えー、昨日。

 
web拍手導入以来の最大数値を観測いたしました(;´Д`)
 
お礼ssを更新したわけでもないのに、ぐいんっと。
そんなにユーなの話って少なかったですっけ?
 
これはアレですか、こっちをメインで書けってことですか(;´Д`)
 
いや、隙間産業に走るの大好きなんで全然OKですけれども。
なんか気分的にも殺伐よりラブに走りたい精神状態ですし、今。
いっそなのフェスもこっちで出そうかなぁ、と思ってみたり。
計算してみたらページ数的にどうも後味悪そうなとこで一巻終わりそうなんです>喪失辞書
 
まあ、ひとまず本日はthe dayを更新。
web拍手も二、三日中には更新しまっす。
 
以下、web拍手レスです。
 
>白表紙の薄いファイルtte
次回でふつーにわかります、はい。と切れている先を予測して言ってみるテスト。
 
>次は新マンか。ってか640さんは皇帝を誰だと思いますか?自分はバルタンに1票。ストーリー0もあるし。
自分はエンペラ星人だと思いますー。てかそうであってほしい。
コミックボンボンでリアルにウルトラマン超闘士激伝を読んでた世代なもんで。
あのデザインに日の目を見せてあげてほしいです。
 
 
 
んでわ第三話、いきまーす。
 
↓↓↓↓
 
 
 
 
 
 
シャマルの執務室へと通された一同は、落ち着かなかった。
リンディ、クロノ、それにシグナムになのは。
今は運び込まれたフェイトのもとに行っているシャマルが戻ってくるのを待つこの時間が、もどかしい。
 
「……フェイトちゃん……」
 
頬に白い絆創膏、右手に包帯を巻いたなのはが呟いた。
自らの身を案じて駆けつけてくれた友。
詠唱中に突如として膝を折り、倒れたフェイトの姿が脳内に蘇る。
 
「大丈夫だ。シャマルがついている」
「シグナムさん……」
「お前が責任を感じることはない」
 
今にも泣き出しそうな彼女の様子に、シグナムがそっと肩に手を置いた。
彼女のほうも、額に包帯を巻いている。
実質的に二人を救ったのは、彼女であった。
 
「……そんなに僕はあの子に、無理をさせていたんだろうか」
「クロノくん」
「兄、失格だな」
「駄目よ、ほら。しっかりしなさい」
「……はい」
 
自嘲気味に笑ったクロノを、リンディがたしなめる。
そう、悪いのは彼ではない。問題があるとすれば局の───……。
いや、よそう。言ってもはじまらない。リンディは息子に気疲れした笑顔を向け、思う。
 
「お待たせしました」
 
そしてなのは達の沈黙思考を遮り、シャマルが扉を開けて戻ってきた。
 
彼女の手の中には、資料やカルテと思しき分厚いファイルが収まっていて。
いつもの温和な表情とは一変した、緊張に凝り固まった顔でシャマルは言った。
 
「リンディ提督と、クロノ艦長に───……お聞きしたいこと。また、お話したいことがあります」
 
 
魔法少女リリカルなのはA’s −the day−
 
第三話 タイム・リミット
 
 
「……いえ。います。いさせてください」
 
つらい話になるかもしれない。ひょっとすると、聞かないほうがいいかもしれない。
己を気遣って言ってくれているのだとはわかっていても、なのはには退出を促すシャマルの提案に頷くことができなかった。
 
「クロノくんやリンディ提督さえよければ……わたしも、聞きたいです」
なのはさん……」
 
彼女の言に母子は顔を見合わせ、頷きあう。
特に二人とも異論はなく、むしろ彼女のそういった気持ちが嬉しかった。
この子がいたから、今の自分たちとフェイトの関係がある。
なのはにも聞く権利があるという点に、意見は一致していた。
 
「……いいわ。あなたなら」
「ああ。フェイトもきっと、そう言うだろうし。シグナムも」
「ありがとう……ございます」
「はい」
 
シャマルのニュアンスからして、なにかフェイトの身体に疾患でもみつかったのかもしれない。
だとすれば療養中、彼女の手を借りることもあるだろう。
 
その時点ではクロノもリンディも、その程度に考えていた。
療養中のこと、復帰までのこと。先のことを見て。
 
「わかりました。じゃあ、シグナム。なのはちゃんをお願いね」
 
無理に作ったような軽い微笑で、シャマルは一同の前に腰を下ろす。
下ろして───何から話すべきか、思案に暮れているように見えた。
彼女の顔には一切の余裕もなく、顔色も悪かった。
 
「……一ヶ月です」
「え?」
 
そして天を仰ぎ、重苦しい沈黙が続く中。
ふと顔を下ろした彼女は何の前触れもなくたった一言、ぽつりと言った。
 
……一ヶ月?なんのことだ?
 
