夏コミ。

 
 

夏コミ情報ー


 
三日目 東ヨ−24a Recovery&Reload
さんにて、委託販売を行います。
もってく予定のものは
 
新刊『Curtain call』上−英雄喪失−
 
150部/600円/B5
 
と、既刊『Pain』(少部数/400円/A5)
・・・と、合同誌『Numbers』が数冊(ほんと数冊)でてきたので持っていこうと思います。こちらも400円の予定。
なにぶん今回、委託での参加ですしスペースの広さの都合上、既刊に関しては机上に置けない場合もあるので「あれ、ねえな?」と思ったら声かけてみていただけるとありがたいです。特に『Numbers』。超裏メニュー的なかんじになってることが予測できますので。
 
そんなかんじで夏コミ、よろしくおねがいしますー。
 

さて、久々のOOでの更新。

 
劇場版の予告編を見たんですが・・・孕む。
超孕む。いや、フェルト好きなんです、はい。
そんなわけで更新ー。
 
↓↓↓↓
 
 
 
 
− − − −
  
「あんた──他の連中と、なんか違うだろ」
 一体、何を言い出す。……赤毛の少女に、愛機・ケルディムの掌へと乗せたその相手へととっさ、ライル・ディランディは鼻白む感情を制御し切れなかった。
「腹の中に一物抱えてるっていうか。なんとなく、わかるぜ」
 そいつは、どうも。
 しかし少女の言葉は図星、そう──あくまでも「カタロンのジーン1」として「ガンダムマイスターロックオン・ストラトス」の役目についているにすぎないライルにとって、違いないこと。
 身も心もソレスタルビーイングに染まったつもりは未だ、ライルにはない。
 その弁解じみたロジックを心中へと並べ立てられる程度には冷静に、けれど機体の手に跨る少女へと警戒心を募らせながら、彼はノーヴェというその少女と言葉を交わしていく。
「ウチの姉貴にひとり、そうやって悪巧みするのが得意なやつがいたんだよ。だからわかる」
 アレルヤの捜索を続ける最中に、そういった言を投げかけられる。
「五年前だっけ? この世界で、あんたらが色々しでかしたのって。そのわりにあんた、他のみんなとの連帯感から離れてるよな。なんでだ?」
「──それは」
 不快感は、押し殺さない。むしろ露骨に、声へと忍ばせる。
 ──さて、どうするか。様々な選択肢を思い浮かべては、それにノーを突きつけて。
 兄の顔が現れた次の瞬間に、呟くように言っていた。
「双子の、兄さんがな。やっぱりガンダムマイスターだった」
 機体センサーが接近する機影を捉え警告を発したのは、その直後だった。
 
 
Strikers −the number of OO−
 
Act.7 Can't you see that you are sweet?(下)
 
 
 夜明けた森に、燦々と太陽が降り注いでいた。
 そこにはさながら骸のごとく、物言わぬ機体が横たわっている。
 赤に塗られたそれは、ルイスたちの探していた機体。外見的な損傷は驚くほど少ないけれど、動く気配も一切なく。またその内に搭乗者たるべき存在も、残してはいない。
「そん、な」
 特徴的なカスタムタイプの頭部。木々を破って落着しているそれは、ソーマ・ピーリス中尉が愛機。
『正規軍の、セルゲイ・スミルノフ大佐からの報告どおりね。確認したわ』
「で、でもっ」
 アヘッド・スマルトロン。脳量子波対応型がそこに、倒れている。
『生体反応はない。──間違いない』
「そんな! まだどこかに──……」
『ハレヴィ准尉!』
「……っ」
 また。また──ガンダムが奪っていったのか?
 声をかけてくれた人を。ルイスを案じてくれた人を、またもやあの忌まわしき、MSが。
『……准尉。きみの気持ちはわかる。だが私も、中尉殿たちのいうとおりだと思う。受け入れよう』
スミルノフ少尉」
『それに。予定の合流地点までは──……中尉たちの機体はともかく、我々のジンクスでは粒子残量がぎりぎりだ。捜索をこれ以上続けていてはこちらが遭難してしまう』
『私たちだって似たようなものだ。……准尉、わかってくれ』
 機体の状況を示すモニターに、目をやる。
 認めたくはない。受け容れたくもない。だが僚機たちの告げる言葉はいずれもそれらの数値に即していて、まぎれもない事実しか言ってはいないことを裏付けるばかりで。
 ルイスは、歯噛みした。そして、俯いた。
 ──同意、した。
「了……解……っ」
『准尉。……私だって辛い』
 けれど、だったらせめて。
「せめて──機体を持ち帰れませんか」
『准尉?』
 アンドレイ少尉の声が、上ずっていた。
 そうだ──パパや、ママのときのものはもう、なにも残っていない。
 ガンダムからの直撃でふたりは、死体さえどこにいったかもわからなかった。
 でも、ピーリス中尉は違う。
 ここに、彼女のいた事実がちゃんとある。彼女の機体。アヘッドが。
「私の機体で、運びますから。だから機体の回収を」
『いや、しかし──それでは』
 途中で粒子が尽きて、落ちてしまうかもしれない。
 それでも放っておくなんて、できない。
『……ハレヴィ准尉』
 紫電色のMSからの返事には、いくぶんかの間があった。
 ギンガ中尉。ダメだと言われるかもしれないと、思った。
『ピーリス中尉の捜索に当たったスミルノフ大佐からの要望はこれだけよ。──『コックピットだけはブロックごと完全に、破壊してほしい』』
『あの男が?』
 けれど否定はそこにはなかった。
 紫電の色に染められた機体の、左腕に装備されたシールドがゆっくりと持ち上がっていく。
『一体、なにを。自分の後見していたピーリス中尉の機体だというのに』
 アンドレイ少尉の不満げな口調も無論、ルイスやギンガに向けられたものではなく。
『さあ、な。娘のようだった相手への断ちがたい想い、そのけじめか──……』
『とにかく。大佐殿の要望は、ここで果たします』
 そして、それは機体を貫いた。
 赤い、微動だにせぬMSを──左右へと真っ二つに口を開けた、雷電の名持つガンダムの盾より伸びた、それがまっすぐに。
 長く鋭いその杭は、シールドの中心部から飛び出し、螺旋の勢いのまま、発射された先に倒れ伏す機体を地面へと打ち縫いつける。
『……GNスピンバンカー』
 チンク中尉の声が、そう呟いていた。
 そのあとにはもう、アヘッドのコクピットブロックへと大穴を穿ったそれは、引き抜かれていた。
「ギンガ中尉……?」
ペイロードは、私の機体のほうが上。運ぶなら、私がやります』
「あ……」
 黒紫の機体は、そして物言わぬ赤のMSをかつぎあげる。そして、頷く。
 上昇を、していく。
『行きましょう』

