どうでしょうを更新してみる。

 
今回はとりあえずこれを見たことがある人じゃないとさっぱり前枠後枠がわからない超守備範囲の狭い仕様になってます(汗
 
だいじょーぶ、気になる人はようつべで探せば大体今回使ったネタ元はでてくるから(ぉ
そんなわけでまた趣味に走りました(死
 
>ウィルスたん達にモテモテですね。お大事に。
前厄の年でこれだもの。正直来年あたり死ぬんじゃないか? 俺。とか思ったり。
 
>いつも楽しみにしています。体調に気を付けて、一次、二次創作頑張って下さい。
ありがとございまーす。無理せずがんばりまする。
 
>楽しく拝見しております。これからもがんばってください。
はいな、たまに今回みたいに読む側おいてけぼりにしたりもしますが(ぉ
 
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てわけで半年振りの八神家どうでしょう第五夜ー。
第四夜までは短編保管庫にいれてありますのでー。
 
↓↓↓↓
 
 
 
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−時空管理局陸上本部前・公園−
 
「今回はですね、ただの前枠じゃないんですよ」
 
 そんなことは見ればわかる。カメラを回すヴァイスの言葉に対し、そこに集められたザフィーラとはやてを除く八神家一同は余計なことを言うなとばかりにげんなりとした表情を作った。
 
「例によって主はやてだろう」
 
 正解。親指を立ててサムズアップ。やかましい。彼の頭に拳骨を振り下ろすシグナムをはじめ彼女らは皆一様に、どこかおかしな格好をしていた。
 順を追って見ていこう。
 
 まず、シグナム。日本の警察官のような格好・帽子ではあるが、なぜか上半身は半袖のTシャツ。しかもその柄は某ギャグ漫画の少年警察官。ぶっちゃけるとがき○カ。というかこまわりくん。
 次。ヴィータ。一件単なる上下色違いのジャージはこの中では一番まともかもしれない。……が、顔のところどころに漫画的な怒りジワがマジックで描かれているので台無しである。また、とりあげられたアイゼンのかわりに渡された竹刀がその右手には握られている。
 シャマル。……たぶん、一番酷い。ぴちぴちの丈の半ズボンにストライプのTシャツ。足にはローラースケート、髪にはパーマまで当てられている。スケートはあくまでスケート、マッハキャリバーたちのようなローラーブレードタイプではない。膝当て、肘ガードもやたらカラフルでラメが入っている。地球で言うところの日本の某巨大芸能事務所──そこに所属し前世紀に一世を風靡した光だか源氏物語だかなそんな名前のグループ、それが表現として一番近い。
 
「今回はお前もしっかり犠牲者なんだな」
 
 そして、リイン。男物のスーツでびしっと決めつつも、顔のメイクが非常にテカテカ。それはまさしく特命係長──いやさ曹長
 
「それでですね。ザフィーラの旦那は人数の関係で今回欠席なんですけども。もうすぐ部隊長のほうもお見えになると思うんで先V(VTR)のほう行っちゃってもいいっすかね?」
「いや……我々に訊かれてもな」
 
 というか、だめだといってもどうせはじめるんだろう。
 服装の答えについては、待て後枠。はやての──いや、はやて部隊長の──いやいやいや、ハヤテBの登場を。
 
 
魔法少女リリカルなのはstrikers 〜八神家どうでしょう・ミッド北部横断1200キロカブの旅〜
 
第五夜 生きていきたいんだ
 
 
 一行の前には、真っ青な海が開けて見えていた。
 風もそよぎ、まさに絶景。
 
 太陽の麗らかな日差しの中を右折し、左手に海を眺望しながら二人の原付は走る、走る。
 
「おー、いい眺めやねー」
『ここでOPなんか流れるといい絵になりそうですね〜』
『……』
 
 ……あのシリアスな曲で? 一期? 二期? 三期? どれ? とこっそりつっこみを入れたのはおそらくシグナムだけではなく、他全員であったろう。
 
 幸いにしてその用意がなかったおかげで、彼女たちのつっこみは杞憂に終わったのだけれども。
 全て受け入れたくもなければどこまでも高く行きたくもないわけだ、こんな旅で。
 
 逆に今のシグナムたちから言わせてみれば。
 けして止まらないというかむしろ止まらせてください。帰らせてください、切実に。そういう思いが満載の旅なのだから。
 いや実際、そういう祈りが遥か空に向かって響かんばかりなのである。
 誰かさんの『某北海道ローカル旅番組の真似がしたい』という一途な想いが皆の心と身体を傷つけまくっている、現況においては。
 
