芸能くると勝てません

 
三回連続一回戦芸能でした。……当然のごとくフェニックス組に堕ちましたよええorz
 
……今普通に「おちました」が「堕ちました」で変換されたあたりうちのパソコンは
非常にアレですな。
芸能わかんないよ芸能。
決勝で芸能一問多答選ぶ人なんて嫌いです。
 
以下、web拍手レスです。
 
 
>マンのスペシウム光線と八つ裂き光輪見れて万歳な自分。でも初代のように引き分け再試合的で退場したメフィ
>ラスは殺して欲しくなかった。

一応設定的には初代とは別個体みたいなので、その辺の配慮もけっこうなされてると思います。
自分の場合「また帰るのかよ!!」とおもいっきりつっこみ入れてしまった人間なのでw
昔をそのままトレースするよりは変化加えたってとこじゃないでしょうか。
 
>登場人物の考えと地の文の組み合わせ方、配分にいつも惚れ惚れしてます。マネしたくても出来ないッスよ。
いやいやいや、自分なんて大したことないですよ?つか自分の場合語彙力が壊滅的に乏しいので(滝汗
 
 
the dayの第八話、更新します。
 
※後日追記
こちらの手違いで、第七話を飛ばして収録してしまっています。
読まれる際には三月十五日の日記のほうに改めて収録した第七話を先に読んでいただけると幸いです。申し訳ありません。
 
どぞ。
 
↓↓↓↓
 
 
 
 
 
 
もはや彼女に、かつての旺盛な食欲は見られない。
 
「フェイトは、さ。リンディなりクロノなり、別の主と契約して生き続けろって言うけど」
 
赤毛の子犬が臥せた前には、彼女の食事用として置かれた愛用の皿があった。
そこには手つかずの、好物であるはずの大きな肉の塊が、手付かずで乾きかけた表面を空気に晒していて。
 
「……」
 
彼女と同じくらいの大きさの、蒼い毛色の子犬───、ザフィーラは何も言えずただ、忸怩たる思いで同類である彼女の穏やかな口調を聞いていた。
 
「あたしは最後まで、あの子の使い魔だからさ」
 
───使い魔。守護の獣。
 
誇らしいはずであるその単語が、今はひたすらにザフィーラの心に暗い影を落とす。
 
護るしか、能がない。
大切な存在を、仲間を。助けることすらできない。
彼女がそのような恨み言、言うわけがないということがわかっていながら、自身を表すたった数文字の言葉が、暗にそう言っているように思えて。
 
彼は密かに、自分の無力を呪った。
 
 
魔法少女リリカルなのはA’s −the day−
 
第八話 僕が希望になるから 
 
 
ガタン、と軽い衝突音を伴って、突き飛ばされたはやての背中が白い病棟の壁へとぶつかった。
 
「……なんで」
 
音はそこそこしたけれど、壁の硬さをひんやりと背中に感じただけで、殆ど痛みはない。
同年代の少女に突き飛ばされた程度の衝撃、壁との激突など、以前の病弱であった時分であればいざしらず、日ごろから局の訓練や任務に従事している今の彼女にとってたいしたものではない。
 
フェイトからの告白を聞きいた直後の茫然自失とした精神状態であったことも、彼女の病室を辞したその身の感覚をひどく鈍いものにしている。
 
「……あ」
 
だから、気付くまでに数瞬の遅れがあった。
 
自分を壁に向けて強く押しやった親友の涙を浮かべた瞳が、こちらをきつく睨みつけているということに。
よくよく見ればはやてのすぐ隣には、出てきた病室の扉がある。
ということは、彼女は退出してすぐに、前をふらふらと歩いていたはやてを突き飛ばしたということだ。
 
「なんでこんな大事なこと、黙ってたのよ!!なのはも、あんたも!!」
「あっ……え、その……」
 
あ、くる。そう思うが早いか、頬に熱い痛みが走る。
友の振り切った平手に、右頬が熱を帯びてじんわりと赤く染まっていく。
 
目尻から涙を散らしながら、アリサが金切り声で叫んだ。
考えるまでもなく、彼女は怒っている。
 
「あたしたちが……一般人だから!?だから隠してたわけ!?」
「違……っ!!それは……私はただ、二人がこのこと聞いたら悲しむ思て……」
「だったら何よ!!隠し通せるとでも思ってたっていうの!?」
「だめ……っ!!」
 