「何……が?だ?」
「あと……一ヶ月だと、言っているんです」
 
言葉を吐き出すシャマルの表情は、一単語一単語を絞り出すごとに苦悶の色を増していく。クロノの聞いた質問に、答えるたびに。
 
彼女の答えは、悪い意味で彼らの想像を裏切っていた。
 
「フェイトちゃんのリンカーコアは、あと一ヶ月で……消滅します」
 
すなわち、それが意味することはたったひとつ。
彼女に。彼女たち家族や友人に課せられた、残酷な現実。
 
「あの子に残された時間は……あと、一ヶ月。長くても───それが、精一杯でしょう」
 
フェイトと彼らにとっての、タイムリミットであった。
 
*    *    *
 
「なのはちゃん?」
「え?」
 
あと一月。たった一月しかない。
昨日、シャマルから受けた宣告と、彼女達とのやりとり。
そのことばかりが頭に浮かび、なのはは上の空だった。
 
「どーしたのよ。昨日からずっとそんなじゃない。なにかあった?」
 
フェイトの身に起こった異常。
それは、リンカーコアそのものが徐々に失われていくというものだった。
詳しい検査をしてようやく判明したその症状はシャマル曰く未だかつて前例のないものであり。
自然に誕生し生きるものならば、どんな生物であっても大なり小なり持っている、リンカーコアがひとりでに消滅していくなど、考えられないことであるという。
なくなってしまえば重要な器官を失うのと同様に、生物は致命的な機能不全を起こすものだから。
 
リンカーコアなくして生きている生物は、この世にはいない。
 
「……私、変?」
 
考えられるのは彼女の成長と酷使に、リンカーコアそのものが磨耗しついていけなくなったということ。
しかしそれも、先に述べたとおり普通起こることなどはけっしてありえない。
 
人のリンカーコアは頑丈で、またその消耗もたかが知れている。
リンカーコアそのものをグラスだとするならば、生物が生きていくうえで消費するのは、その中に溜まった雨水。時間を置けば必ず回復するものだし、グラスそのものが失われつつある、
フェイトの症状が異常なのだ。
よっていくら過労がこのところあったとはいえ、それも原因とは思えず。
もともと、何かの要因がなければ引き金とはなりえない症例らしい。
 
「うん、少し」
「なんでもないよ。……ちょっと、眠いだけ」
「ほんとでしょーね」
 
フェイトみたくあんたまで入院したりしないようにね。
 
心配をかけているということと、嘘をついていること。
二つの負い目が、アリサの口から出た友の名によって増幅され、ちくりと彼女の胸を痛くする。
 
「……うん。気をつけるから、大丈夫」
 
普通の人間───いや、生物ならば有り得ない命の危機。
 
『──何か、心当たりになるようなことはありませんか。フェイトちゃんのことで』
 
シャマルが尋ねると同時に浮かべた表情は、フェイトを知る者として。
また、医療に携わる者としての必死の原因究明のために向けられたものであったと思う。
 
そして彼女の問うたその質問の心当たりを、なのはも、クロノやリンディも持っていた。
 
持っていたからこそ俯き、口を閉ざすより他になかった。
それが認めたくない現実だということを、理解したが故に。
言いたくなかった。彼女の肉体があまりに危ういバランスの上に生まれたということを。
それ以外に、思いつかなかったから。
 
かつての大魔導士があの子を評して言った言葉が、思い出されてきたのだ。
 
「……なのは?今度は怖い顔してるよ?どうしたわけ?」
「っあ、……少し、嫌なことがあって」
「管理局で?」
「……うん」
 
無意識に『彼女』に対する怒りと、当時感じていた嫌悪感が顔に出てしまっていたらしい。
気取られぬように同僚に一人いる怠け者のことを話して、はぐらかす。
プレシア・テスタロッサ。ただ一途であったあの人のことが、今となっては憎々しくさえ思えてくる。
そんな怒りを今更憶えたところで、なにも得るものがないことはわかっていても、だ。
 
(……違う。フェイトちゃんは人形なんかじゃない)
 
誰がなんと言おうと、あの子は人間だ。
生まれが少し人と違うだけの、やさしくて恥かしがりやな普通の女の子。
なのはにとって一番の、大切な友達なのだから。
 
(フェイトちゃんが……フェイトちゃん以外であるはずがない)
 
プレシアの本当の娘、アリシアテスタロッサのクローン、そんなことがなんだ。
それはフェイト自身が整理と決着をつけ忘れようとしていた過去にして、親友であるアリサたちや同僚のはやてですら知らない伏せられた事実。
それを知るわずかな者のひとりとして、なのはは今ここで声をあげて否定したかった。
 
「ひっどいわね、そいつ」
「うん……」
「まあ、気にしててもしかたないし。わたしはわたしで頑張ってるから」
「そーね、ほっときなさいそんなやつ」
 
少し行儀悪く机の上に座り、アリサが言った。
この場にはやてが仕事でいなくて、本当によかったと思う。
 
アリサとすずかにしたこの話は数ヶ月前に局の食堂で彼女にこぼした、使い古された他愛のない愚痴だったから。
彼女がいたら無理をしているということが二人にばれてしまっていただろう。
 
「ほんとに、大丈夫。フェイトちゃんがお休みしてる分も頑張らないと」
 
フェイトの現状も、言えるわけがなかった。
人工的に生み出された彼女の肉体、リンカーコアが彼女の成長に追いつかず、不具合を生じ朽ち果てようとしている、などと。
 
断じて言えるものか。言ってはならないとさえ思う。
 
どうすればいいのだろう。
自分に、なにができるだろう。
 
歯痒さと焦燥が、なのはの心をひたすらに満たしていた。
 
(つづく)
 
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