 海に出た時点で、今日の行程残り百五十キロほど。
 二人を乗せて、カブは走り。それを残る一行を載せた車が追い、ラリーは続く。
  
*   *   *
 
ミッドチルダ新暦75年・六月六日 午後零時五十分─
 
「はいはーい、お二人さん。お昼も食べ終わって、もうすぐこのパーキングエリアからも出発ということなんですが」
「「……」」
 
 あからさまにシグナムもシャマルも、うんざりとした顔をしていた。
 しきりに腰の後ろ辺りを擦っているところからみて、けっこうお尻が限界なのかもしれない。
 
 お昼がシャマルの料理ではなく、このパーキングのレストランであったことがまだ微々たる幸いか。
 
「んー、やっぱ腰やばい?」
「ええ……かなり」
 
 バッテリーが切れた着ぐるみを脱いだなのは──顔にはモザイクだ、もちろん中の人など見せて子供達の夢を壊さないように──の差し出す氷嚢を尻に当て、二人揃って唸る、唸る。
 中学の頃保健体育の授業で運動にクーリングダウンが大切と習ったのはいい思い出だなぁ──そもそも、意味がまったく違う──、とまったく無関係なことをその光景を見てはやては思った。
 
 そして、ためしに言ってみたわけだ。
 
「じゃあ、代わるか?」
「へ?」
 
 尤も、顔を上げたシグナムもシャマルも、一瞬彼女が言ったことが理解できなかったらしい。
 なのでもう一度、今度は言葉を付け加えて言ってやる。
 
「せやから。しばらく私とシグナム、交代しよか言うとるんよ」
「ほ、本当に?」
「ちなみに……どのくらい?」
「次の地区に入るまで」
 
 距離的には、そこそこといったところ。一時間から一時間半という程度だろうか。
 しかし、それでも全く休めないよりはよほどいいはずである。
 もちかけられたのはシグナムのほうだが、シャマルとしても次は自分と代わってもらえるかもしれないという思いもあるのだろう。うんざりしきっていた瞳に、輝きが戻ってきている。
 
 二人揃って、唾を飲み込む音が聞こえた。
 だがもちろん、ただ単純に交代してやろうというわけではない。
 
 それでは、おもしろくない。企画的に。映像的に。
 
「ま、ただ交代ってのもつまらんし。ひと勝負して勝ったら交代てことにしよか」
「しょ、勝負?」
「そ。……シグナム、アイスは好きやっけ?」
「は?」
 
 彼女の好みを熟知している主でありながら、はやてはシグナムに問うた。
  
 一言で言えば彼女の答えは「人並みには」といったところだろう。
 カップアイス一杯程度でせいぜいごちそうさま。嫌いではないが、あまり強烈に甘かったり、濃厚すぎたりするものは遠慮したい。そんな普通の味覚の持ち主のはずだ、彼女は。
 
「や。このパーキングにはな、名物のイチゴを使った“濃厚特大ギガジャンボストロベリーソフトクリーム”なるもんがあるらしくてなぁ」
 
 だからこそ、やりがいがある。
 スバルと並ぶ機動六課最強のアイスクリーム魔人が、この場にいるのだから。イチゴアイスの、鬼神が。
 
 やらない手はない。というより、やらせないで、おくものか。
 
「その早食い対決でヴィータに勝ったら、次の州まで私が代わったろ。どないや?」
 
*   *   *
 
 ──十分後。
 
「やー、うまかった。しっかしだらしねぇぞ、シグナム」
 
 結果はすでに、決していた。
 
 はやての運転する車内にはくつろぎ、イチゴの粒々が入った棒アイスをぱくつくヴィータの姿。
 つまるところ、車外のカブにまたがり強行軍を続けるツナギの背中が誰のものかといえば──……。
 
