わけですよ。

 
主にファミコンとかスーファミのゲームがやりたいです。
ニコニコでのプレイ動画とか見てたらやりたくなってきて困る。
スーファミならカービィドンキーコングシリーズ。またウルトラマンウルトラセブンも。
ファミコンならこれまたカービィ夢の泉の物語はレーザーとUFOが大好きだったものでw
しかしおくせんまん(ロックマン2)って今3千円もするのか……。ロックマンシリーズもやりたいなぁ。5しかやったことないんで1から順に。
 
さてさて、喪失辞書の第十一話です。
伏線仕込み中で色々とっちらかってる印象に、これまた要加筆だなぁと思いつつ。
もっとがんばれ俺。もっと腕磨け、俺。
 
↓↓↓↓
 
 
 
 
 
二つの目が、少女の形をしたプログラムが得物を振り下ろす様を見つめていた。
 
どういう感想を持つでもない、ただ眺めるだけ。
「それ」は、面倒に思いながらも、己が身を護る。
 
そろそろ出て行くべきか、そんな風に億劫に思って。
 
「それ」は自らのその姿を表現する名詞を「彼」へと変化させていく。
なんのことはない、簡単で退屈な作業だった。
 
進歩、想定の範囲内
不測要素、感知できず。
 
故に、紅の戦闘服の舞う姿は彼にとって興味の対象外。
せいぜいが煩わしいだけの、ちょっとした雑音に過ぎなかった。
 
 
魔法少女リリカルなのは 〜the lost encyclopedia〜
 
第十一話 それぞれの失敗
 
 
「!?」
 
白銀のハンマーヘッドが、びくともしない。
破壊力を大幅に増強する、先端のスパイクが魔導書の中心に吸い込まれながらも、ごく微細な一点のみを守るシールドによって、完全に押さえ込まれている。
 
だが、ヴィータの驚きが向けられたのはそこではない。
 
「あれは!?」
 
離れた距離に一人残されたなのはも、その異変は感じ取っていた。
既に騎士の手から魔導書は離れ、何も支えるものなしに虚空に浮かびヴィータの攻撃を受け止め続けている。
 
その後ろに、光が集まりつつあった。
けっして神々しさとか、美しさとか。そういった見惚れるような類のものではない。
むしろ逆に、生々しい。飢えた昆虫が樹液に集まってくるといった生物的な動きで、光の細かい粒子がひとところに集まり、形を成していく。
光たちの中心に、なにかがいる。
 
「人の、姿……?」
「くっ!!」
 
書が閉じられるとともに、ヴィータが弾かれる。
再び彼女達に向けられた厚い皮の表紙を、光が「掴んだ」。
形成された指先の形から徐々に光の粒は霧散していき、そこに残るのは細い骨ばった肌色の腕。
 
ヴィータちゃん!!」
「大したことねー。ふっとばされただけだ……って、どうした?左腕押さえて。痛むのか?」
「っ……平気。なんでもないよ」
 
なのははとっさに、嘘を吐いた。
異変を感じ取っていたのは、なにも視覚からだけではない。
 
既に、左腕の感覚はあってないようなものだった。
レイジングハートを握るだけでやっと、押さえた右手の中で小刻みに痙攣している。
とっさの言葉も、取り繕った仕草も、強がり以外のなにものでもない。
 
「嘘だ!!何そんな真っ青な顔して……」
「それどころじゃないの。ヴィータちゃん」
 
けれど、構っていられない。
息を呑むヴィータの顔も見返さずに、なのははただ人型から消えゆく光、ただそれだけを見据える。
 
(──きっと、これだったんだ)
 
理屈じゃない。直感でようやく、理解した。
古傷の増しゆくばかりの疼きの意味を。
 
夜天の魔導書……闇の書の、闇。
かつて戦ったその魔力を、なのはの身体は未だ鮮明に覚えている。
故に、反応した。
以前の任務で重傷を負い、治癒魔法により最も多く魔力に接し晒されることとなった、己が左腕が。
よく知るものと酷似する魔力、その復活の兆しを最も鋭敏なセンサーとして敏感に捉えていたのだ。
 
