投稿投函

 はい、長らく放置しっぱなしですいませんでした。無事、電撃大賞への投稿作品二作品、ともに仕上げて先日投函できました。
 結果がどうなるかは・・・まあ、今は置いておくとして。ひとまず、一次創作には上半期はひと段落した感じです。しばらくはなので、二次創作に専念できるかと(まあ一次で書きたいのもいくつかもうたまってるんですけどね)。
 
 そんなわけで久々のカーテンコールの更新と、拍手コメントへのレスをば。お待たせいたしましたー。
  
>グリフィス君ヘタレーwww
ああ、短編のですねーw うん、ヘタレに書いたっすw
 
>初めまして。 ただ実は昔からファンで初めて来たとき完結作をまとめて一気に読んでなんでこんな凄い人がいるんだ!って驚きました。今年も電撃応募されるんですね。頑張ってください。私も今年は何を思ったかせっせと応募用の作品書いてます。目処は立ったので後はせっせと文字を打つ作業中です。色々と大変かと思いますが幸せなことが多い年度だと良いですね。それでは。 PSカーテンコールは完結したらまとめ読みしようと我慢してる(最初の方見てこれは完結してから読まないと心臓に悪い!と思いまして)のですが、まだかかりまする?
はじめまして&ありがとうございますー。とりあえず本厄の厄年なのでまあ死なない程度にがんばれたらなと(ぉ
カーテンコールのほうはあと数話ってとこですー。一応六月までには完結できたらな、と。
 
 
でわでわ、続きを読むからカーテンコール最新話ー。お待たせしました。
 
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 外部エネルギー受信可能ポイントまで、あと僅か。
 こちらの戦況は──ひとつひとつを挙げていくとするならば、些か不利、といったところか。
「トーレ姉さまは撃墜……アルザスの白竜ちゃんも、このままいけば墜ちるのは明白……」
 だが、それまでだ。
 管理局の連中の上に、天を回すまでには至らない。
 かのエースオブエースはこちらの手に落ち、黒き神竜もまた、予想外の増援であった白天王と旧きベルカの騎士たちを完全に押さえ込んでいる。
 なにより。
 たかがタイプゼロ・セカンドととりまきの魔導師程度に、純血種の聖王、そのゆりかごの主たる存在が打ち破られるものか。
「ま……タイムの差でこちらの阻止限界点到達が先ぃ……まったくもってゆるぎないわねぇ、面白みのないくらいに」
 ゆえにクアットロはせせら笑う。そして、予測していた。
 それが、やってくることを。
 ここに。幾重にも防衛システムの配され囲まれたこの、動力炉の中枢へと。
 ゆりかごを止めんとする者たちが、その破壊と、クアットロの捕縛を目的として。
「まるっきり、想定の範囲内ね」
 あの子たちが、来る。
「かわいいかわいい、妹ちゃんたちのご到着」
 クアットロの背後、その向こうで起きたのは、爆発。土煙を破り躍り出る影は──四つ。
「はあい、みなさん。ようこそ、ね」
 ノーヴェが、降り立つ。──あれは、サーティーンの装備か。その左手には白銀に輝く、鋼の装甲が目を引き。ウェンディが、オットーが、ディードが続き現れる。
「──クア姉」
 再会を喜ぶような色はその表情にはいずれも、浮かんではいない。尤も、それは軽口をみせたクアットロにしても同じこと。
「失敗することがわかりきった阻止と破壊のために、わざわざ。いらっしゃぁい」
 笑うのは、彼女たちを哂っているから。
 愚かしいと、侮っている。所詮は、妹たちは自分にとって、目下である妹でしかないと。
「あんたを、止める。そこの動力炉も、ぶっ壊す。いいな」
「どうぞぉ? 無駄な努力なら、いくらでもやってくれて結構よぉ」
 そう考えるに足るだけの理由が、あった。
 クアットロの打ち鳴らした指先に呼応し光学迷彩を解除した、「それ」ゆえ。
「あと十分。せいぜい、あがいてみせることねぇ」
 無数の、ガジェット四型。
 そして四機の屹立する巨人型傀儡兵が、クアットロの妹の、彼女たちを取り囲んでいた。
 
