魔導師になりました。
嘱託資格、管理局からもらえませんかね?ドラゴン組なんですけど(無理です
一問多答問題で「身体に青色の入ったウルトラマン」の選択肢にウルトラマンガイアはずるいと思うんだ。
だってガイアそのものには入ってないじゃないですか。
そこはちゃんとスプリームバージョンって書こうよ、と思ったシャロン使いの私。
正答率の個人情報確認でアニメ・ゲームの正答率が80%超えてるのを友人に見られて、変人扱いされましたけど普通ですよね?
以下、web拍手レスです。
>フェ、フェイトさん・・・切なすぎです・・
>どの話でも大変な目に遭っているフェイトさんですがw the dayが一番気になって楽しみです。
楽しみにしていただいて、どうもありがとうございますー。
本日も更新いたします故、どうぞ。
てわけで、the day第六話、更新します。
↓↓↓↓
──姉が。
アリシアが、立っていた。
真っ暗な世界に、たったひとりで。
暗くないのかな。怖くないのかな。
心配だった。母さんからはぐれてしまったのかもしれない、とも思った。
でも、そう思って伸ばした手はけっして届かなくて。
どんなに走っても、彼女のところにはいけなかった。
せめて、声だけは。そう思っても喉は開いてくれず。
次第に遠ざかっていく彼女は、ようやくこちらを振り向いてくれた。
「大丈夫だよ」
そう云われた気がする。
小さくガッツポーズを見せた姉の姿は、その頃になると豆粒ほどにしかみえなくて。
それでもなぜか、彼女の微笑みは、どこか困ったような色を含んでいる気がしてならなかった。
それが私の、今朝見た夢。
魔法少女リリカルなのはA’s −the day−
第六話 君を待つ間
「くそっ!!だめだ!!」
殴りつけた机には、夥しい量の書類、書籍。
所謂資料と呼ばれる様々な形態のものが積み上げられ、並んでいた。
同様にその周囲には、ペットボトルや食べ物の包みといったゴミの類が散乱する。
「だめだ……ない……!!どこにも、治す方法が、ない……!!」
ユーノ・スクライアは苛立っていた。
誰に頼まれたわけでもない、自分が望みやっているこの作業が、あまりにも芳しい結果を出さずに終わっているせいだ。
友人を襲った病。大切な人の抱く悲しみ。
それをなんとかするには、自分が頑張らねばならないというのに。
「くそ……無限書庫なんだろ!!なんで、ないんだよっ!!」
時空管理局本局データベース・無限書庫、司書長。
己にしかできぬはずの作業が、かえってその肩書きの響きを空しいものにする。
「こんなときこそ、僕がやらなけりゃならないってのに……!!」
がつんともう一度殴打され、揺れた机から資料の山が崩れ、落下していく。
その耳障りな音が余計に彼の精神を掻き毟り、不快感に染め上げる。
──なにが、探せばちゃんとでてくるだ。たかだか病気の治療法一つ、見つけられないくせに。
歯軋りをひとつ響かせ、机に目を落とす。
調べられるものはすべて調べた。
過去数百年に渡る疫病、生物災害。リンカーコアに関する研究書から、関係のなさそうな薬物テロに、ほんのささいな家庭医学の書まで。
フェイト個人のここ数年間の健康データや、「あの事件」の裁判記録も取り寄せてなにか見落としがないか調べた。
だが、なにも突破口が見つからない。
『スクライア司書長』
「……なんです?」
『管理課からの連絡です。やはり時の庭園への立ち入り調査は許可できないと』
「そう、ですか」
秘書官から入った宣告に、なおユーノは俯いた。
これだけ探して見つからない以上、フェイトの身体を治す方法を得る可能性があるのは、忌まわしきあの場所しかもうなかった。
フェイトが家族を失い、フェイトが生まれた場所。
PT事件以降、次元の狭間にうち捨てられる放置されているそこには、フェイトが生み出された際の研究データや資料が残されたままであるはずだ。
その一縷の望みにかけて、ユーノは自ら散逸資料の回収という名目で立ち入り調査の申請を出したのだが。
やはりいつ崩れ落ちるかもわからない、資料がまともな形で残っている保障もない場所への調査申請は当然、受理されるわけもなく。
「あの場所なら……時の庭園なら、フェイトを助けられるかもしれないってのにっ!!…………!?」
三度打ち据えるべく拳を振り上げたその時、わずかに背後の扉から聞こえた軋む音にハッと、振り向く。
光の漏れ出てくる隙間を空けて、閉まりきらなかった扉が揺れていた。
「!?」
誰かが、聞いていたのだろうか。扉に駆け寄り、勢いよく開け放つ。
だがそこには通路が広がるだけで、人影はどこにもない。
ただ唯一、痕跡として残されていたのは───……。
「武装隊の、編成表?」
一枚の書類のみ。
だがそれは落としていったことにも気付かず、立ち去った者がいるということの何よりの証拠。
先程の音は、ユーノが扉を閉め忘れただけの勘違いではなかったのだ。
だとすれば、一体誰が。
そして彼にはこの落し物から連想できるその人物を、一人知っている。
「……なのは?」
なぜだろう、彼にはその連想に対し、なんだかとらえようのない嫌な悪寒を感じざるを得なかった。
彼の荒れた行動が、一人の少女に見られたかもしれない。ただそれだけのことだというのに。
* * *
フェイトの病室から、くぐもった誰かの叫ぶ声が聞こえる。
誰だろう。アリサだろうか、すずかだろうか。
ぼんやりと涙で滲んだ廊下の明かりを見上げるはやてには、聞き分けるだけの集中力はとても存在し得ない。
「はやて……」
「主はやて、その」
廊下の一角に設けられたベンチに座る彼女の膝には、心配そうに上目遣いで見上げてくるヴィータが。
