実家に戻ってきてます。

続きを読むからOO更新してます。
 
>ティアナ=ライル、アミバ(違ったか?)=サーシェスと見立てると…この後ティアナが「兄さんとなのはさんの事、責められないわね…コイツだけは、許せない!!」と言って、この自惚れ野郎をハチの巣にする訳ですね。 そして、最期はティアナを騙し撃ちしようとして逆に彼女に眉間を撃ち抜かれると…合掌。(チーン)
いやいや、やんないやんないwそんないい扱いありません、うちのあのオリキャラさんには。
 
 
 
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「姉妹か──……成る程、たしかに言われてみればよく似ているね」
 オレンジ色の服を着た男──アレルヤ・ハプティズムと名乗った彼が、言って頷いた。
「遺伝上血が繋がってるのはスバルとノーヴェだけだけどね。あたしはちょっと別」
 温厚そうな人だと、率直には思う。だが、だからといってそれだけで、気は抜けない。
 きっとその認識は、かいつまんだ補足説明を次げたディエチも同じ。
 だから、庇っている。警戒をしている。
 アレルヤと。ロックオンと名乗ったモスグリーンのボディスーツの男に連れてこられた、ノーヴェを。ノーヴェを追い立ててきた、彼らから。
「とにかく、きみたちの間にある関係性については把握した。続きを、聞かせてもらいたい」
 そう話を進めるのは、眼鏡の少年。ディエチを拾ってくれたという、ティエリア・アーデ
「なにぶん、不明な点が多すぎる。ロックオンや刹那の話を総合してみても──俄かには信じがたいことばかりだ、きみたちは」
「……だろう、ね」
 ほんとうに、そうだろうと思う。
 多分状況は多少は、自分たちのほうがよくわかっているはず。
 自分たちがどこからきて。そこが、『この世界ではない』という、たったそのくらいのことではあるけれど。
「さあ、教えてくれ」
 無論それでは不足だから。共有は必要だ。
 だからスバルは頷く。ティエリアの要求に対し。
 一応姉妹の序列としてはディエチが一番上ではあるけれど──資格の上ではきっと、スバルのほうが適任でありそうすべき立場にあるから。
 ちらと姉を見ると、かまわないと同意を示す視線が返ってくる。
「きみたちは、何者だ。どこから、やってきた」
 伝え、応えて。あちらからも──聞こう。
 
 
 Strikers −the number of OO−
 Act.2 来訪者たち (下)
 
