なのはの記事&今後数話分のあらすじのため。

 
それだけのために買ってくる俺もいい加減アホですか?
いいんだ本人納得してるからそれで。
あ、でも新ガンダムの記事もチェックしてますが。
どちらかといえば女性向けの雑誌ではありますが俺が中学くらいの頃はまだ半々くらいだったような……?ってか男性向けのライトなアニメ誌って意外に少なくない?
 
>nocturneアフター面白いですよー。過去と現在の一人称が混じる形式は過去と現在が結ばれる感じがしていいです。しかしこれ。買い物へ行こう、を読んだことがない人にとってはわけわからなくなったりしないでしょうか。
うーん。実際どうなんでしょ?一応初見でもnocturneアフターとして読めるよう加筆しまくってるつもりなんですが。わかりにくいですかね、やっぱ。
 
>ss投票の順位に納得出来ません。ここはもっと評価されるべき。
いやー、実力通りだと思いますよ?
二桁も票をいただけたことに結構満足してたり。票をもらいたくてやってるわけでもないですし。
入れてもらえただけでほんとありがたいこってす。
 
>なのは・・・。少しはあせれよ・・・。
小学生時点ですから。ザ・朴念仁。
 
>九年前にナニがあったんだ〜!?
事件とかそういう類のものではないのでご安心を。
 
>鬼かはやては
はやてはきっとダウンタウン浜田なみのドSです、コントやネタに関してはきっと。
 
 
 
そして喪失辞書十四話更新します。
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主たる男からの非難は、わかりきったことだった。
手駒と敵とのぶつかりあい。拮抗したその力に当然、相手は他に目をくれていられるような余裕はなかった。
 
「何故、撃たなかった」
 
あと、一撃。横槍を入れてやれば容易にあの白き魔導師を粉砕することもできたはず。
それを出来る状況にありながら、やらなかったのだ。
咎められるのは元より、承知の上。
 
「……必要、ないでしょう。コントロールから外れたとはいえ、紅の鉄騎の攻撃はあの魔導師を戦闘不能にするだけならば十分でした」
 
また、彼女は気付いていた。
こちらの支配下にあったはずの鉄槌の騎士は、そのままであったならば手負いの獲物を必殺の一撃にて押し切っていただろう。
何しろ捨て駒だ、肉体のことなど考えてやる必要もない。
仮初の主に支配された全身は敵を撃破せよとの命に従い全身のありとあらゆる魔力をその一撃へとかき集めていたのだから。
 
だが、深紅の少女騎士への支配は突如として解除された。
主の反応、魔力の変化。それら全てが、そう物語っていた。
プログラム側からの使役者に対する拒絶、遮断。
要因はわからずとも、確かに紅の鉄騎は敵に操られ仲間を討ち果たすことをよしとはしなかった。
 
「ですが」
 
故に激突に込められた魔力は収束しきれず、周囲に飛沫をばら撒き広大な爆風と視界低下を引き起こし。
レクサスは両の剣によってなされた魔弾の一矢を引き絞るのをやめた。
これでは、余計に場が混乱する。蒐集のための魔力を欲するならばなおさら、あの白衣の魔導師を見失うわけにはいかない。
 
「どうやら、そうもいかなかったようですね」
 
爆風が、煙が徐々に晴れつつあった。
虚空に浮かび上がるのは、紅と黄金。
 
劫火の騎士は一瞬落とした目線を、即座に上空へと持ち上げる。
煙の中にある光景はそれで十分だった。
 
意識なき紅の鉄騎を受け止める金色の魔法陣など、見ていても仕方がない。
 
「……なるほど、ね」
 
確かにあのシグナムが友と呼び、仲間として信頼するだけのことはあるようだ。
 
装甲をぎりぎりまで削り取った、ボディスーツ状の戦闘防護服。
右腕には光り輝く、極太長刃の大剣を携え。
 
白服の少女を抱きかかえるその姿に、騎士はかつて斬った彼女に対する評価を改めた。
 
 
魔法少女リリカルなのは 〜the lost encyclopedia〜
 
第十四話 リインフォース
 
 
やっぱり、病み上がりの身体にまだソニックフォームの急加速はきつかったか。ザンバーフォームの反動も予想より大きい。
 
「こちら……っ、テスタロッサ・ハラオウン……高町三尉、及びヴィータ曹長の身柄、確保……両名とも呼吸、正常……」
 
傷口が開いていないのだけが、幸いだった。右腕の巨大剣がひどく重い。
額に脂汗を浮かべ、フェイトは搾り出すように兄たちの待つ艦・アースラへと通信を送る。
 
なのはは負傷しているものの、呼吸や脈はしっかりしている。
プログラムを一時的に乗っ取られたヴィータのほうはまだなんともいえないが、それでも急を要するようには見えなかった。
 
「結界、解除。保持に回っている隊員達は至急退避してください」
 
──なんとかこの場を、離脱しないと。
 
ヴィータを背負い、ゆっくりとこちらに向かい上昇してくる緋の騎士を見下ろしながら、必死に思考する。
二人を連れて無事にアースラへと帰還する方法を。
手負いの二人、意識のない友人達を抱えたままこのコンディションでは到底勝ち目はない。
振り切るしか、ない。
 
