電撃の某盗作問題。

 
 いやいや、問題は盗作以前の文体表記のコピーやらかしたことだろ? と思いつつ。
 「気付いてもらえないと困るのがパロ・オマージュ、気付かれるとまずいのが盗作」とだれかが言っていてすごく腑に落ちる言葉でもたしかにあるんですけど、今回の件に関しては盗作以前の「盗文」とでもいったほうが適切であるようにも思えます。
 んーと、一応自分自身作家目指してる人間としては、
「自分の文体を構築していく上で好きな作品・作家などの影響は当然」受けるものだとは思ってます。わしの場合子供の頃好きだった「ドリトル先生」シリーズ、高校時代読み漁った高杉良の影響は文体には大きいです、自分からみても。
 が。
 そういうのってあくまで土台であって。
 その上に自分のスタイルってのを確立していくのが物書き目指すってことなんだとわしは思ってます。
 野球とかだってそうじゃないですか。はじめは見よう見まねでプロ選手のフォーム見て、憧れて、それを真似て。でも大成するには結局それを自分自身のフォームとして自分に落としこまないといけない。でなけりゃそれは劣化コピーにしかならない。
 ネタがかぶってるならもっと違う見せ方できないかなーとかわし、むしろ思うんですけどね。基本的に人と同じもの書きたくない人種なんでw
 その視点から類似箇所見ていくと「ふつーに書いてたらありえないだろ、こんなもろかぶり」と思います、はい。みんなやってる、みたいな擁護意見はほんとありえない。
 なんで今回の絶版・回収って流れはまったくもってしかるべき措置であったといっていいんじゃないですかね。そりゃまあ理想はあんなのがでてこないことだったんでしょうけど。いち作家志望としての意見はそんなところ。
 
 
でわweb拍手レスー
  
>ここまできて、ストライカーズじゃできなかった師弟爆撃・・・さて、本編のフォースでも展開されっかなぁ。
フォースは・・・色々読むの挫けそうですorz←シグナム好き
  
>カーテンコール、ずっと楽しみに見させていただいています。同人誌化おめでとうございます。後数話、がんばってください!
ありがとうございますー。最終話までつっぱしりますー
 
 
さて、でわ続きを読むからカーテンコール54話。
 
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 モノクロームだったことに、やっと気付いた。
 世界が──今まで目の前に広がっていると、そう思っていた、すべてが。
 色彩を持っていると、ずっと感じていた。提示されたそのすべて、親友の放つ黄金の輝きも、最愛の青年の、翡翠色をした淡さも。
 でもそれらの色は、夢と同じだ。
 目覚めるまではどこまでも色鮮やかに思えて、けれど目覚めてみるとどこか、色を失っていて。
 両の瞼を開いた瞳の向こうに広がる世界は、もっとずっと、すべての色が生気に満ち満ちている。
 自分がいるべき場所は、ここだ。
 ユーノくんや、フェイトちゃんや、ヴィヴィオや。この世界で。愛する人たちとともに過ごす。そのために、帰る。
「……スバルっ」
 そしてそこには、教え子が戦っていた。
 今にも消えそうな、燻るような火を己が内に必死に保ちながら。
 スバルが、戦っていた。眼下に──それが、あった。
 なのはの愛する世界を、守って。なのはが手塩にかけた教え子が、ヴィヴィオと同じ存在に、挑み続けていたのだ。
「──スバ、ルウウゥゥゥッ!!」
 見開いた双眸の先。不意に、利き腕が。両脚が、軽くなる。
 もうひとりの教え子の銃口が、それらを拘束していた壁そのものを、砕いていた。
 ティアナと、視線を重ね。小さく頷いて──なのはは手を伸ばす。
『Purge』
 蒼き光握ったスバルの拳から排出される、深紅の宝石。こちらへと向けて橋渡された愛機・レイジングハートを受け取るために。
 教え子からの贈り物を、師はその手に。
『Exceed drive』
 防護服は、このままでいい。今此処に必要なのは、スバルとともに放つべき力。瞬時再構築されていく、黄金の長槍。
 放つべき術式など、もはや決まりきっている。
エクセリオン……っ」
 スバルの声に自然、なのはの唇もまた同調していた。
 彼女は真正面、かち上げるような、懐から。
 なのはは、王の頭上より振り下ろし。
「バスタアアアアアァァァッ!!」
 必倒の一撃をともに、放った。
 王のすべてを、飲み込んで。その体内、その力の源たる赤の凶石を、砕き散らさんと。
 
