取り急ぎ最新話。

 
 更新しときますー。一次創作、例によってラノベらしからぬお話が書いてて楽しくって仕方がねえ。
 いっそ知人からはそっち系に送っては?と謂われてちと考え中。
 
 
 
web拍手レスです。
 
>Mキャリバー「相棒、聖王ノアが降伏勧告をしていますが…」 スバル「…『バカメ』だ」 Mキャリバー「…は?」 スバル「『バカメ』と伝えて!」 スバル「なのはさん、あたしは逃げません! 魔導士なら、戦って戦って戦い抜いて、少しでも聖王にダメージを与えてから死ぬべきじゃあないんですかっ!」
えっと、見覚えはあるんだけどなんだっけw なんか元ネタ見覚えはたしかにw
 
 
んではカーテンコール最新話、続きを読むからどうぞ。フェイトvsトーレ決着。
 
 
 
− − − −
 
 
 
「セッテ、だと!? ……アレの名前を、わざわざ出すかっ!!」
 刃の驟雨が、フェイトを襲い続ける。それを浴びせかけるトーレが、不快感を露に、叫びをあげる。
「今更、言葉で惑わせようなどとっ!!」
「──違う!!」
 戦闘機人の怒気を孕んでか、その勢いはより苛烈に。
 相手の刃は四つ。こちらはひとつ。防ぐのが、かなりきわどいものとなってくる。それでも、直撃を今受けるわけにはいかない。
「私は……聞いてきた!! 会ってきたんだ!! ここに来る前に!! だから言える!! 伝えられる……っ!!」
 まだ、伝えていない言葉がある。
 応えきれていない頑張りがある。
 だから、捌き続ける。避け続ける。フェイトは、そうすることができる。
 目の前の相手を、かつて信じた子たちと。今もなおその信念を受け容れ続ける子を、知るからこそ。
「戯言、をォォォッ!!」
 真上から、インパルスセイバーが一文字に振り下ろされる。こんなものだって──受け止めてみせる。そして、告げるのだ。
 セッテの、言葉を。
 
 
魔法少女リリカルなのはstrikers 〜Curtain call〜
 
第四十五話 対話(2)
 
 
 少しずつ。……少しずつ、だ。気付かれては、ならない。
(『master』)
 気遣わなくていい。大丈夫。下手に声なんて出したら、気取られる。それは、避けなくてはならない。
「……っ」
 そのために、激痛に耐えているのだから。
 気付かれぬよう少しずつ、少しずつ。周囲から魔力の残滓を、かき集めては寄せ集めながら。
 ティアナは鼓動のひとつごとに声をあげてしまいそうになるような、気を失ってしまいそうな激痛を堪えている。
(スバ、ル……っ)
 援護、しなくてはならない。
 友を一人──戦わせるわけには。これは、そのために。痛みなど、堪えろ。堪えるのだ。
「っ……」
 ちらと目線を動かす、ただそれだけで意識が飛びかける。──行くな!!
 自身を叱咤し、瞳の先に友の姿を捉える。
 隻腕となったその四肢。ずたずたになった、戦闘服。それでもまだ彼女は戦っている。
 待っていて。もうすぐ。もう、少しだから。
 星の、光を。あなたに届けるから。
 聖王へと向かい何度目かわからぬ砲撃を浴びせかける友の後ろ姿に、心中でティアナはひとりごちた。
 
