MTGな。

 
 基本はターボフォグで組みつつ、マゴーシの追加ターンとカウンター、火力で安全に臨死体験を運用できんもんかと試行錯誤中。・・・マナバーン廃止が地味に痛いなあ(自由自在にマナバーンできてたらそもそもこんなカード作れなかったんでしょうけどね、まあ)
 ライブラリー破壊と二種類ターボフォグ型作りたいこともあり吠えたける鉱山を買い足さにゃならんかなあ、と。
 まあ使う際に入れるデッキに応じてスリーブ入れ替えればいいんですけどね。 
 
 
 web拍手レスー
 
>ここから大逆転劇が始まると思っていいですね?
いえす、ここからよー。・・・まあ、あんまし大見得切って期待はずれになっちゃうのもアレなんで、とりあえずその予定、ではありますけども。
 
 
 でわでわ、カーテンコール51話。更新ですー。続きを読むからどうぞ。
 
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 ──これは。
「黒い……スターズスタイル」
 砲撃を放ってから、気付く。
 全身を包む黒衣、そこにある両腕に。そして直後──それは脳裏へと、流れ込んでくる。
 左腕に宿った、本来は聖王が手に握られるべき、漆黒のデバイスの意志が。
 彼女の望み。彼女の、やったこと。自分の身に起こったことが、理解されてゆく。
「聖王を、止めるために」
 それはデバイスが、聖王のためにあるべきものだからこそ。ゆえに彼女は今、スバルの左手を包んでいる。
 泣き別れだった両肩から先を、スバルのもとに繋げて。それをやったのは、王の剣に他ならず。
 けっして、ダメージまでなくなったわけじゃあない。
「これが──『これが、精一杯です』──……?」
 身を包む黒き外套、その内側のインナーは黒衣の顕現するより前と変わらず、ずたずた。
 今はそこに戻り、繋がっている両腕も、戦闘機人としての伝達回路や神経が、元通りに再生したというものでなく。
 ──術式と、機体そのもので覆い包み込んで、無理矢理繋ぎとめているだけに過ぎない。彼女は、そう言う。
 スバルへ。スバルの、内々から響く、その声で。
「──王の」
“王の機体として、生まれたからこそ。王がためでなく、王の自身望まぬ道を行こうとするその足を、戒めるために”。そのための限られた力を、彼女は今、スバルへと貸した。
「フルドライブの打撃、砲撃は保ってあと数発、か」
 それ以上は、再び。スバルの両腕自体が、保たない。保持、しきれない。開いた左右の掌を、しげしげと眺め、彼女からの想いを、かみしめて。
 スバルは鈍色と漆黒、両の拳を同じくらい、強く、強く握り締める。
 そして静かに瞳を閉じたあと──左右のそれらに、光を灯す。蒼い、輝き。けれど折々に黄金を混じらせた、スバル自身の光を宿し、鋭く両脇へと振り下ろす。
「わかった。──いいよ」
 ──構え。両腕の描くその動作に伴った青の光が、未知数を示す文字を虚空に浮かばせた。
「……ダイム。あなたは」
 王にとって最も信頼に足るべきその武器が、スバルと轡を並べた。それを象徴するかのように、黒の光沢と蒼の輝きは互いを映えさせ、強調しあい。
 聖王・ノアもまた応じるように徒手空拳を構える。武芸百般と代々渾名される聖王の名に恥じず、一分の隙もなく。彼女もまた──状況など、とうに理解している。
「あなたも、反逆をするのですか」
 それは、王を忠誠するがゆえの、反逆。
なのはさんを、助け出す。あと、少しだ」
 レイジングハートが、右拳に煌く。
「あなたの大切な人を、止める。自分の足で、歩けるように」
 ダイムが、黒の明滅で、応える。
「──いくよ、相棒。ふたりが、力をくれている。やろう」
 そして。
『all right, buddy』
 皹だらけになってなお、高らかにそう、愛機が。マッハキャリバーが蒼き光を放ち、息吹をあげた。
 
 
魔法少女リリカルなのはstrikers 〜Curtain call〜
 
第五十一話 走る光と、崩壊の皹と
 
 
 皹が。少しずつ。それは一瞬に対する分量としてはほんのひとかけらにも満たないほどにではあったけれど──伸びてゆく。
 けれど、それを。なのはが見ることはない。
「──?」
 不意に、鈍い痛みをなのはは感じた。
 見ていないから、それがなにかもまた、まだわからない。
 ただ──目の前から、ダイムと名乗る少女が、消えた。そして消えたそこには光が瞬いている。それだけは、認知されている。
 覚醒、しつつある。そのことを知らず、なのははその光に巻かれてゆく。
「──ああ、そうか」
 わかっているのは、そう。
「行っちゃったん、だね」
 だったら──だったら。
「わたしも、行かなくちゃ」
 またひとつ。なにかに皹が入っていく。
 その音を、なのはもまた、ようやく聞いたような気がした。
 