 
魔法少女リリカルなのはstrikers 〜Curtain call〜
 
第五十四話 広すぎる空に、探したもの
 
 
 どうして、こうなってしまうのだろう。
 ずっと、仕方ないと思っていた。戦って手に入れる、そうすることが王の道であると、そう教えられて。
 王でなければならなかった。
 王であろうと、つとめた。
 祖父から受け継ぎ、兄から奪い。奉じる皆に支えられた自分のそれが責任であり、義務であると思っていたから、こそ。
「わたし、は……ッ!!」
 戦わずに済ませられれば、どれだけよかったろう。思いながらも、戦ってきた。なのに。
 祖父は既にこの世の人になく。
 兄は兄としての立場を捨て。
 愛機──ダイムさえもが、離れていった。
 誰も、いない。王だから? 王ゆえの、孤独なのか?
 双方向からのエクセリオンバスター、その熱量に灼かれながら、ノアは自問する。
 エースオブエース、高町なのは
 戦闘機人、タイプゼロ・セカンド。スバル・ナカジマ
 彼女ら多くの人に囲まれ、王でなくあれた、一人の少女としていることのできた『贋作』の姿が、脳裏に描かれる。
 私、だって。
 ──私、だって!!
「甘えたかった……うんと、遊びたかったよ……マイアお兄ちゃんっ!!」
 その瞬間には、ノアは聖王としてではなく、ひとりの『ノア・セドリック』として叫んでいたのだろう。
 意識するかしないかの、最中に。
 体内で砕けていくレリックの宝石、その実感を認識して。
 抜け落ちていく力と、走り続ける皹の音とを、そのあとに把握しながら。
 

 
「──……っ?」
 生きて、いる。
 瓦礫の崩れたその下に、クアットロは我へと返る。
 僅かなひとときとはいえ、衝撃と崩壊とに、意識を失っていたようだ。
「どう、して」
 絶対にこれは死んだな、と思った。
 冷静に。命なんて、そんなものだ。いくらでも生まれてくるし、簡単に失うものだから。
 予想はどうみても間違っていなかったはず──なのに、なぜ。
「っ」
 周囲の状況の、把握に努める。
 そして、気付く。まだあたたかい、それに。
 身動きもとれず、無数の鉄骨や瓦礫に押し潰されんとするクアットロの真上に、クアットロを庇うように在している、体躯がある。
「ドゥーエ、姉さま?」
 ブロンドがかった茶色の髪が、かすかに揺れた。
 クアットロに応じるでもなく。そこにある肉体の内側よりの、鼓動のためにでもなく。
 二番目の姉、その身体が、そこにあった。
「ドゥー……」
 呼びかけを、もうひとつ。発声しつつ、クアットロの瞳は姉の正中線にある違和感に、気付く。
 それは、まったくの中心。
 心の臓の、ぴたり同じ場所。
 砕け、鋭く割れた構造材が──そこから、クアットロの視点から、「見えて」いる。
 不自由な範囲にしか可動せぬ片腕を、姉の臍からその場所に向け、なぞらせる。──貫通。そうとしか言いようが、ない。
 鼓動はもう、なかった。開かれたままの瞳に──開いていてはならないものが、開いている。
 あると思えたぬくもりも、ぬるま湯のごとくほのかなものになっていくのがわかる。
「……クアットロ」
 不意に、声が聞こえた。やってきた足音とともにそれは、すぐ側に妹の到来を、告げている。
「ドゥーエ、は」
 クアットロは、目を伏せた。……みれば、わかるだろう?
「庇った……のか。あなたを」
「……チンク」
 ちゃん付けはせず、言う。
「投降します。……管理局に戦闘機人ナンバー2、ドゥーエの丁重な埋葬を、要求するとともに」
 心得た、と。硬い声が、返ってきた。
 それで、いい。
 

