他の作品に浮気しそうだ。

 
原稿やったりしてる最中に、ラノベやら漫画やら(自分の場合ラノベはあまり読まないんでお気に入りのものとかだけなんですけども)読んだり、アニメ見たりしてると、ね。
目の前に仕上げなきゃいけないものがいっぱいあるにもかかわらず「あー、この作品で書きたいなぁ」という衝動がむくむくとわきあがってくるから困る。
 
いまのところ「マリア様がみてる」と「みなみけ」がそんな作品だったりします。
どっちもラブ系のお話で、ノーマルカップリングで。
ごめんな、百合はソフトなら読むのは好きなんだけど書けないのよ自分。
 
前者についてはまあこの作品を題材にしたノーマルカップリングのssならわりと一般的か、と思われるもの。そもそも百合の代名詞的な作品だからノーマルのほうが少ない作品ではあるけれども。
後者については「正気かお前?」といわれそうなくらいおそらく非常に珍しいと思われる組み合わせ。
むー、書きたいねい。
 
 
と。うだうだ言ってないで目の前にあることを終わらせろや自分、と発破をかける意味で、リリカルUNION用の書き下ろしのうちの一本のプレビューをのっけときます。
とっとと後戻りをできなくしてしまおう。
拍手への返信は明日。
 
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 1/ はじめての、相棒。〜疾走〜
 
 
着弾の軌跡は、問題なく見えている。
 
右。左。軽い足首のスナップで身を捩るまでもなく紙一重でかわし、標的たる射撃手へと距離をつめていく。
 
「ったああありゃああああっ!」
 
懐に入りさえすれば、自動制御の射撃スフィアなどただの宙に浮かぶ的に過ぎない。
アッパー気味に打ち上げた拳が、脆いその外殻ごと、小気味よい衝撃感とともに球体状の小型の機体を砕き散らす。
 
『aimed』
「!」
 
狙い通りの撃破に快哉をあげる間もなく、足元からの短い声。
直後背筋に感じるのは、無数の方向から自分に向けて放たれる、人外の──無機質な機械のもつ殺気。
 
誘いこまれたか、と後悔するまでもない。このくらい、避けきれなくてどうする。
相手は訓練用の低レベル設定スフィア、弾速もたいしたことはない。
 
視界の端に、崩れた壁の織り成す瓦礫が見て取れた。あれでいい。
あれに一旦身を隠して直撃を防いで、爆風が相手の視界をつぶしているうちに一気につっこむ──……つもりだった。
 
『no』
「って、わわっ!」
 
しかし、彼女がその意図を遂げることは成し得ない。
 
後退をかけようとした彼女の意に反し、両足に装備した四輪のインラインローラーが急激に加速をかけ前方へ飛び出していく。
それはあまりに唐突、あまりに予想外で。降り注ぐ光弾の驟雨に無防備に、少女の身体は晒された。
 
──当然、その全てを避けきることなど、不可能である。
 
訓練用の低出力弾が、体勢を崩したおかげでバリアを展開しきれなかった部位へと、見事に命中し。
それがとどめとなって、もんどりをうって少女は後頭部を埃だらけの硬く暗い床面へとしたたかに打ちつける羽目になったのである。
 
『そこまで。訓練終了』
 
アナウンスとともに、スフィアたちの行動は停止し、光弾の弾幕も止む。
 
そして、土埃が少しだけ落ち着き始めた頃。
頭を抱えて悶絶する少女の転げまわる様を、蒼い髪の下に白い鉢巻を結った白衣の陸戦魔導師が、呆れ顔で見下ろしていた。
 
*   *   *
 
「あーもう、毎回毎回、なんなんだよお前はっ! ちゃんとアタシの言うこと聞けって、何度言えばわかるんだよ! このポンコツっ!」
『……』
 
ミッドチルダ南部湾岸地区担当・特別救助隊隊舎、食堂。
特別の名が指し示すとおり、救助任務対応の管理局部署のなかにおいても一般に特別救助隊とは、選りすぐられた集団として一目置かれる存在である。
制服はその選ばれた一員であることをはっきりと指し示すように、他の陸士部隊とは異なる目にも強い印象の銀色をしたものだし、入隊にあたっても基本的にはある程度の実績を上げた者でなければ選抜されることも許されることもない。
 
ゆえに、目立つ。特救と略し呼ばれるその一員となることが、ではない。
 
銀色ばかりが日常を送るこの隊舎において、昼時の食堂でデバイスを相手に喚き立てる茶色の一般陸士制服の少女というものは、非常に目立つのである。
 
名前は、ノーヴェ。階級は一等陸士の、特別救助隊においては以上に稀な研修生──いわば、見習いである。
 
『Your choice was wrong.』
「んだとおっ!」
「あーほらほら、ノーヴェ。そんくらいにしときなよ」
 
吠えた後頭部に、チョップ一発。中央に山盛りのペペロンチーノパスタが盛られた皿が既に置かれているテーブルへと、湯気を立てて彼女の顔がめり込む。
その揺れに、麺の山がわずかに地滑りを起こして、傾斜を変化させた。
 