しゃくりあげ続けていたすずかが割って入り、やりきれない表情のシグナムが抑える形で、はやてを責めるアリサと、彼女にたどたどしく反論するはやてを引き離す。
 
しばらくこちらを睨みつけたあとで、赤く充血した目を逸らしたアリサはぷいと彼女に背を向ける。
 
「……なのはは……」
「え?」
「なのははどこって、聞いてるの!!一発ひっぱたいてやんないと、気が済まない!!」
「なっ……?」
 
拳を思い切り握り締め、吐き出すような叫びを床に向けて叩きつけ。
彼女は聞かれたシグナムが戸惑いつつも受け止めようと差し出した両腕をすり抜け、答えも聞かず駆け出した。
 
勝手などまったく分からないであろう。
どこに一体どんな部署があるのかも知らないであろう、本局の長い通路を走りぬけんと。
 
「だめ、だめえっ!!」
「!?っ……すずか、放しなさいよっ!!あんたっ!!」
 
その怒りは、直接なのは本人に向けられた質のものではない。
突然知らされた現実、それに対するやり場のない感情が、わかりやすい矛先となる相手──この場合は、
自分たちを悪意がなくとも欺いていた人物──であるなのはへと向いてしまっているだけだ。
 
彼女の心に生まれた激情、混乱。様々にかき乱された精神によって。
 
そして衝き動かされるアリサの腕を掴み引き止めたのは、
彼女と同じく事実をひた隠しにされ、枠外に押し留め続けられたもう一人の人物、すずかであった。
 
「あんただってわかってるでしょ!?なのはは、あの子……フェイトの病気だけじゃない!!何もかもあたしたちに……」
「それでも、だめっ!!」
「悔しいとおもわないのっ!?」
 
掴んだ腕を抱きかかえ、いやいやをするように首を激しく振るすずか。
彼女は必死に、友を止めようとしていた。
 
「家族のクロノさんやリンディさんが言えなかったこと……なのはちゃんだって言えないよ!!」
「けどっ……!!だって……」
「フェイトちゃんが、大変なんだよ!!」
 
アリサの腕にすがり、すずかは懇願の声を張り上げる。
ついぞ彼女の口からは耳にしたことのない、精一杯の大声で。
 
「こんなときに喧嘩なんてしないでよっ!!」
 
フェイトのことだけでも、辛いのだ。
心優しく、繊細で脆い彼女がその上で友人同士の衝突など、見ていられるはずもない。
 
アリサが言葉を失い、はやてのほうを見返してくる。
逸らすこともできず、曖昧にはやては目線を彼女に重ねた。
 
そして視線が数秒間交差した後、再び彼女はすがり泣くすずかに目を落とすと。
 
「───────ッ……!!」
 
声もなく。
すずかを抱き返し、二人重なるように両膝を折って崩れ落ちた。
 
二人が抱き合い涙を流す様を見ながら、はやてもまた自身の体重を預けていた病棟の壁をなぞるように脱力し、ゆっくりと尻餅をつく。
視界などとうになくても、それだけはけっして親友たちからはずすことなく。
 
三人の少女たちは、二人の女性が見守る中、ただただ涙した。
人気のない個室ばかりの特別病棟には、その声だけが響いていた。
 
*    *    *
 
「なのはが、本を?」
「はい。主にリンカーコア関連の論文が多数寄せられた学術書に、高出力魔力炉の運用マニュアルの類ですが」
 
あれから五日。結局、ユーノはなのはとは会えずじまいだった。
彼女の部下を通して書類を渡した際の感謝を告げるメールが、二人の持った唯一の接点である。
 
ただしユーノのほうも急な出張が入り、三日ほど無限書庫の執務室を空けていたこともその原因の一端であるが。
 
彼女のことがなんとなくひっかかりながらも出張を終え、職場に復帰したユーノが秘書官に留守中のことを尋ねると、気になったこととして彼が挙げてきたのがあろうことかなのはのことなのだから、そのままにしておくわけにもいかない。
 
「司書長は留守である旨、申し上げたのですが……。資料を借りに来ただけだから、今はいいと」
「そうですか……」
 
一体なのはが、何の目的があってそのようなものを持っていったのだろう。
考えてみても、一向に思い当たる節がない。
彼女は有休中のはずだし、仮に任務で必要であったならば、正式に書類が回ってくるはずだ。
ならば今回のこれは、まったくの私的な利用。
 
(……いや、待てよ?)
 
