というか安田さん。

 
なポジションです、今回〜次回のWeb拍手お礼のなのはさんの立ち位置は。
 
まずはWeb拍手レスから。
 
>「羽根の光」最新話拝読しました!見ていて辛い話ではありますが…普段のなのはに対する姿勢からくる三人の違いが強く感じられました。
ヴィータは苛立ちも大きいと思います。フェイトはひたすら心配、ユーノは両者の中間圏てとこですか。
 
>フェイトは未熟なんだなとこの回を見て実感しました。怪我をした本人がやめたいと言うならばいざしらず、横で見ているだけの他人がやめようなどと言うのは頑張ろうと決めた本人を馬鹿にしてます。自分も足のことでリハビリをしましたがそんなことを言ってくる家族に言い返さなければいけませんでした。「自分のことなんだから背中を押すのはともかく足を引っ張らないでくれ。心配してくれるのは良いが自分はここでやめたらもう歩けない。やめても一生面倒見れるわけないしかけるわけいかんやろ。」そんなことを言いましたね。フェイトはこういう分別ができてないみたいですね。そして、本編を見る限り19歳の時点でもそれができてない様子。フェイトが本当の意味で自立できる日が来るといいなと思います。
えーと。なんかすいませんorz一応混同しないでほしいのはこれはあくまで「うちの」フェイトであって本編のフェイトそのものではないんで、本編のあの子まで嫌いにならないで欲しいです。そういう描き方しかできなかった自分が悪いのでorz
 
>ウーノが試験的に各種ISを扱うというのは斬新ですね。強敵として現れるのも。後半も期待してます。
わかりにくかったかもしれないけど鉤爪は二番の子の武器そのまんまですんで。
武装名称誰か教えてくれい。
 
>スカはプロジェクトFの基礎のみで完成はさせてませんから、フェイトがスカに造られたって表現は違う気が
それについては一応今回の後編でフォロー・・・してるはずです、はい。
 
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なのは×ユーノステーション、募集期間延長中。詳しくは前回のエントリにて。
 
そして前回のフェイト話後編、いきます。拍手ssもどうでしょう三回目に更新。
 
↓↓↓↓
 
 
 
 
手数だけならば、フェイトのほうが上だった。
攻勢に立った執務官は毎秒、息もつかせぬほどに相対する鉤爪の女性を追いたて、攻め込み。
けっして広くはない室内において、接近戦を仕掛け続ける。
 
だがしかし、攻め続ける本人に攻めている気が全くといっていいほど沸いてこない。
 
それは相手が全くといっていいほどに、手を出してこないが故。
おまけにクリーンヒットの一撃も入らぬとなれば、無理なからぬことだった。
 
『Haken Slash』
 
避けられた大鎌の光刃が、易々と壁面を貫き突き刺さる。
わざわざ引き抜くよりもそのまま振り切ったほうが早い。
筋肉にかかる力の方向を変えることなく、円運動でフェイトは背後へと着地した女性へと武器を構えなおす。
 
この、繰り返し。猛攻をしかけ、さばかれては距離を開けられ。
開けられた距離を詰めては、攻勢をかける。
既にさして広くない部屋は、そこかしこにフェイトの猛攻の傷跡が刻まれていた。
 
相手の戦術は当然といえば当然。
こちらは相手を捕らえねばならない、あちらは捕まりさえしなければよい。
その状況的なハンディを逆手に、遊ばれている。

「けど!!絶対に……っ!!」
 
プラズマランサー。爆破範囲最小設定。
それでもこの狭さでは有効たりえるのは一度に三発が限度。それ以上は逆に意味がない。
照準は不要だ──相手を先に動かす、ただそれだけのためにただ足元めがけ撃ち放つ。
 
──絶対に、捕らえる!!
 
床を蹴った女性に追いすがるように、フェイトもまた跳躍をそのタイミングからワンテンポずらし、重ねた。
 
まだまだこの程度で攻勢を緩める気も、音をあげる気もなかった。
 
 
魔法少女リリカルなのはA’s to Strikers 
 
雷の意志−secret ambition− 後編
 
 
「……非常に残念です、フェイトお嬢様」
「──!?」
 
鉤爪と光刃とが、交差していた。
体格差はわずかばかりあちらが上、その差を己の肉体に施した魔力強化により、フェイトは補っている。
 
「あなたも元を辿れば、ドクターの技術なしには存在しえなかった身。そのあなたがドクターを狙い、捕縛しようなどと動いているとは」
「どういう……意味だっ!?」
「本来ならばあなたもこちら側にいるべき存在──ということです」
 
なん、だと?
 