*   *   *
 
「スバル……っ」
 互角。……ああ、違いない。渡り合って、いる。
 黒いスターズスタイルの、その黒衣に身を包んだスバルが、あの圧倒的であった、聖王と。
 解放された、四肢が自由になったことも。傷口の痛みも、何処かにいっていた。目をその光景にただ、奪われ釘付けにされる。スバルと、聖王との戦いを凝視する。
「あのデバイス……ジャケット……一体……?」
『Search was completed.』
「クロスミラージュ?」
 ボロボロのままのスバルが、戦えている。
 一体、なぜ。
『Half the number of parts that compose that black device that wraps the body of Subaru is assembled with the same kind of material and system as the raising heart.(スバルの身を包む、あの黒いデバイスを構成するパーツの約半数は、レイジングハートと同種の素材・システムで組み上げられています)』
レイジングハートと? ……同タイプだっていうの?」
『Excluding the latest part. Perhaps, in the part of the fundamental design(最新式である部分を除いて。基礎設計の部分では、おそらく)』
 手元で、愛機が見解を述べる。そしてそれはティアナにも、思い起こすべきことを、連想しそこに到らせる。
 そういえば、六課時代。訓練の合い間になのはさんから、ほんの少し聞かされたっけ。
 杖の形。つまり、エースオブエースの愛機として知られるアクセルモードも、エクシードモードもけっして、レイジングハート本来の形状というわけではないのだと。
 あくまでそれらは、最適。高町なのはという砲撃魔導師との出会いによってその使用する形状として最善として、レイジングハートが選択し採用した起動状態なのだ、と。
 本来その用途に応じて──たとえばスバルのマッハキャリバーならスバルの道を『走る』ため。クロスミラージュならば銃撃戦に、最も適したように──ある程度のアーキタイプのもと建造されるデバイスと比すれば、それはむしろ逆。ゆえに特殊。
 レイジングハート自身も、わたしも。どうしてそういうことができるんだろうって、不思議なんだけど。そんな笑顔で、なのはさんは言っていた。
「だったら、じゃあ」
 あの黒いデバイスが、レイジングハートと同じだから?
 同じように、使い手に最適化を自ら行う機体が、そこに、ある……のか?
 スバルの拳と、聖王の拳が交錯する。
 リボルバーナックルが、漆黒のデバイスが覆う両の鉄拳が、聖王より繰り出される技のひとつひとつを捌ききる。
 そうだ──互角、なのだ。その力を借りて、なお。押し切るには足りていないのだ。
「──……!!」
 スバルが、咆哮する。
 その中に、ティアナは見る。
 リボルバーナックルの皹が、またひとつ広がったのを。
 ぴしり、と。なにかが砕けようとする発端の音を、何処かから、耳にする。
 ティアナ自身は知らずとも、たった今師が聞いていたのと、それはまったく同じ音。
 
*   *   *
 
 また、ひとつ。
 リボルバーナックルにも、マッハキャリバーにも。自分自身にも、ダメージが蓄積されていくのがわかる。
 自分の身体だ──誰より。
 いっぱいいっぱいで、やっとだというのは、自分が一番わかっているとも。
「それ、でもォッ!!」
 動く。動ける。動かずにおれぬ自分も、いる。
 スバルを──衝き動かす!
 徒手空拳での、拳と拳のぶつかりあい。四つのデバイス、三つの意志が貸してくれる力を四肢に、スバルは王の一打一撃を防ぎ、それに同じように返していく。
リボルバー……っ!!」
「零距離……!!」
 砲撃をともに、放ち。
「キャノンっ!!」
「破砕砲!!」
 それを紙一重、互いに避け。
 瞬間、マッハキャリバーが。リボルバーナックルが、自分自身の関節という関節が悲鳴のようにあげる軋みと、痛みとに歯を食いしばりながら。
「キャリバーショットぉっ!!」
「はあああぁっ!!」
 上段に回し蹴りを放つ。これも、同時。
 相手を押し切るため、スバルも聖王も、身を削る。
『──関節部ダメージ、二百パーセントを突破』
 ぶちぶちと、辛うじてダイムによって繋ぎ止められている状態の、左右の腕の筋繊維が摩滅していく。あと──一撃か、二撃か。
「……だったら三撃、耐えさせてみせるっ!! 三撃なら、四撃!!」
 スフィアを握り、両の拳を重ね、組み固める。
 エクセリオンバスター──その破壊力を最上段から振り下ろし、聖王めがけたたきつける。
エクセリオンん……っ!! クラッシャアァァッ!!」
 破壊の激流は、床面を打つ瀑布となり。
 間一髪で避けた聖王の衣を焦がし、焼いていく。
 大技。それゆえ生まれた隙につけこまんと、即座聖王は、拳を振りかぶり、急降下をしスバルへと迫る。
「これで……っ!!」
「まだ、だあぁっ!! 振動拳!!」
 ──ぴしり。ヒビが、またひとつ。ぶつけあった拳に、走っていくのが感じられる。
「!!」
 だがそれを聖王は──ノアは、押し切らない。代わりに、交差した拳とは反対の、左の腕を、猛然と突き出して。
 スバルの頭部を、掴み上げる。捻じり潰し、砕き散らさんがごとき勢いで、渾身の握力のもとに捕らえる。
「たとえ、デバイスまでもが反逆しようとも……!!」
 浮揚感。そして、移動「させられる」。その実感。
「スバルっ!!」
 ティアナの声も、天地どちらが上であったかも一瞬、認識を失う。
「私は……王なんだっ!! 王でなければならない……王として望まれた以上は、そうでなくてはいけないんだあぁっ!!」
 そして次には、掴み上げた頭ごと、聖王の左腕は猛進し間近へと迫った壁面に、叩き込まれていた。
 高町なのはの眠る、直下。
 亀裂を大きく広げ、なおその蜘蛛の巣状の筋をいくつも、増やして。
 これでも。これでもなお──届かない、のか? ティアナの心に疑心をそうして、去来させ。また攻める側の王にも、同じく。
 追い討ちにと乱射される魔力弾の驟雨を、スバルを埋めたその瓦礫は浴び、一層に砕け割れていく。
 
