敵のオリキャラが

 
うざくなりすぎないよう注意しつつ。
さじ加減がやっぱり難しい。うざくなってたらゴメソ。
 
Web拍手レス。
 

>ロッサの初恋がカリム、ありそうなのになんで今まで自分は気が付かなかったんだろう。GJです。
うん、でもねー、書いてから思ったんだ。この設定ユーノへ片思いフェイトでやるより
クロノ結婚しちゃってしょぼんなフェイトでやるほうが向いてるよね、と。だってそっちだと完全シンクロじゃないですか。
 
>nocturneは無意識の中の恋心が表に出たときがテーマですね。でもフェイトは2人の仲を壊さない、いや壊したくないと思われるので今後の展開に期待です。 (サイコロ)
あと二話でおさまる・・・はず、はい。完結させます、きちんと。
 
>ああっこのままフェイト×ロッサになりそうな雰囲気です。ユノフェ派の私としてはフェイトもユーノとくっついてほしいです。今後の展開はどなるのでしょうか?
んー、こればっかりは。フェイトが納得する形にはするつもりはしてますけども。
 
>やばいやばいやばいよ〜。ノクターン、ロッサにそんな思いがあったなんて、今回のはマジ燃えましたね。主にロッサの男ぶりに、ロッサに対する好感度がうなぎ上りですよ〜
ていうかはやてと仲良くしてたせいかロッサ、sts本編では登場当初から嫌われすぎww
 
とらハは是非やっておくべきだと思います。何よりもなのはの家族環境の違いが分かります晶はスバルの元ネタというだけじゃなくて、なのはにとっても家族だったんですよ血の繋がらない家族に囲まれて育ったか、育たなかったか、という違いは直に触れないと分からない部分だと思います。今ならダウンロードもやってますぜStSの家族とは違った都築節です。ってか都築氏も元々はスバル主役にしたかったらしいですからねぇ
ほー、晶は外見や設定、一応知ってますがスバルの元ネタだったんですか。似てるという話はわりとよく聞きますが明確に元ネタだったとは情報不足でした。都築パパンが雑誌かなんかのインタででも言ったのかな?
とらハは・・・まあ、機会があれば。
 
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で、喪失辞書ー。
 
↓↓↓↓
 
 
 
 
 
転送された先は、まさにおあつらえ向き。
無論一見してさきほどまでの戦場と、大きく光景を異にするものではない。
 
そこはアースラとも、仲間たちとも遠く離れた見渡す限りの岩山の世界、その一角だった。
 
「……ここならば、邪魔は入りません」
 
鍔迫り合いが分かたれたあとに訪れた、両者の間に流れる静寂を彼女の言葉が振り払う。
 
「遠い悠久の日に交わした誓い……ベルカの騎士として果たさせてもらいます」
 
返事は、いらない。無言のままのその行動が、なにより己が意志を物語る。
それが騎士。多言するより自らの信念を一撃に込めてぶつけることこそが礼儀。
 
シグナムは、蘇った炎の魔剣を正眼に。
相対する騎士──今となってはそう形容する以外の必要性を持たない──は、火竜の牙を左右の腕に携え。
 
向き合う相手の気配に、空気の流れが変わったことを皮膚で感じ取る。
 
「いいわ。あの人の意志を通す邪魔は、させない」
 
敬愛する師の道を、正す。
己の仕えるべき主の信ずる道を、貫き通す。
方法は互い、力づくであったとしても。必要とあれば躊躇はしない。
騎士として譲れぬものがある、戦う理由はそれで十分。それぞれの意を胸に、斬り結ぶのみ。
 
動いたのは、同時。
交差する双方の目的と等しく、二人の剣は火花を散らし鋼の刃を打ち鳴らしあった。
 
 
魔法少女リリカルなのは 〜the lost encyclopedia〜
 
第二十三話 夜天から、蒼天へ
 
 
かつて自らのうちに存在していたその『闇』が、この程度で消え失せるはずもない。
案の定というべきか、異形の姿は所々を破損し煙を噴き上げながらも、殺到した閃光の雨から変わらず健在な巨躯を再び出現させる。
 
「……“ツヴァイ”。お前から感じる風は……本当に、心地よいな」
 
だが今、ここで撃破する必要はない。
主へ向かう闇の化身の行く手を遮り、彼女は立ち塞がる。
黒衣に黒翼、銀髪の融合騎の足元に煌くは、肉体を共にする後継者の蒼白い三角魔法陣。
 
