同人誌化の告知です。

 
 はい、というわけでついにここまで来ました。
 本編そのものは五十五話まで続きますが、今回である種一区切りなので、(あとせっかく時空管理局さんが二十四時間局ラジ中でもありますし)カーテンコールの同人誌化計画についての告知をば。
 
 現在の予定では
 
『Curtain call 〜上・英雄喪失〜』
『Curtain call 〜中・聖王再臨〜』
『Curtain call 〜下・蒼き翼、星となりて〜』
(サブタイトルはいずれも仮のものです)
 
 の三巻構成の予定となっています。
 
 ・・・ってわけで現在ばりばり加筆・推敲中でございます(汗
 
 挿絵・イラストはもう先方のサイトを見ていて察しのつかれた方もおられると思いますが・・・(特に落書きのお茶屋さんやってるアナタ
 

 
 
「くろのとくろえ」くろのさんにお願いいたしました。
 
 
やべーノアってこんな子だったのか。俺超がんがる超加筆がんがる
 
 頒布予定は現時点では夏コミにて、自分の仕事の関係上会場にいけそうにない場合には秋のリリマジを考えてます。・・・ってか秋のリリマジ、ビッグサイトかよ!!(←知った驚いた
 
 
 でわでわ、そんなかんじで同人誌化計画進行中なのでよろしくおねがいしますー。
 さあ、んでわweb拍手レス。
 
>終わりが見えているのなら、しっかり完結してください。・・・というのも、とある作品で作者が「あと二話」と宣言したまま、物語そのものが消滅して歯がゆい思いを経験してるので。
ええ、もちろん。あと少し、きちっと完走させていただきますb
 
 
さあ、それでは続きを読むからカーテンコール53話、どうぞー。
 
↓↓↓↓
 
 
  
 
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 なんて破壊力と、熱量だろう。
 これじゃあ。今の、限界なんてとうに超えた、スバルでは。
「く……スバ、ル」
 無理に起こした両膝が、笑う。けれどできるのは、そこまでで。
 あまりの熱気に、近寄ることすらままならない。
「スバルゥッ!!」
 その只中に、スバルがいるというのに。
 
