パワプロ2009が激しく微妙だった件。

 
 いやさ、そろそろ買い換えるかと(うちのパワプロは未だに12が現役、一応13までは持ってる)手を出したはいいものの。OPからペナント中の情報画面から全部3Dのキャラになっててアニメなパワプロキャラ好きな640としては正直ショボン(´・ω・`) な感じなわけですよ。
 しかも(これは予想データだからしゃーないにしても、毎度)能力値が激しく???な選手が多く。
 ファルケンボーグがコントロールスタミナともにEだったり、ローとジャマーノが明らかに(本来の活躍からすれば)オーバースペックだったり、シーズン途中入団のOTZは当然のごとく影も形もいなかったりで(640はソフトバンクファン)微妙にフラストレーション。摂津もおりませぬ。てゆーか、水田は入れてほしかったなぁ。
 
あ、でもARAKAKIのコントロールがG(Aが最高、Gが一番下)なのは非常に忠実だと(ry
 
 操作してみての感覚は方向入力がかなり敏感になってるような(14,15をプレイしてないもので)。ホームランも慣れるまでは出しにくそうですね(パワプロ9のホームランの出しにくさは異常)。
 
と、まあ。それは置いておいて。カーテンコール三十話、更新です。
今回ようやく、あの方々が登場。
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 それは、進んでいく。
 ゆっくりと──けれど、あまりに大きいがゆえ、けっして遅くはなく。
 その巨躯を、揺らす。大地を踏みしめては、地鳴りを轟かせ、木々を震わせていく。
 黒き巨体は一直線に、進む。その目指す先には、聖なる王への信仰、その総本山たるべき場所が待っている。
ヴォルテール、出現』
 聖王を名乗る軍勢が、その配下に加えた黒き真竜。王たらんとする者が王を崇めるその場所を襲わせる──言葉としてはあまりにも皮肉なその行為を、操られし巨竜は完遂すべく、歩みを続ける。
「──ああ、こっちでも見えている。……航行空間内のランバルトにも連絡を。ギンガたちに伝えろ。すぐにゆりかごも現れるぞ」
『了解』
 木々は、踏み折られてゆく。
 大地は、一足ごとに砕かれる。
 その進攻を止められるものなど──生半可ではまず、不可能。
 たとえ、優秀かつ強力な陣容を誇る聖王教会自慢の、教会騎士団があるとはいえ。数で止まるものではない。質もまた、その極みがなくては、竜の黒に打ち勝てるはずもない。
「ほんとに──八神二佐の読み通り、だな」
 だから。
 彼女たちは、半可ではない。
 半可ではないからこそ、四人はこの場を任されている。
 たった四人、されどこれ以上ない四人。『二人』となり真竜へと立ち向かうことが可能な、四人だからこそ。
「私たちが、止めないと」
 大きな影、ひとつ。小柄、ひとつ。更に小さなものが──ふたつ。
ヴィータ。聞いているか? なのはの身を案ずるのはわかるが、今はお前にもやるべきことが……」
「わーってる。聞いてるよ。心配すんな」
 その、大小ひとつずつ。それぞれに互いの頭ほどの大きさしかない極小の影を脇に従えた二人の騎士が、両足から体重を預ける木々の枝の上、言葉を交わす。
 つまり、烈火の将。ヴォルケンリッターが長・シグナムと、鉄槌の騎士ヴィータ。連れるのはアギトとリインフォース、融合騎たる二人、だ。
 事件に対すべき聖王教会、その一員にしてカリム・グラシアの懐刀であるシャッハ・ヌエラが防衛ではなく内に茂った草の処理に奔走できたのも偏に、彼女たちという切り札があったがゆえ。
「倒しちまうわけにもいかねー、かといって手加減すりゃこっちがやられる。厄介な役割がまわってきたもんだなって、思ってただけだ」
 真なる竜にぶつけるには、まさに彼女たちは適切だった。これ以上ないというほどに。
 二組、それぞれ。ひとつとなることで彼女らは個々の力以上のものを発揮できる──その個々の力が、並などというものをはるかに超えているのだから。
「はやてからは?」
「『彼女』とその母君との接触には成功したらしい。共のザフィーラもなにも言ってきてはいないが、それ以上は」
「そうか」
「そろそろだ。くるぞ」
 おお、と。ヴィータは頷く。祝福の風が、それまでより一層、彼女の近くに寄った。
 ユニゾンイン。引き金となるその言葉を、紅の鉄騎は自らの口から吐くより早く、二人分の声として鼓膜に聞いた。
 そして、自分と空色の少女とがひとつになる直前、自らが紅から純白に変わる寸前に──こう、思った。愚痴るように、心中に呟いた。
 スバルのやつ。アタシは自分の尻も自分で拭えない教え子を、育てた覚えはねーぞ。──と。
 