アレルヤ、およびアリオスの捜索への協力、感謝します。……ほんとうに、ありがとう」
 そういって握手にと差し出された右手の先には、未だ着替えの終わっていない医療用の術着に包まれた豊かな肉体があった。
 着替える間もなく、きっと彼女も仲間の捜索のため奔走していたのだろうと思う。
「レスキューは、あたしの本業ですから」
 彼女……スメラギ・李・ノリエガだけじゃない。
 おそらくはこの船の乗員、全員がそうだった。
「バーカ。見つけたのはアタシとあいつだろうが」
 ノーヴェをともに連れて行った、あの緑色のパイロットスーツの青年だとか。
 艦に残って機体の修理を続けていた、刹那だってそう。
「そう、だね。えらいえらい」
「へへっ」
 思いながら、肩に妹を抱き寄せながら、スバルはノリエガの差し出した手を握り返す。
「あなたたちを巻き込んでしまったことは、すまなく想います。それにまだ、私たちはほんとうにあなたたちが別の世界からやってきた存在なのかという確証もない」
「それはあたしたちだって同じです。あたしたちはまだこの世界のことをなにも知らない」
 また、知らないのはなにも世界だけじゃない。
 向き合っている、彼女たち。『ソレスタルビーイング』と名乗る者たちのことだって、ほとんどまったくそうじゃないか。
 セラヴィーの掌の上で聞いたこと。
 ティエリアから、聞かされたこと。彼ら、彼女ら自身のこと。
 テロ組織だという、その記号だけでなく。彼らがしようとしていること。とろうとしている責任についてもまだ、ほんの少しを知ったにすぎないのだから。
 ただ。命の現場にずっと立ってきた、その勘を信じるなら。
 彼らは本気で仲間のことを心配していたし、仲間の無事に心から喜び、その帰還に華やいでいる。
 そういう雰囲気は、嫌いではない。
「もう少しだけ……見極めさせてください」
 整備士の男と話しこんでいるディエチに、視線を送る。
 彼女の言うとおり、結論を出すのはまだ、早いのかもしれない。
 この、右も左もわからない世界で、自分の価値観だけで。
「ええ」
 そしてスバルは目線を動かす。
 穏やかな空気の中で、そうでない場所を見て。
 たとえば──鮮やかな髪色をした、オペレーターの少女のどこか、沈んだ顔や。
 ティエリアの、雰囲気にそぐわないどこか、思いつめたような表情とか。
 知らないことを否定するより、まず、知ろう。動こう。
 そうすべきなのかもしれないと、スバルは思った。
 眼鏡の少年と、『同じ顔の』あの、リジェネ・レジェッタという少年が──アレルヤ発見の報を知った自分たちの前に現れた彼が、言った言葉。
 『イノベイター』とは、一体なんなのか。それらすべて、含めて。
 
 
(つづく)
 
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感想などよかったらどうぞー。