*   *   *
 
 一瞬。意識が、飛んだ。
 無理もない。そりゃあ……いくら、なんでも。このくらい、というにはちょっと無茶、しすぎたかな、とも思う。
 同じ砲撃型だ、なんていったって。やっぱりなのはさんのようにはまだまだ、全然いかない。
「ディエチ。大丈夫?」
「……っ」
 四本の腕が、自分を抱え起こそうとしている。
 霞む視界を無理に広げて、その相手と、傍らに転がる愛機とに目を遣る。
 ギンガと、フェイトさん。二人が心配げに、覗き込んでいる。
 すぐ側に取り落としたカノンは、砲身が半ば溶解し、内側から破裂しかかったように、内部構造をむき出しにスパークを散らしている。
 そしてディエチ自身は──、いや。ディエチ自身も同じようなもの、か。
「ぐ……っ」
 激痛が、両腕を駆け巡る。
 大破した愛機同様、それを保持し続けたディエチの両腕もまた内部の骨格フレームをあらぬ方向に曲げて、あるところはむき出しに、あるところはまた人工筋肉を突き破り見え隠れして嫌な音と匂いとをさせている。
 両目も──ダメだ。あの熱量と、光量とをまったく対策もせず凝視し照準を合わせ続けた結果か、おおまかな輪郭を周囲に映すだけで、ろくすっぽ焦点も合いはしない。
「──……い、けっ……」
「──え?」
 だが。
「い、け……っ、ノー、ヴェ……っ」
 だが──狙いはけっして、外さなかった。その自負だけは、代償とともにゆるぎない。自分の役目を、ディエチも完遂したのだ。
 それはあるいは、火竜一閃、轟天爆砕。その名の下放たれた騎士たちの一撃が、白き蟲たちの王とともに黒竜を沈黙させたことと等しく。
「行く、んだっ……」
 銀髪の姉が、ガジェットたちを倒し続けるのと同じように、ディエチにとって与えられた、やるべき使命だった。
 道を、つくること。
 妹たちに、そして竜騎士の愛槍に。ゆりかごの動力炉へと届かせる。
 ディエチは、それをやった。やり遂げた。だから、叫ぶ。まともに動かぬ身体を揺すり、四つの腕に支えられながら。
「行け……行くんだっ!! ノーヴェっ!! なのはさんを!! ゆりかごを……動力炉をっ!!」
 深紅の力放ち続ける妹を後押しするように、ディエチは叫ぶ。
 ストラーダの穂先を、ノーヴェの全身を包むエネルギーの螺旋が唸りを上げる中に、それは吸い込まれていく。
 咆哮。それはディエチも、ノーヴェも。身を削るという点でも、姉妹たちは同じだった。
 やがて生まれる亀裂は、ストラーダと、サイクロンキャリバーと。激痛を伴い、ノーヴェの骨格と。
 彼女らだけでなく──ゆりかごの心臓部、すなわち動力炉にもまた、装甲の表面にもそれは、また。
 走っていく。徐々に、徐々に。
 深紅の楔に穿たれた、そこから広がって。
 閃光が、漏れてゆく。紅き光に断ち割られ、なおもそれは溢れゆく。
 ──砕けろ。ノーヴェの呟きは、互いが繋がりあった姉妹にしか、多分聞こえなかった。
 けれど眩いその輝きの噴出が、なにより明らかに、行為よりの帰結を皆へと伝えていた。姉妹たちの行動の、その結果を。
 破壊。破砕という、その二文字を。
 
 
(つづく)
 
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