動揺に、一瞬刃先の力が鈍る。
大鎌を弾かれ、フェイトは仰け反り。
直後鳩尾めがけ叩き込まんと伸びてくる左のボディブローを間一髪、膝で受けその勢いに従うまま、後ずさる。
 
「っ……!!」
 
膝の皿に、きいんと金属を打ち鳴らしたような鋭い痛みが駆け巡る。
遅れて、右足全体に痺れが続く。
 
「なにしろ、プロジェクトF。あの計画の根幹を直接、あなたのお母様に教え技術を与えたのは、他でもないあの方なのですから」
「!?」
 
だがその痺れも、一瞬にして吹き飛んだ。
 
驚愕と。
 
「いわばあの方はあなたにとって父親も同然なのですよ。フェイトお嬢様」
 
形容しがたい不快感と怒りに、神経が塗り変わっていったが故に。
 
──母が、スカリエッティに?
 
「あら、ご存知ありませんでしたか?」
 
知るわけが、なかった。
 
ジェイル・スカリエッティが基礎分野を確立した、人造生命のクローニング技術。
人の命そのものを実験材料としたそれは倫理的・人道的問題から当然の如く表立った場所には現れることの出来ない代物だ。
 
だからこそ、その筋の人間──蛇の道に住む蛇とも言うべき輩や、わけありの人間のみが知り手を出すところのもので。
 
「あなたの製造についてもちかけたのは──ドクターご自身なのですよ。ちょうどあれは未完成で、ドクター自身一人で研究することに飽きていた分野でしたから」
 
フェイトも母が、そんなわけありの人間の一人であったからこそ手を出しえたものだとばかり思っていた。
本来、生きているはずだったもうひとりのフェイト……アリシアを取り戻さんとするがために。
狂気の科学者が生み出し、逃亡生活のうちにおいて残し世界へとばらまいていったその技術を。
 
ただし、全ては偶然に偶然が重なったが故の結果であるとばかり、フェイトは認識していた。
民間企業や一見普通の研究施設とて、ろくでもない研究を秘密裏に行っているケースも多い。
そこにいる者たちが望む望まぬに関係なく、宮仕えの悲哀に従わざるを得ず発覚せぬ限りその方針通りに研究は続けられる。
 
かつて大魔導師と呼ばれるほどの能力を持っていた母、プレシア・テスタロッサもそれゆえ参加したのだ。
プロジェクトF……生命を生み出す、その研究に。携わっていたからこそ、フェイトを生み出すことができた。
 
「たしかに彼女の技術力は群を抜いてはおりましたが──所詮は畑違いの工学出身。しかも他が烏合の衆。彼女一人の力ではどうしようもなかったでしょう」
「黙れ……」
 
フェイトがスカリエッティを追っているのは、第一に様々な悲劇を生み出して来た、犯罪者だからによる。
エリオや、自分や。他の顔も名前も知らないような、会ったこともない人々が命を弄ばれるきっかけをつくった人物であるからというのもある。
彼がこれ以上の悲劇を作り出す前に止めるのは、彼の技術が巡り巡って生み出した自分にこそしなければならない仕事だと思ったから。
 
「大体、彼女が機密事項に値するF計画の研究データをどれほど持ち出せたかも疑問でしょうに。中央開発局のセキュリティを知らないあなたでもないでしょう」
「黙れ」
「もっとも持ち出せたところで、ドクターなしのその研究がどれほど有用なデータであったかも謎ですが」
 
だから、偶然だとしか考えていなかった。
スカリエッティの生み出した技術があった。その技術の傍流を、母プレシアは知っていた。
……そしてそれを欲し、使わざるをえない状況にあった。ただそれだけのことであると。
 
そのあくなき願望ゆえに、自分を生み出すことが出来たのだとばかり。
 
「あなたは自覚していなかったかもしれませんが、むしろ……ただの劣化したクローン技術などよりも遥かにあなたのそれは、我々に近いのですよ」
「黙れ!!」
 
スカリエッティはただの一犯罪者。興味の方向故研究の対象を誤り歪んでしまっただけの、ただの科学者だと。
たとえ自分を生み出した技術のそもそもの発端が彼にあろうとも、それは恨むべき対象ではないとフェイト自身納得していたのだ。
罪を憎んで……というわけではないが、全ては不幸なめぐり合わせであったのだと。
言い聞かせ、フェイトは割り切っていたのだ。
 