暗闇を、まばゆいばかりの輝きが照らし出す。
今は、邪魔をされなければいい。動きさえ止めることができれば──それで、十分。
 
「お前が主のもとに生まれてくれて、心からよかったと思うよ。私などよりもずっと、祝福の風に相応しい。優しい風だ」
 
“祝福の風”──。そう。その魔法は、まさに風そのものだった。
 
「だが、優しすぎる。純粋すぎる。ここは私が、やるべきだ」
 
詠唱を乗せたそよ風が、闇の世界に吹く。
はじめは暖かく緩やかに、そして次第に凍てつき吹き荒ぶように。
 
風は彼女の魔力、そのもの。極寒の暴風はやがて四つに収束し、放たれるべき時を待つ。
昏々と眠り続ける少女へ目を移したのは、ほんの一瞬だった。
彼女を守るがため、祝福の風は猛々しく荒ぶるのだ。
 
「我が名を受け継ぐ者よ……。お前と主の魔法、借りるぞ」
 
その魔力は、向けられた存在すべてを氷河に閉じ込める。まさしく氷結の息吹──……。
 
「アーテム・デス・アイゼス」
 
絶対零度の銀世界が、暗闇の中に咲いた。
強大すぎる氷結の風に、この空間の闇そのものを体現する異形が氷結していく。
 
今はそれでいい。限られた時間こそが、今はなによりも貴重。
 
「もう少しだけ……頼む。かつての小さき、勇者たちよ……」
 
暗闇に包まれた世界の外では、主が友と呼ぶ二人の少女たちが戦っている。
一瞥した巨怪から外した視線で、天上の遥か先を見上げ。彼女は祈るように呟いた。
振り返り、漂い眠るばかりの夜天の王に向かう。己が今、闇から救った少女をそっと抱き寄せる。
 
「私にできる、最後のこと。主に……全てを伝えるまでは」
 
そして銀髪の融合騎は、その双眸を静かに閉じた。
外に広がる漆黒の世界から、心のうちにある純白の雪原へ。
景色がごく自然に切り替わっていく。
 
かつて別れたその場所で待つ主のもとへ、彼女の意識は向けられた。
 
*   *   *
 
エクセリオン……っ」
 
爆煙の中心部が、淡く、そして強く光り輝く。
並ぶ球形状の二つの爆発、その余韻が内部から照らし出される。
 
「バスタァァーッ!!」
 
それらが割れたのは、まったくの同時だった。
ひとつは撃ち抜かれ、もうひとつは切り裂かれ。黒煙を内側から吹き荒れる突風に瓦解させていく。
 
一筋に伸びる桜色の魔力砲撃。爆心から飛び出した黄金の閃光が、それぞれに白衣の男へと向かっていく。
 
「ジェット!!」
『Zamber』
 
エクセリオンバスター着弾の直後、フェイトのザンバーが渾身の力で振り下ろされる。
いかな魔導書そのものを体現するとはいえ、この連続攻撃の直撃ならば──……!!
 
「!?」
 
だがもちろん、それは直撃をしていればの話。
──受け止められていれば、避けられていれば状況は違ってくる。
 
「そんな!?」
「ザンバーを……っ!?」
 
まるで一瞬、二人の攻撃は素手で防がれさばかれたかのように感じられた。
しかしそれはあくまで錯覚に過ぎない。
黄金色の閃光の刃は、確かに彼の右腕が掴み、防ぎきっている。その相手の身に起こった変化に、フェイトは息を呑む。
 
魔導書の意志の右腕は、人間の腕の形を既にしていなかった。
 
例えるならば、軟体動物のもつ柔軟すぎる触手のように、なまめかしくうねる肉の塊。
柔らかなその感触がバルディッシュの刀身を包み込むようにして掴み受け止め、行き場のなくなった魔力を魔導書へとアースしている。
その魔導書もまた、レイジングハートから放たれた魔力の砲弾を正面から受け、吸収しきっていた。
 
「くっ!!」
 
刃に絡みつく触手を力任せに振り払う。
 
引き剥がしても、一度刃を防いだだけでは男の右腕はもとの人の形をした腕には戻らなかった。
むしろうねり、唸りを上げフェイトへと追撃してくる。
 
「フェイトちゃんっ!!」
『thunder arm』
 
ソニックムーブとブリッツアクションを駆使しても、ひとつの触手が追いすがりフェイトを捉える。
右腕に巻きつくそれを、雷の魔力強化を施した左の鉄拳で殴りつけ引きちぎる。
 
なのはのアクセルシューターの援護が、後続を近づけさせなかった。
男は既に脇に魔導書を浮遊させ、手にはしていない。
伸ばした左腕がひび割れていき──右腕とはまた違う、見覚えのある無数の紐状の形が人としての腕を砕き姿を現す。
 
かつて二人がリインフォースとの戦いにおいて苦戦することとなった、地竜の細く長い触手だった。
 
「……プログラムが……融合してる!?」
 
蒐集された二つの力を同時に使う。そのこと自体はなんらおかしなことではない。
いくつかの任務で共に出撃をした際、はやてがそのように魔法を運用しているのはフェイトもなのはも、何度も目にしている。
 