*   *   *
 
 セッテは。あの美しい桜色の髪を持つ少女は、言っていた。
 言って、いたんだ。
「──っ!!」
 苦痛の中、フェイトは思う。
「スピードが!! 落ちているぞっ!! フェイト・テスタロッサっ!!」
 バリアジャケットごと、脇腹を斬り裂かれる。
 傷口から噴き出す紅い血の、熱さが飛沫散った身体のあちこちに点々と感じられる。そして──激痛!!
「ぐ、うううぅぅっ!!」
 ライオットブレード、そのたった一振りの刃を振るう。
 反撃にもならぬ反撃。切っ先はトーレの速度に追いつくことなく、またとらえきれず。空を切り、そこにまた新たな隙を生んでしまう。
 今の、フェイトの速度では。身体では──そうまでしても、トーレの超高速が限界の上を行く。本調子であれば互角であろうとも、それがたった今目の前にある現実。
「──く、あ……っ」
 腕が。頬が。太腿が、膝が。次々、斬られ刻まれる。そのあちこちから、鮮血を溢れさせる。
 ずたずたの黒衣が、紅に染まっていく。
「もはや……あなたでは、私に追いつけんっ!!」
 トーレの、怒号。直後感じた顎への衝撃と、痛みと。反転する世界とに、フェイトは蹴り飛ばされた自分を認識する。
 ああ、たしかに。今の私ではもう、追いつくスピードは出せないだろう。
 ──それでも。
「断ち斬るッ!! フェイト・テスタロッサっ!!」
 ゆらりと、それでもフェイトは立ち上がった。流血でまばらな視界をゆっくりとあげた。
 その先に、見る。同じく戦闘機人と刃を交えていた、ギンガの後ろ姿を。
「──……っ」
 もう随分、長い時間を戦い続けていたような気がする。けれど、それは超高速であったがゆえ。ギンガとナンバー2との闘いに終止符が打たれて、実際はまだほんの少し。
 随分、やられっぱなしだったんだな、と。ふっと口許に笑みを浮かべる自分がいた。
 ギンガの、背中が。ゆりかごへと敵戦闘機人を縫い付けたそのままであった姿勢が、静かに伸びていく。
 膝も。背中も。まっすぐに。
 長髪を流した彼女の後ろ姿に、フェイトは言葉を預かってきた桜色の艶やかな髪を、重ねイメージした。
 そして、イメージが振り返る。ギンガもまた、同じように。
「──フェイトさんっ!!」
 ──そう。振り返り、ギンガは叫んだ。それが……呼び戻す。フェイトに、フェイト自身を。その瞬間、自分の背中になにか、ぴんと張るようなものをフェイトは感じた。
 気付かず、歯を食いしばっている己があった。
 全身に。全霊が漲っていく。
「……セッテ、は……っ」
 そう──セッテは、言った。フェイトは噛み締め、思い起こす。
「セッテ、はっ!!」
 視線の向こうにある少女と等しく、フェイトも金髪を翻す。流血滴る四肢に、反転を命じる。
 頭上より閃光刃煌かせ舞い降りる、神速の戦闘機人へとめがけ。
 バルディッシュの一刃を、強く強く握りなおして。
 セッテは、トーレに対し──言っていたのだから!!
「信じる、と!! あなたの信じた敗者としての『誇り』を信じ、貫くと!!」
 迎撃の刃を、閃かせる。言葉とともに、その一撃にすべてをこめて。
 想いの中に浮かぶのは、対面した無表情な、感情表現に乏しい長身の少女の、もしかすると目の見えぬフェイトの気のせいであったかもしれない、自嘲じみた微笑交じりの声。
 あんな声を、させておいて。
「──っ!!」
「トーレ……たとえ、あなたが捨てたとしても、自分だけは信じ続けると、そう言ったんだっ!!」
 インパルスセイバー……トーレが、振り下ろす。
 ライオットブレード。スティンガー──……フェイトが、振り切る。
「その、貫くと言った彼女の言葉をッ!! 今更だなんて、言わせないっ!!」
「う、おおおぉぉぉっ!!」
 切っ先は、それぞれ的確に。互いの急所を、向いていた。
 
