あれ?ユーなのだよね?

 
はいユーなのです。
ですがアフターに関しては完全にフェイトの独壇場うひゃっほい。
まあそういうこともあるさぁ。
ちと某掲示板の某スレの某案件に関しては色々調査中&考え中。
・・・つっても俺自身がベタそのものの話しか書けない人間だしなぁ。
 
なのは×ユーノステーション、告知中です。
 
 
以下、Web拍手レス。
 
>シグナム「いやこれは拉致でしょ!誘拐でしょ!帰してくださいよ!運転手さん、バック!」
時空管理局アメフト同好会のみなさんにかつがれていくわけですか。
 
>なのユー小説ずっと探してました。ハラハラしながら続きも読ませてもらいます
楽しんでいただけてると嬉しいですー。なのユーもっと増えないかのう・・・。
 
>うぅ…やはりフェイトが可哀そうだよぉ。(メソメソ) なのは、早く思い出してあげて下さい。…そういえば、この記憶の消え方だと、ユーノの事も完全に忘れてるはず…そっちも一大事ぢゃんッ!?(愕然) …と、そんな鬱な気持ちでいた所に来たレイハとマリーの会話。これはッ!アレか…アレなのかッ!StSに繋がる燃え展開クルーッ!?(狂喜)
今週の放送分のおかげでまた微調整が必要になりそうですけどねー。くわしくはネタバレにつき割愛。
 
>加筆分が現在にどう繋がるのか気になりますね。次も期待。
どうも、期待という名のプレッシャーにとんでもなく弱い男こと640です。
 
>nocturne、よかったです。素敵ユーなの話を探していたので…。続きを楽しみにしています。
はい、最終話書き上げました、nocturneアフター。
つってもほぼnocturne本編補完話のような終わり方ですが。
 
− − − −
 
てなわけでnocturneアフター、最終話です。
それでは、お粗末ではありますがどうぞ。
 
↓↓↓↓
 
 
 
酔っ払いの相手は、大変だ。
 
「フェイトちゃぁ〜ん、泣きたかったらおもいっきり部隊長の胸で泣いてええんよおぉ〜?」
「もう、はやて。明日に響くからそのくらいにしとこう?ね?」
 
人数的には一対一ではあっても、複数人を相手とするならば、なおさらに。
 
「ああ、こら。べたべたくっつくな、シャマル
「いーじゃないのーぉ。私とシグナムのなかでしょお〜?」
 
どうしてこうも、我を忘れた相手の世話は大変なのだろう。
九年前のクロノといい、この酔っ払い二人組といい。
 
どちらも共通しているのは周囲に迷惑をかけているという自覚が(前者は強烈すぎる兄妹愛故に、後者は酒の勢い故に)ないということだが。
話を聞かない人間というのは実際問題として、厄介極まる。
現にテーブル上には缶とつまみの屑が散乱し、所々零れ出たアルコールの飛沫まで飛び散っている。
……あの、これ片付けるのは他でもない私なんですが。
 
テスタロッサ、水だ。水を持ってきてくれ」
「ちょ、シグナム。私だって手が離せない……んっ、く、はやて、やめてってば」
 
あと、酔った勢いで胸を揉むのはやめてくれ。
酔ってなくてもやるくせに、ここぞとばかりに堪能するのは。
 
「なんや、冷静やないかぁ〜。ええんか、ほんまにあの二人がくっついてもうて」
「はやて?」
 
──と、思いきや。
 
背中に埋もれた彼女の口は、フェイトの体内へと声を残響させてくる。
急に、真面目な調子になって。
 
「無理しとるんと違うか?……私らの前でまで隠すことはないんよ?」
 
思わず一瞬、どきりと鼓動が早くなる。
 
だけど。……だけど。
 
「ありがとう、はやて。でも、大丈夫」
 
心からの言葉で、フェイトは頭を振り。
そして親友へと感謝した。
 
 
魔法少女リリカルなのはstrikers −nocturne−
 
after.5 ありがとうと、ごめんなさいと。……そしてやっぱり、ありがとう。
 
 
−九年前、アースラ艦長室前−
 
「あ、お兄ちゃん」
「───へ?……ああ、フェイト」
 
シャマルの治癒魔法を受け石化から回復したのも束の間。
リンディ、はやて、エイミィというフェイトとなのはを除いたアースラ女性陣三強にこってりと脂を絞られ、ボロ雑巾状態で部屋から出てきたクロノを、フェイトは待っていた。
 