(サンダーフォールで目眩まし……その間にブリッツラッシュとソニックムーブの併用で一気に……っ)
「あら、やっていかないの?」
 
挑発的な言い方だ。
しかしここは乗ってはいけない。
乗って勝てるような状態、相手ではない。
 
「……あなたは、シグナムが止めます」
「へえ?」
「私の知っている……本来の、強いシグナムが」
 
十、九。……八。
儀式魔法の急激な発動は、今の体力では不可能。レクサスの問いかけをあしらいながら、詠唱のカウントダウンを進める。
時間稼ぎに放った言葉はそれでいて、フェイトの本心からのものでもあった。
 
シグナムが同じ相手に二度、遅れをとるはずがない。
それはフェイトの持つ、確信的な思い。
烈火の将は立ち上がり、再び剣を手にし。
越えるべき壁を、必ず越えていく。
 
「だからあなたを倒すのは……シグナムの仕事です」
 
零。
 
呼ばれた漆黒の雲間から三条の雷が煌き、視界を奪う。
至近距離にいた双方、互いに。
もともと悠長に見ている気などなかった。
背中と胸に二人の友を抱え、フェイトは発生と同時にその場を離脱する。
 
わき目も振らぬ、逃走。
けっして追いつかれてはならない。多少の無理が必要なことは承知済みだ。
重いザンバーからバルディッシュをアサルトに戻し、風の中をフェイトはひたすらに逃げた。
 
*   *   *
 
「……そうか。やっぱりあたしはなのはを……攻撃したんだな」
 
敗戦の戦域を離脱し、アースラへと到着し。
本局の医療施設へと運びこまれたヴィータが目覚めたのは、数時間ほども後のことだった。
なのはも彼女も、意識を失った状態で担ぎこまれたものの、大事はない。
未だ眠り続けているなのはに負傷こそあれ、それも命に関わるようなレベルのものではなかった。
 
彼女たちをアースラに運んだフェイトもやはり病み上がりの身体に無理がたたったのだろう、手当てを受け、病室に戻っている。
 
「べ、別にヴィータちゃんのせいじゃないわ。コントロールさえ奪われてなければ……」
「関係、ねえよ」
 
皆、無事。そんなことは慰めにしかならない。
ヴィータは俯き、布団をきつく握り締める。
 
自分が守るはずだった。守らなければならなかった。
その守るべき相手を自らの手で傷つけた。
無事であろうとなんであろうと、その事実は消えない。
 
「情けねえ……守るって言ったのに……」
ヴィータ
 
悔やんでも、悔やみきれまい。
かつてなのはの事故を目の前で体験した彼女であるからこそ、なおさらに。
あの日味わった辛い思いは、当事者でないはやてですら今でも身を斬るように重いのだから。
 
自分を責める彼女の気持ちはわかる。だが見守る自分はそうさせたくない。
はやてはヴィータの自責を遮るようにして、ヴィータの上半身をベッドに寝かしつけた。
 
「悔やんでばっかじゃしょうがあらへん。今は休むんや。きっとまた、ヴィータの力が必要になるときがくる」
「はやて……でも」
「しっかりお礼参りするためにも今はきちんと、身体つくっとかんとな?」
 
自分責めてる暇があったらな?と目配せすることも忘れない。
今はとにかく、深刻さを忘れることだ。でなければ休むにも休めない。
 
「でもっ」
ヴィータ?」
 
そのやり方で彼女は従うと思っていた。
きかん気の強い妹分をなだめ、静めるということはこれまでに幾度となくやってきたことであったから。
 
けれどはやてに両肩を抑えられ、布団をかけられながらもヴィータは訴えかけ続ける。
懐かしい名前、今は受け継がれたその名前。
聞き捨てならぬ言葉を、家族たちに対して。
 
「あたし、聞いたんだ。リインフォースの……夜天の書のリインフォースの声。でなきゃあたし、もっとひどい怪我なのはにさせてた」
「……なんやて?」
 
失われた者の名を、はやては、シャマルは、ザフィーラは。そして同じ名を持つリインは耳にした。
 
リインフォースの声が聞こえたから……だからあたしはあいつから逃れられた。踏みとどまれたんだ」
 
ヴィータに握り返された手首が震えていたのも、多分そのせい。
あの子の笑顔が現れた敵の姿と交互に脳裏に浮かんでいたから。
 
「あいつの声がなかったら、今頃なのはを……」
 
自責を繰り返し始めた彼女を自分は一体、どんな顔で見下ろしていただろうか。
 
*   *   *
 
『詳しくはヴィータの検査データ待ちの部分もあるけど……ひとまずまだ調査中。例の日誌もまだ全て解読が済んだわけじゃないし』
「そう、ですか。わかりましたです、お願いします」
 
ヴィータと、はやてと。守護騎士の二人が話しこみはじめたのに合わせて、リインは病室を出た。
 
発見されたこの事件に関する一級資料の調査と、ヴィータが一時的にではあれ支配した敵の術式のメカニズムの解析。
またなのはやフェイトのその後の状況も問い合わせ、シャマルに伝える必要があった。
各所への連絡をするには家族たちが話を続ける室内よりも個室の並ぶ病棟の、静かな廊下のほうがいい。
 