 
魔法少女リリカルなのはstrikers 〜Curtain call〜
 
第三十話 開戦
 
 
 部隊は当然、いくつかの持ち場に分けられる。
 最初から、わかりきっていることだ。それぞれの得意とする戦場があり、また敵対する聖王の軍勢も、各方面に戦力を展開し戦のフィールドを構築してくることは容易に想像できる。
 だからこそ。アストラ・ガレリアン准尉指揮下の陸戦チームは艦のポートから地上に──聖王教会が誇りし教会騎士団との連携に、その築く防衛線へと合流していった。
 今、艦に残されているのはそれ以外に振り分けられた面々の二チーム。すなわち、航空戦力で形成される制空部隊と、ギンガの指揮するスバルたち、突入グループ。
 これら三組による編成は、他ならぬ現時点において不在の指揮官、高町なのは一等空尉の当初採用していた戦術を踏襲したものだ。
 極めてオーソドックスかつ教本通りの域を出ないそれが採られたのは、エースオブエースがそうした折には相手の手のうちを探りつつであったという面が大きく。一方で此度のギンガの場合には、部隊指揮経験の浅く、未熟なギンガにはこれ以上の策が出せなかった、また奇をてらった戦術よりよほど確実であるという切実な都合による。
「なるほど、ね。どーやって飛べないノーヴェたちをゆりかごまで運ぶのかと思ったら、そういうことッスか」
 更に状況の違いといえば、攻める側と守る側が逆転したままであるということ。そして──もうひとつ、今は目標物であるゆりかごが既に、『飛翔している』ということ。となれば、陸戦・空戦の混成チームである突入班はただ、ゆりかごに向かうというわけにもいかない。
 その上で。タイミング的にはまさしく予測された通りというほどの刹那、艦内は慌しさを増した。
 地上からの、ヴォルテール出現の報に。
「そういうこと。ま、落とされないようにせいぜいコンテナ内部で祈っとくんだな、突入チーム諸君」
 ──通称、『ブルーバック』。就航一定年限以上の老朽艦には搭載の義務付けられている脱出艇を兼ねた小型輸送機が、その答えだった。そして無論、そのパイロットについても。
「よろしくお願いします、ヴァイス・グランセニック陸曹。アルト・クラエッタ陸士」
 それらの手配についても、万全。運ぶ手段さえあれば、あとはスバルとギンガのウイングロードが最終的に届けてくれるのだから。
 ヘリより複雑かつ複座による操縦が必要なその機体の制御も、彼らにならば任せられる。寄せることくらいなら、彼と彼女はやってくれる。
 至れり尽くせり──というには無論、戦力的には程遠いものの、この部隊の責任者であるところの二等陸佐殿は連絡はよこさずともたしかに、必要な要素たりえる部分についてはきちんと揃えてくれている。
「途中までは私とウェンディ姉さまが護衛につきます。交戦ポイントに到達後は、ノーヴェ姉さまも」
 その陣容が、この作戦を可能にする。
 なにしろ艦自体はアースラと同時期に建造された年増艦だ。正面から陸戦チームを送り届けられるほどにつっこんでいくわけにもまさかいかない。
 ヘリが、輸送機に変わり。ウイングロード上を行くのがバイクから自らの足に代わっただけ。やることは同じだ。……二年前と。
 あのときの救出や。撤退せざるを得なかった、今回の──一度目の救出に比べればその上、仲間もずっとたくさんいる。
『ゆりかご、座標位置特定。ミッション開始時刻へのカウント、時刻合わせ。……2、1』
 ずっと前からそうだった者。そうでなかった者。その皆で、この機体で。
『ミッションスタートまで、0800秒』
 一同が何を見えるわけもなくも、反射的に顔を上げたアナウンスの主、部隊のリーダーであるギンガがここに到着すれば。これで、ゆりかごに向かうのだ。そうなれば、もう後戻りは出来ない。
Subaru
「……わかってるよ、レイジングハート
 無論、ともにこの機体に乗ることもなく、既に己が持ち場についている姉妹から託された意志のためにも、当初からそんなもの、するつもりは毛頭ないのだけれど。
「ディエチの分も──、ね」
 同じ師に教えを受けた者として。その能力、適性ゆえ自らの手でエースオブエースの救助に加わることの出来なかった三番目の新しい姉を、想う。
 文書。たった短い数文字でレイジングハートに、彼女の想いが届けられていたから。艦上に残っての支援砲撃に専念するディエチに、代わって。達成し、やり遂げる。
 ──「なのはさんを、お願い」。それはエースオブエースの親友からも、愛する青年からも同様にスバルに預けられた願いに等しく。
 と。足音が、戦闘機人ゆえのスバルの敏感な鼓膜に、次第に歩み近寄ってくるのがわかる。また、姉妹ゆえにわかる。それが、長姉のものであるということが。
「……セットアップ」
 時がきたのだと、理解する。スバルだけでなく、機体に乗る者、機体を守る者。その全てが。だから誰ともなく、そのキーワードを口にする。
「マッハキャリバー」
『Ok,buddy』
 橙色。黄金。桜。三種類の、紅。背中の向こうでは更に紫電色の魔力の輝きが、その持ち主たち全ての身体を覆い包み込んでいるはずだ。
 彼女ら、彼ら皆を、戦装束へと塗り替えるために。
レイジングハート
『all right』
 だから。スバルも続く。愛機と、師の愛機に呼びかける。自分に力を貸してくれる、その二人に。
「セット……アップ」
 自身を包んだその光は、いつもよりも強くて、そして眩しかった。
『burrier jucket,exceed-stars style』
 自らを包む白と、拳を固める鋼とに星の閃光が煌き、黄金色に奔っていくのを。
 スバルは溢れ出る己の魔力に身を委ねながらも、たしかに見つめていた。
 視覚的ではなく、感覚的に。力に身体を任せたそのときに、両の瞳はそっと閉じていたから。
 そして開いたとき、そこには黄金の縁取りに彩られた母の形見と、己が慣れ親しんだ白装束とが、それに違うことなく彼女を飾り、身を整えていた。
 戦うための、姿へと。ともに挑む皆と、同じように。
 