理論では、説明できない。
ただその目覚めの時を目の当たりにし、なのははそのように感じ取った。
 
「……くる」
 
光より現れたるは、ひどく痩せぎすの一人の男。
おおよそ魔導師や騎士に似つかわしくない白衣のその姿はそれでいてなお、相対するなのはたち二人の持つ魔力を超えて十分過ぎる量の力に充たされきっていた。
 
*   *   *
 
──魔力の絶対量、その圧倒的な差から来る威圧感だけは凄い。……だが、それだけだ。
 
「……何モンだ、てめー。てめーが管制人格だってのか?」
 
身のこなしや、ただそこに立っているだけでも立ち居振る舞いから丸わかりだ。
明らかに戦闘向きではないし、慣れているようにも見えない。
ヴィータは現れた新たな敵を、即座に騎士としての目を以って分析する。
 
魔力だけ高い、ただの木偶の坊だ。
 
「ご挨拶ねえ、紅の鉄騎。自らの創造主の片割れに向かって、そんな言い方」
「何?」
 
創造主、だと?
 
「一体どういう──……」
「ま、忘れてるのなら無理もないけれど」
「答えろよっ!!」
 
ヴィータの問いに応えたのは、男のほうではなかった。
男の隣につき従う、例のレクサスとかいう騎士がヴィータの言葉を嘲るような口調で切り捨てる。
 
食って掛かるも、男は無言のまま。女騎士のほうは愉快そうに笑んでいるだけだ。
 
ヴィータちゃん」
「わーってる。あたしは冷静だ」
 
落ち着け、ペースを乱されるな。苛立つ自分に言い聞かせる。
冷静さを欠いてはならない。なのはにフルパフォーマンスが期待できない今は、なおのこと。
 
「さっきまでと同じだ。あたしが前に出る、お前は後ろから弾撃ってろ」
「けど、相手は……!!」
「馬鹿!!そんな状態で前に出てこられても足引っ張るだけだろうが!!」
 
無理をしようとしている彼女が、ヴィータには歯痒かった。
ともに肩を並べて戦うことのできる仲間に、今はそれを望めない。
その事実が無性に。
 
「……こんなときくらい、守らせろよ。馬鹿……」
「……え?」
 
だから、彼女は自分が守る。守ってやらなくてはいけないのだ。
本調子でないぶんは自分がカバーする。指一本、やつらに触れさせてなるものか。
 
「なんでもねー!!いくぞっ!!」
「うんっ!!」
 
*   *   *
 
「まさか今になってようやくこんな資料が出てくるなんて、思ってもみませんでした」
 
本局の長いまっすぐな廊下を、二つの影が早足に急ぐ。
 
「夜天の書……それにそのプロトタイプとされるあのロストロギアは、たった二人の人物によって造られたものだったんです」
「二人?夜天の主は代々一人じゃなかったのかい?」
 
急がずに、おれようか。
正規の通信所からでは、通常回線では最大出力で発信を行ってもアースラに繋がることはなかった。
急激にアースラ付近は、高濃度の魔力の中へと巻き込まれはじめている。
 
時間はあまりない。
いや、少なくとも彼らはそう思っている。
アースラと交信のとれない今、ヴィータとなのはが新たに現れた敵との戦闘に入ったことを、二人が知るわけもないのだから。
 
「……ええ。それが盲点だったんです。ヴォルケンリッターたちにとって主とは無二の存在。
 だからこそ、最初の主である創造主もまた一人だとずっと思われていた」
 
シグナムたちに誕生の瞬間の、自分達を生み出した主の記憶が明確にない以上、そう推測されようと否定される材料がなかった。
 
しかし。
 
「その創造主は……一人ではなかったと?」
 
こくり、とユーノは頷いた。
 
「正確には、夜天の書本体の設計……ハード面を担当した人間と、シグナムさんやヴィータたちのようなプログラム、ソフトの面を受け持った人間がひとりずつ。その二人によって夜天の書と、プロトタイプであるあの魔導書が製作されたんです」
 
曲がり角を、右に。
正直例えとはいえヴォルケンリッターの面々をプログラムとして扱いたくはなかったが、この場合は仕方がない。
 
「いや、プロトタイプというのも正確ではないかもしれない。シグナムさんたちの記憶とは若干食い違いますが……。あれはむしろ……完成しなかった姉妹機とでもいったほうがいいのかもしれません」
 
