いくつか意見ありまして。

 
エイプリルフール企画ははやてメインということになりました。
 
まあ、真顔で大嘘つきそうではあr(ラグナロクブレイカー死
 
はい、というわけでエイプリルフールネタ以外へのweb拍手レスっ
 
>絶対この場面には、GONGが流れると思うんだ。なみだをみ〜せ〜る〜な〜♪
GONGの熱さはガチ。ただカラオケでJAMプロは難しい……男女混成だから
声の切り替えがうまくいかないorz
 
 
the day十一話いきまーっす。
地味にオリキャラでてるけど気にしない。
多分二度と出てこない。なにも考えずに名付けた名前をちと変更。
 
↓↓↓↓
 
 
 
 
 
−時空管理局本局内・医療局、シャマルの執務室−
 
『知りませんよ!!あの女が作ったクローンのことなんて!!』
「ちょ……そんな言い方……!!」
『もう連絡してこないで下さい!!こっちも忙しいんですから!!失礼しますよ!!』
「あ……!!ちょっと!?テスタロッサさん!?」
 
がちゃん、と乱暴な音を立てて通話が途絶える。
音のしなくなった通信端末を片手に、シャマルは呆然と立ち尽くしていた。
 
通信していた相手は、ようやくのことで探し出した、フェイトの遺伝子上の父。
故プレシア・テスタロッサの離婚した夫、ヴィック・テスタロッサであった。
 
「もうこれくらいしか……手がないっていうのに」
 
フェイトに残された時間と体力は、少ない。
リンカーコアそのものの問題を解決するには、とても足りないほどに。
採れる選択肢が限られる中、シャマルが思いついたそれはリンカーコアの移植。
フェイトの消えゆくリンカーコアに正常なものを移植し、活性化を試みるというものだった。
理論上は、可能なはずである。
 
だが、それには同じ遺伝子を持つ者、非常に近い魔力パターンを持つ者のリンカーコアでなくてはならない。
家族であっても血のつながりのないクロノやリンディ、純正のリンカーコアでない使い魔のアルフではだめなのだ。
プレシアもアリシアも死している今、可能性が残されているのは唯一、同じ遺伝子を持つ父親のリンカーコアだけであったのだが。
 
けれど藁にもすがる思いで居場所をつきとめた彼は、危険を伴う手術や研究への支障から、シャマルの申し出を拒絶し。
一方的に通信を切ったのである。あくまで他人事でしかないということか、所詮は。
 
「時間も……あの子の体力も……これ以上は……!!」
 
手術を成功させる自信はあった。
これでも局内においては、リンカーコア関連の治療のエキスパートとして通っているシャマルだ。
たとえ前例のない試みではあっても、やるだけの価値はあると思っている。
 
しかし悲しいかな、肝心のリンカーコアがないのであれば手も足も出ないではないか。
 
「………はい、医療局」
 
手に持ちっぱなしだった通話機が電子音を発し、シャマルは沈んだ気持ちのままボタンを押し、応対する。
 
「ああ、マリーさん。どうしたの?え?」
 
声だけの通話。
眼鏡の少女を連想したシャマルは、内線の向こうの彼女の言葉に通話機を取り落としそうになった。
 
ヴィータちゃんが……いなくなった?」
 
 
魔法少女リリカルなのはA’s −the day−
 
第十一話 時を削る部屋で(後編)
 
 
真紅と、緋色。二つの閃光が交差し、激しくぶつかりあう。
 
「どーせ元々、あちこち気に入らなかったんだ!!手加減しねーぞ、シグナムッ!!」
「何故お前まで出てくる!!無意味だとどうしてわからない!!」
 
紅き少女は、鉄槌を手に。
煤けたボロボロの騎士甲冑の緋を纏う女性は、剣を手に。
乱暴に得物を打ち合い、叫ぶ。
 
「無意味なんかじゃねー!!テスタロッサのやつ助けて、はやてに笑ってもらうんだっ!!」
「相変わらずの短絡思考……いい加減にしろ!!ヴィータ!!」
 
烈火の将は強い。
なのはとの激突のダメージを残してなお、万全の状態のヴィータと互角に渡り合う。
自分たちを率いるリーダーはやはり伊達ではないと、紅の鉄騎は歯噛みせざるを得ない。
 