「その、なんだ……今日は済まなかったな」
 
冷静になって自分の行動を思い返すと、なんとも情けない。そんな様子でばつが悪そうに、クロノは頭を下げる。
まあ実際、私情に流されて暴走するなど、執務官としてあるまじき行為ではある。
数ヶ月の減給(というか給料は全て母のリンディが受け取っているので要は小遣いカット)で済んだのは僥倖といえるだろう。
 
「ううん。ちゃんと言っていかなかった私も悪いんだし。……少し、驚いたけど」
 
そりゃあそうだ。
わけのわからないことを口走りデバイスを振り回す兄の姿なんて、驚かないほうがおかしい。
見ている分には実害はなかったので、よかったけれども。
 
「できれば忘れてもらえると嬉しい……な」
「ふふ、努力はするよ。それで、ね」
 
後ろに回していた手を前に持ってきて、その中にあるものをクロノへと差し出す。
 
「これ」
 
そこにあったのは、小さな青い包み。
 
「これは?」
「……お祝い、なんだけど。今日はこれを買いに行ってたの」
「お祝い?」
 
はて、何か最近祝われるようなことがあっただろうか。
首を傾げるクロノに苦笑しながら、人差し指を立てて説明する。
 
明瞭、簡潔。要点だけを手短に、わかりやすく。
 
「なるんでしょ?来月付けで執務官から、提督に。だからそのお祝い」
「……ああ、昇進のことか」
 
決まったのは先週だったが、それからの忙しさにかまけて忘れていた。
今思い出さなければおそらく当日まで忘れていただろう。
 
そんな顔を見せた義兄に、思わずフェイトは苦笑を超えて、吹きだした。
 
「私こういうのよくわからなくて。だからユーノに頼んで一緒にきてもらったの」
「そういうことだったのか……」
 
事実を知ると、尚のこと恥ずかしいのだろう。結局自分の独り相撲だったわけだし。
 
「あとできちんとユーノにも謝らないとダメだよ」
 
自分の言葉に素直に頷くクロノが、なんだかちょっと新鮮だ。
いつも彼とはフェレットもどき、なんて言って仲がいいんだか悪いんだかわからないくせに。
 
*   *   *
 
「……とりあえず、本当に済まなかった。それと、ありがとう」
「うん、喜んでもらえると嬉しいな」
「喜ばないわけがないだろう。大事にするよ」
 
一方、結構クロノは本気で凹んでいた。
その顔にようやく、笑みがこぼれる。
 
「っと、それじゃ私いかないと」
「ん?ああ、なのは達と約束してるのか?」
「ううん、ユーノに」
「…………は?」
 
けれど、それも束の間。
 
「ずっと、言いたいことがあって。待ってもらってるから」
「い、いいいいい言いたいこと?そそそそれは一体な」
「じゃあ、またあとでね。よかったら感想聞かせてね」
「あ、フェ!!フェイト!!」
 
耳を疑う言葉に硬直してしまった隙に、フェイトは手を振り駆け出していった。
取り残されたクロノは、呆然とその場に立ち尽くす。
 
やっぱりあとで一発ユーノのことは殴っておこう。
そう誓いを新たにして彼が立ち直ったのはしばらく経ってのことだった。
 
あ、ちなみに包みの中身はシルバーメタリックの時計でした。
 
*   *   *
 
そして、 肝心のフェイトとユーノだが。
 
「ごめん、お待たせユーノ。なのは達は?」
「みんなで食堂で話してるよ。……今日はお疲れ様」
「うん、ユーノも」
 
あれだけの騒動のあとだ。さすがにもう気まずさも何もない。
隣に腰掛け、笑いあう二人。
 
「ほんと、あれには驚いたよ」
「……うん。なんというか、迷惑な兄で」
 
申し訳なかったです。そんな謝罪の言葉も形ばかり。
二言目には互いに笑顔がこぼれる。
 
なんだかんだであのクロノの暴走はプラスに働いたのかもしれない。
 
「ははっ。ま、それだけクロノがフェイトのこと大事に思ってるってことだよ」
「そう、かな?私は最初からみんなに見られてたってことにもちょっとびっくり」
「あー、確かに。なのはの隠蔽魔法、いつの間にあんなにうまくなってたんだろ。さすが武装隊」
 