 
 エースも、ストライカーも。どちらも、ボロボロだった。
「なのは、さん」
「スバル」
 ともに、歩み寄る。その足どりは互い、千鳥に揺れて。
 崩れかかる相手を支えんと同時、腕を伸ばす。膝を折って、向き合って──師弟の間に対面がようやく、生まれる。
なのはさん。ユーノ先生とヴィヴィオが、待って──……」
 まず伝えようと、思ったこと。けれどエースは、ストライカーの言に、首を左右させ。ちらと視線を、両者の放ったエクセリオンバスター、その爆心地へと向ける。
 そこに倒れ仰臥する、いつしか幼きその姿かたちへと戻った少女に。
 一番に、すること。救助隊員、その銀服であるスバルがやらねば、ならぬこと。よくやった、も。ありがとう、も。きっとそれから。
「わたしは、大丈夫だから」
 いつしかティアナも、ふたりの側にいた。
 友が。師が。スバルへとともに、頷いている。
 スバルはもう一度、立ち上がる。ふらつき、傷ついた身体を引き摺るようにしながら、打ち倒した少女のもとへと向かう。
 そして、見下ろした。
 王として戦った、少女を。ノアという、その幼い子を。
 

 
「ご無事ですか」
 意識が飛んだのは、ほんの一瞬で。
 けれど戻ってきたくなかった。王であるにもかかわらず、敗北の二文字をつきつけられた、自分自身へは。
「タイプゼロ・セカンド──いいえ、スバル・ナカジマ
「よかった。話せるなら、まだ元気そうだ。あなたを保護して、すぐにここから脱出します。隔壁が、完全に封鎖されてしまう前に」
「……別に、慌てる必要はありません。この船の冬眠システムも、私の管理下にあるのだから」
 王が未熟な場合の保険は、はたらかない。あの、贋作とは違う。
 それはきっと──本物であることがいいことか悪いことかは、この場合には曖昧だけれども。
「私は──……間違っていたのでしょうか、王として」
 きっと、間違っていたのだろう。
 一体、どこで?
 兄に、王の座を返還しなかったそのときから?
 決起の期を、見誤ったか。
 二段、三段構え以上にもっと──策を、徹底しておくべきだったのだろうか?
 どこかできっと、自分は間違えた。
 だからこうやって、敗北し横たわっている。
 王であるにもかかわらず。
 兄をはじめとし自らを奉じた者たちに、背信をしてしまった。
「王として、じゃないよ」
 よいしょ、と。スバル・ナカジマが見下ろすその両膝を曲げ、左右の腕を差し出してくる。
 抱き起こされた、形だ。
 もう彼女よりはずっと小柄な、歳相応の体格に戻ってしまったノアをそっと、支えて抱え、座らせる。
「あなたは、もっとわがままでよかったんだよ」
「高町、なのは?」
 その言を引き継いで、彼女の向こうのエースオブエースが、デバイスを杖代わりにしながら言う。
「まわりの大人たちや、あなたのことを一番大切に思ってくれていた、あなたのデバイスに。もっとうんと、無茶なことを言ったり、わがまましたりしてよかったんだ」
 そっと、満身創痍の戦闘機人がその左掌を開いてみせる。
 あったのは、黒い宝石。激戦と、電子介入とにひどく消耗したようにその表面は罅割れて──疎らに、ちかちかと光を明滅させて。
「……ダイム」
 スバル・ナカジマはそれを、ノアへと握らせる。
「……ごめんなさい」
「うん」
 はじめてだと、思う。
 こんな風に、だれかに。──だれもに。
 ただ子供として、謝って、目を落とすのは。ずっと、上にばかりいたから。
「ちゃんと謝れるのは、いい子って証拠だ。よ……っと」
「え──あ、タイプゼロ・セカンド?」
 直後、浮揚感に包まれる。
 持ち上げられるその感覚は、ノアの身体を包み込む両腕、それゆえに。
「あなたは、ひどい怪我を──……」
「それでも、勝ちましたから。おとなしく、運ばれなさい」
 ノアを抱え、戦闘機人は歩き出す。
「謝ったら、今度はうんと叱られて、うんとお仕置きを受けてください。そこまではあたしたちがきちんと、運んでいきますから」
 からりとした笑顔で、ノアを見下ろして。
 歩いて彼女は、言うのだ。
「それで、そういうのがきちんと全部終わって。ただの子供に戻れたら。そうしたら──……そうしたら、なにがしたいですか?」
「え……?」
「なんでも、いいです。今やりたいことでも、なんでもいい」
 エースオブエースのすぐ側に、ノアを抱え戦闘機人は立っていた。
 師弟は頷き、ノアへと回答を促し、そして。
「……あい、たい、です」
「会いたい?」
 ただ、妹として、会いたいと思う。たったひとり、世界にひとりしかいない、その相手と。やりなおしたい。
 王と部下でなく。
 妹と、兄として。
「マイア……お兄ちゃんに、会いたい」
 