だが、彼の部下と名乗ったこの女性は言ってのけた。
悪魔のささやきを耳元で母に吹き込んだのが、紛れもなく──スカリエッティ自身であると。
 
バルディッシュ!!ザンバー!!」
『zamber form』
 
脳が理解してしまえば、身体は勝手に動いていた。
一瞬にして伸びた黄金の大剣が、女性へと振り下ろされる。
 
「もっとも我々の協力があったとはいえ、転向間もない生命工学をあなたという例をもって完成させた彼女は賞賛に値しますが」
 
赦せない。ただそれだけのフェイトの怒りを、その原動力にして。
証拠だとか、そんなものもはやどうでもいい。
 
「黙れええええぇぇっ!!」
 
女と。その背後に待っている、行方すらわからぬ男への怒りを、ただフェイトは刃に込めた。
 
*   *   *
 
振り下ろされた剣は、当たらなかった。
 
無理もない。怒り任せ、力任せの一撃が高速機動をもつ相手に、まともに命中するわけもないのだから。
けれど太刀筋を避けた相手の動きは、スピードによるものとはどこか違っていた。
しいて言うならば、動いた、というよりは消えた、といったほうが近い。
 
そして気付けば、周囲の様子も異変を生じさせていた。
 
「これは……」
 
薄靄に、部屋の景色が歪む。
 
「IS……試作ナンバー4、『シルバーカーテン』。出力制御もまだまだの代物ですが、テストさせていただきます」
「!?」
 
声に振り返る。いつの間に、後ろに。
けれど振り向いた先に声以外、女性の姿を窺わせるものは何もなく。
 
──そこには、母がいた。
 
「え?」
「今はあなたについて、ドクターから何も指示は受けておりません。……それでは」
 
いつしか、部屋もまたまったくの別物へと変貌し。
忘れもしないその場所が、視界全体へと広がっていた。
 
「しばらく御覧になることです。ご自分の生い立ちを」
(時の……庭園!?)
 
そこは、母の研究室。
殆ど入ったことはなくとも強烈な印象を残しているそこで、母は頭を抱え懊悩していた。
 
「母さ……」
「やあ。プレシア・テスタロッサ女史。先日の話は考えてくれたかな?」
 
そして男は、すぐ横にいたフェイトのことなど気付きもしないように通り過ぎる。
目深にフードを被った、コートの男。かといってこれほどの近距離だ、見えなかったはずはない。
おかげで、フェイトもこれが幻影であるということを理解する。
 
「また、来たのね」
「……!!」
 
うんざり、といった表情で顔をあげた母。
彼女と相対すべくフードを下ろした男の顔に、フェイトは息を呑んだ。
 
はじめて、会う顔だった。けれど今まで、幾度となく資料で目にしてきた顔でもある。
 
(ジェイル……スカリエッティ……!!)
 
幻影だとわかっていても、警戒してしまう。
少女の睨みつける視線も無意味なままに、狂気の科学者は大仰な動作でプレシアへと語りかける。
 
「わかったでしょう?所詮あの程度の連中の蓄積データでは培養技術など完成できぬということが。なにしろ私の残した基礎理論の半分も理解できていないのだからね」
「……」
 
さも、愉快そうに。
心から、愉快そうに。
 
母さんに、触るな。口をついて出ようとした言葉に意味がないことを自覚し、フェイトはぐっと堪える。
これは幻影なのだ。現実に、起こっていることではない。
 
「だが、あなたは違う。あなたになら私の手元にある残りのデータを預けてもいい。そうすればあなたはクローニング技術を完成させられる」
 
ぴくり、と母の眉が動いた気がした。
顔と顔とが触れ合わんばかりに耳元へと口を近づけたスカリエッティが、小声で囁く。
 
「取り戻したいのでしょう?お子さんを……プロジェクトFの力で、その手に」
 
……駄目だ。聞いてはいけない。
そちらに行ってはいけないのだ。
 
幻影に対してのその行動が無意味であることも忘れ、遂に堪えきれずフェイトは手を伸ばす。
 
「母さんっ!!」
 
その手も、その声も届きはしない。
霞の中へ埋もれていくように、その二人のやりとりの光景が遠ざかり薄まっていく。
 
「駄目なんだ!!それじゃあアリシアは帰ってこない!!帰ってはこないんだ!!」
 
必死で叫び、フェイトは手を伸ばし続けた。
けれど消えゆく遠い過去の幻影に指先ひとつとて、届くはずもなかった。
過去は戻らない。変えられない。どんなに願おうと、望もうと。
 
