概ね予想通りというか
自分の中で「ここが足りないなー」と思えた部分どおりのコメント・評点だったので非常に的を射ていると思えました。さすが電撃。
はてさて、HJはどこまでいけることやら。もちろん勝つっていう意志は持ち続けていますけども。
来年も電撃は出すぞう。いつか討ち取るべき大将首、ボスのひとつみたいな感覚なので>電撃
さて、web拍手へのレスのあと、続きを読むからダブルオー×なのは更新です。
>レクサス姐さま、おかえりなさ〜い。《イヒダリ彰人
ハタ迷惑なことに帰ってきちゃいました。
>こんなクロスオーバー初めて読んだよ(笑 欲を言えば、食べてる時の薀蓄っぽさがもうちょい欲しかったかな(苦笑
薀蓄! そういうのもあるのか!(ぉ
いやー、こういうおバカなクロスやる人間がひとりくらいいてもいいかな、と。
>最近過去分から読ませていただいてます。「真竜」と「神竜」の表記があるのですが「真竜」が正しいでしょうか?これからも頑張ってください。
ありがとうございますー。・・・って、表記揺れしてましたか(汗
意図的にやってる箇所もあるはずなんで、そこ以外は真竜にそのうち統一しときますー。
では続きを読むから最新話、どうぞー。
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「く……マリー!!」
攻めきれないのは、自分の心と身体とに問題があるからだ。わかっている。わかっているとも。前者は、今こうやって銃口を向け合っているのが取り戻すべき相手だからこそ。後者は──もう一人の自分が、今は亡き者となっているがゆえに。
アレルヤは、自覚している。自分の力が、自分がいなくなったぶんだけ減退している。ハレルヤを失い、脳量子波を扱えなくなった部分において以前より劣っていることを。
撃てぬ相手。減じた力。それらが超兵を相手とするに苦戦を生み出すものだということは重々承知。それでも……それでも!!
「やめるんだ!! マリー!!」
改造型のアヘッドと、ビームサーベルを斬り結ぶ。
あの中には、マリーが乗っている。ソーマ・ピーリスという名を与えられた彼女が。彼女を、取り戻す。その意志が彼を衝き動かす。
「きみは……こんな戦いを!! ──!?」
だが、戦場は。彼を求める者ひとりだけには集中させてはくれない。
耳障りなアラート音。このタイミングでの、増援? 抱く疑念と戸惑いゆえに。とっさにアレルヤは牽制の射撃を織り交ぜながらもそちらに目を向ける。
「な……!? あれは……っ」
飛来する機体が、あった。
それは黒く。そして紫電の色に染まり。それでいて──……、
「キュリオス……だって……っ!?」
それでいて。細部や色を変えようとも見間違えようもなく彼のかつての愛機、そのものであった。
同じとき、違う方向から。もうひとつの細身の機体を目にしたティエリアもまた等しく、彼同様の意を持っていたことに、相違なく。
Strikers −the number of OO−
Act.4 beyond the time (上)
その機体は、かつて自分が駆ったそれ以外の何者でもなく。
「ナドレだと……っ!? バカな、どうやって!?」
ハレルヤ同様に、ティエリアもまた動揺を隠し切れなかった。
頭髪を思わせる無数のケーブルが、紅蓮から白銀にその色を変え頭部を彩っているにせよ。
それは、ナドレ。ガンダムナドレだ。ヴァーチェの装甲内に隠されていた絶秘の機体。ティエリアが手足としたそのMSが、後継機たるセラヴィーへと向かい飛翔してくる。
ヴェーダ内部にしか設計図の存在しない旧き愛機が、敵として。
「アロウズッ!!」
長髪を振り乱し。隻眼のごとく改造されたその顔が、こちらを見据えている。左腕に、シールド。右腕のライフルを──後ろ腰にマウントし。
おそらくはヴァーチェの装甲なしにも十分に単体で運用できるよう、増加されたのであろう両脚付け根のスカートアーマー、そのサイドより機体は柄を引き抜く。