昼間話しにくかった分、他愛もない話が次から次へと溢れ出てくる。
それはいつもどおりの二人の会話で。
 
「ほんとに今日はありがとう」
「いや、こんなことでよければ全然」
「それに、ごめんなさい」
 
なのに、唐突に。
 
「え?」
 
談笑の最中、フェイトが言った言葉は、謝罪の一言。
 
先ほどまでの笑顔とはうってかわり、彼女は俯き眉根を寄せていた。
ユーノはそのようなことを言われる憶えは──……。
彼女がそんな顔をして謝る理由は、たっぷり数秒間考えてみても一つしか思い浮かばない。
 
「まだ、あの子の言ったこと気にしてるの?」
 
だとしたら謝られる必要はない。
もう過ぎたことなのだし、何よりさっきまで笑って話していたように、ユーノ自身今日は十分に楽しめたのだから。
余計なことだ。
 
「違う」
「じゃあ、どうして」
「今日、一緒に出かけて、話してて。何度も思い出してたんだ。前になのはから聞いたことを」
「なのはから?」
「うん。……どうして行く前に思い出さなかったんだろう」
 
*   *   *
 
それは、お互いの家族について話題がでたときのこと。会話の流れでユーノの家族構成について尋ねた際に。
 
「──ユーノと私は、同じだったのに」
 
父も母もいない、天涯孤独の身。
そのことをなのはからかいつまんで聞いた時、自分と彼は同じだったんだ、そう思った。
生みの親を失い、身寄りのいなくなった自分と。
 
けれど、自分は変ってしまった。
新しい家族を得て、暖かい家庭を持ち。寮で一人生活する彼とは、大きな隔たりが生まれてしまった。
一度だけアルフと遊びに行った彼の部屋を思い出す。彼らしく、整頓された小さな部屋。
ただいまを言う相手も、共に食事をする家族もいない。ごく必要最低限の設備の揃った住まい。
 
彼にとっての家族。
強いて言えばそれは、スクライア一族の皆のこと。その家族からさえ離れ彼は一人で生きているというのに。
 
「なのに私、無神経にお兄ちゃんのプレゼント選びなんか頼んで」
「そんな」
 
ユーノは、戸惑っていた。
けれどフェイトは、申し訳ない気持ちで一杯だった。
謝っても、謝りきれないくらいに。
 
「ごめんなさい」
「いいよ、別に」
「でも」
「あのね、フェイト」
 
もういい、という彼の言葉にも自責の念は止まらない。
ひどいことをしたんだ、と今更に思う。
 
けれどユーノは、そんなフェイトの両肩を掴んで。
しっかりと、目を見てくれて。
 
 
「今日僕はすごく楽しかったし、別に傷ついたりなんかしてない。それに」
「……」
「目的を聞いて、もっと嬉しかった。そりゃクロノとはいまいちそりが合わないけど、フェイトに協力ができるってことだから」
「え……?」
「僕にいない分、フェイトにはしっかり家族との時間を味わって欲しかったから。それに協力できるのが、嬉しいかったんだ」
「ユーノ……」
「君の言うとおり、僕には直接の家族と呼べる人はいない。だから君がクロノやリンディさんと家族になって、本当に嬉しかったんだよ」
 
似ていたからこそ、幸せであってほしい。
 
昼間、目もあわせられず顔を真っ赤に染めていた少年が真剣な目で今、しっかりと自分のことを見つめている。
両肩を支えている彼の手が、暖かかった。そして後悔に満たされていたはずの心もまた、いつの間にか暖かさに満ちていて。
 
「だから君が自分を責めることなんて、何もないんだ。君がリンディさんやクロノと『家族』でいてくれるのが、僕にも凄く嬉しいことなんだから」
「……ほんとに?無理、してない?」
「当たり前だろ」
 