 
魔法少女リリカルなのはstrikers 〜Curtain call〜
 
第四十八話 譲れない未来のために
 
 
「スバ、ルウウゥゥッ!!」
 全身を駆けているであろう激痛を振り払うように、ティアナが叫ぶ。
 それは、言外の合図。合わせろ──そう告げる、意志の疎通。
 振り下ろす、クロスミラージュの銃口の先。スバルと、彼女を組み敷いた聖王の頭上に輝くは星の煌き。スターライトブレイカーを、叩きつけるように浴びせる。
 まさしく、渾身。かき集めるだけ集めたその破壊力を、ティアナは解き放つ。
 痛みに耐え、意識を呼び戻しながらの必死の一撃は、スバルさえも呑み込んで──……いや、違う!
「う、あああああぁぁぁっ!!」
 スバルもまた、ティアナに応えていた。
 降り注ぐ星の光へと、真っ向から逆流する眩い閃光をその拳より、迸らせて。
 エクセリオンバスターを、放つ。
 上からは、ティアナが。下からはスバルの一撃が、聖王の身体を飲み込んでいく。既にその四肢を捕らえたバインドは破壊されかけていた。けれど一歩、挟み撃ちに放たれる砲撃の噴流のほうが、早い。
「スバルっ!! ……っぐ……っ」
 だが無論──これだけで討ち取れるような相手じゃ、ない。
 爆焔の中から姿を現す友の背中もまた、ティアナ同様警戒を解くことなく。燃え盛るその只中にある影を、見据えている。
「まだ、続けるのですか」
 ゆらりゆらめいた炎を割って、いくぶんの焦げ目をその着衣に刻んだ聖王が、顕現する。
 ほぼ無傷。けれどその表情は、困惑に満ちている。
 おそらくは、ティアナとスバルの行動に際し。一見すればきっと無駄な足掻きでしかない行為を続ける二人、そのものに。
「言った……はず……っ、叩き……潰す、って」
「そんな、ものっ!!」
「「!!」」
 聖王が、手にした双頭剣の得物を──投げた。そして瞬時、距離をほぼゼロのものとした。
 前者の行為は、ティアナへ。後の動きは、スバルへと向けて。
 ティアナへ向かい放たれた二頭の剣は、到達までの過程に姿かたちを変え、まるで翼持つ者への罠のごとく広がりティアナを捕らえ。
 聖王が腕により壁面へと連れ去られ叩きつけられ、組み伏せられたスバル同様、彼女から遠くティアナを罅割れた構造材へと縫い付ける。
 身動きが、とれない。ティアナも、スバルも。
「そんなもの、わたしが聖王であるかぎり意味はない、できっこない!! それがわたしの目的で、願いだから!! もう──諦めて!!」
 聖王が吐き出す言葉を、止めるものはなかったのだ。
「いや、だ」
 ただ──受け止めるものが、あった。いた。
 聖王・ノアの右腕によって吊られ、苦悶に表情を歪ませながら。
 それでも受け止めたその言葉に、左右に首を振る者が、そこにはいた。
 隻腕となり。けれどまだ、その瞳には意志が、宿っていた。口が、言葉を紡いだ。
「あなたの、願いは──聞いた、よ。けど」
 金属音と火花とを軋ませて、スバルは右の拳を持ち上げる。聖王が腕を、掴み返す。
「そう、『願わなきゃいけない』願いなんて、本当の願いじゃ、ない、よ……っ」
 ──振動拳。密着状態で浴びせかけた破壊力が聖王を振りほどき、スバルは遠く、着地をする。
「あたしの今の願いは、ふたつ」
 それは、義務として。立場どうこうで一義的に願うものじゃない。
なのはさんを、助けること」
 拳が、光を纏っていく。頑強なはずのリボルバーナックルに、細かな亀裂が幾重にも、走る。
「そして」
 ブラスター3の、超過使用。戦闘機人モードと魔力の、強引な同時運用。
 それらすべてを背負いながら、スバルは、言う。
「あなたがそう、願い続けなくちゃいけない、そうさせている理由を、叩き潰すこと」
 源流を、己の心の源泉とする、願いを。
「それが今のあたしの──譲れない、願いだから」
 力が、収束していく。ティアナの目にそれは、なによりスバル自身への負担が大きすぎるように見えて。
「だから、ぶつけるよ。あたしの、渾身。全力、全開」
 