──……けれどそれは実際のところ、部屋を出るために自分自身を納得させる言い訳に過ぎなかった。
 
はやてに危害を加えようとする者の復活を、阻止できなかった自分。
シグナムやフェイトが傷つく横でただ気を失っているしかできなかった自分。
なのはの危機と捕われたヴィータに、はやての背中を押すことも出来なかった自分。
 
できないことだらけだった。
その自覚のある今の彼女に、名前を受け継いだ先代の話を聞くというのは耐えられないことだった。
 
自分は、リインフォース『ツヴァイ』。
だが家族たちが意識を向けているのは先代、リインフォース
実際に会ったこともなく、話でしか聞いたことのない、局の記録映像のみで家には写真すら残っていない彼女のことは、リインにとっては尊敬の対象だった。
 
彼女がいたから、自分がいる。その認識は彼女の名を聞くたびに思い出される。
だがその尊敬、敬愛がプレッシャーになっていた。
 
今はいない先代、リインフォース。何も役に立てなかった自分、リインフォース『ツヴァイ』。
もし自分ではなく、彼女がいたなら。
自分の代わりに彼女がいれば、万事問題なく、うまくいっていたのではないか。
そう思えてならない。
 
家族の言葉、ひとつひとつが幼いデバイスの化身にとっては、そう感じさせるための要素。
本人たちにその意志がなくとも、小さな肩を落とし少女は自分に疑問を抱く。

ヴィータの口からリインフォースの名が出た際、はやては明らかに息を呑み、平静でなくなろうとしていた。
しかしわずかな一瞬こちらを……リインを見て、踏み止まっていた。
即ちそれはリインと先代リインフォースとを思うに際し何らかのひっかかる点があるということ。
両者の違いを主たる彼女が認識しているということだ。
 
(ダメダメなリインと……夜天の書とを比べて……)
 
リインフォース?部屋の外で何をしている?」
「あ……シグ、ナム」
 
空間モニターを開きっぱなしにして俯いていたリインは、声をかけられるまでシグナムが角を曲がって部屋の前までやってきていたことにも気付かなかった。
慌ててモニターを閉じ、何事もなかったかのように取り繕う。
 
「あ、え、えと。どうしたですか?怪我のほうはもういいですか?」
「?……いや、ヴィータの見舞いだが?回診を受けていて遅れてしまったからな。主はやてや皆は中か?」
 
包帯の巻かれた右腕を目の前に持ってきて、示してみせる。
やはりまだ完治はしていない。包帯の内側からは彼女以外の発生源から生まれたと思しき、別の魔力が感じられる。
おそらくは治癒魔法に使われたものだろう。随分と穏やかで微弱なものだ。
 
入院着姿の将は彼女の脇を抜け、病室に入ろうとする。
 
「あ、待ってください」
「?」
 
衝動的に、リインの口はシグナムを呼び止める言葉を吐いていた。
立ち止まった彼女は訝しげにリインへと振り返る。
自分の行動を認識したときには、既にあとの祭り。
頭の中が、真っ白になっていく。
 
「どうした?」
「え……あ、う。えと、ですね……聞きたいことが、あるです。シグナム、に」
「聞きたいこと?」
 
呼び止めておいて、はぐらかすわけにもいかなかった。
明確な理由があってそうしたわけではない。単に一人にされるのが寂しかっただけなのかもしれない。
だが誰かに今聞きたいことも、確かにあった。
だから腹を括り、このまま進んでいくしかない。
 
深呼吸とともに唾をひとつ飲み込んで、リインは烈火の将の目をまっすぐに見つめた。
 
「今までよりもっと、詳しく教えてほしいです。先代のリインフォース……夜天の書の意志がどんな人だったのか」
 
*   *   *
 
その病室には、少女が眠っていた。
数時間前運び込まれ、手当てを受けたその姿そのままに寝返りひとつ打たずに。
 
普段結われている髪も下ろされ、頬に白い絆創膏の治療を受け。
点滴を受ける左腕には包帯が薄く巻かれていた。
灯りは少女の眠りを妨げぬよう、面会者が出ていった際に消されている。
 
だから彼女のほかに誰も室内にいるはずがないのだ。
 
なのに銀髪の女性は、彼女の枕元にひとり立っていた。
その女性は普通の形で存在しているわけでもなく、また普通の手段でこの場にやってきたわけでもなかった。
あまりにも希薄な存在感。影のように薄い、その気配。
ただ、女性は眠り続ける砲撃魔導師の顔を見下ろし続ける。
 
女性の紅い瞳が揺れ、唇が僅かに動いた。
声は、ない。
あったとしても人の耳にはけっして、届かない。
口元の動きは、四文字分。もしも解読する者がいたならば、「すまない」。そう読み取っていたことだろう。
 
女性の姿は、闇に消えていった。
直後、少女の瞼が微かに動き。そして徐々にうっすらと、静かに開いていった。
 
(つづく)


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