フェイトの手が幻影を掴むことができなかったのもまた偏に、自身深く心に刻むその言葉が真理であるがゆえであった。
 
*   *   *
 
通信機からの呼びかけに気付いたときには、もうそこには人影もなにもなくて。
 
確保すべき標的に逃げられた。私は幻影に自分が翻弄されるがままであったことを知った。
それが悔しくて。ただ、悔しくて。自分の未熟さに、拳を壁面へと叩きつけた。
 
事後処理も、細かな調査も現地の部隊に任せたまま現場をあとにした私は、本局に戻り迎えてくれたエリオを、ひたすらに抱きしめることしか出来なかった。
 
きっとあの子は、不思議だったろう。
どうして突然、このように自分が抱きしめられているのか。
何も私に言われぬまま、そうされていたのだから。
 
でもそのときは、そうしていたかった。
  
自分と同じように人ならぬ方法で産み出された彼と同じ体温を、共有していたかったのだ──……。
 
「フェイトちゃん?……フェイトちゃん」
「……ん」
 
そんな、昔の夢を見ていた。
肩を揺すられて身を起こすと、そこは椅子の上。
作業途中の書類が散らかった机が、私自身の温度に温まっていた。
 
……居眠りしていたのか。椅子を回転させ、起こしてくれたなのはに向き直る。
 
「……ごめん、私寝てた?」
 
ゲンヤ・ナカジマ三佐の108部隊に間借りする形で、隊舎を失った機動六課の隊長陣は各々の執務室をあてがわれている。
五人一部屋、他の部隊員たちにはそこまでの余裕はないから、焼け跡近くに仮設で造られた仮隊舎に詰め込まれているけれど。
なのはと自分以外、部屋はもぬけの空だった。皆これからのことや、襲撃を受けた六課隊舎の事後処理のために忙しなく立ち動いている。
 
そのような状況でひとり居眠りをしていたということが、申し訳なく感じられた。
 
「ほんの五分くらいだと思う。疲れてたんだね、きっと」
 
それは半分正しくて、半分間違った表現だ。
疲れているというのならば、六課全員が疲労困憊している。心も、身体も。
あの六課襲撃の日以来、休むべき枝を失った鳥たちの疲労は一様に大きいはずだ。
 
「あれだったらはやてちゃんには私から言っておくから。今日はもう休んだら?」
 
法務関係はフェイトちゃんがいないとはじまらないし、いざというときに動けなかったら困るから。
ありがたい話だが、そうも言っていられない。勧めてくるなのはに、私は首を横に振った。
 
もうすぐ、新たな翼をはやてがもたらしてくれるはずだから。
アースラ。私やなのはにとっても思い出深いあの船が再び空へと舞い上がるまでに、やっておきたいことは数え切れない。
 
書きかけの書類が、机の上には山積みだった。
ペンをとった私を見たせいかなのははそれ以上何も言わず、そのまま立ち去ろうとする。
 
「なのは」
「ん?」
 
彼女を、私は呼び止めた。
 
「スカリエッティを……止めよう。なんとしても」
 
いつもならこういったことを言うのは、なのはの役目だったけれど。
夢のせいか、自然に口が動いた。
 
「……うん、絶対に」
 
それは、ヴィヴィオを助け出すことにも繋がる。
中越しで互いの顔は見えなかったけれど、なのはの心にはそういった思いがあったはずだ。
なのはがヴィヴィオを助ける。私がスカリエッティを捕らえる。
私たちが、終わらせる。
 
彼女が出て行くとともにスライドドアが音を立てて、部屋と外界とを隔絶した。
写真たてが、机上に三つあった。
アリシアと、母さんが笑っている。ハラオウン家のみんなが、笑っている。
ひとつはもう取り戻せない、だけど。
 
なのはとヴィヴィオが笑いあう、最後の一枚の写真。
二人を、プレシア母さんたちのように離れ離れにはしない。
 
「……絶対に」
 
 
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