武装隊の使用する緊急回線は既にヴェロッサの権限で押さえてある。
足どりを緩めることなく、二人は一心不乱にアースラへと続くその道を目指す。
 
「見つけたこの資料……これが教えてくれたんです。この中にすべて書いてあった」
 
ヴェロッサが横目で自分の脇に抱えられた書にちらりと目を移したのをみとめつつ、見えてきた武装隊の発令所へと足を早める。
  
「それは?」
「……これが。これこそが二機の魔導書型デバイスを製作した創造主のうちの一人。ハード面を製作した研究者の遺した手記なんです」
 
遺したというのは不適切かもしれないと、ユーノは思った。
相手は既にこの世を去っていながら、未だ旅立ってはいないのだから。
だが、細かい説明はアースラに連絡がついてからだ。
今はまず、行くこと。そして伝えること。それがなによりの優先事項。
ヴィータを。夜天の守護騎士たちを、戦わせてはならない。
 
夜天の創造主にして闇の書の闇を生み出したその元凶たる、張本人と。
 
*   *   *
 
なにも動きをみせないのが、逆に不気味だった。
 
白衣の男──おおよそ魔導師や管制プログラムといわれても、とても頷けないような外見の新たな敵は何をするでもない。
至近距離でデバイスを打ち合わせ続けるヴィータとレクサスをただ、ぼうっと見上げているだけ。
 
「そっちの管制人格はぼけっとつっ立ってるだけかよ!!」
 
もっとも、そのことにはちゃんとヴィータも気付いている。
大丈夫、なにも問題ない。警戒は彼女もなのはも怠っていないし、なにか行動を起こせばすぐにどちらかが対処できる。
 
「元気ねぇ、相変わらず。さすがお子様」
「るせー、黙ってろ!!んでじっとしてろ!!」
「……でも相棒さんはそうでもないみたいよ?」
 
それは単なる挑発の応酬──の、はずだった。
 
だが騎士の言葉に、ヴィータは思わず振り向いてしまう。
後方から自分を援護し続けるなのはの待つ方向へと。
彼女のことを守りたいと思うが故に。
 
「なのはっ!?」
 
友の顔は、苦悶に歪んでいた。
血が滲むほどに噛み締められた唇は、その一点を残し血の気なく真っ白で。
 
必死に苦痛を振り払い集中しようとしているのであろう両の瞳は、周囲を顧みることなくこちらに注がれている。
 
「ほっといていいのかしら?」
「!!」
 
その彼女の周囲を、無数の魔法陣が取り囲んでいた。
気付かれぬよう、なのは自身の生み出したアクセルシューターの魔力に紛れながら、徐々にその数を増やしていく。
 
──あの、馬鹿。
 
いくら後方にいるとはいえ、あまりに迂闊だった。
なのはがもし本調子だったならば、気付かぬわけがなかったのに。
レイジングハートも限界ぎりぎりの彼女のサポートに追われ、十分な索敵を行えていない。
歴戦のエースたる、彼女達らしからぬミス。
鈍った感覚では捉えられずとも、目さえ周囲に開けていれば視認は可能だったはずなのに。
 
このままでは、狙い撃ちにされる。
 
「なのは!!逃げろっ!!」
 
ここからでは間に合わない。
わかっていながら、とっさになのはのほうへと身体が動く。
女騎士と演じていた接近戦も、何の変化も見せなかったもう一人の敵への警戒もかなぐり捨てて。
守らなくては、彼女を。その一心で、ヴィータは飛び出す。
 
「……はい、残念」
ヴィータちゃん!!」
 
しまった、と思ったときには既にそれは後悔でしかない。
周囲を取り囲む魔法陣に気付かなかったのがなのはのミスならば、今度は自分のミス。
 
囁くような騎士の言葉に悟るも、時既に遅し。
なのはの叫びが、それを証明していた。
これは、罠だ。
なのはの周囲に現れた魔法陣は、囮。
 
──悪い、なのは。
 
動いたのは僅かに、首から上だけ。
中越しに向けた視線の先には不敵に笑う女騎士。
 
更にその先では変わることなく無表情の、あの男が魔法陣を展開していた。
 
四肢に絡みつく、鋼の鎖の感触が冷たかった。
 
気を失う寸前、自分の胸から屹立し生える人間の手を、ヴィータは見たように思った。
その映像は名前を呼ぶ誰かの声の中に、泡となって溶けていった。
 
(つづく)
 
 
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