黄金勇者ゴルドランのDVDボックスが今更欲しいです。

 
てゆーか勇者シリーズ全部欲しい件。
 
友達が全部揃えていることに微妙に納得がいかない。
どんだけ金もってんのよと小一時間(ry
 
なのはポータルサイトのお絵描き板が面白いことになってるなぁ。
MTGユーザーとしてはかなり見てておもしろい。
 
 
なんか喪失辞書、シグナム姐さんが主役っぽい感じになっちゃってますよ(汗
とりあえず更新。web拍手のほうも更新しました。
 
 
↓↓↓↓
 
 
 
 
 
 
−案件 6895424LR・通称“the lost encyclopedia”に関する事件についての途中経過報告−
 
ミッドチルダ新暦・六十九年十一月十日 1600時
 
ベルカ地方、時空管理局関連施設『聖王教会』敷地内において、
フェイト・T・ハラオウン執務官監督の下八神はやて三等陸尉により、
ロストロギア・通称“the lost encyclopedia”の護送任務、開始
 
同日 1612時
 
八神三尉の魔力を吸収し、ロストロギア起動。
捜査官は昏倒、監督と護衛の任に当たっていたフェイト・T・ハラオウン執務官及び、
シグナム・八神一等空曹長の両名が封印を試みるも、これに失敗。
 
同日 1617時
 
守護騎士、出現。
ラオウン執務官並びにシグナム陸士と交戦の後、救援部隊として到着した
高町なのは三等空尉、ヴィータ・八神二等空曹長クロノ・ハラオウン提督ら三名の追撃を避け、逃走。
ロストロギアを持ったまま消息を絶つ。
ラオウン執務官、シグナム曹長両名は重傷。
 
同 十一月十二日 未明
 
最初の魔導師襲撃事件が発生。続けて三件、五名の魔導師が守護騎士と思しき者に襲撃さる。
被害を受けた魔導師は何れも重傷、リンカーコアに大きなダメージを残す。
 
以後、被害者数は一定の速度で増加を続けている。
十一月十五日0800時時点での総数は、件数27件、被害者数34名である。
 
 
魔法少女リリカルなのは 〜the lost encyclopedia〜
 
第七話 ゆらめく灯火
 
 
「……『なお現在の段階においては守護騎士並びにロストロギアの足取りは掴みきれていないのが現状である』、か」
 
ぱたん、と報告書の挟まれたファイルを閉じて、フェイトは溜息をついた。
 
完全な単独犯、小規模な活動しかできない相手であるということが裏目に出ている。
神出鬼没に小刻みな転移を繰り返すあの騎士に対して、広すぎる捜査網が後手後手にまわってしまっている。
これはなかなか、やっかいかもしれない。
 
闇の書事件のときのように、ある程度組織立っていればこちらとしても多少動きやすいのだが。
 
「んんっ」
「……ん?」
 
思案の中に紛れ込んできた咳払いに、フェイトは落とした視線を持ち上げる。
広い病室には、自分しかいないはず。そう思い、怪訝に感じて。
 
「あれ、シャマルさん。いつの間に?」
 
見上げた先は、人の出入りするドア近く。
そこには白衣を着た女性が、何故だかこめかみを震わせて立っていた。
 
つかつかと、自分の主治医でもある彼女はフェイトのいるベッドへと歩み寄ってくる。
 
「あのね、フェイトちゃん?」
「はい?」
「病院っていうのはね、ゆっくり休んで身体を治すための場所なの」
「はあ」
 
それはそうだ。
身体を治すために人は病院にやってくるのだ。
今更そんなわかりきったことをいうなんて、どうしたことだろう。
 
なんだか、足取りが荒々しくてちょっと怖い。
 
「……こんな山積みの書類を並べて、仕事するところじゃないのよ」
「へ」
 
腰に両手を当てて、彼女は怒りと呆れ、その両方を押さえつけるように言った。
 
怒り心頭の彼女に吐き捨てられ、ようやくフェイトは自分の周囲を見回してその原因に気付いた。
たしかにシャマルの言う通り、ベッドサイドテーブルには数十センチものファイルの山が重なってひしめき合い。
ベッドの周りには無数の書類が散乱している。
 
「ひょっとして、また抜け出すかもとか疑ってます?」
「……そうじゃないけれど。もう少し怪我人は怪我人らしく」
 
大人しく寝ていろということらしい。
 
だがフェイトとしても一応傷が(開かせないためにまだ当分安静ではあるものの)くっつき、
痛みもないことから、ただ寝ているだけというのも落ち着かないのである。
 
もちろん、だからといって以前のように抜け出して勝手に出て行ったりはしないが。
デスクワークをする分にこれといって問題はない。
 
「ダメですか?」
「気持ちはわかるけれど……」
 
それで万一、傷に響いたり。回復が遅れるようなことがあっては、元も子もないではないか。
シャマルの言葉にフェイトは一応頷きつつも、次の書類、報告書に手を伸ばし言葉を返す。
 