 
 誰もが、一瞬なにが起こったかを理解しかねた。
 ノアの吐き出した、その希望だけならば──今、そこに。叶っていたにもかかわらず。
「誰に、会いたいって?」
 生まれ持った力。少女の身にはたしかに、聖王の鎧が弱まったとはいえ、残っていたはずなのに。
 その光は、貫いていった。
 聖王の持つものと同種の、比べ物にならぬほど薄くはあれ、虹色を帯びた、それは。
「余計なことをそれに吹き込むのは、ここまでにしてもらおう」
 ノアという少女の肩口を、少女がかつてエースへとやったのと同じに、貫き。スバルの両腕の中から小柄なその体躯を、こぼしていった。
 とさり、と。落着の音はその重みに見合い、あまりに軽く。
「あいつ……バインドを解いて……!!」
「兄だ、ああ、兄だとも、私は」
「……っ!!」
 理解が、追いつき始める。
 床面に、落ちた少女。広がっていく、赤の池。
 わかった直後に瞬時、沸騰するものがある。それは感情。怒り。
 衝き動かされ、スバルは振り返る。
「このくらいならなぁ……使えるんだよ。このくらい弱まっていれば、同じ力で貫ける。カイゼル・ファルベ……聖王なんて化け物が、生まれなければなぁ。私、だけだったんだ。使えるのは」
 男が、いた。下卑た笑いを顔に貼り付けて、口角からは泡と涎を汚らしく、垂れ流しながら。
「セドリック……准尉……っ!!」
「奪ったからには、兄にそこからの益、与えるのが妹の務めだろう……? 化け物でなければ王でない──ならば、私はぁっ!!」
「あなたは!! 今──あなたが、撃ったのかっ!?」
「だったら私は王を飼う!! その化け物を飼い慣らす!!」
 なのはが、ノアに寄り抱き起こす。
 荒い息をして、肩口を真っ赤に染めて。因果応報というにはその外見はあまりに幼くて──弱々しく、自らを撃った相手のほうを見つめていて。
「さあ、そいつをこっちによこせっ!! 私は……私はもう一度、そいつを王にする……っ!!」
 スバルは強く、拳を固めた。
 向けられたデバイスの矛先を、睨みつけていた。
 当たってやる気も、ノアを渡す気も、毛頭なかった。
 ただ、──ゆるせない。そう、思った。同じく妹を持つ者として、だろうか。それ以上のなにかが、あったのかもしれない。
 怒りに身を任せることを、スバルは躊躇しなかった。
 咆哮を、した。奔る光がまったくクリアに見える中、突進していった。
 怒りがスバルを、動かしていた。
 
(つづく)
 
 
 次回最終話、『本当の笑顔、あふれる場所』
 
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よかったらおしてやってくださいーつ