11月中は原稿抱えてます地味に

 
 
 ちょっと気になる短編賞を見つけたので間に合うように執筆中。色々ネット関係滞ってすいません。十二月入ったらばりばり書くよ! 新連載やるよ!
 
 なのパの新刊、無事とらのほうで委託開始されておりますー。よかったらぽちっと押してあげてください↓
  
http://www.toranoana.jp/mailorder/article/04/0010/24/69/040010246959.html
 
 
 てわけで返信遅れに遅れてる拍手へのレスからー。
 
>時間がある時に、まとめて読んでるんですが……一向に進まずwwまぁ、それよりも来月。20数年ぶりにそういうイベントに一般参加してみようかなとか、男性比率高そうで行きづらいなとか、でも『二次創作自体を書く』きっかけになった人たちの内のお一人だからお礼とか言いたいしなぁとか。グルグル駆け巡って、決心が付かずにいますです。
きっかけって、そんなそんな。自分まだまだです、はい。←最近自分自身の求めてる文章とできあがる文章のギャップに「あーもー!」となることが多い人
 
>新刊楽しみです!ただ委託があるのかが気がかりです
委託はじまりましたー、どうぞぅ
 
>どうも、神楽風香です。14日は、なのPaお疲れ様でした。少しだけでしたけど、お話できて……本当に嬉しかったです。ありがとうございました。新刊は、読み始めたばかりですが、ゆっくり読ませていただきます。
えーと、まず会場ではすいませんでしたorzお名前の苗字(ハンドルで苗字って言っていいんだろうか?)を耳にした瞬間盛大に勘違いしてしまったようでorzほんとすいませんでしたorz十分くらい「あれ?」と自分自身違和感→その後気付いてすさまじく自己嫌悪ですはいorz
 
 
 
 
さて、それでは続きを読むからthe number of OO更新です。
お待たせしました。もう少し更新ペースあげていきます
 
↓↓↓↓
 
 
 
 
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「姉上。……ひとつ、いいだろうか?」
 洋上は闇に染まっている。あてがわれている自室の船窓からそれを眺めていると──不意に妹から、そう声をかけられる。
「……何?」
ルイス・ハレヴィ准尉のことだ。ソーマ・ピーリス中尉の機体をこれから、彼女が使うと聞いた」
「そう、らしいわね」
 自分たちのいた場所とは、違う世界。
 西暦という暦によって時を刻む、魔法の存在しない世界の、夜だ。
 そして今、ここにいる姉妹は自分たち二人だけ。チンクと、ギンガと──他は果たして現在、どこで何をしているのか。
「姉上がその後押しをしたと聞いたが──本当か?」
 何故、それを? 思ったことがそのまま動作に繋がって、ギンガを向かっていた机から椅子ごと、隻眼の妹へと振り返らせる。
 別に大きな、さほどの衝撃を伴った驚きではなかったけれど。
 言った憶えのないことを知られていれば小さくでこそあれ人というものは驚くものだ。
「何故だ?」
 態度が、雄弁であったらしい。チンクは質問を繰り返すことなく、次に進めていく。
 何故。──どうして未熟な下士官である彼女への新鋭機の拝領を後押しなどしたのか、と。
 妹は多くを語ることなくギンガへと問い質す。
「……直接、許可を出したのはリント中佐よ」
「だが、更にその上──マネキン大佐にも、談判したのだろう?」
「ちょっとした世間話程度よ」
 本当だ。かいつまんでほんの少し、言葉を交わした程度に過ぎない。
 だが訊いてきた妹はというと完全には納得を仕切れていない表情で。
「……あの少女に、スバルを重ねて見てはいないか? ギンガ」
 溜め息混じりに、言う。
 ギンガはそれを──、
「……かも、しれないわね」
 否定しない。曖昧に頷いて、曖昧に肯定をする。
 部下であり、年下の女性士官。ルイス・ハレヴィ──スバルによく似た声の、けれど外見も雰囲気も全然違う女の子。
 なのになぜだろう、ギンガの中で彼女についての第一印象が今現在においてどこかスバルを思い起こさせると、その部分に特化していることは否定のしようがない。
「ねえ、チンク。この世界は不思議ね」
「姉上?」
 だって、そうじゃない?
「脳量子波……仕組みはわからないけれど、私たちにとっての念話にどこか似た技術といい」
 それによってパイロットとしてはずぶの素人であるはずのギンガたちでさえ、魔導師や戦闘機人としての自身の戦闘のカンのフィードバックによって人並み以上に、それらを動かすことが出来る点といい。
「不思議に、この世界は私たちの世界に『近い』──同じでなく『近い』部分が多いように思えるの」
 これは、偶然なのだろうか?
 