「心配させて、みんなに迷惑をかけている分はしっかり治すつもりではいます。もちろん」
「だったら」
「でも、迷惑させているからこそやっておきたいんです。前線に出られないからには、私にできるのはこういったことくらいですから」
 
無理はしません。せめて書類の整理や報告書を見て何か、気付くことができれば。
 
肩を竦めた少女に、シャマルは額を押さえ溜息をつく。
きっとこの子は、無理はしなくとも無茶はするだろう。
まだ完全に傷の癒えきっていないこの身体で。
責任感の強さは認めるが、もう少し自分の身体に対して甘くなってほしいものだ。
 
この辺り、彼女は義兄のワーカホリックぶりを立派に受け継いでいると思う。
 
「……きちんと合間合間に休息をとって、消灯時間を守った上で仕事量を一定に保つこと。いいわね?」
「すいません」
 
言ってもきかないのはわかっている。
普段はうちのヴィータに爪の垢を煎じて飲ませたいくらい素直でいい子なのに、
こういったことに関してはひどく真面目で頑固なのだ。
注意を促した上で、こちらがしっかりと見張っておくしかないだろう。
 
「とにかく、身体のことを第一にね」
「はい。……あ、そうだ。シャマルさん」
 
と。
心配、ということについてフェイトはふと思い至ることがあった。
彼女がされるのではなく、彼女が心配していることがひとつ。
 
「シグナムは……?」
 
同じように入院している、戦友の状況。
負傷そのものはフェイトほど深いものではないものの、やはり彼女同様、多少時間がかかるという。
 
だが、フェイトが心配するのは身体的な負傷ではなく、彼女の心について。
 
意味を察し無言で首を振るシャマルの返答に、フェイトは肩を落とす。
 
「そう、ですか」
 
あの騎士との戦いにおいて、明らかにシグナムは動揺していた。
でなければ、確かに騎士の強さが自分たちを上回っていたとはいえ、
シグナムほどの実力者があそこまで圧倒されるはずがない。
 
また、目覚めてからフェイトは、彼女とは一度しか顔を合わせてはいない。
その時はまだ意識を取り戻してすぐで自分の体力が回復しておらず、
ベッドから起き上がれなかったこともあり、向こうから見舞いに来るという形ではあったけれど。
 
そんな状態のフェイトがぼんやりと見てわかるほど、彼女は憔悴しきっていた。
 
「『レクサス』……でしたっけ、あの騎士の名前」
 
それは、彼女が現れた騎士のことを知っていたが故に。
 
捜査への協力のため彼女がクロノへと提出した報告書・証言は、フェイトの手元にも届いていた。
 
「ええ……私はもう、覚えていないけれど……。シグナムだけじゃなく、
 私たちヴォルケンリッター全員にとっての先輩。姉のような存在だった人」
 
らしいわ、とシャマルは付け加えた。
映像に残り、シグナムの語った女性のことを彼女もけっして明確に記憶に残しているわけではない。
 
シグナム曰く、“劫火の将”『レクサス』。
 
確認のため四人の守護騎士全員に見せられた戦闘の様子と女性の姿に、
なんとなく懐かしいような、見覚えがあるような気がする程度の感想しか彼女は抱けなかったのだ。
 
「そしてシグナムの剣の先生でもあり……夜天の書のプロトタイプとして作られた魔導書の、その守護騎士」
 
それが復活し、止めようとした自分たちに刃を向け。
魔導師の襲撃事件を繰り返し、管理局に追われる身となっているのだ。
 
フェイトには、シグナムが沈む気持ちがわからなくもないように思う。
 
もし今自分が同じ状況であったなら……万一、姉のアリシアやかつての師・リニスが今蘇り、
自分や仲間を傷つけて管理局に追われる身となっていたなら。
そして自分が力及ばず、止めることが出来なかったら、やるせなさで一杯になるだろう。
想像するだけでも、ぞっとする。
彼女の場合は姉と師、双方のショックが一度に訪れているのだ。
 
「でも、シグナムならきっと」
 
きっと、立ち直ってくれると思う。
フェイトの知る限り、彼女は誰よりも強い騎士なのだから。
その強い彼女を、フェイトは信じている。
 
「ええ。……絶対に、大丈夫よ」
 
信じているのは、シャマルも同じ。
 
幸い、レヴァンティンも中枢に大きな損傷はなかったとのことだ。
彼女達の将が蘇り、再び炎の魔剣を手にする時を、彼女も信じている。
 
「絶対に」
 
*   *   *
 
二週間もあれば、レヴァンティンの修理は可能だという。
 
「……」
 
深夜。人気のない、暗い訓練場にシグナムは一人佇んでいた。
その身を包むのは緋色の騎士甲冑ではなく、薄水色の入院着。
分厚く包帯の巻かれた右腕の白と共に、その色は暗闇に顕著なコントラストを以って浮かび上がっている。
 