「アイゼン!!ラケーテンハンマー!!」
『Explosion』
 
カートリッジ・ロード。変形した機体を振り回し、ヴィータはシグナムに向かっていく。
 
『sir』
「いや……お前はいい。よくやった、休んでいろ。……いくぞ、レヴァンティン」
『Jawohl!!』
 
紫電一閃。炎を纏った剣が、迎撃する。
懐に忍ばせた、傷ついた閃光の戦斧が見守る中。
 
*   *   *
 
「エイミィ。結界のコントロールをそちらに移す。いいな」
『了解。……クロノくん』
「大丈夫だ、さっさとこのわがまま娘二人を連れて帰る」
 
二人の騎士が激しい戦闘を繰り広げる下では、なのはとクロノが対峙していた。
言って、クロノは掌中のデュランダルを地面へと突きたてる。
これが結界の中継装置ということになるのだろう。
そして代わりに懐から、鋼色をした一枚のカードを取り出す。
即座に杖へと変化したそれは、往年の彼の愛機・S2U。
 
「……いいの?デュランダルが使えなくて」
「見くびるな。たかがだだっこ一人ねじ伏せて連れ戻すのに、デュランダルを使う必要もない」
 
なのはの問いに、彼はこともなげに答えた。
その冷静であっさりとした態度が、なのはの癇に障る。
 
「……言ってくれるね。甘く見ないでよ」
「事実を言ったまでだ。今のきみは客観性も冷静さも失っている。こいつで十分───」
 
黙れ、と言わんばかりに。
クロノの足元に、一発の光弾が炸裂した。
放った当の本人、なのはは顔を俯かせ、指令を下した左腕を戦慄かせ。
肩を怒らせて硬直している。
 
周囲には更に十数個のアクセルシューター形成。
いつでもクロノのことが狙い撃てる、臨戦態勢が整う。
 
「───図星をつかれて、怒ったか?きみも子供だな、まだまだ」
「……どう、してっ……!!」
 
挑発的な物言いに、なのはが激昂した叫びをあげる。
レイジングハートの黄金の槍先、その切っ先を彼に向け、戦闘で汚れ乱れた髪を一層振り乱して。
 
「どうしてそんなに、落ち着いてられるの!?クロノくんはフェイトちゃんの、お兄ちゃんでしょう!?」
「ああ、そうだが」
 
落ち着き、冷たさすら漂わせるクロノと、荒々しく激するなのは。
二人の感情も、姿も。あまりに対照的だ。
 
「なんで!?どうして!?クロノくんはフェイトちゃんがいなくなって、平気なの!?」
「……」
「クロノくんはフェイトちゃんのこと、心配じゃないの!?フェイトちゃんがっ……」
「心配してないわけ、ないだろうっ!!」
「っ……!?」
 
クロノの無言に、なのはの苛立ちは募り。
それを吐き出そうとする彼女を、青年の怒鳴りつけるような声が律した。
乱暴でありながら、噛み締めた無力感がその声にはにじみ出ている。
 
「助けられるものなら……助けてやりたいさ。それこそ、どんな手を使ってでも」
「ならっ……」
「だが、それをあの子が望むのか?本当にあの子のためになるのか?遮二無二、こんなことをすれば」
「クロノくん……?」
「教えてくれ、なのは」
 
問いかける青年の杖の先端に、蒼い光が宿る。
諦めたように、彼はなのはに教えを乞うた。
 
『スティンガースナイプ』
「フェイトがきみに頼んだのか?何をしても、規律に反したとしても助けてくれ、と」
「それは」
 
いつの間にか、立場は逆転していた。
こんどはクロノが責め、問いただす番。
沈黙を強いられるのは、なのはのほうであった。
 
「違うだろう。きみがあの子の気持ちも無視して勝手にやってるだけじゃないのか」
「けど……!!」
 
蒼き流星は、いつでも発射が可能な状態となっていた。
魔力の主が少女へと杖を振るうのを、今か今かと待っている。
それに目をやりつつも、なのはは必死に反論の言葉を探す。
 