 
Strikers −the number of OO−
 
Act.9 ash like snow 前編
 
 
 青年は真っ暗な部屋でひとり蹲るように、俯いていた。──のだろう、と思う。きっと。
 インターフォンを鳴らしてからと、彼が応対に出るまでのひどく長かったタイムラグと。明かりの完全に落とされた室内とを、考慮するだに。
「……その人、恋人だったんだ?」
 その彼から、話を聞けた。
 沙慈・クロスロード。スバルが彼へと向けた言葉に、青年はハッと目を見開いて、顔を上げて。
 ノーヴェからの、「直球過ぎるだろ」という非難めいた視線にも気付いてはいる。だけど見返してきた彼から、スバルは視線を逸らさない。
「そう──だね。好きだった。とても、大切なひとだった」
 彼は目線をひととき落として、ぽつり言う。
「きみと、よく似た声で。きみたちみたいに」
 澄んだ声をしてた。ずっと一緒にいられると、思ってた。
 それを奪っていったのが──ガンダムだった。
ガンダム、が?」
 沙慈は頷く。
 僕やルイスのような思いをしたのは、けっして少ない数じゃない。言う青年の声にはやりきれなさの色が差していて。
「刹那たちが変えた。変えてしまった世界の軋みにうなされてるのは、僕たちだけじゃきっとない」
 だからこそ刹那たちは、変えてしまったその責任を取ろうと──本来あるべき姿に世界を、戻そうとしているのではないか? ときには苦しんだり、立ち止まったりしながら。
 ……なんて、言えるわけもなく。
「それはきっと、動かしようのない事実なんだ」
「クロスロードさん」
 ただ、気付いた。
 自分が彼を苗字で呼んだ瞬間、複雑そうに寄せられた彼の眉と、その表情の沈痛さとに。
 スバルにその顔は向けられたのではなく、スバルを通して彼が見ている誰かにきっとそれは、気付いてほしいものなのだと、わかってしまった。
 そしてその相手こそが、彼にとって「好きだった」人。ううん、違う──……、
「なんか、いいな。羨ましい」
「え?」
 ──不謹慎を承知で、そう「想い続けてもらえる」その女性のことを、羨ましくさえ感じた。
 ルイス・ハレヴィというその女性。一体、どんな人なのだろう?
 何を言っている、という表情を沙慈はしている。如何せんこちらの言葉が、足りなすぎたか。
「ね、クロスロードさ──ううん。沙慈。会いに行かないと、ダメだよ」
「ナカジマさん?」
「スバル。スバルで、いいよ」
 上目遣いに覗き込むようにして、スバルは沙慈の側へと身を乗り出す。
 彼は戸惑っていた。無理もない──だがスバルは、言葉を続けていく。
「会いに行ってあげて。待ってるだけじゃダメだよ。きっと、いつか。どんなに時間がかかったって、いいから」
 彼が待ち続けているならきっと、相手だってきっと同じはずだから。
 前に進むということ。それがつまり、世界を変えるということなら。
 刹那たちはきっと今、そうしようとしている。変えてしまった、換わってしまった世界を再び変える。前に、進むために。
 変えるには、変わらなければならない。
 目指すものも、やり方も違ってもその根底は誰にだって同じはず。
 そう──彼にだってきっとできるはず。もちろん、スバルにだって。
 もとの世界に、戻るために。色んなことを知ろう。この世界のことを。理解、しよう。
 

