一発目の更新。

 
 というわけでダブルオークロスものの第八話前編でございます。
 夏コミの新刊については、一度きちんと自分の応募イベントで売りたいというのもありまして、11月の京都のなのパにもってく予定です。委託等はそこの残部数次第ってとこでしょうかー。
 
 web拍手レス。
 
>一次創作の1話読みました(2話は斜め読みだけ)。ネコ好きなのでもっと面白く読めるかと思ったけどそんなことなかったZE!……(´・ω・`) なんと言いますか、内容が平坦で…この後、読みすすめればお話は面白くなるのかもしれないけれど、そこまで読む気がしない。続きが気にならない。読み手のハートをガッと掴んで離さない様な冒頭キボン。1次創作をはじめて読むときは、2次創作を読むときと違って登場キャラへの「愛」は持ってない。印象的なところ、興味を惹きつけるがないと読みすすめようという気になれない…サーセン
んー。基本自分、キャラ小説として(特に一次創作の場合)書いてないんですよね。作風も地味なものが好きなもので。だからよく知人に「お前のラノベじゃねえ」といわれる部分でもあって。
ss的なもの、どかんどかんと花火が上がる感じの、キャラ立ち的なものを期待して読まれると厳しいかもしれないです、そこのところは、はい。わるい癖ではあるんですが。
 
 
 
はい、ではつづきを読むから『Strikers −the number of OO−』更新です。
 
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ソーマ・ピーリス」。──頭では、今の彼女がその名でないことはわかっていたはずだった。理解したつもりに、なっていた。
 アレルヤの、連れてきた女性。マリー・パーファシーというその人物に対してそう、納得せねばならぬのだと。
 フェルトだってきちんと、わかっていたはずなのに。
「……ぉ、ン……」
 掠れた声は、自分の耳にさえも不明瞭だった。
 体重を完全に預け、滑り落ちていくエレベーターの壁面が硬く、冷たく背中に触感を返してくる。
 ロック、オン。心の中ではそう、はっきりと名を、呼べたのに。
 国連軍との──ソーマ・ピーリスのいた部隊との闘いで命を散らした、彼の名を。
 今でもはっきりと覚えているから、忘れようのない、憧れた人だから。
 きっとあれが自分の、初恋だったから。
 アレルヤの側に佇む女性に対し、湧き上がるやり場のない感情をぶつけずにはおれなかった。
 同じように自分たちが彼女の同僚や多くの仲間たちを五年前、巻き込み犠牲にしていったことを理解しながら、それでもなお。
「……ごめん……なさい……」
 その謝罪は、感情をぶつけてしまった女性に対するものか。
「……っ」
 それとも、そのような行為をけっして望まなかったであろう、ロックオンや、クリスや、リヒティに対するものであったのか。
 フェルト自身にもそれは判断がつかなかった。
 つけられるような精神状態でもまた、なかった。
 ──階下への到着を、エレベーターの電子音が告げる。
 よろよろと、ゆらめくように弱々しく、フェルトは立ち上がる。
「──じゃあ、まずどうすんだよ」
「んーと、だから順番に……って、あれ」
 そこに、鉢合わせをした。
 赤と、青の頭が開いた扉の向こうに並んでいたから。
「あ……あなたたち、は」
「あんた……えっと、たしか」
フェルト・グレイスさん、だっけ?」
 慌てて、目尻を拭う。だけど二人組の少女は──そっくりな顔立ちの姉妹は、それを見落としてはくれなくて。
「ひょっとして──泣いてた?」
「あ……」
 違うんです。これは、ちょっと。
 言い逃れや言い訳はいくらでも、すぐに頭に浮かんだ。けれど声として発することが、できなかった。
「あたしたちでよかったら、お話、できないかな?」
 それよりはやく、「どうしたの?」と訊いてくれる同年代の存在が、すぐそこにいてしまったから。
 
 
Strikers −the number of OO−
 
Act.8 めぐりあい (上)
 