「僕はあの子を……フェイトに、悲しい思いをさせたくない。ただそれだけだ」
『フリージングバインド』
「!?」
『master!!』
 
だが、言い終わるがはやいか。
きっと発射されるであろうと踏んでいたなのはの予想と裏腹に、スティンガー弾は空中に霧散し、掻き消え。
 
かわりに、電子音声とともに何重もの魔法陣が彼女の周囲へと展開されていく。
愛機の警告の声に身を翻すなのはであったが、その数はあまりに多く抜け出すには至らない。
 
「っぐ……そんな、いつの間に……!?」
 
飛翔する右足に巻きついた氷の鎖が、彼女の身体を魔法陣の発生圏内へとひきずり戻し。
連鎖的に発動し生成される同じ半透明の鎖がなのはの体から自由を奪っていく。
 
「……本来の君なら気付いていたはずだがな。やはり、短絡思考は目を曇らせる」
「く、う……クロノ、くん……!!」
 
クロノがちらりと地面にささったままのデュランダルに目を流した。
彼の仕草に、ようやくなのははこの拘束のからくりを悟る。
 
──やられた。
 
はじめから、S2Uとスティンガースナイプは自分の目を逸らす、囮にすぎなかったのだ。
はじめから、デュランダルで組んでいた術式で、彼はなのはを捕らえるつもりだった。
S2Uはそのトリガーを引いただけ。
 
だが今となってはもう、あとの祭り。
 
凍てついた氷河によって作り出された鎖は、なのはの身体から自由以外にも、損傷したバリアジャケット越しに体温を著しく奪っていく。
身体の芯から凍えるように、ひどく冷たい。
右腕のレイジングハートさえもが、わずかに表面の空気を結露させるほどだ。
 
「なのはっ!!」
「余所見をしていて、いいのか?……ヴィータッ!!」
「っが!?」
ヴィータちゃん!!」
 
なのはを気遣い、ヴィータが振り向いたところにシグナムの強烈な蹴りが叩き込まれる。
派手な音を立てて壁を粉砕、激突し落下するヴィータに、なのはは歯の根が硬直し合わなくなりつつある口で叫ぶ。
 
地面に落ちてくるところを、クロノがストラグルバインドで捕獲。
あっという間に二人目の虜囚が出来上がった。
捕らえられたヴィータが必死にもがこうとも、その鎖はけっして外れることはない。
 
「ひど……い……」
 
骨の髄まで凍らせるような寒さに襲われながら、なのはは呟いた。
体温が奪われすぎたせいか、意識も視界も、ひどくぼんやりしてきている。
こんなところで眠るわけにはいけないのに、眠くて仕方がない。
 
「全部……時間を稼ぐ、ための。バインド……気付かれないための……」
「それは違う」
「……え……」
「それは違う、なのは。僕が言ったのは全て……僕が本心から思い口にしたことだ」
 
寒さによる酩酊と筋肉の収縮で殆ど呂律の回らなくなりつつあるなのはに、クロノは頭を振って弁明した。
 
「あの子に兄としてしてやれること。あの子が聞いて悲しむようなことは、やめさせたいと思った」
「……の、くん……」
「それしか僕に出来ることがないのなら」
 
万が一局のほうが動けば、なのははそれ相応の罰を受けることになる。
そうなる前に、自分が止める。
全く局に報告しないわけにもいかないが、いくぶん軽くはなる。
 
「情けない……話だがな」
 
言ったクロノは、ふっと軽く笑う。
それはその程度しか妹にしてやれぬ自分への、自嘲の笑み。
その自虐的な笑みに、もがき暴れていたヴィータさえもが、思わず見入っていた。
 
「あ……ぁ」
「───さあ、帰るぞ。なのは、ヴィータ
 
苦く俯くヴィータと、ぼんやりと焦点の合わぬ目線を虚空に漂わすなのは。
シグナムもようやく終わった、と疲労した様子で、着地した瞬間壁に体重を預け息をつく。
実際シグナムの消耗が一番大きい。
 
だがそれでも、先程までの戦闘が嘘のように静かな光景であった。
 
──ほんの、わずかばかりの儚い時ではあったが。
 
届いた通信が、その空気を一変させ。
 
『クロノくん!!大変っ!!』
 
その平穏は、エイミィの切迫した声によって、短く儚くも砕け散った。
 
「どうした、エイミィ。こちらは……」
『大変なの!!すぐ戻って!!フェイトちゃんが───』
 
いや。切迫した声というよりは、それはもう既に殆ど、泣き声のようであった。
まともな通信ではない。ヒステリーでも起こしたがごとく、エイミィは焦燥に裏返り乱れた声を放つ。
 
『フェイトちゃんの容態が……急変したって……!!』
 
恋人の悲鳴に近い涙声に、クロノの右手からS2Uがこぼれ落ちた。
 
(つづく)
 
 
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