 
 ──そんな、姉と青年の演じた一連のやりとりを思い起こしていた。
『Nove?』
 豪奢なつくりの、身の丈の数倍はあろうかという広く大きな窓に寄せていた背中がひんやりと冷たい。
 俯いていた自分が気になったのか、胸元で不意に愛機が光り、問いかけてくる。
「なんでもねーよ。ちっと考え事」
『I think that the meaning sneaking is lost when differing from surrounding atmosphere too much.(あまり周囲から浮きすぎているようだと、潜入の意味がなくなってしまいますよ?)』
「わーってるよ」
 大富豪の家。まさしく豪邸、というのはきっとこういうもののことを言うのだろう、と思う。
 愛機サイクロンキャリバーに促され、上げた視線で辺りを見渡しながら、ノーヴェはその様子をひとつひとつ、じっくりと観察していく。
『Because it is even free, and it is a tailor makes the man.(ただでさえ馬子にも衣装という感じなのですから、立ち振る舞いには注意すべきです)』
「うっせ」
 そこには、多くの人々が立ち歩き、談笑をし。あるいは手と手とりあい舞踏に興じていた。
 アルコールやドリンクを運ぶ給仕の姿もけっして少ない数ではない。
 いわゆるそれは、夜会。立食形式の、お金持ち同士たちが夜という時間を過ごすためのダンスパーティに他ならない。
「大体、こっちの世界に来て以来おめーやたら無口だよな。どうした? なんか考え事か?」
 無論それらを俯瞰するノーヴェがここにいる理由。いられる理由は彼らとは、程遠いところにあるのだけれど。
 ──わざわざこんな、自分でも似合わないとはっきりわかっている、真っ赤なドレスまで着て。
『I thought about work to have left for 'World in the other side'.(ミッドに残してきた仕事──ジェットエッジのAI製作について、考えていました)』
「ジェットの……ああ、そっか。そういやそうだったな」
 こちらの世界に飛ばされる直前。マリーさんと協力してこいつは、自分に代わってノーヴェの武装を当面制御するためのAI開発に乗り出してたんだっけ。
 ゼロ・エフェクト──魔力を無効化するその力への対抗策。第五世代型デバイスの開発計画への参加のために。
 魔力と非魔力型エネルギー運用の両立に長けたキャリバータイプのデバイスである彼女と、その『妹』であるテンペストに協力者として白羽の矢が、立ったのである。
 自身の不在に備えての代理AIの作成。けれどそれより先にデバイスの側もマスターもともに、この世界へと迷い込んでしまった。
 そして今は場違いなこの場に、身を置いている。
テンペストか。あいつら、元気でやってんのかな」
 はてさて、「連れ」のふたりはどこに行ったやら。
「ノーヴェっ」
 ──思った瞬間、……いた。
 アロウズ、と名乗る軍組織の出資者たち。それらを掻き分けて、やはりノーヴェと同じく借り物の、深い青色をしたドレスに身を包んだ、姉の姿が。
 片手にひょいと載せた、コールドビーフやらフライドチキンやら、パスタやらがてんこもりの皿を付属物として連れて、だ。
「なーにしてんの。あっち、料理いっぱいあるよー」
「……お前ね」
 これじゃ、わざわざティエリアについてきてまで、なにしに来てるんだかわからないっての。
 

 
「はい、これ」
「ありがとうございます」
 桜色の髪が、ディエチの差し出したドリンクボトルの向こうで揺れる。オペレーター席なのだろう、一段高くなったそこに彼女は座っているから、こちらからは見上げる形になる。
「悪いわね。手伝ってもらってしまって」
 そしてこの船の責任者である女性もまた、こちらを振り返る。
「いいえ。スバルたちが望んだことでもありますから」
 それは第一には、依頼だった。
 敵対組織の出資者たちの集まる晩餐会への潜入──そこに向かうティエリアと、彼を連れたスメラギ・李・ノリエガというこの女性からの。
 スメラギ──指揮官である彼女はこちらを巻き込むのに躊躇があるようではあったけれど。ティエリアから、力を貸してもらえないかと、しっかりとした口調で言った。
「なにごともなく終わって、ちょっとした気晴らしになってくれればいいと思うんですけど」
 ドリンクを渡しながら、ディエチはそのときのことを思い起こす。
 あの格納庫でのやりとりでもそうだったように、少しでも情報がほしいだろう、という気を利かせてくれたのかもしれない。
「お姉さんなのね」
「はい。お姉ちゃんですから」
 ──というか、彼自身ひょっとすると、大いに不安があったのかもしれない。
 情報と戦力のギブ&テイクを提供する際、妙にティエリアの表情がぎこちなさげだったのはきっとそこに起因する。
 刹那がフォローにまわる。本来ならばそれだけでも彼らは十分だったはず。なのに他に、支援を欲した。目の前の女性が立案した作戦を大いに信頼していながらも。
 たぶんティエリアは、「女性のフォローを」欲していたのだろう。
「でも、せっかくなんだし。フェルトやミレイナ連れてってくれればよかったのにね」
「私たちはいざというときに、足手まといになるだけですから」
 なにしろ、ノーヴェを同乗させ出撃していったティエリアは。
 ──ティエリアの格好は。
「その意味で、スバルとノーヴェが一緒に行ってくれて助かりました」
 女性として立ち振る舞い、男性としての仕草を出さぬよう注意せねばならぬコーディネートに包まれていたのだから。
 即ち、女装である。
 
(つづく)
 
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