 
魔法少女リリカルなのはstrikers 〜Curtain call〜
  
第五十三話 蒼と桜の光
 
  
 まだ、終わっていない。私たちの。──ドクターの、理想は。
「そうよ、まだ」
 月の力を受けるための、サテライトリンク回路はまだ艦に生きている。
 阻止限界点さえ突破すればまだ、こちらに勝機はある。聖王さえ健在であり、あるべき場所へと辿り着けたなら。
「いいや。もう、終わりだ。──終わりなんだ、クアットロ」
「!!」
 静かな声が、思考と歩みとを引きとめた。
 落ち着き払った、トーン。クアットロは一瞬目を見開いて、そして。
 唇の端を歪め吊り上げて、哂い振り返る。その先の、銀髪を背に流す妹へと、皮肉を浴びせるように。
「ああら、チンクちゃん。わざわざこんなところまで、ご苦労様」
「もう、いいだろう。……姉上」
 チンクの指先には、数枚の投げナイフ。ガジェットたちだけでは抑えるだけ以上の働きを期待してはいなかったが……弾切れというにはまだまだ程遠い、ランブルデトネイターは健在ということか。
「トーレは既に、こちらで確保した。ドゥーエはまだだが、あとはクアットロ、あなただけだ」
「ふうん」
 投げかけられる言葉にはけれどどこか、苦渋の色があって。
 そこに、嘲りの視線を浴びせ返す。見られる側のチンクは、そっと隻眼の瞳を伏せる。
 ──直後、稲妻のごとく、妹である少女の右腕が疾った。
 投擲。数瞬ののち、閃く爆発。クアットロの周囲に、つまり壁面に、通路天井に。顔を見せようとしていた防衛システム、その機銃へとスティンガー・ナイフは命中し、破壊して。
「たのむ。もう、よしてくれ。姉上」
「──ちっ」
 未だ自身と同期している、ゆりかご本体の防衛システムの起動。それの奇襲を、読まれていた。思わず、舌打ちする。
「まだよ。まだ終われない。私たちの、ドクターの理想を……」
「ドクターがやれと、命じたわけでもないだろうに……っ」
 双方の瞳に、金色が輝く。
 ──シルバーカーテン。
 ──ランブルデトネイター。同じ戦闘機人、同じくISの起動。けれどそれら能力は互い真逆に、一方は捕縛のため、一方は逃亡を目的に。
「……クアットロっ!!」
 全能力と手札を、逃亡に駆使する。他ならぬ妹に対しそうせざるをえないのは悔しいところだが、ここは逃れねばならない。
 自ら生み出した幻影の背後に隠れ、光学迷彩に紛れ込む。贋作を投げナイフが穿った直後、自身の管制下にあるゆりかごの機構を操作し、隔壁を下ろす。
 一枚では、足りない。二重、三重。降りた隔壁そのものに、チンクへの時間稼ぎをさせる。
 破壊のエキスパートを相手に直接戦闘を挑むほど、愚かではないということだ、こちらも。
「ざあんねん、壊すのに手間かけてちょうだい」
「待てっ!! これ以上……っ」
 これ以上、過ちを重ねないでくれ。
 その叫び以降は、隔壁に塞がれて聞くことはできなかった。
「ふん……裏切り者のくせに」
 だが、自分自身では意識せずとも──意識しないよう、むしろそう思うこと自体で『意識していた』のだろう。
 おかげで、遅れてしまった。
 突如通路のあちこちから巻き起こった、爆発に。
「大きい!? まさか、誘爆!?」
 亀裂は加速度的に増え、爆発は連鎖し通路を覆い包んでいく。
 そしてそれはそこにいるクアットロもまた逃さず、例外たらんとすることを、許さず。
 

 
 全身が、ずきずきと激痛に、悲鳴をあげている。
 いや──そもそも、痛みを感じるように思えているその場所がまだ、そこにくっついているのかどうかさえ、わからない。
 果たして自分は五体満足なのだろうか? 相棒や、レイジングハートたちは無事なのだろうか?
 ……わからない。ただ、痛い。でも。
「──……ぃン」
 自分の唇がどう動いたのかさえ、聞き取りきれない。それでも。
 そう──『でも』。『それでも』、だ。
「──……」
 スバルは、読唇した。自らの、反射にも近いその行動を表現する単語を、読み取った。
 ディバインバスター……破壊の波の中、それを貫かんと放たれるその、光の名を。
「……っお」
 まだだ。まだ腕はそこにある。いや、なくったってその傷口からであろうと──放ってみせる。
 憧れから生まれ、憧れた存在によって練磨され、憧れ以上を目指し自ら鍛えてきた、この技。
 放って、みせるとも。止めて。助け出してみせる。
「お、おおおおぉぉぉぉっ!!」
 その想いがきっと、スバルを内側から覚醒させた。
 本来ならば直撃に耐え切れるはずのない、強力すぎる一撃。その真ん中で全身を焼かれながら飛びかけた意識を、スバルの中にあるスバル自身が手を伸ばし、繋ぎとめ引き返させた。
 心の中で自分がやったように、身体もまた同じく動く。
 意識を掴んだイメージは現実には、生成したスフィアを拳の中に掴み握り締め。
 自らの立つ大地めがけ、それを開放する。
 破壊の波という大海に、押し流されぬよう。暴発を、させられぬよう拳に収めたまま、たたきつける。
「い、けええええええええぇぇぇっ!!」
 そしてそれが、スバルそのものを頭上へと押し出す。
 大地から、上空へ。師の愛した、空へと。師よりあやかりし一撃、ディバインバスターが傷ついた身体を破壊の中から天に躍り舞い上がらせる。
「……もっと!!」
 上昇の頂点に、スバルの身体はあった。そこで開いた拳には、またスフィアがひとつ。
「なにっ!?」
「もっとだ!!」
 黒衣すらももう、ずたずた。
 天翔るスバルは流血に紅く染まる眼下に、こちらを見上げる聖王を見る。
 けれど──自分自身に叫ぶ!
「まだ、やれるよっ!!」
 ウイングロード。聖王の一撃によって生まれた爆風の中に、道を拓く。
 両膝が、軋む。しかしスバルは足を前に出す。そして、踏み切る。その軌跡に、深紅の鮮血を散らし瞬かせながら、エクセリオンの羽根はためかせ疾駆する。
 迎撃弾。上半身の外套が、インナーが。バリアジャケットと呼べるものすべてがそれらの直撃に、消失する。けれど、止まらない。
 傷も。肌も露わに、駆け抜ける。
「止まれ……止まって!! どうしてっ!?」
 それは一直線。吹き飛ばされておかしくないほどの直撃弾を、浴びては耐え、耐えてはいなして──、
 そして、すぐそこに聖王が懐が、あった。
「エク、セリオンンッ!!」
 マッハキャリバーの翼が、力強く羽ばたく。握り締めた拳の中には、エクセリオンの名持つ力を、秘めて。
 それは左右、ともに。
 スバルは、踏み込む。
 聖王の側も無策ではない──いや、感覚が、行動を起こす。虹色のヴェール──カイゼル・ファルベによる聖王の鎧が、スバルの前を遮っていく。
「バス……タアアアアァァッ!!」
 両腕から、ダブルバスターとでも形容すべきエクセリオンバスターの同時発射。スバルは、躊躇しなかった。
 ただ。
 ただ──そうだ。
 砕く!!
「届け……貫けえええぇぇぇっ!!」
 