*   *   *
 
 ──そして。
 届いたのはたった、一方だけ。
「……」
 肩口に、感触がある。熱さを持った、光の刃のその存在が。
 もう、一段。身を屈めていなければその閃きによって、首から切り裂かれていた。
 こちらが一方的に、敗れていた。
「──太刀筋、は」
 声が、聞こえる。その問わんとするところを察し、小さく頷く。
 フェイトは。深く踏み込んだ姿勢のまま、両腕によって支えたライオットザンバー・カラミティも、そのままに。
 振りも負担も大きなザンバー。当てるには、ここしかなかった。
 今はその刃に戦闘服を焼かれ空中に縫い付けられし、戦闘機人の持つ速さの前では。
「そう、か」
 たとえ、その太刀筋が毛先ほど鈍ったところで。満身創痍のフェイトでは、当てることなど叶わなかったろう。
「甘いと。戯言と言いながら、……私は」
「いいえ」
 情が。姉であること、人であることが敗因となったとは、思って欲しくはなかった。それゆえに負けた。ならばより強くなるにはそれを捨てねばならなくなる。人であることが不完全で、戦闘機械になりきることが、完全などとはけっして。
 それは、違う。ただ事実として自分の刃が届いた。そうある以上のことはなにもない。
 だから、フェイトは彼女の言葉を否定する。もし勝敗を分けたものがあるとするならば、それはきっと──……。
「勝ちは、勝ち。負けは、負け。──それだけです」
 一度、方向転換をした者と。同じ方向を貫き続けた言葉の差。
 再びの勝利か。敗者の矜持か。フェイトはその後者が声を刃に乗せ、伝えたに過ぎない。
 解けかけの包帯が、風に飛びたなびいていく。白が。完全に顔から離れていった。
 こくりと、トーレもまた頷く。ほぼ密着状態で彼女の身体に食い込ませた雷刃が、その輝きを増していく。
「雷光、一閃」
 トーレは静かに目を閉じた。──フェイトの双眸もまた、閉じられたまま。
 光増す大剣とは裏腹に、戦闘機人の四肢より刃翼が消失する。
「敗者の矜持、か」
 呟きが、聴こえた。セッテの言葉は、届いただろうか? 私に、届けられただろうか?
「プラズマザンバー」
 雷の閃光が、戦闘機人を飲み込んでいった。
 
*   *   *
 
 自分がどこにいるのかは、わからない。
 相変わらず、ということを、なのはは自覚していなかった。
 もはやその身にバリアジャケットはない。どれくらいそうしていたろう、傷だらけの、けれど生まれたままの姿で倒れて。
 気配に、意識を覚醒させた。
 現実にではなく。深層の世界において。そのどこかであるかすら、認識できないその世界にて、だ。
「──……の、主よ」
 そして目覚めたとき、二十二歳の彼女はエースオブエースのその姿ではなくなっていた。また、それを不思議とも感じはしなかった。
 裸だったはずの肌には白の衣が甦り。
 彼女は──『九歳の高町なのは』は、幼き日生まれて初めて身につけたものでもなければセイクリッドモードでもない、ところどころを装甲に覆われたバリアジャケットに身を包んでいた。
 九歳の姿に、疑問もなく。メンタリティのみ『なのはのまま』に。
レイジングハートの主よ」
 無言のレイジングハートを、とっさに構えていた。ところどころに蒼いパーツを備えた、グリップとトリガーのある、はじめてのはずのその形状の先端を、現れた『その少女』へと。
 息を、呑みながら。
「貴女に、訊きたい」
 重なったイメージはどこか、在りし日のリインフォースを想起させ。
 銀の髪も、それが長いということも彼女の印象を呼び起こす。
「あなたは」
 戸惑い、震える声でなのはは問い返した。
「あなたは、誰」
 少女の身体で。少女の声で。しかしエースオブエースは、目の前に立った銀髪の相手へと。
「私は、武器」
「え……」
 やがて気付けば、少女はすぐ目の前にいた。
 なのはの指先は引き金を引かず、また少女は向けられた砲口に、物怖じすることもなく。
「私は、聖王が武器。レイジングハート持つ貴女に、聞かせて欲しい。教えて欲しい、ことがある」
 まっすぐに色素の薄い瞳で、少女はなのはを見ていた。
 眼前に立つその姿は、『幼い』なのはよりもっとずっと、小柄で華奢であった。
 
(つづく)
 
− − − −