 
 ミッドチルダ。クラナガン。時空管理局。魔導師──どれも、自分たちにとってはごく当たり前の単語だし、存在ばかりだ。
 でも。そうでない者もいる。
 目の前の。『この世界』の人たちなんて、まさしく。
「つまりきみたちは……この世界の住人では、ない──と……?」
「そう、なるね」
 こちらの事情。それはスバルの話したとおりに。目を瞬かせる、『彼ら』に、彼女が頷いている。ディエチもそれが、間違いのない反応だと思う。あちらもこちらもともに、互いに。
「嘘にしちゃ、よくできた話に思えるが……な」
ラッセ
「ま、信じがたいことにゃ違いねえ」
「ロックオンまで」
 ここまでディエチが見てきたうちに、今のところ魔力を利用したものだとか、そういったものは見受けられなかった。不本意ながら、戦闘機人として肉体に備えられたセンサー類も密かに、駆使してみた。
 だから、わかる。ここは──魔法のない。その、概念を持っていない世界。
 だったら、無理もない。信じられるわけもない。彼らにとってそんなもの、絵空事に違いない。
「だが、彼女は空を『走った』。素手でMSを退けた。これは一体、どう説明する。今話した内容が嘘だとしたら」
 刹那、だったか。無言で考え込んでいた、有色の肌をした青年がおもむろに声を発する。
 視線は、スバルや自分、ノーヴェに。一方で言葉は、彼の仲間たちに向けて。
「……刹那。きみは彼女らの言うことが真実だと?」
「可能性の問題だ。少なくとも俺は素手でMSや、オートマトンに対抗できる人間を知らない」
 この五年、世界中をまわりめぐってきた。けれどそんなもの、見たことがない──。
 彼のロジックは、そんな調子で。けっして年長者でないにしろ、その言葉には不思議な重みがある。彼がひょっとするとこのメンバーにおける、リーダー格なのかもしれない。
「刹那……」
 ディエチをここに連れて来た、桜色の髪の少女が表情を若干緩めたのが、印象的だった。信頼、まさにその二文字がそこには表れているようで。
「たしかに……ね。いくら超兵の僕でも、生身でMSの相手なんてまっぴらだし。やれといわれたってできることじゃない。そもそもなにより、彼女たちはいろんなことをしらなすぎる、一般常識レベルで」
 そして方向がそのように傾けば、あとは雰囲気とはそちら側に滑り落ちていくものだ。
「ふむ……完全にシロではないにしろ、グレーということか」
「──ロックオン」
「へい、へい」
 刹那の声に、それまでずっと手にし続けていた、いつでも発射できる体勢にあった拳銃を、ロックオン・ストラトス──いや、『ライル』か──どっちだろうか……? ──が後ろ腰へと納める。
 やや、まだ完全には納得をしていないように。それでも、従う。やはり、まとめ役なのか。
「フェルト。彼女らの身体データに不審な点は」
「特には。……リヒティと同じで、ただ──」
 それより寧ろ、言いよどむフェルトの、同情するような、申し訳なさそうな表情がディエチには気にかかった。それだけで何か察したような、刹那の目の色の変化も、また然り。
『クルーのみなさんに通達するです』
 と。室内に──おそらく全艦内に響き渡った少女の声のアナウンスに、その場の一同は目線を持ち上げる。
 そう、艦内。プトレマイオス2、そういった名前の戦艦の中だと、既にディエチはフェルトや、外からきたノーヴェやスバルたちから聞いていた。
 フェルトといい、今の声といい。戦艦……軍艦か? ひどく、単語とクルーのイメージとのギャップがある。そういえば管理局が頑なに艦船、航行艦の呼び名で保有する海上戦力を呼称するのはそういったちぐはぐな印象を和らげるためでもある、とか。何かの本で読んだ覚えがある。──実際今聞いてみて、その通りだな、と感じたからそれはきっと、間違っていないのだろう。
アロウズが行動を開始しました。至急指示と、ブリッジに集まってほしいです』
 ──『アロウズ』。これまた、今までにも何回か耳にした単語だ。おぼろげに敵対勢力と理解はできるが、詳しいことはまだ、飲み込めていない。
 が。
「どうする。スメラギさんはまだ倒れたまんまだぜ」
「だが、じっとしているわけにもいくまい。今この基地に戦闘力はない、守ってやらねば」
 一気にスイッチが切り替わったように彼らは──『ソレスタルビーイング』は。彼らだけの会話を進める。
「迎撃と陽動だ。ラッセ、トレミーを海岸線に」
「了解だ、刹那」
 一人、一人と出て行く。最後尾に残るのは刹那と、ティエリア。その背中もドアの向こうに消えようとしている。
「ちょ、ちょっと待って」
 それを呼び止めたのは、スバルで。
「スバル」
「さっきから、何なの? 『アロウズ』って。あなたたちは一体何と、戦っているの?」
 質問を投げかけたのも、スバル。
 ぴたりと、蒼いスーツの足が、その場に止まって。小さく、振り返る。一足先を行こうとしていた、同じ紫色も然り。
 やがて、その刹那が口を開く。
「──アロウズ。統一された連邦政府、その直轄の治安維持部隊だ」
「え?」
「俺たちは、やつらを叩くために戦っている。──世界の歪みを、破壊するために」
 それだけだ、とばかりに、今度はティエリアの脇を抜け、先に立ち刹那は出て行った。代わりに、ティエリアがこちらへと僅かばかりの視線を注ぐ。
「しばらく、じっとしていてくれ。きみたちを下ろしている暇はないし……このままこの船は戦闘に入る、アロウズと」
「政府……直轄……」
「治安……維持、部隊……? アロウズ……? 戦う……」
 ノーヴェとともに、彼の吐いた言葉を繰り返す。
 つまり、それは。彼ら──『ソレスタルビーイング』とは。
「スバルッ!?」
 二人が思い至るよりはやく、脱兎となったスバルが扉に向かい、駆け出していった。その顔は上気しながらも、何故だか青く。
 ティエリアの、目の前へと止まり。向いた方向の先には、刹那の背中が遠ざかっていく。
「刹那!!」
 叫びが、廊下を貫いていく。
「『ソレスタルビーイング』は……あなたたちはっ!! テロ組織だっていうのっ!?」
 ノーヴェと、ディエチと。確かに届いたであろう、刹那や、ティエリアまでもを。
 そのとき、刹那がどういった表情をしていたか。
 廊下どころか、室内に残されていたディエチには、知りようもない。
 そしてそれは、言葉を投げたスバルにも、見えるはずもなく。きっとまったく、同じこと。
 