彼女は、眠れなかった。
結ぶことすら億劫に思った長い髪を背中に流したまま、
こうしてふらりと病室を抜け出し、己の血と汗を幾度も吸ってきたこの場所に立っている。
 
『牙の抜けた騎士には……剣は、不要』
「……」
 
心に残響する、再会した師の言葉。
麻酔と薬によって感覚の感じられぬ拳を、きつく握る。
 
「二週……間……」
 
たしかにその期間を置けば、レヴァンティンは直るのだろう。
だがもし再び目の前に愛機が突き出されたとして、自分にもう一度、それを手にとる資格があるのだろうか。
 
それだけの力が、心構えが。自分に備わっているだろうか。
 
「敵わなかった……何、ひとつ……!!」
 
かつて敬愛し、今もなおその想い涸れることのない姉には、自分の剣はなにひとつ。
数百年もの時を生き、幾千幾万という戦場を駆け鍛え上げてなお、通用しなかった。
 
『弱くなったわね、シグナム』
 
心を貫く声は、まるでシグナムを嘲っているようだった。
 
いや、嘲っているのだ。師の言った言葉を、声を借りた自分自身が。
明確に否定することが出来ず、戦い敗れ彼女の言葉を証明することになってしまった己を。
 
弱くなったつもりはなかった。
進んでいるつもりだった。
 
だがその自負は、遥かなる過去よりやってきた存在に、脆くも打ち砕かれてしまった。
変わらぬはずの彼女と、変わってしまった自分。
 
負けたのは、自分のほう。自分には彼女を止めることは、できなかった。
 
(『甘くなった』……あの人はそう言った)
 
甘さを知った自分はやはり、弱くなってしまったのだろうか。
その結果シグナムは破れ、その身代わりとなったフェイトは重傷を負い、
止めること叶わなかった相手は魔導書の完全なる復活を目指し、管理局に追われる身となった。
 
『最後の夜天の王の抹殺』、『主はいる』。
 
断片的な会話を思い出せば思い出すほど、シグナムの心は乱れる。
シグナムが再び剣をとれば否応なく、彼女ともう一度相見えるときはやってくる。
 
「私には……勝てない……今の私には……」
 
実力が足りないだけだというのならば、鍛えよう。
修行もしよう。しかし足りないのはそれだけではないのだ。
 
「私に……あの人を斬ることは……」
 
甘くなってしまった自分に、斬ることはできない。
そして、敵を斬れぬ騎士など、騎士を名乗れるにふさわしいはずもない。
 
師にして、姉──、敵を敵として認められぬ、自分がいた。
敵対するにはなにか理由があるはずだ。戦いを己の心が拒絶しているのは、明白だった。
 
実力で劣り、心構えで負けていて──勝利を得られるわけがない。
 
『最後の夜天の王の抹殺』、彼女はそう目的をシグナムに漏らした。
報告を受けたクロノたちによって、はやてはアースラに戦力として登録されるという形で、
多くの仲間たち、なのはや彼女の指揮する武装隊、それにザフィーラやヴィータといった
者たちによって守られている。だが。
 
「……私は、主はやてを守らねばならない」
 
彼女は、予感する。
いずれ己が直接、主を守るため炎を纏った女騎士と再び相見えなければならない日がやってくることを。
あの人は、強い。
 
そして主を守るのが、守護騎士たる自分の使命。
 
「私に、止めることができるのか……?」
 
弱くなった、甘くなった自分に、彼女を止められるのだろうか。
 
彼女は生まれてはじめて、戦いをおそれていた。
それはどれほど強い敵が相手であれ、抱いたことのない感覚。
 
恐怖ではなく、忌まわしく思い回避を願う。
純粋な優劣を競うのではなく、殺意を向け合わねばならぬ戦いがやってくることに。
 
昔のシグナムなら……絆のぬくもりを知る前の彼女であったならば、違ったろう。
師の教えに、戦場の掟に従い、譲れぬもののために迷わず挑んだことだろう。
 
しかし今の彼女は知ってしまっている。騎士の誇りと同じ重さをもつ、絆の大切さを。
だからこそ、師と弟子。姉と妹。
悠久の時を越えてなお自らのうちに残るその絆を、斬り捨ててしまうことができない。
たとえ、弱くなったと断じられたとしても。
 
避けられるものならば、避けたい。ひたすらに、彼女は戦いをおそれた。
烈火の将の心は、彷徨っていた。
 
 
(つづく)
 
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