側にはシグナムが立っていた。二人とも言葉が見つからず、二の句を継げず言い澱んでいる。
「……ごめん。ごめんな、ふたりとも」
シグナムにバルディッシュを渡してほしい。
フェイトからそう言われたはやては、返事をすることも拒絶することもできなかった。
そして更に、続けて彼女が呟いた言葉によって、決壊した。
───私も、生まれてくる新しいリインフォースと会いたかったな。
たまらなかった。
そんなことを残念そうに微笑みながら言われて、堪えられるわけがないではないか。
彼女のその願いがけっして叶うことがないことを知ってしまった、今となってはとても。
はやては思わず病室を飛び出して、回診にやってきたシャマルに抱き止められ。
彼女が呼んだシグナムとヴィータがついていてくれたおかげでぼんやりと、なんとかこうして部屋の前に戻ってきて、天井を見つめていることができる。
しゃくりあげていた呼吸も、いくぶん落ち着いてきたように思う。
はやてはまだぼやけている視線を、自分の出てきた病室へと向ける。
「アリサ、ちゃん。すずかちゃん……」
シグナムたちが呼ばれたのは、はやてのためだけではなかった。
彼女が──フェイトが、シャマルに頼んだ望みを叶えてやるためでもあったから。
それは自分の口で二人の友に、もうすぐ自分がいなくなるということを告げ、謝ること。
フェイトはそれを望み、すずかとアリサを連れてきてもらえるよう願った。
母であるリンディ提督も了承していることだと言われてしまえば、主治医のシャマルが断る理由はなく、従わざるをえない。
かくして今、シャマルに付き添われた二人の友人たちがフェイトの病室にいる。
存在は聞かされていても、はじめて足を踏み入れる管理局の施設。
友人達の職場として想像のヴェールに包まれていたそこに、彼女達は果たしてこのような形で招かれることを想像だにしただろうか。
「シャマル」
不意にスライドしたドアから、俯き加減の女性が退出してくる。
彼女は自分に注がれている三組の視線に気付くと、辛そうに笑う。
ある意味では最も辛い立場にあるのは、彼女なのかもしれない。
「しばらく自分達だけにしてほしい、って。はやてちゃんも……落ち着いたら行ってあげてください」
「え……」
「シャマル、しかし」
「待ってるから、と。フェイトちゃんが、はやてちゃんに」
はやての隣に、彼女は腰掛ける。
そして何の前触れもなく、消え入りそうな声でぽつりとつぶやいた。
「……ごめんなさい」
「……?」
「風の癒し手。湖の騎士。こんなときのために私がいるはずなのに……なにもできないなんて」
「そんな、シャマルのせいなんかじゃ、ないやろ……?」
「いいえ。こんなことしか、できないなんて。私の、力不足です」
後方支援を得意とし、周囲の人間の癒しをその役目とする彼女であるが故、歯痒い。
悠久の歳月をともにすごしてきたシグナムには、彼女の苦しい心の内が痛いほどに分かる。
「やめろ。お前はやれることをやっている」
「っ……原因が!!なにもわからないんです!!」
つぶやきは、吐露へと変わり。
苛立った声と同時に、膝の上で握りしめられた拳へと一滴の雫が落ちる。
「なにも!!なんにもできなかったのに……っ!!」
「まだだ。まだ、そうと決まったわけではないだろう」
親しき少女、主の親友へとなにもしてやれない無力。
そのずしりと重くも空っぽの感覚に、シャマルは取り乱す。
その姿は、温厚な彼女とは思えないほどに感情的だ。
宥めるシグナムも、感情が昂ぶっていくのを抑えきれない。
「まだなんて!!もう、時間もあまり……」
「そんなことはないっ!!!!」
静かな戒めの声は、縋るような絶叫に。
シャマルの言葉を、シグナムの叫びが打ち消した。
冷静に諭すようであった調子は消え、シャマルと同じように拳を固め、床を見据え身を震わせている。
シグナムもまた、平気でいられるわけがないのだ。
彼女にとってもフェイトは気心の知れた友人であり、互いに切磋琢磨していくことのできる好敵手なのだから。
動揺していないはずがない。
なのはのフォローに走り、取り乱しがちになってしまうはやて達家族を冷静に見守る。
そのことが自分の役割だとわかっていたからこそ、必死に己を律し感情を抑えていただけ。
彼女だって自分がフェイトの状況を見ているだけしか出来ないことを、歯痒く思っていたはずだ。
「まだ……まだ、あの子は終わったわけでは……」
歯痒さゆえに、あきらめきれない。
床から今度は天を仰ぐシグナムに、はやては彼女もまた泣いているのだろうと思った。
主と守護騎士のつながりではなく、直感でそのことを感じ取った。
みんなが、これほど想い。
なんとかしたいと願っているのに。
無情にも、彼女達はどうすることもできなかった。
* * *
──やがて。
「みなさん、……よろしいかしら」
やるせなさを押し殺すしかない彼女達へと、足音を殺し近づいた一人の女性が声をかけた。
それはこの場にやってくるのが、当たり前といえば当たり前の人物。
だがはやて達は彼女が現れたことに狼狽し、居ずまいを正すことも忘れ思考が真っ白になる。
そのくらい、彼女の表情は険しいものだった。
「リンディ、提督……?」
どうして、なんて聞けなかった。
当然、フェイトの見舞いにきたのであろうから。
しかし、そうはやてやシャマルたちが聞きたくなるほどに。
彼女は普段の柔和な顔を強張らせ、秘めた決意を胸に抱えた厳しい表情をしていた。
ただ重い病を抱えた娘を見舞いに来ただけの母親のそれでは、けっしてなかった。
(つづく)
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