 
「私、は」
 エースオブエースの瞳は、ゆるぎない。
 ゆらぐのは──ずっと、長い年月を生きていて。ずっと色々なものを見てきたはずの、ダイムのほうだった。
「!!」
 ゆっくり、少女が歩み寄ってくる。傷だらけの身体を、引き摺りながら。しかしたしかに、一歩一歩を、踏みしめて。
「あなたが。あなたの大切な人のために──それが聖王で、あったとしても。あなた自身の願いとして、どうしたいか」
「……っあ……」
 そして、抱きしめる。
 ダイムの、顕現した小柄な四肢を。──その姿はいつしか、エースオブエースと渾名される魔導師の、本来持つ成熟した肉体へとかたちを戻していて。
「どうすべきかなんて、そんなのそれ次第でしかない。あなたの願いは、あなただけのものだから。あなた以外に望める存在なんていないし、それを実現できる相手もそう」
 ダイムを包むのは、姉妹機、即ちレイジングハートが主の両腕。
 ずっと諦めなかった、彼女。
 王の贄と今まさに、なろうとしている、彼女。その、左右の腕が体温を伴って、ダイムの感覚の前にある。
 不屈の心──思い浮かぶのはそんな言葉と、知識として己のうちに収蔵した、エースの戦いの記録。受け容れられぬ、抗わねばならぬ激流へと絶えず抗し、その流れを変えてきたひとりの女性がそこには、あった。
 妹の。レイジングハートの主は、こんなにも。……こんなにも、強い。
 それは実力という点においてではなく、意志の一点において。
 ならば──王は。己が主たる、聖王は?
「私、……はっ」
 自分は、王にどうあってほしい? 王のために、なにをしたい?
 願いを、叶える力となりたい。その、手足となりたい。
 無論だ。今までだって、悠久なる歳月の中ずっと、そうしてきた。
 追放されし、初代の王のときから。今現在の血を受け継ぎし正当なる王、ノアに到るまで。それは王の補佐をすべきデバイスとして生を受けたからには当たり前のこと。
 では。──では、王の力となり、その運命を切り開く剣となるとはいったい、なんなのだろう?
 主は今、王として君臨者たらんと願っている。そのためにけっして完全には望んではいない闘いに、際している。
 その、王の願いは。
 果たして──王自身のものだろうか?
 それとも。王が受け容れた、受け容れざるを得なかった、他の誰かからの、想いの肩代わりか?
 王が立ち向かうべきは──……、
「私……はぁっ!!」
 己のとるべき、行動は。
 切り開くべき、道は。
 

 
 レイストームの驟雨が、傀儡兵へと襲いかかる。
 しかし──無傷。再び姿を見せた巨人は大木のごとき腕を薙ぎ払い、オットーはかろうじてそれを、かわし。
 一方で、残る三機のうちのひとつがディードを打ち据え、叩き落とし。ふらふらと立ち上がった黒髪の少女に更なる追い討ちをと拳を振り上げる。
 ──間一髪、ウェンディがディードを拾い上げ、しかし数の多すぎるガジェットたちに二人揃い、追い立てられ前には進めず。
 ようやく一機を、転倒させる。
 ノーヴェだった。脆弱な膝関節部を狙った一撃で、移動を困難とししかしながら、搭載された射撃兵器の弾幕が、彼女の行く手を阻むのだ。
 四人、進めずにいる。
 だがけっして、諦めてはいない。前を、見ている。
 そうだ──諦めない、こと。それは、スバルだって姉妹たちと同じ。
 身動きのとれぬティアナ。親友の見守る中、とうに限界など迎えて久しい肉体を更に酷使し、放ち続ける。
 師と。
 師のデバイスが与えてくれた力──エクセリオンバスターを。
 隻腕という圧倒的不利な状況の中にあって、残ったその右腕の感覚すら、既に喪失しかかりながら。痛みなんてもう──とっくに超えている。
「う、ああああぁぁっ!!」
 自身の技と。力と。身体能力のすべてを駆使し、聖王・ノアと撃ちあい続ける。何発も。何十発も。数えてなんて、もういない。
「!!」
 ストームビジョン。空気の流れを利用した幻影に、聖王の拳が空を切る。
 真っ向から、向き合っていたはずだった。
 けれどスバルは、王の頭上にいた。……体勢は、崩れた!
 ウイングロードを、駆ける。振り返った王の、更に背後へ──がら空きのその場所に、狙いを定めて。
 拳を……振り下ろす!
「振動……拳んっ!!」
 これすら、陽動。まだだ、まだ。
 もう少し。もう少しだけ耐えてくれ。そう心より願う。自分自身に。装備をした、デバイスたちに。
 マッハキャリバーも、リボルバーナックルもスバル同様もはや余力など残ってはいない。
 拳を包む鉄拳の装甲にはいくつもの亀裂が走り、内部構造をところどころ覗かせては、また砕け更なるヒビを刻んで。それでも主の意を通さんとするかのように、まだ堪える。
 また、幻影。聖王が、振り返る。今度は、どこにもいない。
 ──いや!
「ここ、……だあああああぁぁぁっ!!」
 真正面に、戻っていた。つまり王の背が向けられた、その向こう側──今は背後となった、その死角に。A.C.S……そう呼ばれる突撃戦術にとって十分な加速と、破壊力を生み出すに足る、距離を置いて。
 火花散らしながら、マッハキャリバーが疾駆する。スバルに、まさしく音速のごときスピードとパワーを、与える。
 風圧によって、流血が瞳へと流れ込んでもスバルは止まらない。
 ただ、まっすぐ。撃ち貫く。
 愛機のくれた、この速度と。この軌道のままに。レイジングハートのくれた力を、ぶつける。
「エェクセリオンンッ……バァスタアアアアァァァァァッ!!」
 ただ、スバルは右拳を振り切った。
 そして、血の赤に霞むその先では聖王もまた、彼女と同じ行動をとっていた。
 全力全開と、全力全開。
 それら同士が、ぶつかりあった。
 生まれたのは──爆発と、そして。
 なにかが砕ける、その音だった。
 
(つづく)
 
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