「サイクロンキャリバーも。デバイスと魔導師の間の意思疎通は大事なんだから、もっとコミュニケーションしっかりしないと」
『I think so』
 
フォークで麺を口に運びつつ、左手のチョップも含めたやりかたで二人(一人と一機)を諌めるのは、ノーヴェそっくりな顔の少女。……いや、生まれの順を考慮するならば、彼女のほうが姉なのだからノーヴェのほうが似ているというべきか。
 
咀嚼した口の中身を飲み込んで、スバル・ナカジマ三等陸曹は自身の愛機──マッハキャリバーとともに、テーブルへ突っ伏した妹分へと講釈を続ける。
一年間、機動六課でヴィータやなのはにみっちりとしごかれ続けたおかげだろうか。スバルの躾の方法はわりとスパルタ気味である。
 
「ってーな! 何すんだよ、ゼロセカンド!」
「はいはい、ギン姉からも教わったでしょ。デバイスとの接し方とか」
『Settle down a little.』
 
あと、その呼び方やめろって言ってるでしょ。……といわんばかりに、後頭部へとチョップ二発目。ノーヴェの沈没も、二回目。
 
「うー……」
 
頭を押さえながら、ノーヴェは机上の六角形をした黒色宝石を見つめる。



 
 
<<<中略>>>
 
 



二次被害者?』
「そう! そうだよ! 妹のほうが息してないって……はやく戻ってきてくれよっ!」
 
任務中の通信は、船内深くに入り込んだ相手に向けてのものということもあり、ざらついた画像をノーヴェの目へと見せていた。
 
背後には救急キットを広げた医療班員がひとり。
濡れ鼠で横たわる少女の胸元に聴診器を当て、いくらかの言葉をすぐそばに立つ少年へと問うている。
 
少年と少女とは、兄妹らしかった。沖合いにボートで釣りに出たところを、操船不能になり陸地間際に入り込んできた大型船と遭遇、接触し。
大破・四散した船上から投げ出された少年は動かなくなった妹を抱え、岸までを泳ぎきったのだという。
実際、毛布を肩からかけた幼いその身体は水の寒さに凍え、噛みあわない歯の根をカチカチと鳴らして未だ小刻みに震えている。
 
こういうとき、ノーヴェはどうしていいかわからない。いくら敵を叩き潰すことについて威力を発揮する強靭な身体も、何の役にも立ちはしない。
ただ切迫した表情の医療班員が施す救命処置を受ける少女と、二つのモニターにそれぞれ映る青い髪の姉たちの顔との間を交互にちらちらと視線を行き来させ、指示を待つだけだ。
 
『救護ヘリの出動要請は?』
「したさ! でも今からじゃ到着してもとても間に合わないって、医療班が!」
『ノーヴェ、少し落ち着きなさい。……スバル。あなたたちの輸送機の現在位置から、最短での医療施設までの距離はどのくらい?』
 
おろおろと、二人のやりとりに口も挟めず狼狽するしかないノーヴェ。しかし対照的に姉二人は、苛立ちを覚えるほどに冷静で。
 
『距離自体はそこまでじゃないけど……輸送手段がない。ヘリの出動は間に合わないし、市街地までの間には廃棄区画があるから車も無理。航空魔導師も現場にいないとなると』
「そんな! じゃあ、見捨てるのかよ!」
『そうは言ってないわ。……とすると、とれる手段はひとつか……』
 
ぴしゃりとしたギンガの口調に、普段は反論を即座に返すノーヴェもだまって口を噤まざるを得ない。
ただ、年上というだけではない。目を移し見たスバルも、普段の温和さなどどこかにいったかのように鋭い眼差しで、思索に耽っている。
 
──自分などとは違う。映像の向こうにいるのは場数を踏んだ、『人の命を救うこと』のエキスパートとしての少女だ。経験が、違いすぎる。
 
ごくりと、思わずノーヴェは唾液を嚥下し二人の次の言葉を待った。
 
『スバル、指揮官に許可を』
『うん、そのつもり』
「?」
 
意見が一致したように、二人は頷きあう。
置いていかれた形のノーヴェに、そして四つの視線が同時に向けられる。
 
「な……なんだよ?」
『いい、ノーヴェ。よく聴いて。今から病院に連絡をして、廃棄区画の出口まで車を回させる。だから』
 
口火を切ったのは、ギンガ。言葉を継いだのは、直属の上司の立場でもある、お目付け役のスバルだった。
 
『だから、ノーヴェがそこまでその子を運んで。エアライナーを併用すれば瓦礫も無視できるし、キャリバーで走るのが一番速い』



to be continued..../
 
 
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てわけでそのうちなのは以外の作品も扱うようになるかもしれませんー。
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