イベント後から。
妙に文章が乱れてる気がしてならないなぁ。
ひとまずweb拍手レスから。
>640さんは「とらいあんぐるハート」というエロゲーシリーズをプレイした事あるでしょうか都築氏がなのは以前にシナリオ書いてた作品なんですが、家族空間の暖かさが好きでした
なのはの大元になった作品シリーズですねー。未プレイですがどんな感じのものかは知ってますよ。
>どうも、初同人誌が640さんのサイコロキャラメルです。(どうでしょうからあれを選びました)本当はnocturneと空を、なくすが欲しかったけど売り切れ?と英語が読めないから言葉に詰まったからだよ!今後も頑張ってください!
おお、どうもー。コピー誌はまた次のイベントでも刷ってくつもりです。部数が少なかったんで。
nocturneもそのうち再販せんとねぇ。
>リリマジ3、お疲れ様でした〜♪ 体調が良ければ飲み会も参加できたんですが…申し訳ないです。こちらで早速、相互リンクをはらせていただきます。ではまた by古鉄
はーい、うちも張っておきまーす
>リリマジでは挨拶させていただきました、鏑木です。業務連絡になりますが、リンク貼らせていただきました。今後ともよろしくお願いします。
了解でっすー。
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リンク数件追加、そしてnocturne二期更新ですー。
↓↓↓↓
男が一人暮らしをしている私室というものは、得てして散らかっているものだというけれど。
惚気ているわけでもなんでもなく、少なくとも彼は違うとなのはは思う。
所々行き届いていない部分はあるものの、日頃の忙しさの割に整理された彼の部屋はキッチンを借りてケーキを切り分けていても、他人である彼女の目から見て気になるほどではない。
「っれ? おかしいな。返事、まだ返ってきてないや」
テーブルの上で通信端末を弄っていた彼の声に、なのはは振り返った。
丁度自分は二人分のケーキを、食器とフォークと、そして茶葉の時間ぴったりに蒸らした紅茶のポットとともにお盆に載せたところ。
ティーポットの中の琥珀の液体が一足ごとに揺れるのを感じつつ、声をかける。
「何? アコース査察官のこと?」
二人きりの時間に端末を覗いていても、お互い特に気にはしない。
職業柄、頻繁にメールや通信履歴をチェックする必要があるということを双方わかっているからだ。
ケーキの皿とカップを並べ、お盆をなのははテーブルに置く。
「うん。大体すぐ返事くれるんだけどね。まあ、急な仕事でも入って忙しいのかな」
「かもね……っていうか、ほんとにアコース査察官の車だったの?」
「それは間違いないよ。運転席が一瞬見えたもの」
ふうん、と頬杖をつくなのは。自分よりも彼とは親しいユーノの言うことだから、その通りなのだろう。
それぞれのカップに暖かい紅茶の液体を注ぎ、彼がケーキに手を伸ばしたのを見てそれにならう。
「ま、いいか。大した話題でもないし」
フォークの先に刺したケーキの一片が言葉と共に彼の口に吸い込まれ、同時に空間モニターも閉じられ消えた。
出先で、知人の車を見た。ただそれだけのこと。
確かに返事の有無くらいで気にするほどのものではない。
……あくまでも、何も知らない二人にとっては。
魔法少女リリカルなのはStrikers Nocturne -revision-
第5話
“今日から姉弟……といっても、お互いまだあまり実感はないと思うけれど”
はじめましてのその瞬間が、まさに人生ではじめての恋の瞬間で。
“はじめまして──よろしく。ヴェロッサくん。……ううん”
そして紛れもなく、彼にとってはじめての失恋の瞬間でもあった。
“──『ロッサ』”
彼女に、他人としてではなく。
この世にたったひとりだけの“弟”としてそう呼ばれたそのとき、彼の初恋は終わったのだ。
* * *
手早くシャワーを済ませ戻ったリビングには、既に畏怖すべき……もとい、敬愛の対象たる親愛なる修道服の教育係の姿は見えなかった。
ソファ前のテーブルに、二人分のお茶の用意が手付かずで一そろい。
俯く金髪が開いたドアに気付き、顔を上げていた。
「待たせたね。シャッハは?」
訊かずとも状況から概ね予想のついていることを、ヴェロッサは社交辞令的に尋ねる。
両膝の上で手を組み合わせた彼女は、他意もなにもない様子で力ない笑いとともに、簡潔に答える。
「さっき……出て行かれました。まだ用事の途中だから、って」
フェイトが肩を竦めると同時に、サイズのあわない大き目のTシャツが揺れる。
女性としてはやや大柄な部類の彼女ではあるが、それでもやはり男物ともなればぶかぶかだ。
おそらくはシャッハが箪笥から適当に見繕ったのだろうが、こればかりはどうしようもない。
「そっか」