嘘や強がりなんて言う筈がない。
同じだったからこそ、フェイトの今の幸せを喜んでいるのだから。
 
ユーノはこちらの手をとって、先に立って振り返る。
 
「さ、なのは達のところに行こう?そんな顔じゃきっとみんな、心配するよ」
「……うん。ありがと、ユーノ」
 
潤んでいた瞳を、フェイトは空いた手で拭った。
やっぱり、ユーノはやさしい。
兄の持つ不器用なやさしさとはまた違う、彼の得意とする結界と同じく、全てを暖かく包み込むようなやさしさ。
そんなところがきっと大らかななのはのパートナーとして波長が合うのだろう。
 
彼に手を引かれながら、フェイトはそう思った。
 
(やっぱり二人は……似合ってるよ。これ以上ないくらい)
 
──だけど、そんなユーノに好意を向けられているなのはが少しうらやましくもあり。
 
『ひょっとして────……フェイトの彼氏?』
 
昼間の言葉を、もう一度思い出す。
きっと、そうはならない。そうなることはないのだろう。
 
自分と彼の関係は、けっして。
 
「ねえ、ユーノ」
「うん?」
 
だから、フェイトはちょっとだけ手伝ってあげることにした。
 
今ではなくいつかくる、そのときに。
 
肩からかけたポーチの中にある包みは、直接彼に渡そうとおもっていたけれど。
だけど、やめた。今はまだ、その時じゃない。
 
「髪、伸ばしてみたら?似合うと思うな」
「え?ああ、最近ちょっと伸びてきてるかな。そう?」
「うん」
 
これは「彼」ではなく。「彼女」に渡すのだ。
 
「絶対に、絶対。きっと伸ばすと、いいことあると思うよ」
「?」
 
もう少し、先に。
彼の髪がそれを必要とするくらい、長くなったら。
そうしたら、友に渡して。彼女とともに送り出そう。
 
さりげなく、鈍感な友に気付かれないよう、あくまでもさりげなく。
込めた想いとともに渡すのだ。
 
「なのはもきっと、そう言うと思う」
 
きっとみんなの背も、心も。髪の長さと同じくらい、成長しているから。
 
なのはのためじゃない。
ユーノのためじゃない。
自分のためだと言ってしまうと、我侭で傲慢に聞こえるかもしれないけれど。
 
笑っていてほしい人が、いるから。自分の、その願いのために。
 
彼の色をした、一組のリボン。
翡翠のようなエメラルドグリーンを二人が分け合うその日まで、今はまだ。
 
想いとともに、しまっておこう。
 
*   *   *
 
「──はやて?」
 
返事が、なかった。
代わりに聞こえてくるのはやすらかな、すやすやという寝息。
 
「……寝ちゃったか」
「こっちもだ、まったく」
 
シグナムもまた、ぼやく。
はやてがフェイトの背中にしなだれかかったまま。
シャマルはシグナムの肩を借りて、酔いつぶれる形で眠りこけていた。
 
「私の話、そんなに退屈でした?」
「いや、そうではないと思うぞ」
 
よっこいしょ。
飲んだくれていた当事者たちが潰れてしまった以上、もうこのまま宴会を続けている理由もない。
シグナムがシャマルを抱き上げ、フェイトもそれにならいそのままはやてを背負った。
 
「すまんな、邪魔をした。散らかしっぱなしで悪いが」
「いえいえ」
 
二人を部屋まで運んだら、しっかり片付けないと。
その事実は事実であったが。
別段苦にも思わなかったので、シグナムには首を横に振っておいた。
 
「しかし、主もおっしゃっていたが。本当によかったんだな?これで」
「……あなたまで言いますか、シグナム」
 
そういうあなたこそヴァイスのことに気付いてあげたらどうですか。
言いたくなって口がむずがゆくなったけれど、我慢して。
 
自分の周囲の人々の心配性ぶりが無性におかしい。
もっともユーノやなのはのことについては自分もその心配性の一員なのだろうが。
 
「言ったでしょう、大丈夫だって」
「そうか」
「ええ」
 
悲しく思うことなんて、何もない。
自分が納得した上でのことだ。納得した上で、背中を押す側に立つことを選んだのだから。
 
迷いも、後悔もない。
 
「私が好きだったのは……ううん。好きでいるのは、なのはのことが好きなユーノですから」
 
お酒のせいか、自分の言った言葉を恥ずかしいとは思わなかった。
 
今でも、ずっと。
これから先も、やっぱりずっと。
親友のことを大切に思っているのと同じように。
 
フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは今も、ユーノ・スクライアのことが、大好きだから。
 
 
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