そもそも、その私的な利用のためにこの有休を取ったのではないか?彼女は。
だとすれば、今彼女がわざわざ仕事を放り出してまでやることといえばひとつしかない。
 
「!!」
 
あの時。
なのはらしき影が書類を落としていったとき、自分は秘書官と何の話をしていた?
そう。たしかあれはPT事件を洗い直して、出した申請が却下されたときのことで……。
 
……PT事件。フェイトとなのはが、自分達がはじめて出会った事件。
 
そして却下された申請は────……。
 
「なのは……まさかっ!?」
 
ひとつの想像にたどり着き、ユーノは頭を押さえる。
自分の予想が正しければ、なのはは。
机上の通話機から、アースラのクロノを呼び出す。
 
───はやく。はやく出てくれ。
 
いまいちそりのあわない友人の応対の声が、今は待ち遠しかった。
万一の場合、彼に動いてもらわねばならない。
不幸中の幸いは、数日前になのはの不審な行動を彼に伝えていたことだろうか。
彼も身構えてはいてくれているだろうから。
 
(早まるんじゃない……なのは……!!)
 
まだか。
鳴り続ける電子音に、彼の神経は苛立った。
机の上を繰り返し指先が叩いて、彼の精神状態をよく表していた。
 
*    *    *
 
「……フェイトちゃん」
 
暗い病室の中で、なのはは眠る親友を見下ろしていた。
 
聞こえていなくてもいい。
絶対に、助けるから。
己の決意を伝え、より確固たるものへとするために。
 
「待ってて、ね」
 
暗がりでもわかるほど、横たわる彼女の顔はやつれてきていた。
きっとシーツに包まれた白い四肢も、以前より細くなっていることだろう。
 
───やらなくちゃ。
 
友の姿を網膜に焼き付けるべく、瞼を閉じる。
 
準備は、既に整った。
必要なデータや知識は、自分の頭とレイジングハートに入れてある。
ミッドチルダをかけずりまわって、パーツや道具も揃えた。
 
すべては、一人でやらねばならない。
他の人間に迷惑は、かけられない。
これは自分の我が侭、友を助けたいという自分ひとりの思いなのだから。
 
あとは、あの場所に行くだけだ。
 
二人がはじめてその手を重ね合った、あの場所に。
 
「……行って、くるから」
 
深く息をつき、踵を返す。
自動ドアが開くと、そこから光が漏れ出してくる。
友を起こしてしまわないように足音を抑えながら、なのはは病室を出る。
 
「またね」
 
ドアの向こうの友を惜しみつつ、足を通路に向けると、向こう側から歩いてくる一人の少女がいた。
 
「……ヴィータちゃん?」
 
ふらふらと、心ここにあらずといった感じで歩いてくる赤毛の三つ編みを、なのはは受け止める。
彼女はなのはの存在にすら気付いていなかったようで、驚いたように顔をあげた。
 
「……なのは」
「どうしたの?一人でフェイトちゃんのお見舞いに?」
 
これほど元気のない様子を見せる彼女がかつて、いただろうか。
そう思わせるほどに、ヴィータの表情は優れず、沈みきっていた。
 
「フェイト」、その名を耳にした瞬間に虚ろだった表情はみるみる崩れ、潤んだ瞳から滂沱の涙を流しなのはへと少女は抱きつく。
 
「はやてが……はやてが、笑ってくれねーんだ……」
 
なのはの丁度胸とお腹の中間地点くらいに顔を埋めながら、涙声でヴィータは言った。
 
テスタロッサのこと聞いてから……病気になってから……はやてが……」
ヴィータちゃん……」
 
それ以上は聞かずとも、理解できた。はやてが真実を知り、心を痛めていることも。無理をして笑い、ヴィータがそれを心配しているのであろうことも。
 
どうしていいのかわからず、彼女が足の向くままフェイトの病室にきたのであろうことも全部。
 
「……心配しないで」
「なの、は……?」
「フェイトちゃんは必ず、助けるから。はやてちゃんも笑ってくれるようになるから」
「……?」
 
思わずその幼い顔で見上げてきたヴィータを、なのははやさしく撫でる。
安請け合いなんかじゃない。
必ず、なんとかするから。その意思をこめて。
 
「……だから、行ってくるよ」
 
次元の狭間の、あの場所へ。たとえ咎人の謗りを受けようと、かまわない。
その存在すら知らず理解の追いついていないヴィータを残し、なのはは一人向かう。
 
フェイトの生まれた場所。
フェイトが自分を始めた場所。
 
時の庭園へ。
 
(つづく)
 
 
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