隣に腰かけると、再び彼女は押し黙り俯いた。
長い髪は、自分も彼女もお互い様。
どちらもゴムで根元近くで結って、ドライヤーで乾燥させたばかりのそれを邪魔にならないようひとつにまとめている。
着ている服も、ヴェロッサの私物という点で共通している。下は共にスエットで、ヴェロッサのほうがタンクトップという違いだけだ。
フェイトだけは、スエットの裾がやや余り気味ではあるけれども。
丈の合わない服装に身を包み、彼女は黙りこくっていた。
サイズが男物で大き目ということは、当然襟元もすかすかだ。なにぶんヴェロッサも比較的長身の部類だし、体格もそれなりに自負がある。
おかげで、豊かなその胸元がちらりと──。
「っと」
いかん、いかん。つい自分の視線がそこへ注がれていたことに気付き、ヴェロッサは頭を振る。
親友の妹に対して失礼という以上に、教育係の暴力シスターに不埒な視線がばれたときのことが怖い。
彼の仕草にようやく顔を上げて怪訝そうな目を向けるフェイトの表情は、やはり優れないままだった。
言葉を続けないヴェロッサから視線を外し、再び彼女は俯く。
逡巡が、そこから数秒間の間を作る。そして。
「すいま……」
「言っただろ? ごめんなさいより、ありがとうのほうが嬉しいって」
「……ありがとう、ございます。シャワーや服まで貸していただいて」
彼に釘を刺され、促され。
形だけの感謝を──誰がどこからどう見たとしてもそこに含まれている本質は感謝ではなく陳謝の意しかない『ありがとう』を、彼女は示す。
そんな彼女の言葉に、ヴェロッサは苦笑を漏らし前髪をかきあげた。
これでは、まるで感謝されているようには見えない。言葉が違うだけで、結局彼女は謝っているだけだ。
「誤魔化すの、苦手だね」
「……え」
「いや、こっちの話」
相変わらずだな、と言葉にしなかった思いを心中で呟く。
けっして深いものではない時折程度のものでしかなかったけれど、クロノから妹だといって紹介されてから数年来の付き合いになるというのに。
彼女の感謝は「ありがとう」より「すみません」のほうが多いのは昔から変わっていない。
ただ、その扱いも流石にもうわかっているけれども。これもちょくちょくハラオウン家に遊びにいっていたおかげで、多少なりとも彼女の性格を掴めているからだろうか。
「じゃあ、済まないって思ってるなら。ひとつ……いや、ふたつくらい質問させてもらってもいいかな」
「質問?」
「そう。差し支えなければ、答えて欲しい」
シャッハの手間賃ってとこで、どうだろう。
言葉は、そういって少々おどけてみせながら。
彼の意志はその脳裏に浮かんだ一通の友人からの電子文書を描きつつも、真剣そのものであった。
* * *
彼の顔に微笑みがあったのは、口から本題が吐き出されるまでだった。
わずかばかり、こちらへ身体を向けたのにつられて姿勢を正すと、彼の眼差しと目が合う。
そこには、冗談や軽薄といった、普段の彼の仲にあるそういった部類のものは一切がなくなっていて。
「きみにとっての、スクライア先生っていう人の存在の重さを聞きたくてね」
そして、吐き出された言葉に息を呑む羽目になる。
「え……その……」
鮮明にフラッシュバックする、雨中でなのはとユーノが紡ぎだしていた光景。
シャッハと少し話し、彼が短い時間とはいえ隣にいてくれたおかげで治まりかけていた胸の痛みも、同時に復活する。
「どう、して……ユーノが……?」
「これだよ」
疑問の声は、反射的に生まれたようなものだった。自分が不思議に思ったという当然の感覚にすら、自覚はない。
だがヴェロッサは彼女の問いに答えるように、端末を操作し一件の電子文書による通信履歴を呼び出す。
見せられた文面の送り主の名は、ほかでもない。彼が今名前を出した相手──ユーノ・スクライア。
「きみを迎えに行って。その先で彼が僕の車を見たと送ってきた。つまり、あの二つの展望台の片方に彼もいたわけだ」
「あ……」
「方角的に考えて、きみが走ってきたのはその彼のいる展望台からだったはずだ。買いに行った自販機よりもずっと向こうだったからね」
きみもいたんだろう、彼のいた展望台に。
他愛もないその文章に、明確に自分の表情が凍り付いていくのがわかる。
要約すればその内容は、彼が出先でヴェロッサの車を目撃したというだけのことだ。
──なのはと二人、休暇を過ごすべく出かけた先で。
「あの展望台で、きみはスクライア先生となにかあったんじゃないのかい?」
「何を、言って」
「答えてくれ、質問に」
意識が、急速に混乱していく。自分は、何を言えばいい。どう返せばいい。
ユーノはあくまでも、なのはの──……。
「ユーノ……は……なのはの……」
「彼と高町教導官のことは知ってる。僕が知りたいのは君にとって彼がなんなのか、ってことさ」
