まあバッドエンドだったんでしょうね。

 
ん?でも因果応報という考え方でいけばトゥルーエンドなのか?
 
以下、Web拍手レス。
 
>浮気はいかんですが……ユノフェはいいですよ(ぉぃ
だがここはあえてヴェロッサで行く俺異端児。
 
>なのはの個人スレ313が良いこといってると思うのでちょっと見ていただけると良いかなと思いました。
キャラスレのことですか?流石にキャラ別個のスレまでは把握してないので知らんかったです。どんなこと言われてたんでしょ。
 
>他者から見た「強さ」で縛られてしまい、無理をする。それはなのはの優しさであり「弱さ」だと感じました。まぁ、だから泣かせてあげられる人ってのは大切だよねと言う話。実際描写されたのはフェイトでしたがorz
まあ、stsでのユーノのポジションを考えるとやむを得なくありますが。いーんだもんユーノ関連はこっちでやるからと開き直ってみる。
 
− − − −
 
で、エリキャロ話ラストです。
この二人の話がここまで難産になるとは思わなんだ。
ルーがらみやsts終盤の展開で色々方向転換した部分があったりしたのも原因なんでしょうが。
ちょっとうちのssとしては珍しい落とし方してるかな?
 
↓↓↓↓
 
 
 
「あっ」
 
からん、ころんと。
規則的に彼女の足元から聞こえていた軽快な音が途切れた。
直後、左腕にのしかかってくる体重の重み。
 
流石に、このくらいのことではもう驚かない。
出会いの際のちょっとしたハプニングや、初めて二人で出かけた休日に比べれば。
 
「キャロ?」
「ご、ごめんなさい……この履き物、慣れてなくって……」
 
先ほどまで小気味のいい音を立てていた彼女の両足には、木で出来たストラップで固定する履き物。
下駄というのだそうだ──……それが上げ底のような構造になっているおかげで、体重を預けてくるキャロの目線はいつもより、エリオの高さに近い。
ただ、同時にストラップ(これもまた鼻緒、という独特の呼び方があるらしい)が指の間にひっかかるだけであり不安定な一段階高い足元ということもあり、不慣れな彼女としては非常に歩きにくいのだろう。
 
キャロの体に、ごく当たり前にエリオの手は差し出されていた。
重心を確認するように危うげな足取りのキャロの掌をとり、落ち着くまで支えてやる。
そして、今度は隣ではなく前に立つ。
  
「いこっか。先導するよ」
「ありがとう」
 
彼らの知らない単語は、更にもうひとつ。
祭囃子の賑やかな音が、一足ごとに近付いていた。
 
 
魔法少女リリカルなのはstrikers 外伝 −十歳のパパとママ−
 
第四話 星空と月と、花火の下
 
 
人の波は、祭りという性質ゆえかやはりそれなりにはあった。
芋を洗うように──とまではいかないものの、ゆっくりと歩き流れていく程度には。
 
自分たちと同年代ほどの子供たちがはしゃぎ、人と人の隙間を駆けていく。
甘い匂い、ソースの匂い。鼻腔を擽る心地よい匂いはどれも食欲を誘うものばかり。
正しく子供であるエリオやキャロもまたあちこちの出店を見てまわり、手が伸びていくのも無理なからぬことであった。
 
「ふうっ、ここなら落ち着いて座れそうだね」
 
そんなこんなで、両手にそれぞれ各々購入した品を抱え。
落ち着いて座れる場所をと探し二人が見つけたのは、神社裏手の階段だった。
 
エリオのほうは、焼きそばとジュースを。
一方、キャロは──……。
 
「わ、すごい。ほんとに綿みたいだ」
 
キャラクターのイラストが描かれた袋から、真っ白な物体を取り出す。
ミッドでは見たことのない食べ物、それが出店の機械の中で段々に出来ていく光景に、二人は揃って目を奪われた。
 
綿菓子、という名前も名が体を表しているようで、なんだか面白かった。
キャロがそれを口に運ぶ様子を、エリオも焼きそばのパックを開く手を止めて見守る。
見た目に惹かれてついつい買ってしまったが、味のほうはというと実際定かではないのだ。
期待半分、不安半分に彼女の反応をエリオは待つ。
 