*   *   *
 
「あらぁ?」
 最初の一手として解き放った黒竜──ヴォルテールを示す光点が、点滅を繰り返している。
 つまるところ、それが意味するのは戦闘。予定していた位置よりも早く、また教会には遠い。
「読まれた、ってことかしらぁ? いかがなさいますかー、聖王陛下ぁ?」
 二の轍を踏むのは、愚か者のすること。
 かつて深層部にて抜かれたのならば、今度は紛うことなく、最深部に。
 ──ゆりかごの制御系を次々にアップデートしていくクアットロが現在位置しているのは、そういうことの言い切れる場所だ。
『決まっています。続行を』
「はあい、了解ぃ」
 動力炉の蠢く、その直下。彼女は聖王からの指示に従順に同意を返して見せながら、作業の手はけっして止めはしない。
「やっぱりぃ、同じゆりかごとはいってもこっちのほうが強力なぶん色々手間ですわねぇ」
 巡洋艦と、戦艦の差。だが、問題はない。まさしくこの手の作業はクアットロにとっての得意分野。もう、システムの構築は終わる。
 何層もの防壁の中心にして、防衛網の天元玉座の間以上に──無論聖王自身がいる以上、あの場に過剰な守備など不要だが──、作業の場、総指揮の場としてここはあまりにも鉄壁。高みの見物にはまさしく、うってつけの場所だ。
 絶対安全にして、蹂躙の一望を主旨とするポジション。それは苛虐を好むクアットロにはすなわち、最高の特等席ということ。
「ま、所詮はサーティーンごときの指揮する素人戦術の一部隊。注意すべきはむしろ教会側……ん?」
 とはいえ、制御系を一手に引き受けている手前、そうやってただ見て遊んでいるだけというわけにもいかない。
 一応、軍勢の一部。その歯車として動く忠誠を、建前上とはいえ誓わされている身としては。
「座標上に航空魔導師編隊……? おまけに地上にも部隊が展開している?」
 その視点からだからこそ、クアットロは気付く。
「ふうん」
 これは、どうやら。
「読まれた、か。手薬煉引いて待たれてたってとこかしら? サーティーンのわりには、意外にやるじゃなぁい。プロトタイプにしては」
 上等だ。こちらは既に、盤上ゲームでいうところのチェックをかけているに等しい。それくらいの優位をつけている。エースオブエースはゆりかご内にその身を囚われ。聖地ゆえ、局も大規模な作戦行動は展開できない。あちらの戦力は艦一隻と、教会騎士団のみ。一方こちらは大量のガジェットや傀儡兵に加え覚醒済みの聖王、その僕たる黒の真竜までいるのだ。
少なくとも今のところは、だが。これだけの優勢。圧倒。多少なりとそうやって戦術やらで足掻いてもらわねば、面白みがない。
「絶対防衛ラインもわかってるようだし……あなたがとーってもご立派な人柱になるにはもうちょっとだけ、待ってもらうかもしれませんわねぇ?」
 足掻いたところで、叩き潰す。
 こちらの勝利が確定するための十分条件は二年前よりも、遥かに容易く、また近い。もうすぐそこに、見えているのだから。
 聖王信仰の総本山。そこにたどり着けばいいのだ、こちらは。
 さすればゆりかごは今度こそ、まさしく──不落となる。
「ねぇ……ゆりかご破壊の大罪人。エースオブエースの、悪魔さん?」
 いくつも開いたモニターのひとつに目を落とし、クアットロは哄笑じみた口調に、そう言った。
 それは先ほどまで王との通信にと音声を繋いでいた、玉座の間を映し出すその一枚。今は見るだけのそこもまた、二年前とは細部や座する者とは別に、違う様相をクアットロの網膜に投射する。
「ほぉんと、いい光景」
 エースオブエースはそこにもう、転がされてはいない。地ではなく、天に。王の頭上高く、その身を存在させている。
「罪人は磔獄門、っていうのはあなたの生まれた世界での風習だったかしら?」
 かつてはただ鈍色の壁として存在していた玉座の背面、その高空に展開された紅い半透明の一面へと、四肢の大半を埋め込まれ、縫い付けられて。
 高町なのはの名を持つ管理局のエースはさながら、処刑のときを待つがごとく、晒し者にされている。
「とぉっても、お似合いよぉ」
 愉快。まさに──愉快。
 クアットロにとって怨敵の強要されているその様は他に言いようもないほどに愉快であり、痛快な光景、そのものであった。
 
