はい、てなわけで夏コミ情報的なものを。
 『真夏の夜の夢』さんの発行される、『機動六課勤務日誌3』に参加したのでそのポスター絵を張りー。


 
 裸Yシャツヴィータです。いいですね。ようじょです。
 ワタシハシグナムヲカキマシタアルガ(なぜ片言でしかも中国人風
 
 
 そんなわけで、よかったら読んで買っていただけると幸い。
 
 
>自称天才ねぇ。マイア・セドリックというか・・・アミバ・セドリックですよ、これは。
ありがとう、最高のほめ言葉だ(刹那風に)。
いや、基本コンセプトが「自分を最強系最低主人公と勘違いしたオリキャラ」「読む誰からも好かれない、愛されないキャラ」で設定した人物なんでそう思っていただけたならわりと成功。
 
>なのはのゲームがPSPで出るそうですが、どう思われますか?
たぶん買う。ヌルゲーマーなんでコンピュータをシグナムでひたすら紫電一閃になりそうにおもえますが。
 
 
さてさて、続きを読むからカーテンコール最新話です。
↓↓↓↓
 
 
 
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  当初の予定では、もっといたはずであったけれど。
 今は、二人。そしてこれからそれは、一人と一人に、更に分化する。それぞれに、目的の場所を目指す。
「──ここね」
 スバルと、ギンガ。二人の前には今、玉座の間と動力炉、双方へと向かう、正反対に一本となって伸びる通路が提示されている。
 本来なら、ここから。ライトニングの二人はギンガとともに。スターズの二人は囚われしエースの奪還へと、袂を分かつはずだった。
「ギン姉」
 その、三分の一の人員になってしまっても、やるべきことは同じ。
 頷いたギンガが、スバルの声にそっと、利き腕のリボルバーナックルを差し出す。意味はすぐに、理解できる。
 同じように、スバルの側からは右手を持ち上げて。
「武運を」
「うん、ギン姉も」
 がちり、と。一面の白銀に染め上げられたそれに、黄金の縁取りに彩られたその甲を、軽くあわせ鳴らす。高揚とともに、二人の表情に微笑が漏れる。
「──!」
「ギン姉?」
 しかし、それも一瞬だった。なにかにハッとしたように、ギンガは周囲をきょろきょろと見回し、そしてやがて、打ち合わせたばかりの自身のアームドデバイスへと目を落とす。
 軽く手首を捻り、更に──首を傾げ、捻る。
 直後。また、ふっと微笑がその顔に、張り付く。
「いやあね、私ったら」
「どうしたの? 故障?」
「ううん。残弾確認を怠るなんて、よっぽど緊張してたのか」
 そう言って、六発を満載した予備弾倉を取り出す。
 ああ、そういうこと。装備が不完全であるならば──一瞬、どきりとしたが、ちょっとした確認忘れに気付いただけならば、安心だろう。
「ごめんなさいね、こんな締まらない解散で」
「ううん。……正直、肩の力抜けた。いい具合に」
 ひょっとしたら、むしろそれが狙いでわざとであったのかもしれない。
 これから聖王のもとへと一人向かうスバルに対する、姉であるギンガからの、別行動をとる前の最後の餞とでもいうか。……それはあまりにも妹馬鹿が過ぎるだろうか?
 先に進みなさい。ちょうど敵影もないし、簡単なメンテもついでにやって、私も動力炉に向かうから。
 言うギンガの様子は、普段どおり。だからスバルは頷いた。気をつけてと言ってくるねを、自然に言えた。
「マッハキャリバー」
『all right』
 そして、走り出す。
「気をつけて」
 その姉の声を、強く耳に残しながら。
 