*   *   *
 
 ルイス・ハレヴィ准尉が転属先の空母格納庫内において先任の上官、ソーマ・ピーリス中尉並びにアンドレイ・スミルノフ少尉へと着任の挨拶を交わした直後、その揺れは金属製のキャットウォークへと伝播してきた。
「これは……?」
「MSの着艦、か……?」
 立っていられないほどではない。だがほぼ同時に格納庫内へと流れ込んできた熱気は紛れもなく、MSの熱の乗った着艦の風。──ソーマ・ピーリスの推測は、正しかったわけである。
「増援、でしょうか」
「いや。あなたたちが転属してくるということしか、聞いてはいないけれど……?」
 それで、全員と認識している。
 先の戦闘で落とされた機体の、補充でしょうか。首を傾げるピーリスへと、アンドレイがまた彼なりの推測を口にする。
「それにしたって、こんなに早く?」
 疑問を解決しようとする行動。それは人として、ごく当たり前の自然な動きだった。
 三人は足早にキャットウォークをあとに、航空甲板を目指す。それを望める位置へと。
「!!」
 ふとルイスが目線を上にやると、艦橋から居住区へと降りてゆくその中間層の窓越しに彼女らの目指す方向と同じ角度に視線を注ぐ、仮面の男の姿があった。
 ──聞いたことがある。『ミスター・ブシドー』だったっけ。
 変な名前、とは思いつつも、腕の立つMSパイロットだということはルイスも聞き及んでいる。その彼が、興味を示している……?
「!!」
「これはっ!?」
 そして思ううち、彼女らは辿り着いていた。
 その二機の屹立が、全景として視界に映る場所へ。
 甲板上に立つMSはそう、ふたつ。それらが降り立つことによって、あの揺れは引き起こされた。
「馬鹿な……どうして……?」
 気付かぬまま、歯がみしている自分がいた。
 それほどに、目の前にあるのはルイスにとって、憎悪の対象たりえんとする、忌まわしき機体たちであり。
「回収したアレを……修復……いや、改造したというのか……? そもそも、しかし……」
 紫電の彩に染まった機体に、ピーリスがうめくように言う。
 鋭角なフォルム。機体各所に配された翼。──かつての呼称はそう、名は体を表す『羽つき』。
「この機体も……? しかし、回収されたなど、どこにも……っ」
 アンドレイ・スミルノフもまた、同様に。知らず自軍のものとなっていたそれに、戸惑わぬわけがない。
 流れるような銀髪が、無数にその『MSの』背には流れている。人毛などでなく無論模されただけのそれはコードに過ぎないにせよ、しかし一見には他ならぬ流麗な銀髪の錯覚を与えずにはおれない。
 機体色は白でなく、灰に塗り替わり。かつての激戦で傷ついたはずの頭部は、照準装置かなにかか、片目が異なるパーツによって埋められ、潰されているのがわかる。──まるでそれは、隻眼を覆う、眼帯。
 ──『ガンダムキュリオス・ブリッツ』。
 ──『ガンダムナドレ・スティンガー』。
「!!」
「准尉!?」
 遠くで。柔らかな男の声が遠くで、ルイスの心に触れていった。その言葉を残して、また去っていった。
 その単語。『ガンダム』。膝を折った自分が辛うじてわかる程度に感覚が痩せ細るほど、それは不快感と苦痛を、ルイスの脳裏に呼び起こし、吐き気を生んでいく。
「ガン……ダ、ム、ぅ……っ!!」
 ──これもあなたの差し金だというの、アルマーク。
 耐え難い嘔吐感と寒気の中。ルイスはただ、ひとりの少年の笑んでいる様を連想した。
 
(つづく)
 
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