 
 そして、なのはにもその叫びは聞こえた。
 ダイムからの声もまた、重なっていた。
 
『ゆりかごに対して私にできるハッキングは、ここまでです。あとは──エースよ。あなた自身の力で』
 
 そうだ──砕かないと。動かないと。
 

 
「やった……の……!?」
 あの、聖王が放った一撃とどちらが大きいだろう。それは、わからない。
 だけど。
 爆発の華が、咲いている。ティアナの前で。スバルと、聖王・ノアを中心として。
「スバル……スバルっ!! 返事しなさい!! 無事なんでしょっ!?」
 彼女たちを、包み込んでいる。
 その勢いはあまりに強く──しかしゆえに、幾許もなく、燃え尽きその中に在する両者を、徐々に露わにしてゆき。
 ずたずたの、スバルが、いた。
 そしてその正面には──聖王もまた、健在にいた。
 やはり同じく、その着衣をずたずたに。それまでのダメージを遥かに越えて、その様相は見るも無残であり。
 届いて、いた。スバルの一撃は再び、聖王へと。
「やっ……た……?」
 そのまま二人、ぴくりとも動かない。
 一秒。二秒。双方が、時を止めてしまったかのように。
 やった、のか? 戸惑いと緊張は、次第に、疑念に。それが形になろうとした瞬間──……両膝が、ぐらついた。
「……ぁっ」
 それは、聖王の側。
 屹立したスバルと交差するようにその身体は崩れ、傾いていく。
「ま、だ……っ!!」
 拳振り切った姿勢のまま佇むスバルの向こうへと倒れかけ、踏みとどまる。
 ぐらり、ゆらいでいる。そのダメージは、かなり大きい。けれどまだ、倒すには到っていない。
 あと、せめて一撃。一撃与えることができれば──……、
「あ……っ」
「スバル!!」
 そしてスバルも、両膝を折り蹲る。
 たった今の一撃が与えたダメージだけならば、スバルのほうが上だった。
 あと一歩で、聖王を倒しゆりかごを止めるというところだったのだ。
「ぐ……っ、く……」
 なのに。今見下ろしているのは、聖王・ノアのほうだった。
「最後に立つのは……王です!!」
 自分を支える両腕を、ぶるぶると自由にならぬがゆえの震えに揺らしながら。スバルは王を見上げている。
 もう、スバルに──余力は残って、いないのか?
「っ……クロスミラージュッ!!」
 ティアナはとっさに、愛機の銃口を王へと向けた。
 今の、消耗しきった聖王ならば自分の破壊力も、届くかもしれない。
 万一であるにしても。その聖王自体よりも遥かにこちらのほうが総てを出し切ってしまっている状態であることを、わかっていても。
 動かずには、おれなかった。
 引き金に、力を込めて。そして──。
 少女たちの周囲を囲む四方の壁、その総てにまるで、血流が走るがごとく、無数の光がその瞬間、迸った。
 