 
魔法少女リリカルなのはstrikers 〜Curtain call〜
 
第三十五話 人として生まれぬ者たち
 
 
 ……さて。
「──……そろそろ、出てきたらどう?」
 この、予備弾倉は使わない。必要、ない。
 多分、演技であったということにはスバルも気付いているはずだ。願わくば、その理由については気付かぬか、勘違いであって欲しいところではあるが。
 左手のリボルバーナックルに弾はまだ、四発ほど残っている。
 不要の弾倉をしまいこみ、言葉を投げる。むしろこちらが、ギンガが急ぐ先への足を止めて、一時この場に残った理由。
 通路といっても、十分に広い。この場ならば、戦いの場所にうってつけ。また、この場所で押しとどめなくてはならない。スバルも、自分も。敵に密やかな追撃を受けるわけにはいかないのだから。
 ここで、叩く。
「……シルバーカーテン、というやつでしょう? ナンバー4の、先天固有技能」
 それにギンガが気付けたのはまったくの偶然だった。
 妹と、拳を打ち鳴らしあったとき。一瞬、デバイスの光沢からの照り返しの反射が、奇妙に歪んだ。また、その際の音もまぜか、ごく微量では在ったがどこか、歪なものを孕んでいた。
 スバルの位置からでは、おそらく見えず、感じ取れないほど些細なものではあった。だから彼女だけが気付いた。
 潜んでいる者がいる。この場で、食い止めておかなくては。そう思考が至るまでに、さほどの時間は要しなかった。
「現れなさい。私が相手を、してあげる」
 そして予想したとおり──彼女は囲まれていた。
 現れた敵の姿は、四方にいた。
「……!! その、姿、は」
『(生体部品、含有率ゼロ。探知不能。純粋機械兵器と断定)』
 瞬時に解析に入ったブリッツキャリバーの声が、耳を打つ。
 相手は、ひたすらに無言。四方を囲む四人のうち少なくとも二人は、ギンガの知る限り「さほど無口でもない、大人しくもない」相手と同じ容姿をしていたにもかかわらず。
 加えて、明確に敵と認識される姿が、ひとつ。
「ナンバー2……ドゥーエ」
少し離れて、その敵は酷薄に哂っている。囲んでいるのは、彼女以外の『四人』。いや……『四機』。
「造ったというの。あなたと、ナンバー3.ナンバー4……その技術力で、『あの子たち』を」
 ひとつは、背に銀の長い髪を流し。またひとつは大きな楯状の武装を抱えて。
「よりにもよって、姉であるあなたたちが」
 更に残るふたつは一方では巨砲を携え狙いの中心にギンガを置き、最後のもう一方にあっては、ギンガのそれと酷似した装備と、スバルに瓜二つの容姿に金色の瞳を湛える。
「チンク」
 ふつふつと湧き上がってくる。
「ディエチ」
 それらに対する感情が。怒りが。
「ノーヴェ」
 なにより、彼女らの姿を利用されたという、その点に。
「……ウェンディ」
 それをやったのが、未だ彼女らが姉として従う、その相手であったということに──……。
 同じく、姉と呼ばれる者として。彼女たちを妹と思う存在として。噴出する激情は、抑え難い。
 あの顔の内側には、脳すら入っていない。傀儡兵やガジェットと、それこそ変わらない。そんなものを妹たちと同列に生み出す行為は、断じてギンガの中で看過できるものではなかった。
 だから。
「……ごめんなさい、四人とも」
 先に謝っておく。同時に、リボルバーナックル内の四発、そのうちのひとつが炸裂し魔力が全身に充填されていく。
「私は、あなたたちを『壊す』わ」
 壊すから。だから、謝っておく。
 言ったところで、周囲を取り囲む四機からはなんの反応もなく。瞳にはいずれも、ギンガの知る命の輝きはまったくない。
 別に、いい。それで。それで、かまわない。
 遠慮会釈なくただ、こちらは破壊するのだから。
 姉である自分が、彼女らを。いや──彼女らの姿をとった、まがいものの、機械の塊を。
 