*   *   *
 
「──フェイトさん?」
 ベッドを覆う布団の上に、ひとつの皴も無いのは、その上に身を預けるべき女性が不在であるそれゆえに。
 ヴォルテールと夜天の騎士たちの戦闘が、開始された。その旨を伝えにきたシャーリーが目撃することになったのは、そういう病室の様相だった。
 逐次、事件の経過は連絡を現場と密に取り、伝えるよう言い渡されていた。両目の光を一時的にとはいえ奪われながらも、彼女の上官はそのように命じたから。
「フェイトさん?」
 もう一度、呼ぶ。やはり室内には空調の音がただ静かに流れるだけで、応える声も、反応の動作を知らせる衣擦れの音も無い。
 足を踏み入れて、そして見つける。
 サイドテーブル上の、置き手紙。
 短く──「行ってきます」。たった、一言。それだけですべてが伝わる、理解してくれるといわんばかりに。
 きっとそれを書いた上司は思っている。こちらを信頼しているし、こちらが彼女のことを信頼していると。……実際、それはそうなのだけれど。
 現に、シャーリーはさほど動じていない自分を、認識している。
「……もう。シャマル先生から怒られますよ、フェイトさん」
 また。いや、昔からその親友であるエースほどではないにしろ無茶はよくやっていたというから、またまたか、またまた、またなのかもしれない。もしくは、もっとずっとたくさんの、「また」。
「まったく」
 ひとまずこれから、ちょっとした騒ぎにはなるだろう。
なにしろ重傷で入院中の執務官が病室を勝手に抜け出して、しかも行き先はほぼ十中八九、最前線なのだと容易に推測できるのだ。
「お小言言われるの、私なんですからね?」
 バルディッシュがついているから、最悪の事態こそは無いと思うが。照明の落とされた病室の中、密かにベッド上に畳まれて置かれていた入院着にようやく一本目の皴を発見しつつ、それでも思う。
 どうかご無事で、と。
 同時に。
 ティアナや、ディードや。そしてスバルたちの力になってあげてください、と。
 部下として上司の身を案じ、年長者として後輩たちえの助力たりえる結果を願うという複雑な心理内作業を、シャーリーはその場に立ち尽くしたまま、強いられたのだった。
 上司の主治医である湖の騎士への言い訳を考えるのは、それからだった。
 
 
 
(つづく)
 
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