 
「なっ!?」
 なによりその光景に驚いたのは、ゆりかごの主。
 聖王・ノアを置いて他に──ない。
 タイプゼロ・セカンドの相棒である魔導師がこちらを狙っているのは、わかっていた。
 だが、そんなもの。いくら疲れきっているとはいえその程度、跳ね除けてみせる。そう、思っていた。
 直後、四方の壁が輝いたのだ。
 人の身体の血管、そこを脈動が複雑に、幾重にも流れ伝わっていくように、無数の軌跡を壁面内部より、発光させて。
 そして、聞く。足許に蹲る、青き髪の戦闘機人の左腕で、ほんの数刻前まで自らの腕に握られていた漆黒のデバイスがぽつりと、呟いたのを。
『(介入、完了)』
「!? ……まさかダイム、あなたはっ!!」
 まさか──ハッキングを。見下ろし。思い至り、振り仰ぐ。
 見上げる先はそう、玉座の真上。
 半透明をした壁面へと囚われしエースオブエースに、目を見開く。
 亀裂が。次々と、走っていく。
 エースの周囲に。四方の、壁に。
 戦闘機人の名を、魔導師が呼んだ。
 直後吹き荒れるは、暴風。まだ一体、どこにこんな力が──もうとっくに、枯れ果てようとしていたほどだったのに。
 拳が。蹴りがノアを襲い、防戦を強いられる。
「こ、の……っ!!」
 顔面を、掴み上げる。
「沈黙……しなさいッ!!」
 そのままに、魔力を放つ。掌に巻き起こる、爆発。
 これで止めだ、と思っていた。けれどその相手は、止まることなく。叩きつけても──崩れ這い蹲りそうな両脚を、支えて。
 輝きを拳に掴み、立ち上がる。
「どう、して……っ!?」
 どうして、あなたは。──ダイム、あなたは。
 どうして、あなたは。──タイプゼロ・セカンド。スバル・ナカジマ。あなたは。
「「スバ、ルウウウゥゥゥゥッ!!」」
 どうして、あなたは。──エースオブエース、高町なのは。あなたは。
 ユニゾンした声。ふたつの叫びに、思わずにはいられない。
 拳銃型のデバイスより放たれた弾丸、それがエースの眠りし玉座の壁を穿ち、砕いて──ともに発した声に、心から、思う。
 あなたたちはどうして。そこまで。反逆するの。
 私に。聖なる、王に。
 戦闘機人の右腕から虚空へと弾き出された深紅の宝石の、描くその軌道がひどく、ゆっくりなものに見えたのは何故だろう。
『Exceed Drive』
 閃光が、輝く。頭上と、正面と。双方向から、眩く光っている。
「「エクセリオンンンッッ!!」」
 桜色と、蒼とに。ノアを染めていく。
「「バァスタアアアアアァァァァァッ!!」」
 師弟の、叫びとともに。
 噴流が、溢れ出す。
 王の矜持も、思いも。ノアという存在すべてを、飲み込むように。
 
(つづく)
 
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