 
「──やあ」
 愛機の整備をと訪れた格納庫には、先客がいた。
 後ろで結わえた栗毛の髪。温厚そうな、穏やかな瞳の少女が、ティエリアを待っていたように軽くこちらへ、手を振ってくる。
「ディエチ・ナカジマ。……一体、何の用だ」
「ご挨拶だな。整備、手伝おうと思って」
「それはありがたいが──しかし。わかるのか?」
 ティエリアの側が、他者とともになにかをしようという、そういう気分では今現在、なかった。
 自然、対応も無愛想なものになる。──もともとティエリア自身、自分にそんなものが備わっているなどとは思ってはいないが。
「あたしも、戦闘のスタイルが砲撃型だから。興味あるんだ」
ガンダムを調べたい、とでもいうつもりか?」
「そうは言ってないよ。ただ、整備しながら色々話せたらな、っていうだけ」
 つっけんどんであることを自覚する。
 放っておいてくれ、という自棄にもその感情は近い。せめてこれが、仲間たちであるという意識のもと繋がっている、刹那やアレルヤが相手であればまだ、違ったのかもしれない。
「……勝手にするといい」
「うん、そうする」
 アレルヤ捜索中の、あの一件以来。ティエリアの心は未だ、乱れ混乱したままなのだから。
 夜明けをすぎた海岸に現れた、同じ顔の存在。同じ塩基配列パターン……リジェネ・レジェッタが、そうした。
 イノベイターの存在と、イオリア・シュヘンベルクの計画からの逸脱とを説いていった。
「あのね。この世界でこうやって、人型の機動兵器が戦うための力として発達したように、あたしたちの世界では、人間ひとりひとりのエネルギー運用が代わりに、発達したんだ」
 コンソールに向かい、ティエリアは少女のはじめた語りを意識への埋没の中、聞き流す。
 自分のすべきこと。やらねば、ならぬこと。
 けれど四の五の言わずに、やればいい。ロックオン、あなたはそう言ってくれた。
 感情の赴くまま。がむしゃらに。自分の、やりたいように。
 なら、僕は。
 僕はどうしたいのだろう? どう、感情を動かしたく思っているのだろう?
 

 
『──……は、……れが、限、……い、か……』
 ──誰だ。
『イ──……ぼして、いな──……』
 もうひとり、いる?
(──これは)
 声を、聞いた。そしてそれが夢であるとわかる──そう、これは明晰夢に、相違なく。
(また、か)
 そして刹那は、見る。
 あの、トランザムの中で見た光景と同じものを。
 夢が夢であるとわかる、その世界のうちにおいて。
 そこにはまた、いる。刹那の知らない機体。刹那の知らない──『ガンダム』たちが。
 まさしく、天使のようにその羽根を羽ばたかせ、そのガンダムは天翔る。
 龍と、ぶつかりあうため。双頭龍は、己が正義を貫くために、天使の羽根持つガンダムと、ガンダム同士の戦いを繰り広げる。
 長大な曲刀を、その過負荷に砕き。折り。彼らは戦う。
 黒き死神も、砲火に塗れた道化師も。それらすべては『ガンダム』として、戦っている。
(誰、なんだ。お前たちは一体、何者だ)
 このビジョンは一体、なんだというのだ。
 巨魁の赤が、その太く分厚い鋏に獲物を捕らえる。
 瞬間、機体は──上下へと分離する。ダブルオーのツインドライヴがごとく、その背に背負ったブースト・ポッドを迸らせ、その『ガンダム』は己が敵へとサーベルを振り下ろす。
 ──こんなものを、見せてなんになる。
 マントを、翻す。これもまた、別の機体。これも……ガンダム、なのか。
 骨十字を額へと頂き、猛獣がその顎を開くがごとく、口元の放熱板を発光させ、蒸気を噴き出して。『ガンダム』は駆ける。
 お前、はっ──……!
「お前はおれに、なにを見せようとしているんだ……っ!」
 目覚めの瞬間、そう叫ぶ自分の声を聞いた。
 そこに重なるのは、──重なるのは、赤き巨人の影。
 いや。それは巨『人』ですらもはや、ないのかもしれない。
 

 
 そうすることで、刹那は目覚めた。
 ──どうやら、寝入ってしまっていたらしい。
 明かりを落とした、薄暗い部屋の中にぼんやりと浮かび上がる時計のデジタル表示は、記憶より二時間ほど進んでいる。
 ミーティングの予定時刻にはまだ、時間がある。寝過ごしてはいないことに、内心ほっとする。
「──?」
 瞬間、部屋の外から鳴らされたインターフォンに、顔を上げる。……誰だ?
 思考をめぐらせてみても、今このときに自室を訪れるような相手に予測がつかなかった。
 あるいはせいぜい、ダブルオーの修理についてなにかあったか──つまるところ、イアンくらいといったところ。けれどそれも、内線でのやりとりで済むはず。わざわざこちらを訪問してまでのこととは思えない。
「今、出る」
 思い、戸惑っているうちにもう一度インターフォンが鳴った。
 防音はしっかりしているのだから聞こえないのはわかっているけれど、そう返し刹那は扉の前に立つ。
「すまない、少し眠っていて──……?」
 そしてすぐに、スライドドアを開いた。
 そこにいたのは、イアンではなく。
フェルト・グレイス。……どうした」
 呼び鈴を鳴らしたのはあちらなのに、そこにいた桜色の髪のオペレーターは一瞬、びくりと肩を竦めて、やがて上目遣いに刹那を見返してくる。
「あ、あの」
「?」
 プトレマイオスのクルーの仲で、一番年齢の近い二人が向き合う形になった。そう──あのとき。五年前、主を失ったデュナメスの前で、そうしたように。
「……なにか、あったのか?」
 フェルトは逡巡するように、瞳を惑わせる。
 その口許がそして、意を決したのを表すようにきゅっと結ばれて、直後言葉を吐いた。
「話を、したくて」
 白い手袋に包まれたその両手は指先まで強く、きつく彼女の胸元に、握り締められていた。
 
(つづく)
 
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