サーベルか──いや、あの長さ、形状は──……。
「ビームダガー!! 投擲か!!」
敵機。かつては愛機だった銀髪のそれよりの挙動に即座に反応する。
予測どおりの短刀。ビームの刃が、翻した機体のすぐ傍を掠めていく。
「!?」
あくまでもそこまでは、だ。予測どおりであったのは。
幾筋もの刃は、慣性にただ従ってはいかない。
軌道を急速に、変化させる。虚空より再び、セラヴィーへと。
ティエリアは知っている。それはGNファング。かつて彼を──“ニール”を。ロックオン・ストラトスの命を奪った機体の搭載していた装備。
また、同様に。かつての自分の愛機がそれを装備していなかったことも、等しく。
「ナドレに──そんな、装備をォっ!!」
短刀のビーム刃が閃く。迷うことなく、今度は選択肢を変更する。
回避ではない。あれは撃墜するのが最も有効。
肩と膝、四基のクアッドキャノンの砲口を向け、迎撃の太いビームを撃ち放つ。はやい、当たらない。しかし、天翔る無数の牙は攻撃に移ることかなわず、回避がために散開していく。
「本命は見えているッ!!」
いかに改造されようと。強化されようと。装備が追加されようとも。
そこにあるのはティエリアにとって、一度は己が手足として愛機とした機体なのだから。
やれることも。やって有効となりうる運用も。記憶している。神経のひとつひとつに、五年の歳月が流れた今もなお。
手首からビームサーベルを引き抜き出力したのは、身体に染み付いたその愛機が残り香ゆえに。
目前へと迫っていた敵機の──ナドレのビームサーベルと、交差しそれは粒子の火花を散らしていく。
「トランザムを!! 使わせてみろっ!! ナドレ!!」
* * *
『──俺は』
なんなのだろう。この感覚は。この、声は。
『俺はこの閃光の果てに、馬鹿げた戦争の終結を生み出したいんだ』
この。蒼い、ガンダムは。見たことのない、けれどそれでいてはっきりと刹那にとってその姿は『ガンダム』と認識できる。
「ガン、ダム」
目の前に。正確には、意識の中に、だ。宇宙が広がり、そこに存在しているMSが、ある。
大型の銃を構え。その四肢に声を重ねて。戦火の光を見据えている。
いや──それだけじゃ、ない。
「女っ!?」
また、異なる形状。
戦っている。モスグリーン濃い、一つ目の機体と。森林にて、押されているのか整備不良なのかV字の頭部アンテナは折れ、振りかざす機銃の照準もひどくおぼつかない挙動で。その足元には、何度も何度も躓き転びながら駆ける──幼き少年を置きながら。
それもまた、ガンダム。片方を失っていようと、二本のアンテナ。そして一対の瞳。
刹那にはなぜか、見るまでもなく理解できた。『そのガンダムのパイロットが、女であることを』。
いずれもダブルオーと同じく、蒼く白い機体たち。
いずれも認識できる、『ガンダム』であると。
「……!?」
それはまさしく、トランザム起動直後の、ごく一秒にも満たない瞬間だったろう。ツインドライブが。鮮やかな粒子の煌きをなにより最大とした、その一瞬。刹那は見、聞いた。
モニターに映るのは海上と。上昇した機動性にものをいわせまわりこんだ敵機の後ろ姿。刹那にとっての今ある場所。戦いの最中の世界。
「今のは……?」
アヘッドの改造型、その敵機が振り返る。
今見たものが何であろうと。その敵と戦っている。それが今、刹那の前にある現実。
そうだ。俺は──戦う。俺の意志で。俺の、ガンダムで。
「っ……おおおおおっ!!」
意識が原動力となり、集中の方向が切り替わる。
紅に染まった『ガンダム』を。ダブルオーを刹那は躍動させる。
GNソードの描いたその一文字は、改造アヘッドの片腕をビームサーベルもろとも、空高く体躯より分かち舞い上がらせていた。
* * *
スバルは、俯いている。こんなとき、自分はいったいどんな言葉をかければいいのだろうか。
ギンガも、チンクも。行方の知れぬ二人はもちろんのこと。出て行ったディエチもいない。おおよそ姉と呼ぶべき存在が他にいない中で。