『……うっぷ』
「はーい。次の州入って、もうちょっと行くよー。シグナムもシャマルも気合入れていこなー」
 
 無論敗者たる烈火の将その人の哀愁を帯びた背中である。
 
ヴィータ。まだ食べるのか」
「あん?」
 
 ゴミ袋にアイスのスティックを放り込んだヴィータが手を伸ばすのは、本日4つ目のアイスの袋。またイチゴ。
 
「はやてちゃん……わたし今日、久々に怖いものを見た気がするよ」
「うん……私もちょっと、あれはないと思った」
 
 イチゴ味のそれを口に運ぶ彼女を背後に、助手席ではやてのナビゲートをするなのはが怯えた声を出すのも無理はない。
 
 はじまった勝負。駆け引きもなにもなくシグナムとヴィータの勝負は、一瞬だった。
 これはあなた冗談でしょうと店主に言いたくなるような、まるで喫茶店の前に『ソフトクリームあります』と示すために置かれている幼児ほどのサイズのプラスチック製のディスプレイ。
 観光地の休憩所などにも置かれているあれと見紛うほどの大きさの、大蛇の如くとぐろを巻き白くもうっすらとピンク色を帯びた冷たい物体が特大ソフトクリームの正体だったのである。
 
 それを、ヴィータは。
 
 まるでどんぶりに残ったうどんの最後の一本でも啜るかのようにこともなげに食べきった──否、飲みきった。
 こう、つるりと。そしてごっくんと。こともなげに。
 シグナムがスプーンを突き刺した次の瞬間には、きれいさっぱり白い巨大なうずまきは消失していたのである。
 完食を命じられた烈火の将がトイレとテーブルとを幾度となく往復し悪戦苦闘する間、ヴィータはデザートとばかりに買ってきたチョコサンデーをつついていた。
 
 ──アイス食ったあとにアイスのデザートですか。
 
 誰しもがつっこみたかった。でもつっこめなかった。
 つっこんだら一緒になって吸い込まれてしまいそうに思えたから。
 
 あれは……恐怖だった。魔法でもなんでもなかったところが、余計に恐ろしい。純粋に、食欲の問題。
 自己最高タイムを超えられなかったと悔しがっているあたりに至っては正気を疑いたくなってくる。
 
『一体……うぷっ、お前は、どんな胃をしているんだ……』
「あん?」
 
 同じことをスバルも出来ると聞いたときには、二人とアイスを賭けて戦うのだけはやめようとなのはは思った。
 ランクとかエースとか関係ない。絶対無理。勝てない。むしろアイスと一緒に食われる。
 
「何言ってんだ、アイスは飲むもんだろーが。あのくらいフツーだろ」
 
 飲み物かよ。
 
『魔人だ……魔人がいる……』
「失敬な。まだスバルと決着ついてねーんだぞ、チョコアイスがあいつ強くってさー」
 
 頬を膨らませるヴィータ
 しかし、なのはは心からこう考えずにはいられなかった。
 
 悪魔(アイス的な意味で)は本当は、ヴィータちゃん。あなたのことなんじゃないかなぁ、と。
 無論、言ったところでこう返されるだろうけれど。
 
「悪魔でいい」と──……。
 
(第六夜につづく)
 
*   *   *
 
−時空管理局陸上本部前・公園−
 
 なんだか、そのズボンはちょっとよれよれで。──えらく、腰履きだった。
 
「……なんですか、主はやて。その格好は」
 
 マッシュルームカットのかつら。紺のブレザー、眼鏡。ふらふらとやってきたはやての格好は、そんな姿で。
 なにやら『HTB』と書かれたIDカードのようなものをパスケースに入れて首から下げている。
 
 そこに写った顔写真は──まさしく今のはやての姿、そのもの。
 
「あー」
「どうした、シャマル
「私、わかっちゃったかも」
「わたしもですぅ」
 
 それを見て合点がいった素振りを見せたのは、リインとシャマルの二人だけ。
 残る二人、シグナムとヴィータはしきりに首を傾げるばかり。
 ただし状況を把握した前者二人にしても微妙にこめかみを押さえて小さく唸っているけれど。
 
 そんなリインとシャマルの共通点は数日ほど前にこれまでの企画とはまた別のDVDをはやてと一緒に暇つぶしがてら見ていたということ。
 
「だから、つまり。これは──」
 
 鬼コーチ音○ならぬ、鬼コーチヴィータ
 顔刑事(カオデカ)○崎ならぬ、乳刑事(チチデカ)シグナム。
 しげ○くんに換わって、シャマっくん。
 特命係長安○ではなく、特命曹長リイン。
 
 そして。
 
「ハヤシTの物真似の、ハヤテTなわけですね」
 
 大正解。はやてもまたヴァイス同様、親指を立ててサムズアップ。
 
「どうでしょう以上にハナタレこそどれだけわかる人がいると思ってるんですか、はやてちゃん」
 
 やりたかったんです(天の声)。
 
 
(つづく)
 
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