──だがこれは、そんなものとはまるで違う。あまりに直接的で強引過ぎる。両腕の自壊が、いい証拠だ。
 
「まさか……暴走してるのかっ!?」
 
男の顔も既にひび割れていた。鼻の上を、頬を。肉体全てに広がるように、亀裂が駆け巡っていく。
 
瓦礫が崩れ落ちるがごとく、その皮膚がひとかけら零れ落ちた。
男の身体は──……『内部から』『己の力によって』突き破られ、砕け散り。
そして、膨れ上がったのだ。
 
大きな大きな、繭のように。
 
*   *   *
 
それは、常に夜天の魔導書の側にあった。
幾百、幾千。どれほど月が巡り、歳が流れようとも。
宵闇をその名にもつ魔導書を追いかけるように何処からともなく現れ、夜天が転生とともにまた消えていく。
そのときそのときは気付かれぬまま、このように記憶を手繰らねばその存在があったことさえわからぬほどごく自然に。
 
「うそ、や……うそやろ、これ……」
 
夜天ではない、一冊の魔導書とその主。そしてそれを守るがごとく側につき従う一人の女騎士の姿。
彼らは夜天の書が闇の書へと変わっていく遥かな年月の中、稼動している中、さも当然のことのようにその側に姿を見せる。
そしてそっと隙間風が頬を何気なく撫でていくように、夜天の書自身にもヴォルケンリッターにも認識すらされぬままに、彼女たちを緩やかに変えていくのだ。
 
魔導書と、守護騎士の暗躍。銀世界の中、湖の水面に映っていたのはそんな光景ばかりだった。
 
「いえ、全て事実なのです。私の記憶する限りの……これらの光景は、皆」
 
かつて失ったはずの、銀髪の従者が目を閉じ頭を振った。
 
湖面に描き出されるは、彼女の中に遺されていた記憶の全て。
彼女はこの懐かしき雪原で主と再びの邂逅をし、そして再会を祝福しあう間もなくそれら映像を夜天の王へと指し示した。
 
たったそれだけが、かすかな時間しか残されずとも舞い戻った祝福の風が主の下に現れた、その理由であったのだから。
涙を零し、駆け寄り縋ろうとするはやてを、ともすれば主と同じ行動をとりたい衝動に駆られる己を抑え、彼女は制した。
 
「夜天の魔導書に繰り返された度重なる闇の書への、悪意ある改変……。それらはすべて、彼らによるものです」
「そんな……っ!! どうしてそこまで……そこまでやらなあかんのっ!?」
 
一度や二度ならば、魔が差したと考えて割り切ることも出来る。
しかし何度も何度も、数え切れぬほど。妄執といっていいほど、何故自らも生みの親の片割れであるにもかかわらず、どうしてそこまでしつこく夜天の書を攻め立てるのだ。
正面からですらなく、陰湿に、真綿で首を絞めるように。彼女たちを苦しめ追い込んでいくのだ。
 
──きっと主はそのような思いを抱いているのだろう。
彼女の気持ちはわからないではない。
執念とはいえ、幾星霜というほどの歳月に渡るその執拗さは人の意志として、果たして持続しえるものであろうか。
ただそれだけのために悠久の時を生き続けるなど、普通の感覚でならば理解し難いに違いない。
 
だが否。そうではない。『人の』意志──その前提が、そもそもずれている。
 
「主。聞いてください」
 
言い聞かせようとする祝福の風は、急いでいた。しかし焦ってはならない。たとえ自分に残された時間があと僅かしかないにしても。
ゆっくりと。彼女は主の頬を撫でる。あと少し、あと少しなのだ。もう少しだけ、もってくれればいい。
 
「いかな優れた科学があったとして。強大な魔力を持つでもない生身の人間が己を永久にプログラムと化して、その負荷の前に無事にいられるとお思いですか」
「!?」
「今、このときも。稼動しているあの魔導書の意志は既に、夜天の創造主ではありません」
 
伝えねばならない。主のため、そして創造主のためにも。
 
「創造主のもっとも強かった意志、それだけを歪んだ形で受け継いだ、理由さえも解しない。執念に歪み機械的にその目的を果たすだけの──ただのプログラムです」
 
仮にではあっても、守護騎士たちと比べるのさえもおこがましい、ただのデータと魔力の集合体。
手段など、考えない。創造主の自我などない。
夜天に勝利し、夜天の敗北を見届ける。そのためだけに存在するいわば、怨念の如きプログラム。
目的だけが濃密に引き伸ばされ、そこだけを拠り所とする、人の意識と記憶の残り滓だ。
 
