
伏せた目の、瞼の裏でゆっくりと目を動かしながら、なのはは言葉を捜す。
自身の想いを言い表すにふさわしい表現を、間違えないようじっくりと。
 
「わからないんだ、わたしにも」
『……』
「フェイトちゃんやレイジングハートが言おうとしてることはわかるよ。どうしてお見合いのとき、あんなにもフェイトちゃんが止めようとしてたのかも、今なら理解できる」
 
いくらなんでも、そこまで鈍くはない。
 
「でもね。わたしがどうしたいか、これからどうするべきなのかって話になると、やっぱりわからない」
 
力なく、自嘲気味に微笑む。
吹き荒れるでもなく、しとしとと降りしきる雨音を鼓膜に捉えて。
 
「ユーノくんとフェイトちゃんのあの一件を見て、すごくびっくりした。ううん、違うね」
『……Is it envy?』
「嫉妬?……うん、そうかもしれない。やな子だね、わたしって」
 
きっと自分は二人の密着したあの光景を羨んでいたのだ。
だからあんなに、心乱された。
そして、同時に訪れたお見合いへと気持ちが流れていったのだ。
二人のその姿から、逃げるようにして。
 
「わたし……変わったのかな?変わんなきゃ……いけないんだよね、みんな」
 
かつて、忘れもしないあのクリスマスの夜。
永遠を求める女性に自分の言った言葉が、甦ってくる。
 
みんな、変わっていかなくてはいけない。
 
口を衝いて出た言葉は、そんな実感から生まれた短い吐露。
変わらぬままのつもりだった自分も、その心もいつからかきっと、明確に変わり始めていた。
鈍感な自分が、己の変化に気付くことができなかっただけのことなのだ。
 
人も、その心も。
移ろい、関係性を変えていく。
 
小難しいことはない。ただ、単純に。
 
「わたし……きっと、ユーノくんのこと。好きになってたんだ、いつの間にか」
 
それは奇しくもほんの数十時間前、想いの向けられたその人物が飛び去る彼女の背に向けて投げたのと同じように。
受け止める相手のいない、気付くこともなく意味を持たない。
 
誰に答えを求めるでもない、自己に対するささやかな告白だった。
 
 
(つづく)
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