「……どう?」
 
しゃり、と砂糖を噛む音が僅かに聞こえて、小さな口を動かすキャロ。
 
「……おいしい。甘くて、ふわふわしてて」

ちょっとだけ驚いたように、彼女は反応を見せた。
そして食べてみる?といった風な仕草でエリオに白い大きな砂糖菓子を差し出してくる。
 
「いいの?」
「うん、おいしいよ」
 
甘いものはエリオも年齢相応に好きである。そう言われれば当然、固辞する理由もない。
気持ち少なめに、甘い匂いを漂わせる白い雲のような食べ物に歯を立て、齧る。
 
「ん……ほんとだ」
 
確かに、甘い。
ただ歯ごたえのないだけの食感かと思いきや、ふんわりとした柔らかさの後に決めの細かい砂糖の糸の歯ざわりが、噛むたびに小気味よく返ってくる。
 
……もっとも、量が量だけにこの甘さのものを一人で食べろと言われれば厳しい気もするが。
 
ついつい二口目を口に運びそうになり、そんなことを思ってこれ以上はキャロに悪いと思いとどまる。
 
「……っと、ごめん。ありがとう、キャロ」
「もういいの?」
 
キャロに綿菓子を返し、自分の焼きそばへととりかかる。
まだあたたかい焼きそばはやや辛めのソース味で。
甘い砂糖菓子のおかげで耐性の弱まった舌に、少しひりひりとした。
 
昼間食べた自業自得の辛口カレーよりは、食べやすかったけれど。
 
*   *   *
 
「今日はお疲れ様、キャロ」
「うん、エリオくんも」
 
食べるものを食べて一息つけば、出てきたのは互いをねぎらう言葉だった。
 
思えば、あっという間。けれど、過ごしている間はそれなりに長く感じた一日。
 
「その……ごめんね、お料理うまくできなくって」
「いや、そんなことないよ。キャロの作ってくれたカレー、辛かったけど、おいしかったし」
 
どれもこれもはじめての経験で、思い浮かぶ度なんだか奇妙な気分になってくる。
 
「大変……だったよね」
「うん、でも楽しかった」
 
小さな、子供たちの世話。
試行錯誤に、四苦八苦、やることなすことみんな、わからないことだらけだった。
けれどそんな一日も、出掛けに子供たちからかけられた言葉に不思議と吹き飛んでしまって。
 
少しだけ。少しだけ、年下の子供たちとの接し方がわかったように思えるのは調子に乗りすぎだろうか。
 
「僕らやヴィヴィオの相手をしてるときのフェイトさんたちも、こんな気持ちなのかな」
 
いってらっしゃい。まわらない舌足らずなその声と、向けられた無邪気な表情とが思い出され、心を穏やかなものにする。
 
「前に、フェイトさんが言ってたよね。私たち二人がしっかりしすぎてて寂しい、って」
 
今なら、その気持ちも少しはわかる気がする。
大変ではあっても、頼られる一日は充実していた。
 
そういった存在がいるだけで、笑ってくれるだけで十分と思えるほどに。
 
「……でも」
「でも?」
 
丸く、月が夜空に光っていた。
団扇を手に見上げるキャロの表情が、一瞬曇る。
 
「あの子。ルーテシア……ルーちゃんにはいるのかな。そんな風にしてくれる人」
 
それは、持てる者から持たざる者への傲慢な憐れみなのかもしれない。けれど。
思わずにはいられなかった。
 
自分たちには、フェイトがいる。
ヴィヴィオには、なのはが。
ならばあの召喚魔導師の少女──ルーテシアと名乗った女の子には?
 
キャロの言葉に、エリオもまた考え込む。
 
「融合機や、戦闘機人。あの子、たくさんの人たちに囲まれてはいたけど、だけど」
「……うん、なんだか寂しそうだった」
 
自分自身、その寂しさを知らぬ間に抱え込んでいる目。
そして、それを解消する方法を知り得ない目は、二人にとって見紛うはずもない。
 
なぜならそれらはかつて、自分たちが抱えていた思いと同じものなのだから。
 
彼女にはきっと、目的がある。
他の誰にとってでもない、彼女自身たったひとりにとって大切な、戦う理由が存在する。
機動六課という組織に属する自分たちの成すべきこととは、相反する形で間違いなく。
 
「……お話、できないかな」
 
ならば、いずれ。
また再び、自分たちは彼女と、その使役する召喚の獣たちと相見えることになる。
 
そうなったとき、出来ることならば戦いたくはない。
話して解決できるなら、それに越したことはない。二人はそう望む。
 
「……そのためにも、もっと強くならないと」
「うん」
 
相手の力に一方的に屈することなく、刃を受け止めて対話が出来るように。
まっすぐに向き合ったその力に、押しつぶされてしまわぬように。
 
なによりそのために他の皆へと、迷惑をかけてしまわぬよう。
自分の望み故周囲の他者へと余分な労力を要求するようでは、それでは今彼女たちがしていることと変わらない。
彼女たちを止めたいと願うのであれば、同じ轍を踏むわけにはいかない。
どんなに強い願いがあろうとも。他者を巻き込む権利はどこにも誰にも、ないのだ。
 
「もっともっと、強く」
 
強く、なろう。
大切な人の力になりたい、その思いははじめから変わらない。そのために自分たちは力を欲した。
その対象が、少しだけ広がったのを実感する。
助けてくれた人から、助けたい人へと。同年代の、自分たちとよく似た一人の少女が、その世界へと加わっている。
 