「創造主を……哀れなあの方を、恨まないでやってください。あの方はただ、自分が正しかったことを証明したかっただけなのです」
 
たとえプログラムに飲み込まれてしまったとはいえ、彼女にとって創造主が生みの親であることにはなんら変わりはない。
怒りではなく、同情が。彼がもう少し自制することが出来ていればという憐憫の念のみがただリインフォースの頭を占める。
 
そこから先は、主であるはやてにしか頼めないことだった。
 
「主、お願いします。彼を……魔導書のくびきから、解き放ってやってください」
 
もう、自分に残された力も、時間も少ない。彼女のリンカーコアの中に、自分を保っていられるのは、もう。
 
祝福の風──リインフォースは両手をはやてへと差し出し、そして掌を開く。
光が集まり、結晶となり、そこに小さな少女が現れる。
彼女と同じ銀髪の、眠り続ける融合機を、主の掌へとやさしくそっと、載せる。
 
「この子と、『二人で』──どうか」
 
その場にいるのは、三人。しかし彼女は自分を、数えはしなかった。
 
*   *   *
 
「……プログラム、だとっ!?」
「そうよ。あの人にもう、自我も何もありはしない。あるのはただ、夜天の者たちの苦しみ敗北する様を見届ける、ただそれだけ」
 
連接刃──シュランゲ同士の一撃が互いを顎におさめんと、絡まりあう。
しかしこちらは一本、相手は二本。
片方が相殺しようとも、もう片方は止まることなくシグナムへと向かい、その刃を牙と化し襲いかかる。
 
「彼の望んだことを純粋に達成する、意志そのものよ」
「くっ!!」
 
左腕の手甲が、刃そのものでできた鎖によってからめとられる。
締め上げる圧力は瞬時に増し、金属のそれに亀裂が広がり──粉々に噛み砕かれると同時に、シグナムは間一髪左腕を引き抜いていた。
 
砕かれた手甲と同じくその下に身につけていた着衣が、フィンガーレスグローブが引き裂かれ、地肌が露となる。
 
「そんなものに……そんなものに、どうしてあなたはっ……!!仕えているのですか!!」
「騎士だから。悪い?」
 
ハンマーを打ち据えるように大きく振りかぶり、レヴァンティンの連接刃を叩きつけていく。
受けた相手は先ほどのシグナム同様、シュランゲ──ではなく、通常のシュベルトフォルムに戻した片手の剣で防ぎ、かちあった刃同士を滑らせるようにして二撃、三撃を逃れ。
 
「ぐ……っ!!」
 
身を捻るも、かわしきれなかった。返す刀で彼女の放った、斬撃を。
一瞬にして詰められた距離は、レクサスがシグナムの背後に駆け抜ける形で再び開き。
 
すれ違いざまに浴びた一撃によって、致命傷には至らないまでも斬り裂かれた脇腹が、鮮血に染まる。
足元に展開した魔法陣の上に、思わずシグナムは膝をつく。
 
「私は魔導書の守護騎士。そして彼は魔導書のプログラム、そのものとなった。仕えることになにか問題ある?」
「レクサス……っ!!」
 
傷口を押さえた指の間から、血が溢れ零れていく。
応急処置の治癒魔法と、傷口の痛みが放つ熱とがひどく熱い。
 
「……?」
 
そして、シグナムに向き直った騎士の頬からも、一筋の血が流れた。
レヴァンティンの連接刃が戻り、炎の魔剣の姿本来の形、シュベルトフォルムとなる。
 
その刃の先に、ごくわずか紅い血がついていた。
 
──カウンター。ぎりぎりだったが……かすり傷を負わせるのがやっとだったか。
 
頬を流れ落ちる血の雫を手の甲で振り払った騎士の仕草を、痛みに歯を食いしばりながらシグナムは見据える。
彼女は、口元を歪めていた。
 
傷つけられたことに対しての怒りではなく、笑みによって。
微笑を浮かべつつ、柄の部分で己が両腕の刃を連結させる。
 
「それにね、私にはなにより、あの人についていかねばならない理由がある」
 
ドッキングした二刀は、その形を変えていく。
シグナムはその変形を見たことはない。けれど騎士が何をしようとしているのかを、肌で感じ取った。
同じ、剣の騎士。そして同じ、弓使いとして。
彼女も相手と同じように、連結させる。血染めの左手にとった、鞘をレヴァンティンの柄へと。
 
『『Bogenform』』
 
二つのデバイスが、その姿への変形を完了したことを主へと告げたのは、ほぼ同時だった。
 
「私はあの人を、愛している。騎士として以上に、一人の女として」
 
ベルカの騎士二人、手にしたのはともに、大型の弓だった。
 
それぞれに引き絞るのは────最大の、一射。
騎士は射手となり、狙いを己が敵に定める。
 
(つづく)
 
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