スバルの『妹』として、自分は。何を言うべきなのか。
「あ……っ」
また、揺れがひとつ。
戦っている。この艦は。今更そんなもの、確認するまでもないことではあるけれど。
「──?」
把握している。大丈夫だ。
だが、十分に承知しているはずのその状況が、光景が。
塗り替えられ、変わる。世界が揺らぐ。自分の抱いた認識に思わずノーヴェは、息を呑みそちらへと目を奪われる。
「あれは……ティア、ナ?」
それが起こった瞬間が、ダブルオーのトランザム開始、そのタイミングとぴたり一緒であったということも知らず。
ノーヴェは、俯瞰していた。
そうだ、あれは小高い草原。緑多き清涼なる場所。
自分や、姉妹たちが。そう──『この世界にくる前』、出かけていった聖王教会領の長閑な土地だ。
みんな、休みをとって。教会でセインたちも合流をして。のんびりして、お昼ご飯を食べて。そんな休日を送るために。あとから、ティアナもやってくるはずだった。
その日その場所であったところに、大穴が穿たれている。
緑の大地に、くりぬかれたように。土の色をさらけ出しているのだ。
周囲には、人々。その中の、見知った顔。赤みがかった、橙色の長髪。
明らかに調査、現場検分中だとわかる様子の局員たちと話す執務官制服の女は──……、
『Master?』
「──っ? ……サイクロン?」
と。胸元で光る宝石に、我へと返る。既にそこは、もといた艦内。
ノーヴェの声に、スバルも顔を上げていた。
『(状況が把握できていません、わかりやすくご説明を)』
「状況って。お前まさか、今目覚めたのか?」
『(そのようです。休眠状態から先ほど復帰しました。幸い、制御のほうは私の不在時のためにジェットエッジのAIと一緒に組み込んだ補助管制システムが起動していたようですが)』
それで、か。起動してもうんともすんとも、今の今までまったくの無言だったのは。
『敵機接近!! 抜かれます!!』
女オペレーターの声が、艦内に響く。
抜かれる、それは防衛線をということ。
「「!!」」
この艦に、敵機が迫っている。対空砲火の中をくぐって、やってくる。
「スバル」
どのような敵かは、わからない。オートマトンだとかいう、あのガジェットもどきなのか。それとも、刹那たちの乗っていたような巨大人型兵器か。
たしかなのは、迎え撃つ側にディエチが赴いた、赴いてしまったということ。
「ディエチ、は」
それは、彼女の意志だったから。守られる側となったノーヴェたちに今、どうこうできるものではない。
今、姉の指先は引き金を引いているのか。それともまだこれからなのか。
情報量が把握に満たぬためにただ二人は、委ねるより他になかった。
* * *
自分の手で、やるんだ。
「……ソレスタルビーイングっ!!」
ルイスの頭の中は、ただそれだけに占められていた。
他にない。自機と、感情のまま撃ち放ち続けるビーム弾と。憎き仇敵たる組織の艦と。
自分が、撃つ。この一撃で、撃つ。あの艦を、撃つ。
タイミング次第、状況次第での投入を指示された制圧用追加装備、後ろ腰のコンテナに眠る無人機たちのことなど知るものか。
やつらは仇だ。パパと、ママと。この腕の!
弾幕を避け、弾幕を張り。我武者羅にひたすらの前進をルイスは継続する。
『ハレヴィ准尉!!』
同小隊に組み込まれた青年の声も、聞かない。
青年少尉の叫びゆえに二対一で優勢に立っていた紫電色のMSがこちらに気付き、あとを超兵へと任せその身を翻したことにも気付かない。
数の変化。それによって生まれた隙がために、超兵同士の戦いが引き分けへと流れを打ったことも、だ。
「これでええぇぇっ!!」
弾幕の隙間。そこを突き進む。まっすぐに。ただ、前だけを見て。
ルイス・ハレヴィの照準の中心には、沙慈・クロスロードが身を乗せた艦が完全に、収められていたから。
(つづく)
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