たどたどしい口調でしか、言葉を返せない。
言い逃れを考えるような余裕もなければ、軽々しく考えた嘘のそれを許してもらえるような状況でもなさそうだった。
「……ユーノは……、ユーノは、私、の……」
となれば、辿り着くことのできる答えなどひとつしかありはしなかった。
「私の、子供の頃からの。大切な──……」
けれどその言葉を声にすることは、許されるものではなかった。
他の誰に対してでもなく、フェイト自身にとって、けっして。
なのはと、ユーノ。二人の笑顔が脳裏を過ぎっていくからこそ。
そのあとに続くはずのたった一文字の言葉を、フェイトは二文字の単語に言い換える。
辿り着いた答えから、敢えて道を逸れる。
「大切な……友達、です……」
言葉の裏に、本当に言いたいことを隠して。
「……本当に?」
「本当、です……っ」
言い切るというそれだけのことが、苦痛でならなかった。
友達なんて思っていない。大切な存在ではあっても、フェイトはもうユーノのことをただ大切な友達だなんて思えない。
割り切ることなんか、できない。だけど──その想いを、公のものにするわけにもいかない。
「……そう。じゃあ、もうひとつ」
「……」
葛藤に、胸が痛かった。痛くて痛くてしょうがなかった。
もう、やめて。これ以上訊かないで。
声を張り上げて、彼の問いを拒絶したかった。
しかし最低限、答える以外では潰れたように掠れた呼吸が出入りするだけの喉が、語句を碌に紡げるわけもない。
彼女の願いは荒れ狂う心の、混乱の渦中へとあっけなく消えていく。
「彼が、友達だっていうなら。たった一言そう言うだけのことできみは……どうしてそんなに辛そうなんだい?」
「っ!!」
「雨の中から戻ってきて。いや、今日一日こうやって話していてずっと。彼の名前が話題に上るたびに、きみは苦しそうな顔をしている」
──だめだ、この言葉は。
意識が自らに、危険信号を発していた。
図星を突かれた心が、今度は真っ白になっていく。
そして人というものはを痛いところを突かれれば瞬間的に、本人自らをもあとから驚かせるほど急激に感情的になれる。
「やめて……」
「もっとはっきり言おうか。スクライア先生と、“高町教導官と”。どうして親友であるはずの彼ら、彼女らの名前を聞くたび」
これ以上、言わせてはいけない。聞いたら、抑えられなくなる。
自分のこの想いは人に知られてはいけない、知られるべきではない。
気付かれ、言われたら。きっと自分は認めてしまう。他人の口からの言葉で、自分は認めるわけには──……。
彼はきっともう、気付いている。知っている。そのことすら、フェイトは認めたくはなかった。
「やめ、て……っ!!」
「ふたりと、なにか──」
「アコース査察官には、関係ないじゃないですか……っ!! 別に私が、なのはやユーノとどうしたって!!私がユーノを……あっ!?」
冷徹と、激情。二つの声が重なった。
だが彼の厳然たる口調を遮った彼女の言葉は、紛れもない自ら語るに落ちた白状のそれでもあった。
慌てて口を噤んだとて、既にあとの祭りとしか言いようがない。
「やっぱり、か」
回答そのものに等しいフェイトのミスにも、ヴェロッサが動じた様子はなかった。
大した感動もなにもない反応のまま冷静に、言葉をゆっくりと繋いでいく。
彼の指先が、自身知らず零れていた涙を、フェイトの瞳から拭い去る。
「関係なくはないさ。このところ、クロノくんやはやてもきみのことを心配していた」
気にかかっていたのは、彼らのことがきっかけでもあるけれど、と。
そこまでを前置きとして一旦言葉を区切り、彼は言った。
「ほっとけないよ。同じようなよく似た状況を……知っている身としては、ね」
青年は、笑う。
査察官として普段湛えている人当たりのよい笑いでもなく、流石は親友と見ていて思わせる、兄のクロノの下手糞な微笑にもどこか通ずる、温和な微笑みでもなく。
「尤も、僕のライバルは親友でも、自制心でもなくて。よりにもよって神様なんていうとんでもない相手だったんだけどね」
それは自分を鼻で嗤う、自虐・自嘲の笑み。
フェイトは彼の苦い笑顔をはっきりと、そのように感じ取ったのだった。
柔和な笑顔の、金髪の女性の姿が、脳裏を過ぎっていった。
同じ。そう言った彼の言葉が、違和感なく心へと染み渡っていくのを、フェイトは感じた。
彼の向けてきた、フェイトの瞳の中の彼自身を見て哀れんでいるような目には、彼女もまた現在進行形で身に覚えがあったから。
それで、なんとなくわかってしまった。
──ああ。この人も、同じだ。同じなんだ。
相手の名も訊かず、何の根拠もなく、フェイトはそう認識した。
できてしまったのだ。
(つづく)
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