頷きあった二人を見下ろす夏空は、月明かりで十分に街を照らしていた。
幾多の星が濃紺のキャンバスに瞬き、祭りの音を吸収していく。
 
「まあ、でも」
「うん?」
 
キャロが、真剣だった表情を崩して笑っていた。
 
「帰ったらまず、ヴィヴィオと仲直りしないとね」
 
一瞬、微笑を向けられたエリオは豆鉄砲でも食らったように固まった。
そして直後、破顔一笑
 
「そうだね」
 
二人が笑いあうと同時に、夜空に花が咲いた。
大きな、大きな極彩色の色とりどりの花が。
 
「どっちも、がんばろう」
 
この世界でわかったこと。気付いたことを胸に。
身近な幼い少女のことも、助けるべき同年代の少女のことも。
 
どちらも頑張ろう。まさにその通りだ。
 
色鮮やかな花畑と化した夏の夜空を見上げ、二人は小指と小指を絡めた。
 
*   *   *
 
──そして。
 
「あの、ルー?ちょっとでいいから……離れてもらえない?」
「や」
 
言いにくかったことを、ようやくエリオは言った。
かなり遠慮気味に、かなりの妥協をして。
 
もちろん、返ってきたのは即答での拒否だったけれど。
 
「ルーちゃん、エリオくん困ってるよ。少し離れて……」
「や。エリオと一緒」
 
それは、レリック事件終結の打ち上げの席。
解散の決まった機動六課が纏まって行う最後のイベントでのこと。
 
「むー……」
 
酒も入り無礼講状態の無法地帯と化した年長グループとは、エリオたちの座る年少グループは一線を画しているはずだった。
一応のお目付け役のリインと、ヴィータが食事に専念する中。
エリオとキャロと、保護されたルーテシアの三人はなんらつつがなく大人たちのどんちゃん騒ぎを脇目にのんびりと事件の解決を祝っていたはずなのである。
 
だが。
 
「ルーちゃん!!」
「や」
「キャ……キャロ?」
 
表情を引きつらせた、キャロの視線が何故だかすごく痛い。
おまけに左腕はくっついて離れようとしないルーテシアに、がっちりと掴まれているし。
 
「エリオくんももっとしゃんとしないと!!」
「は、はい」
 
険悪……というか、ぎくしゃくしたムードなのはエリオにもわかった。
ただその原因が自分にあるのか、そもそもなぜ自分が一方的に声を荒げられなくてはならないのかがよくわからない。
 
「んー、エリオ」
「って、わっ!?ルー!?」
「ちょ、ルーちゃん駄目ッ!!」
「なんで……?」
「なんでって、駄目なものは駄目なのっ!!友達同士でもあんまりべたべたしすぎるのは!!」
 
ルーテシアがエリオの胸に顔を埋めるに至って、ぎくしゃくムードは騒がしいものとなる。
エリオにくっついて離れようとしないルーテシア、彼女を引き剥がそうとするキャロ。
二人の間で引っ張られて痛い思いをするエリオ。
 
「ヴィ、ヴィータ副隊長!!助けてください!!」
「あん?……ま、頑張れ」
「ちょ、ちょっと!!ヴィータ副隊長!?」
 
助けを求めた赤毛おさげの上司には、食事の邪魔をするなとばかりに背を向けられる。
 
「リイン曹長!!」
「キャロもルーテシアも、どっちもファイトですよー!!」
曹長ってば!!」
 
おまけに最後の頼みの綱にも、なんだかむしろ二人に発破をかけられる始末で。
 
「やー、なんだか娘に夫を占領される若夫婦みたいで微笑ましいですねえ」
「どっちが娘でどっちが嫁かわかんねーけどな、歳同じだし。……あ、唐揚げもうねーや。アイナさーん」
 
さしずめ十歳のパパとママに、同い年の娘が加わったというところ。
上司たちが彼らの織りなす混乱の光景をほのぼのとそのように評価していたことなど、聞こえる余裕もありはしなかった。
 
「ま、いんじゃねー?キャロのやつは今まで鈍すぎるくらい鈍かったわけだし。そのままなのは二号になられても困る」
「ですう」
「あー!!ヴィヴィオもやるヴィヴィオもやるー!!」
 
そんなエリオへの止めの一撃。
それは両腕を引っ張られ無防備なところへと、大人たちの宴会に飽きたヴィヴィオにより投下されたフライングボディアタックの直撃であったそうな。
 
どうもボディ以外の場所にジャストミートで、入ったらしい。
男の子としての大事な部分に、直角に膝がめり込むようにして食い込んで。
 
もちろん小さな女の子の無邪気が起こしたことである以上、遠慮も手加減もなくそれは行われたのであった。
 
−おしまい−
 
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Web拍手お礼のようなノリで締めてスマソ。
でもたまにはいいよ・・・ね? つWeb拍手