*   *   *
 
 見下ろしてるな。……ああ、見下ろしてる。身長、だけじゃない。
 強さとか。姉だからとか。そういうもの全部で、こちらを俯瞰している。鼻持ちならないくらい、厳然と、さも当然であるように。
「ほう。立てるか」
「……ったり……まえ、だ……っ!!」
 気に入らない。いくらその通り、実力差は圧倒的であるとはいえ、実の姉であるとはいえ。
 下に見られるのが、一番腹が立つ。そのまんまになんか、してはおけない。
 だから、ノーヴェは立ち上がる。意外であるように評されようと。
 笑う両膝を必死に支えて、起き上がり再び相見える。こちらはまだ一撃すら入れられていない。寝てなんて、いられない。いや、彼女だけでは、ない。
「やれる、な……サイクロン……!!」
『No problem』
「ウェンディ!! ディードッ!!」
「聞こえてる、ッスよ──……ノーヴェ」
「……ッ」
 装甲に無数の罅を刻んだ、愛機が。流血に片目を塞がれた、あるいは脇腹を押さえながら立ち上がった、妹たちが呼応する。
 頭部の裂傷。出血が多いな、ウェンディ。ディードは、肋骨でもやったか。──機械骨格とはいえ、破損と無縁というわけではない。まして目の前の非常識なほどの、実力者の存在がある今とあってはけっして。
 ふらりと、ゆらめきながら。それぞれに負傷を、損傷を受けながら。それを与えた相手に三人と一機は音を上げることはない。
「無駄なんだがな」
 だからそうやって、見下ろすなといっている。
「お前たちにこの速度を捉えられるのか? 仮に捉えられたとして、防ぎきれるか? そこから、反撃に持ち込めるか?」
 勝てない戦いはするな、とでも言いたげな、姉の口調だった。
「お前たちの、その力で」
 ただでさえ姉妹のうちにあって最速であった姉、トーレ。その速度が更にかつての比ではなく、そこから繰り出される一撃一撃もけっして錆び付いてなどいない。むしろ向上している。三人がかりでも、どうしようもないほどに。
 ノーヴェたちの側からも、トーレの側からもそれは肌で理解していること。
 だからといって。──そう、だからって。
「……無駄じゃ、ない」
「何?」
 ──無駄なんかじゃ、ない。
「今こうやって戦ってることも!! あんたが教えてくれた、倒すための戦い方も!! ギン姉やスバルのやつの教えてくれた、守るための戦いも!! 全部アタシにとっては、無駄なんかじゃない!! ──無駄なんて、言わせるかっ!!」
 両脚で地面をしっかりと踏みしめ、ノーヴェは吐き出す。
 自分だけじゃない。ウェンディが、ディードがそれぞれの研修先で教わった様々な『人として』必要なこと。トーレから教わった技術が無駄でなかったように、無意味でも、無駄でも……自分を弱くしたものでも、なんでもない。
「敗者の矜持……言ったよな、あんた」
 そのあんたが、人であることを知った自分たちを弱さであると、切り捨てるのか。
「なによりそれが、人間らしいプライドってやつじゃねーのかよ」
「……何が言いたい?」
「まだ、わかんないッスか。トーレ姉」
 ウェンディも、もはやゆるぎなく。
「セッテは、そんなトーレ姉のプライドと一緒に、取り残されてるんスよ。軌道拘置所に」
「また、それか……くどい。やつの選択はやつ自身の──」
「あの子は、何も知らなかった。感情というものも、なにも」
 幼さか。物静かさを本質とするはずのディードの語気は、いつになく、強く。
「……そのセッテが、はじめて『感情』に従った……あなたの人間じみたプライドを、正しいと……。ともに、ありたいと、そう、願って。そのセッテのはじめての『想い』を、あの子の信じた感情を……その存在を!! あなたは否定するんですか……? ──トーレ姉さまっ!!」
「……ディード」
 これほど強い口調をするディードを、それでいて儚げな彼女を。トーレは無論であろうが、ノーヴェも、またウェンディも見たことはなかった。
「あなただけには……否定して欲しくは……なかった……っ」
 あのディードが、こんなにも。強く、そして弱弱しく。なぜだろう、そう思うと不思議に、言いようのない感情が全身に力を与えていくのがわかる。
 負けていられない、というほど前向きでもない。けれど彼女にここまで言わせた相手に対する、単純な怒りでもない。
 もはや、抑えるんじゃない。姉を。姉に、全力でぶつかっていく。そのための力が、ふつふつと満ち始めた。その原動力と思しき感覚を体内に、感じ取る。
「……感情か。なら、そのお前の言葉も、感情に過ぎんな」
 対するトーレから返されるのはぽつりと、呟くような感想であり。
「そしておそらく──私のこれもまた、感情なのだろうな」
 表情に浮かんだ笑みは、自嘲か。それとも。
 構えろ、と促す中に、読み取る間もなくそれは消えていく。
「敗者としての汚名を漱ぎたい、という。願望なのだろう」
 たしかに、否定は出来る立場ではないな。言った姉の目は、それまでとは違っていた。
「否定は、せんよ」
 真摯に。そう──ただ、真摯に。
 トーレは光の翼を、はためかせている。
 
*   *   *
 
 壊すまでも、なかった。引きかけた右拳に力を込めることなく終わったのは、多少なりと魔力温存をできたという点ではよかったのかもしれない。
 スバルの前に、玉座の間の扉はひとりでに口を開けた。──もう、ギン姉は動力炉まで辿り着けただろうかなんて、他人の心配をしてしまう自分が軽い拍子抜けのおかげで、そこにいる。
「いらっしゃい。タイプゼロ・セカンド」
「──!!」
 その先から。まだ暗い向こう側から、声が聞こえる。
 少女の、声。すなわちそれは、聖王の。
「……ほんとうにあなたが、聖王なんだね」
 ノア、だったか。待っていたというのか。だったら、似ている。あの、兄だというマイア・セドリックのやり方と。姑息か否かの差異はあれど、余裕を見せ付けるような、その手法自体は。
 玉座に座るその少女に視線を注ぎ、スバルは思う。
「止めるよ。なのはさんも、取り戻す」
「ええ、どうぞ」
 来るもの、拒まずといった風情に。言われ微かに自分の眉が持ち上がるのが、スバルには認識できる。
「……できるものならどうぞ、って感じだね」
「ええ、その通りです」
「そう、なら」
 そうさせてもらう。
「聖王を倒せるものならば、どうぞ」
 双方の足元に、魔法陣が光り輝く。
 スバルはそして、カートリッジのロードを。
 ノアは、その姿を変化させていく。大きく、大きく。
 これがかつて、なのはさんも戦った──ヴィヴィオもその形態をとったという、覚醒した聖王の姿、か。
 黒髪は長く伸び、背中でひとつ結びに。スバルの知るかぎりでは、フェイトさんほどはあるだろうか、長身へと伸びたその背丈は漆黒の戦闘服に包み込まれていく。
 すべては、静かに完了した。両者の背丈はそのとき既に、逆転していた。
「これが……それが、聖王」
「そうです」
 オッド・アイがこちらを見据える。
 身構えるのは、同時。魔力が風となり、両者の間を吹き荒れる。
「ベルカ聖王分家・ノエリア聖皇女が血を引く我が名はノア。正当なる血脈の聖王に、相違ありません」
 
 
(つづく)
 
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